ブランドエリアの小・中規模新築マンションに注目! 億超えでも市況に左右されず完売している、鎌倉や四谷の物件新築・中古マンション動向(2020年8月度)

2020年10月21日公開(2020年11月17日更新)
岡本郁雄

岡本郁雄(おかもと・いくお)

不動産アナリスト。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング、コンサルティング、講演、執筆、などで幅広く活躍。首都圏を中心に3000件以上の新築マンションのモデルルームや現場を見てきた。

ファイナンシャルプランナーCFP®、経済産業省登録中小企業診断士、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター。

1967年岡山県倉敷市生まれ。神戸大学工学部工業化学科卒。1989年にリクルートに入社し、住宅情報関連を担当。その後、不動産コンサルティング会社を経て、2004年に独立。

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コロナ禍で景気の先行きは不透明だが、1億円超えでも早期完売している新築マンションがある。それが、希少なブランドエリアに立地する物件だ。今回は、現時点(2020年10月)で最新のデータである、2020年8月度の新築・中古マンションの市場動向を見ながら、ブランドエリアに立地する小・中規模マンションに注目してみよう(不動産アナリスト:岡本郁雄)

2020年8月、首都圏の新築・中古マンションの市場動向は?

 前回の「コロナ禍でも売れ行き堅調な郊外大規模マンション」の記事で解説したとおり、首都圏のマンション市場動向は、堅調な売れ行きだ。では、8月の新築・中古マンション市場はどうだったのだろう。

郊外新築マンションの供給が回復

 不動産経済研究所発表の「首都圏マンション市場動向 2020年8月度」によれば、下表のとおり、2020年8月度の新築マンション新規発売戸数は1,669戸。対前年同月(1,819戸)比で ー8.2%、対前月(2,083戸)比でー19.9%となっている。

首都圏の新築マンション市場動向
出典:不動産経済研究所発表「首都圏のマンション市場動向 2020年8月度」から

 また、新築マンション新規発売戸数は、以下のように東京都区部が589戸と前年同月比でー51.0%と半減する一方、その他のエリアでは前年対比で大幅に供給が伸びた

首都圏の新築マンション新規発売戸数
都区部……589戸(前年同月比ー51.0%)
都下………168戸(前年同月比+30.2%)
神奈川県…530戸(前年同月比+41.7%)
埼玉県……176戸(前年同月比+179.4%)
千葉県……206戸(前年同月比+296.2%)

 1戸当たり価格は6,011万円、前年同月(6,405万円)比でー6.2%。1㎡当たりの単価は93.3万円、前年同月(89.5万円)比で+4.2%。契約率は68.5%という結果で、前年同月(75.4%)比でー6.9ポイント、前月(62.4%)比では+6.1ポイント(上表参照)。

 好不調の目安とされる70%を下回っているものの、前月よりも契約率は上昇しており市況が回復しつつあることを示している。

中古マンション成約件数は+18.2%の大幅増

 中古マンションの売れ行きも好調だ。公益財団法人東日本不動産流通機構発表の「2020年8月度の中古マンション月例速報」によると、下表のように、成約件数は3,053件で、前年同月(2,584件)比で+18.2%と大きく上昇。

 8月としては、1990年5月の東日本不動産流通機構発足以降、過去最高の値となっている。

首都圏の中古マンション市場動向
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構発表「2020年8月度の中古マンション月例速報」から

 また、首都圏の平均成約価格は、前年同月比で+5.3%の3,644万円。平均成約㎡単価も54.85万円で+1.8%と、以下のとおりすべての地域が前年同月比で上昇している。

首都圏の中古マンション成約㎡単価
都区部……………79.60万円(前年同月比+1.6%)
都下(多摩)……42.16万円前年同月比+6.1%
神奈川県
横浜・川崎市……49.09万円(前年同月比+2.9%)
神奈川県その他…34.22万円(前年同月比+8.9%)
埼玉県……………32.91万円(前年同月比+2.5%)
千葉県……………28.84万円(前年同月比+3.7%)

 成約件数や成約㎡単価が前年比で大幅に伸びる一方で、新規の売り物件は減少傾向が続いている。8月の首都圏新規登録件数は、14,069件となっており、前年同月(16,228件)比でー13.3%。8月末時点の在庫件数は、42,731件で前年同月(48,157件)比で、11.3%も減っている。

 また、一戸建ての売れ行きも堅調だ。8月の首都圏における中古戸建て住宅の成約件数は 1,175件で前年比+21.8%の大幅増。こちらも8月としては東日本不動産流通機構発足以降、過去最高の成約件数だ。

 一戸建ての成約価格は、対前年同月比+6.1% の3,216万円。新規登録価格(+4.3%)、在庫価格(+1.0%)も上昇している。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、1日当たりの接客件数は抑えられているが、成約が伸びているということは、申込率が上がっているということだ。

希少立地の新築マンションは、高価格でも完売している

 こうしたなか、高価格帯のマンションは景気の不透明感もありやや動きが鈍い。多くのエリアが対前年同月比で成約件数が大幅増となる中で、2020年8月度の都心3区(千代田区・中央区・港区)の中古マンションの成約件数は、対前年同月比ー5.4%の159件だ。

 日本銀行の「資金循環統計 2020年第2四半期の資金循環(速報)」によれば、家計の金融資産は、2019年12月末の1,893兆円から2020年3月末には1,828兆円と大きく減少。2020年6月末時点では1,883兆円まで回復したものの、株式や投資信託は、前年比でマイナスになっている。金融市場の先行きも不透明で、高価格帯のマンションの選別化が進むのは当然のことだろう。

 ただ、こうしたコロナ禍の影響を受けながら、1億円を超える高価格帯でも堅調な売れ行きを示している新築マンションがある。

 それが、希少立地で商品性に優れた、中・低層のマンションだ。

「ザ・レジデンス四谷」が、最高倍率35倍で登録完売

コモレ四谷とザ・レジデンス四谷
コモレ四谷(撮影:岡本郁雄)

 2020年9月に販売され、登録完売した「ザ・レジデンス四谷」(三菱地所レジデンス 西松建設)が代表例。「四ツ谷」駅前の総面積約2.4haの複合再開発街区「コモレ四谷」内のレジデンス棟。

 開発エリア内にオフィス、商業施設、文化・スポーツ施設などの多彩な機能が集積する。地下のサブエントランスを出ると、食品スーパー「ライフ」にアクセスでき利便性が高い。カフェや飲食店、クリニックもあり、芝生のある広場など緑をまとったようなランドスケープ。都心にありながら自然を身近に感じられる。

 販売価格は、6580万円~2億8880万円。販売戸数24戸に対して、合計215件の登録があり、最高倍率は35倍。全住戸に登録申し込みが入り完売した。

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全戸億ションの「ザ・パークハウス 鎌倉」

 神奈川エリアで注目を集めたのが「ザ・パークハウス 鎌倉」(三菱地所レジデンス)だ。JR横須賀線・湘南新宿ライン・江ノ島電鉄「鎌倉」駅から徒歩4分の全23戸(一般分譲住戸18戸)。

 「鎌倉」駅徒歩5分圏内のマンションは、約10年ぶりの供給で、鶴岡八幡宮の参道となる若宮大路に面したロケーション。二の鳥居から鶴岡八幡宮へと続く段葛(だんかずら)には桜並木が連なる。平均専有面積123㎡のゆとりある間取りで、「新マンションエアロテック <床チャンバー方式>」※を採用。※24時間・365日、住戸内全体を「快適な温度」で保ち、「きれいな空気」を循環させる、快適・健康・省エネ性に配慮した全館空調システム。

 販売価格は、1億900万円~3億9,900万円となり全て億ションだが、2020年9月に全戸申し込み完売となった。

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「プラウド文京千駄木ヒルトップ」「ディアナコート三軒茶屋」も早期完売

 今春に販売が始まった東京メトロ千代田線「千駄木」駅徒歩4分、文京区立森鷗外記念館近くの高台に立地する「プラウド文京千駄木ヒルトップ」(野村不動産)。

 東急田園都市線「三軒茶屋」駅徒歩6分で蛇崩(じゃくずれ)川緑道、世田谷丸山公園が広がる緑が続く「ディアナコート三軒茶屋」(モリモト)。

 これらの新築マンションも、立地の希少性が評価され早期に完売した。このような、立地の希少性と商品力を併せ持つブランドエリアのマンションは、地元層を中心に根強い人気がある

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2020年は、都心の高台立地などブランドエリアの注目物件が目立つ

 現在販売中の新築マンションも好立地物件が目立つ。「ディアナガーデン鷹番」(モリモト)は、東急東横線「学芸大学」駅徒歩5分、碑文谷公園へ徒歩4分の住宅街に建つ全14邸。邸宅街が広がる鷹番アドレスで東南が角の整形敷地。南側は、第一種低層住居専用地域が広がる好立地だ。住戸の専有面積は全戸100㎡超とゆとりの広さで堅調な売れ行きを示す。

 このほかにも、東京メトロ千代田線「代々木上原」駅徒歩9分、渋谷区上原3丁目の第一種低層住居専用地域に立地する「リーフィアレジデンス上原」(小田急不動産 大和ハウス工業 三菱地所レジデンス)や、目黒駅徒歩6分、目黒区目黒1丁目アドレスの低層レジデンス「グランドヒルズ目黒一丁目」(住友不動産)など、好立地のマンションが目立つ。両物件とも高台に立地し、内廊下設計を採用しており、上質感あふれる造りだ。

 こういったブランドエリアにマンションを供給するのは容易ではない。それが、第一種低層住居専用地域のようなエリアであれば、戸数規模も抑えられ希少性が高まり、高価格でも早期完売となる。2020年はこのような新築マンションが目立つ。購入したいと考えている人は、今後の情報に注目しておくと良いだろう。

◆グランドヒルズ目黒一丁目(モデルルーム公開中)
価格

未定 

入居時期 2021年4月上旬
交通 JR山手線「目黒」駅から徒歩6分
東京メトロ南北線「目黒」駅から徒歩6分
都営三田線「目黒」駅から徒歩6分 東急目黒線「目黒」駅から徒歩6分
所在地 東京都目黒区目黒一丁目5番30他(地番)
間取り 2LD・K、3LD・K 建物面積 100.12㎡ ~ 174.14㎡
総戸数 25戸(※非分譲住戸7戸含む) 来場者数
売主 住友不動産株式会社 施工会社
グランドヒルズ目黒一丁目詳細はこちら
※データは2020年10月5日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

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SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)
ブランズタワー豊洲
パークコート渋谷  ザ  タワー
晴海フラッグ
HARUMI FLAG(晴海フラッグ)VSブランズタワー豊洲
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