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不動産売却の注意点
【第32回】2019年10月9日公開(2019年10月9日更新)
梶本幸治
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。普段は売却を中心とする不動産梅者のコンサルティングを中心としていますが、こダイヤモンド不動産研究所では、売主の立場に立って、「不動産を売却するときの注意点」を解説します!

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不動産一括査定サイトの、不動産仲介会社にとっての
メリット・デメリットとは?

不動産の価格査定を簡単かつ無料で行えるサービス「不動産一括査定サイト」。売主にとって便利なこのサービスは、不動産仲介会社にとってはどのような存在なのでしょうか? 今回は、不動産一括査定サイトを利用している不動産仲介会社、利用していない不動産仲介会社、それぞれの考え方についてお話ししたいと思います。

「不動産一括査定サイト」の普及は
売主と不動産仲介会社の双方に恩恵をもたらした

不動産一括査定サイトが不動産査定を変えた

 一昔前までは、所有不動産の価格を調べようと思うと大変でした。

 自分自身で路線価や公示地価を調べ、ネット上の売り出し物件などから所有不動産のおおよその価格を知ることくらいしか方法が無かったからです。

 もっと詳しく価格を知りたいと思うと、不動産仲介会社に査定を依頼することになるのですが、それも1社、1社、連絡先を調べて問い合わせなければならず、これは大変な手間でした。

 不動産仲介会社サイドから見ても、「不動産の価格査定をしてほしい」との依頼を得ることは難しく、毎週毎週チラシを配布したり、商圏内の不動産所有者に「売り物件募集」のダイレクトメールを送付するなど、地道な集客活動を手間暇かけて行うしか方法がありませんでした。

 しかし、「不動産一括査定サイト」が普及すると不動産査定の状況は一変します。

 不動産所有者は不動産一括査定サイトの問い合わせフォームに必要事項を入力するだけの、わずか数分間で複数の不動産仲介会社に査定依頼を行うことが可能になりました。

 また、不動産仲介会社も、不動産一括査定サイトが普及する前までは、査定依頼を得ること自体至難の業であったのが、「お金さえ払えば何件でも査定依頼を獲得できる」状況になったのです。

一部の不動産仲介会社が
不動産一括査定サイトを嫌う理由

 このように不動産一括査定サイトの普及は、一般のお客様にとっても、不動産仲介会社にとっても歓迎すべきことではあるのですが、不動産仲介会社の中にはある一定数の「不動産一括査定サイト嫌い」が存在します。

 これら「不動産一括査定サイト嫌い」の不動産仲介会社は、「インターネット嫌い」「ポータルサイト嫌い」と言い換えてもいいかも知れません。

 しかし、SUUMOやathome、LIFULL HOME'Sといった「買いたいお客様」をメインに集客するポータルサイトに対しては、反響が無かった場合も「自社で掲載している物件に魅力が無いのかな? 写真を入れ替えてみようかな」と工夫を凝らす余地があるので、不動産仲介会社サイドとしてもまだ、利用に際しての抵抗は少ないのではないかと思います。

 また、これら「買いたいお客様」をメインに集客するポータルサイトは、基本的に定額制の利用料金体系であるため、月単位の予算組みも容易です。

 しかし、不動産一括査定サイトに対しては、少し様子が異なります。

 不動産一括査定サイトの多くは「1件、いくら」の反響課金の料金体系です。 そして、不動産仲介会社は一括査定サイトからの反響を「ただ待つだけ」の状態になります。

 本来は「お金さえ払えば何件でも査定依頼を獲得できる」のは歓迎すべきことなのですが、不動産一括査定サイトからお問い合わせされる方の中には、「不動産を売却する意図が全くない」「自動計算で価格が出ると思っていたので、不動産仲介会社から連絡が来るとは思ってもいなかった」「私が不動産の名義人ではないが、知り合いに頼まれて査定を依頼した」等々、不動産仲介会社から見れば【冷やかしのお客様】としか言いようのない方も含まれているのです。

 当然、一般の不動産所有者からすれば、一括査定サイトは「気軽に不動産価格を知ることができる」点にメリットがあるため、冷やかし呼ばわりされる覚えはないのですが、不動産仲介会社サイドから見ると、納得しづらいお問い合わせもあるのです。

 そして、このような【冷やかしのお客様】であったとしても、基本的には「1件、いくら」の反響課金で料金を支払う必要が生じますから、「こんな、冷やかしのお客様なのにお金を払わなければならないのか……」というストレスが生じます。

 このようなストレスは定額制のSUUMOやathome、LIFULL HOME'Sといった「買いたいお客様」をメインに集客するポータルサイトでは感じなかったものであり、積もりに積もったストレスが爆発したとき、「不動産一括査定サイトなんて止めてやる!」となるのです。

費用対効果を考えれば
不動産仲介会社は採算が取れる

 では、本当に不動産一括査定サイトは、不動産仲介会社にとってストレスがかかる嫌なサービスなのでしょうか?

 私はクライアント先の不動産仲介会社に対し、不動産一括査定サイトからの媒介受託率(不動産の売却を正式に受託できる確率)10%を目標にしていただいており、反響課金を「1件1万円」と仮定すると、1件の媒介受託単価は10万円となり、不動産仲介会社としては十分採算が取れます。

 つまり、冷静になって費用対効果を考えれば、不動産仲介会社にとって不動産一括査定サイトは「使えるサービス」になるはずなのです。

 しかし、不動産仲介会社の多くは「どの集客施策にどれだけの予算をかけ、その結果、どれほどの反響を獲得できたのか? 獲得単価はいくらなのか?」といった集計をほとんど行っていません。

 不動産業界は大きな案件なら年に1~2件程度しか契約できなくても、十分にご飯が食べられる業界です。例えば、1億円の両手取引(売主様も買主様も自社のお客様となる取引)を年に2件すれば、それだけで1200万円の仲介手数料が入ってきます。
【関連記事はこちら】>>家やマンションを高値で売却したいなら、「囲い込み」「両手取引」に気をつけよう! 悪徳不動産業者の「騙しのテクニック」を公開

 そのような業界にあって、「1件当たりの媒介受託単価」なんて細々とした問題に関心が向かないのも無理はないかもしれませんね。

 これに対し、不動産一括査定サイトの運営会社はITや広告業から出発した会社が多く、それこそ細かい数字を精査し、PDCAサイクルを回すスタイルで仕事をしています。

 つまり、不動産一括査定サイトとは「細かい運営会社」が「大雑把な不動産仲介会社」を相手にサービスを提供している訳であり、お互いが理解し合えない状態でどんどん普及していっている不思議な状態なのです。

 不動産仲介会社ももう少し、自社の集客状況を冷静に観察する目を持ち、不動産一括査定サイト運営会社ももう少し、顧客である不動産業界のことを知る努力を行えば、さらなるサービスの向上が期待でき、結果としてエンドユーザーのためになると思うのですが、いかがでしょうか?
【関連記事はこちら】>>不動産一括査定サイトを主要12社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U無料査定はこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール無料査定はこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S無料査定はこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ無料査定はこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ無料査定はこちら
◆HowMaスマート不動産売却(一般媒介での一括査定)
対応物件の種類 マンション、戸建て(東京23区)
掲載する不動産会社数 10社(一般媒介) HowMaスマート不動産売却の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 コラビット
紹介会社数 最大6社
【ポイント】不動産会社探しを支援してくれるサービスで、不動産を売却する際に、不動産会社と会わずに契約が可能。不動産会社との契約は一般媒介なので、不動産会社による違法な「囲い込み」も心配ない。
HowMaスマート不動産売却無料査定はこちら
◆いえカツLIFE(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・一棟マンション、投資マンション(1R・1K)、一棟ビル、区分所有ビル(1室)、店舗・工場・倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権、その他(共有持分についても査定・売却対象)
営業エリア 東京、千葉、神奈川、埼玉 いえカツLIFEの公式サイトはこちら
サービス開始 2012年
運営会社 株式会社 サムライ・アドウェイズ
(東京マザーズ上場「アドウェイズ」の子会社)
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
【ポイント】 再建築不可物件、借地権、底地権といった「訳あり物件」の査定にも対応している。共有持ち分でも相談に乗ってくれる査定サイトは少ないので、相談してみよう
いえカツLIFE無料査定はこちら
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