2021年1月1日から地震保険料率が全国で改定されたのに加えて、火災保険料についても複数の保険会社で改定されました。そのため、火災保険の見直しの機会を逸したと思っている人もいるかもしれません。しかし、今回の改定により、火災保険料が値下げになるケースもあります。
火災保険料の度重なる改定は、自然災害増加の裏返し

2021年1月1日から、大手損害保険会社の火災保険料率が改定されました。火災保険料率は、損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」をベースに、各保険会社の判断で決定しますが、この参考純率が改定されたためです。
「火災保険は火災だけでなく、水災や風災など自然災害による損害に対する補償を付帯できる保険です。参考純率および火災保険料率が改定されたのは、西日本豪雨災害のあった2018年の支払い実績が大きかったため。今回の見直しに、台風被害が多発した2019年分はカウントされていません。そのため、ここ1、2年の間にさらなる改定があると考えられます」(生活設計塾クルー、ファイナンシャルプランナー清水香氏)
火災保険とセットで加入する地震保険の保険料率も、2021年1月に改定されました。地震保険は国の関与する半公的な保険のため、保険会社で保険料率に差はありません。2015年、2017年、2021年と3段階にわたる改定の最終となります。
火災保険の契約期間も短縮へ
温暖化などにより、長期にわたる自然災害の発生予測が困難になったことから、長期契約についても、契約期間が短縮されてきています。かつては最長36年まで契約できましたが、2015年10月から最長10年に短縮。現在、最長5年とする動きも出てきています。
このように、保険料率の改定も、契約期間の短縮化も、自然災害等のリスクが高まっていることの裏返しです。見方を変えれば、それだけ、火災・地震保険の重要性が増しているともいえるのです。
【関連記事】>>火災保険の契約期間が、最長5年に短縮の見通し! いつから始まる? 加入者への影響は?
築浅住宅なら保険料が安くなる可能性も!
じつは今回の火災保険料率の改定で、保険料が値下がりしたケースがあります。築10年未満となる築浅物件の保険料です。
マンション、鉄骨造住宅、木造住宅とも、多くの損害保険会社で保険料が引き下げられました。築年数が経過した建物よりも、老朽化による損害リスクが低いため、こうしたリスク較差を保険料に反映させることになりました。ソニー損保の場合、これまで最大20%だった「水濡(ぬ)れ」「外部からの物体の衝突など」に関する築浅割引を、最大43.3%にまで拡大しています(参照:ソニー損保【火災保険】商品改定について)。
築年数や建物の構造、火災保険の商品によって値下げ率(または割引率)は異なるため、一概には言えませんが、築10~15年以内の物件でも、改定前より保険料が値下げされているケースもあります(逆に値上げになっているケースもあります)。該当する人はどれくらい保険料が安くなるかチェックしてみましょう。
火災保険を見直すポイントは
地震と風水災への備えが万全かどうか
築浅物件に当てはまらない場合も、火災保険を見直す意味はあります。ポイントは地震と風水災に対する備えが万全であるかどうかです。実際に災害に遭った際に保険金をもらえるかどうかで、その後の人生が大きく変わってしまいますから、以下の点に注意しながら、加入中の補償内容を確認しましょう。もちろん、見直してみて、自分に必要な補償がきちんと付いていたなら、安心です。
チェックポイント①
「地震保険に未加入の人は必ず加入を!」
地震保険は、火災保険に付帯する形でなければ加入できません。現在、地震保険の付帯率は全国平均で66.7%(2019年度)。火災保険の加入者のうち、3割以上が地震保険に未加入ということになります。
「旧耐震の建物でも、地震保険をフルにかけていれば、最大で火災保険金の50%は補償されます。しかも、全国で保険料の一番高い東京の木造住宅でも、保険金1,000万円に対して、年間保険料は4万円程度。一方、生命保険料は1世帯当たり平均年間約38万円。リスクとのバランスを考えると、もっと火災保険や地震保険に関心を向けるべきです」(前出、清水香氏)
住宅全壊などの世帯に支給される「被災者生活再建支援金」は最大300万円。家を建て直す資金にはとても足りません。地震保険に加入しているかどうかで、その後の人生が大きく変わってしまうのです。
同じ理由から地震保険に入っていても、建物部分だけの契約になっている人は、家財についても補償を付けることを検討してください。通常、生活に最低限必要な家電や家具、衣類等を買いそろえるには、100万円単位でお金がかかります。
ただし、現在加入中の火災保険に、あとから地震保険を付帯する場合は、契約応答日(契約期間中に毎年迎える契約日に対応する月日)での契約となります。それより前に地震保険に加入するには、加入中の火災保険を解約して、新たな火災保険(+地震保険)に入り直す必要があります。
チェックポイント②
「水災リスクを考えた補償を付帯しているか」
火災保険の加入者のうち、10人中約3人が水災の補償を付けていません。しかし、近年は台風や豪雨による損害が急増していて、都市部でも下水処理能力を上回る水が流入し、側溝からあふれて建物に浸水するようなことが起きています。いままで水災を心配する必要のなかった地域や建物でも、油断できなくなっているのです。
水災をはじめ、災害によるリスクを確認するには、ハザードマップを参考にするのがいいでしょう。多くの自治体が浸水や高潮、土砂災害など地域の特性に合ったハザードマップを作成しています。国土交通省の「わがまちハザードマップ」から、誰でも閲覧することができます。

なお、地震による損害と異なり、水災は火災保険金額の100%の補償を受けることが可能です。ただし、パッケージ型商品の水災補償無しのプランだと、途中から水災の補償を追加することができない場合もあります。その場合、いったん解約して、新たに契約し直す必要があります。
水災の増加に伴って、保険会社各社では、水災リスクに応じて保険料に地域差をつける動きも出てきています。リスクの高いエリアで、水災補償を付帯していない人は、今後の動きに注意しましょう。
インターネット専用の火災保険なら
保険料がお得になる?
ところで、火災保険の見直しをするにあたって、インターネット専用の火災保険なら保険料が安くなると考える人も多いようです。たしかに、自動車保険などは保険料が安くなりますし、住宅ローンなどもインターネット専用商品のほうが金利は安く設定されています。
火災保険の場合、インターネット専用商品であっても、同じ補償内容なら保険料はあまり変わりません。ただし、補償をカスタマイズできるのが特徴で、補償を絞り込むことで保険料を安く抑えられる可能性はあります。また、24時間、申し込みが可能などのメリットもあります。
その半面、代理店(人)を介さないため、融通の利きづらいのがデメリットです。少しでも書類に不備があると受け付けてもらえませんし、たとえば「建物の所有者」と「保険の契約者」が異なるといったイレギュラーな契約は、取扱わない場合もあります。
火災保険の見直しは、料金改定時や
ライフステージに変化があったタイミングで!
火災保険にもいろいろな商品が発売されますが、ここまでお話しした点を一度確認した後は、新しい商品が登場するたびに、加入中の保険と比較する必要はありません。
そのため、契約期間は1年ではなく、火災保険は最長の10年、地震保険は5年の長期契約にして長期割引を受けたほうが得です。保険会社にもよりますが、10年契約で18%近い割引になるところも。途中解約する場合も、火災保険の解約返戻金は未経過期間分のほぼ100%のため、損することはありません。
では、どんなタイミングで見直していけばいいのでしょうか。引っ越し、家族が増えた、子どもが巣立った、家を増築したなど、ライフステージに変化があったときが、見直しの機会です。住まいや生活が変われば、必要な補償が違ってきます。世帯の人数が変われば、家財の量も増減し、保険金額も変わってくるからです。
また、見積もりを取る際には、必ず複数社で比較しておきましょう。
まとめ
火災保険を見直すうえで重要なのは、地震保険と風水災について必要な補償を付帯しているかどうかです。補償が不十分な場合は、補償を追加するか、新たに適切な補償の火災保険に加入し直しましょう。
商品選びにおいては、代理店を介しての商品もインターネット専用商品も、保険料率に際立った違いがあるわけではありません。商品ごとに比較したうえで、候補に両者が残った場合は、手続きの利便性などで判断するといいでしょう。
いったん補償内容を見直した後は、ライフステージに変化のあるタイミングで、必要な補償内容を過不足なくカバーできているか確認することが大切です。
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