東日本大震災をはじめとする大規模な地震により、2021年1月には地震保険の保険料が改定となり、一部の地域では最大15%程度の値上げが予定されています。ただでさえ高額な地震保険は本当に必要なのか、またお得に入る方法がないのかを調べてみました。
世界有数の地震大国だが、地震保険加入率は約32%
世界有数の地震大国である日本。世界でここ10年に起きたマグニチュード6以上の地震の、そのうちの20%が日本で発生しています。いつ何時起こるかわからない、予測不能な地震に対する備えとなるのが地震保険ですが、加入率を見てみると、年々増加傾向にあることはあるものの、世帯加入率は32.2%程度しかなく、火災保険に付帯させている比率も65.2%と、それほど高い数字とはいえません。

やはり、世間一般的に「地震保険は高い」というイメージが影響しているのかもしれません。では、地震保険料は現在いくらなのか、実際の数字を見てみましょう。

地震保険料は、保険金額に比例して高くなる仕組みで、さらに地域によって保険金額は異なります。一番低い地域と一番高い地域とでは年間18,000円近くもの差があります(保険金額1000万円あたり)。
一番高い地域の千葉県・東京都・神奈川県・静岡県のロ構造では、保険金額1000万円あたり年間38,900円(建物・家財の両方に加入すると、倍の年間77,800円)となります。なかなかインパクトのある数字です。それでは一方、実際に地震が発生した時に受け取れる額はいくらなのでしょうか?
なお、地震保険は単独では加入できず、必ず火災保険にセットする形での契約が必要です。地震保険でかけることができる保険金額は、主となる火災保険金額の30~50%の範囲でしか加入できません。保険金額の上限もあり、建物は5,000万円、家財は1,000万円です。
また、地震で被害があれば、保険金額が全額支払われるわけではありません。損害の規模によって受け取れる保険金は変わり、下図のとおり、全損の場合は最高で時価額の100%の額を受け取ることができますが、大半損の場合は60%、小半損の場合は30%、一部損の場合は5%となります。
2021年には、地震保険のさらなる値上げが
2011年に発生した東日本大震災では、実に約1兆2000億円もの地震保険金が支払われました。その影響を受け、3段階に分けて地震保険料率が改定されることが決まり、すでに2017年(全国平均5.1%値上げ)、2019年(全国平均3.8%値上げ)と地震保険料が見直しとなりました。その3回目の改定が2021年1月に行われる予定で、以下のように改定されることが決まっています。


基本料率は全国平均で+5.1%の引き上げとなり、福島県の木造住宅(ロ構造)では14%もの引き上げとなっています。千葉・東京・神奈川・静岡(ロ構造)は、8.5%の引き上げ、埼玉は14.4%も値上げされます。逆に、愛知県、三重県、和歌山県(ロ構造)などは、▲14.2%の引き下げとなる地域もあります。
また同時に長期係数も見直しも行われ、長期契約の地震保険料の割引率が、若干下がります(つまり値上げ)。地震保険は最長5年の契約が可能ですが、5年契約をすると、現在は8%の割引が適用されます。しかし、2021年以降は、5年契約だと7%の値引きとなり、1%分値上がりすることになります。

【関連記事はこちら】>>最大40%の値上げ! 2019年10月の火災保険値上げの実態と、保険料を安くする方法を解説!
それでも入っておいたほうがいい地震保険
高い上に、さらに値上げ。「やっぱり必要ないかもしれない……」と思うかもしれませんが、今後30年間に震度6以上の地震が発生する確率は全国的に見てもかなり高く、特に南海トラフ沖ではマグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に発生する確率は、なんと「80%」となっています。
地域によって大きな差がありますが、南海トラフ沖での巨大地震はいつ起きてもおかしくないという状況です。

大災害の場合は、保険金額の99.9%を政府が負担
地震や津波、噴火で起きた被害は火災保険では保障されません。地震等による災害が発生した場合、当面の生活資金としてまとまったお金を手にすることができる地震保険は、かなりのメリットとなるでしょう。
実は、地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり、地震保険法に明記されている「地震等による被災者の生活の安定に寄与する」という点においてはかなり有用な保険であることには間違いありません。
現在、1回の地震等で支払われる保険金の限度額は11兆7,000億円と決まっていますが、下図の通り、1,537億円を超える部分については政府がその大半(約99.9%)を負担することになっています。

このように、実は地震保険は「加入者にとって非常に割の良い商品」であり、ほとんど補助金のような仕組みなのですが、そもそも地震保険に加入していなければ、保険金をもらうことはできません。
耐震等級3の建物は保険料50%割引
また、地震保険には割引制度があります。
・地震保険料控除(年間最高5万円まで)で、所得税や住民税が安くなる
・免震建築物割引、耐震等級割引、耐震診断割引、建築年割引により、地震保険料が最大50%も割引
下記の図を参考にして、自身の物件が対象となるかどうか確認してみると良いでしょう。
地震保険 見直し時の注意点
地震保険は、主契約である火災保険に付帯(セット)しての契約となるため、保険期間は、基本的には火災保険の保険期間と一致させることになります。
つまり、例えば2021年3月(次回の地震保険料改定後)に満期を迎える火災保険を契約していて、今から地震保険に加入しようとする場合、地震保険もいったん2021年3月までの契約となり、そこから火災保険と一緒に契約更新する、という形になります。契約更新の際は、地震保険料は2021年1月に改定された新たな料率が適用されることになります。


また、改定が行われる2021年1月までに火災保険が満期となる場合には、もちろん現在の料率がそのまま適用されます。
現在、火災保険を月払いや年払いで契約していて、2021年に地震保険料が大幅値上げとなる地域に住んでいる場合、2020年12月までに現在の火災契約・地震保険をいったん解約して、契約し直すと、保険料を節約できる可能性が高いです。
なお、火災保険・地震保険はともに、長期係数が適用される長期一括払い(火災保険は最高10年一括、地震保険は最高5年一括)で払うのが一番お得となります。
人によっては、見直さない方がお得なケースもありますので、住んでいる地域の地震保険の値上げ幅を確認の上、現在契約している保険会社・代理店に問い合わせてみるのも良いでしょう。
【関連記事はこちら】>>最大40%の値上げ! 2019年10月の火災保険値上げの実態と、保険料を安くする方法を解説!
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