新型コロナウイルスで、家の買い替えが難しくなる?
中古住宅の平均売却期間「3カ月」を知らないと、買い替えで大損することも!

2020年4月22日公開(2020年4月26日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

住んでいる家を売りに出せば、買主がすぐにみつかって買い替え(住み替え)できる――そんな楽観的な考えの人は要注意! 売却と購入の手順を間違えると、大きな出費を強いられることも……。新型コロナウイルスの影響など、家の買い替えが長期化しつつある現状・原因の分析から、所有不動産の上手な売却方法まで、詳しく解説する。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

買い先行で失敗!
借入額の増加で負担がズシリと

 東京都江東区に住むXさんは、湾岸エリアのマンションの人気が続いていることから「自分のマンションもすぐに売れるだろう」と買い替え(住み替え)を決意。売却が完了する前に、今より都心に近い新築マンションを見つけて契約した。

 Xさんの目論見はこうだ。

  • ・見つけた新築マンションは半年後の引渡しで、価格は6000万円
    ・居住中の湾岸マンションは、相場では3000万円で売却できそう。
    ・売却益から住宅ローン残高の2000万円を完済すれば、手元に1000万円残る。

    「その1000万円と、手持ち資金の1000万円を頭金として、新規で住宅ローン4000万円を借りれば、新築の6000万円にも何とか手が届きそうだ!」

 ところが、予定通りに売却が進まない。売り出して3ヵ月後に若干値下げしたものの、それでも売れなかった。結局、引っ越し目前となってしまい、新築マンションの分譲会社にお願いして2000万円で買い取ってもらうことに……。

 売却益から手元に残るはずの1000万円がなくなったせいで、買い替え先の住宅ローンが当初予定の4000万円から5000万円に増加。4000万円の借入額なら毎月返済額は約12万円ですんだところ、15万円に増えてしまった。月々のお小遣いにも影響が出そうだと、Xさんはガッカリしている。

コロナウイルスの影響で
売却期間がますます長期化する懸念も

 Xさんの失敗の原因は、手持ち物件の売却に関する読みが甘かったことに尽きる。

 今後は新型コロナウイルス感染症の影響で、ますます売却が難しくなる可能性が高いので、しっかりと市場の現実を理解して、確実に売却できるように準備を進めていく必要がある。

 売却の難しさを考慮すれば、売却までに一定の時間がかかることを前提に、“売り先行”で買い替えを進めるのが無難。Xさんのような“買い先行”では、ローン借入額が増えたり、一時的にしろ、売り物件と買い物件の二重ローンが発生するリスクもある。

 その点、まず先に売却のメドを付けておけば、そのスケジュールに合わせて買いを進めて、売り買いを同時に決着することができる。さまざまな負担が発生するリスクを回避しやすくなるのだ。

一戸建てなら売却まで
100日近くかかることもある

 そのためにも、図表1にあるように、売却には一定の時間がかかることを頭に入れておきたい。

首都圏中古住宅の新規登録から成約に至る日数の推移
写真を拡大 (資料:東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向(2019年)』)

 これは、首都圏で売りに出された新規登録物件が、成約に至って市場から抹消されるまでの期間を示している。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の調べによるもので、中古マンションは平均81.7日で、中古一戸建ては99.3日もかかっている。一般には、「中古物件の売却は3ヵ月がメド」といわれるが、中古一戸建ての場合は、それ以上かかるケースも念頭に置いていたほうがいいだろう。

 しかもグラフで分かるように、成約までの期間はここ数年ジワジワと長期化する傾向にある。折れ線グラフはマンション、一戸建てともに明らかな右肩上がりのカーブを描いているのだ。

【家の売却が長期化する理由(1)】
競合物件の増加

 売却期間の長期化にはさまざまな要因があるが、ライバルである競合物件が増えている点がまず挙げられるだろう。

 東日本レインズによれば、中古マンションの新規登録件数は、2009年には年間約13万件だったものが、2019年には約20万件に増えている。中古一戸建ても、マンションほどではないものの、約6万件から約7万件に増加しているのだ。

 こうした状況下では、自分の物件情報を埋もらせずに、購入希望者に効果的に伝え続けることがポイントになってくるだろう。単に不動産仲介会社に売却を依頼して任せっきりでは、仲介会社内での優先順位が上がらず、なかなかお客が見つからないこともある。

 ダイヤモンド不動産研究所をはじめ、不動産売却に特化したノウハウを公開している無料の情報源をフルに活用し、売主自ら主体的に売却を進めていくことが重要だ。

【家の売却が長期化する理由(2)】
売主と買主の希望価格のギャップ

 第二の要因としては、売主と買主の思惑にはズレがあるという点。何より影響が大きいのが、価格面でのギャップだろう。

 言うまでもなく、売主はできるだけ高く売りたいし、買主は安く買いたい。その差は決して小さくない。

首都圏中古マンションの新規登録価格と成約価格の1㎡単価の推移
写真を拡大 (資料:東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向(2019年)』)

 2019年の中古マンションの1㎡単価をみると、新規登録価格が57.43万円に対して、成約価格は53.45万円。成約価格は新規登録価格より7.4%低くなっている。

 まったく同じ物件の比較ではないとはいえ、市場ではこの7.4%を巡って、指し値交渉が行われていると推測される。そのためもあって、落とし所を見つけるまでに80日以上かかるということだろう。

首都圏中古一戸建ての新規登録価格と成約価格の推移
写真を拡大 (資料:東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向(2019年)』)

 中古一戸建ては図表3にあるように、新規登録の平均価格が3827万円に対して、成約価格は3115万円だから、その差は18.6%とマンションに比べて格段に大きくなる。差が大きいだけに、その差を埋めるまでの時間が余分にかかって、平均すると100日近くを要するという結果になっているのではないだろうか。

中古マンションは、
「築20年まで」の売却がおすすめ

 以上のようなギャップをできるだけ少なくして、より早く、より高く売るには、“売り時”があることを知っておきたい。図表4を見てほしい。

 これは、中古住宅として市場に売りに出された物件が、建築後の築年数帯別に、何%が成約したかを示している。

 たとえば、ある築年数帯の数字が20%であれば、その年に売りに出された物件数に対して、売れた物件数が20%あったことになる。

 これを“新規登録成約率”と呼んでいるが、マンションは築浅と築深で極端な差がある。図表4にあるように、最も新規登録成約率が高いのは「築6~10年」の31.9%で「築20年」までは20%台を維持しているが、「築21年以上」では20%を切り、「築26年以上」では10%台前半まで成約率が低くなる。マンションは明らかに築20年以内が売り時であり、築20年が効率的に売るための賞味期限といっても過言ではない。

一戸建ては、築年数が経過していても
売れる可能性がある

 それに対して、一戸建ては築年数帯による差が小さいのが特徴。

 先ほどの図表4でも、最も成約率が高い「築6~10年」で22.5%、「築21年以上」は18.6%、最も成約率が低い「築31年以上」でも15.1%を維持している。「築6~10年」と「築31年以上」には7.4ポイントの差しかない。その差が19.3ポイントに達している中古マンションとは大きく異なっている。

 一戸建ては、マンションに比べて自由にリフォームできるし、将来的な建て替えを念頭に購入する人も少なくないという事情が関係しているのではないだろうか。

 また、築年数が30年、40年……と老朽化が進んでいる中古一戸建ての場合、購入後に解体、更地にして建て替えることを前提に取得している人も少なくないはずだ。

 その意味では、いずれ住まいの買い替えを想定しているなら、マンション住まいだと「築20年までに買い替えるのが得策」だが、一戸建ての場合にはさほど築年数にこだわる必要はなく「じっくりと腰を据えて考えればいい」ということになりそうだ。

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