2021年7月、1年開催が延期された東京五輪がいよいよ始まった。日本選手の活躍が報道される一方で、首都圏では緊急事態宣言下で新型コロナの感染拡大が続いている。ただ、そんな中でもマンション市況は依然として活況だ。今回は、2021年6月の新築・中古マンションの市場動向を見ながら、マンション市場の動向を紹介したい。(不動産アナリスト:
最新の首都圏新築マンション市況は?
2021年7月30日、東京都に加え、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府の4府県に緊急事態宣言が追加された。そうした状況下でも、マンション市場の活況は続いている。不動産経済研究所が発表した2021年上半期の「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によれば、2021年上半期の首都圏新築マンションの供給戸数は、昨年同期比77.3%増加の13,277戸。上半期の増加は、3年ぶりだ。
また上半期の初月契約率は、72.5%と好不調の目安とされる70%を6年ぶりに上回る。累積契約率は85.4%で、昨年同期の76.1%と比べ大きく上昇している。供給エリアの内訳は、以下の通りとなっている。
東京23区内 43.8%
東京都下 7.3%
神奈川県 26.9%
埼玉県 9.8%
千葉県 12.3%
昨年の東京23区内のシェアは51.3%なので、東京23区以外のシェアが高まっているのがわかる。
なお、エリア別の価格は、以下の通りとなっている。
東京23区内 8,041万円
東京都下 5,388万円
神奈川県 5,438万円
埼玉県 4,932万円
千葉県 4,535万円
2021年6月も新築マンションの売れ行きは堅調だ。不動産経済研究所発表の「首都圏新築マンション市場動向 2021年6月」によれば、下表のとおり、2021年6月の新築マンション新規発売戸数は、1,939戸。対前月(2,578戸)比で24.8%の減少。対前年同月(1,543戸)比で25.7%増となっている。

新築マンションの1戸当たりの平均価格は6,211万円、前年同月(6,389万円)比で-2.8%。1㎡当たりの単価は94.2万円、前年同月(96.9万円)比で-2.8%となっている。契約率は72.50%という結果で、前年同月(73.20%)比で-0.7ポイント、前月(69.30%)比では+3.2ポイント。高い水準を維持している。
販売在庫は、6,395戸で前月よりも394戸の減少。前年同月の7,387戸よりも1,000戸近く少ない状況で在庫数は低水準が続いている。
また、新築マンション新規発売戸数は下表のようになっており、前年同月と比べ1都3県で増加している。東京23区以外の供給戸数が増えてきているが、通勤利便性の高い近郊エリアの大規模レジデンスの売れ行きが好調。
「パークシティ柏の葉キャンパス サウスマークタワー」が完売。「ザ・パークハウス 横浜新子安フロント」「幕張ベイパーク スカイグランドタワー」といった大規模マンションも売れ行き堅調だ。東京都心エリアの価格上昇が続く中で、通勤利便性が高い立地のマンションは、共働き層に支持されている。
都区部……861戸(前年同月比+17.9%)
都下………150戸(前年同月比+11.9%)
神奈川県…418戸(前年同月比+132.2%)
埼玉県……208戸(前年同月比+201.4%)
千葉県……302戸(前年同月比-29.8%)
中古マンション成約件数は増加、価格も上昇傾向
東日本不動産流通機構発表の「2021年6月度の中古マンション月例速報」によると、2021年6月度の首都圏中古マンションの成約件数は3,262件で、前年同月(3,107件)比で5.0%上昇した。

首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で+9.4%の3,873万円。平均成約㎡単価も59.42万円で+11.1%と昨年同月比で上昇傾向が続く。なお地域別では、以下の通りとなっている。
都区部……………90.87万円(前年同月比+18.5%)
都下(多摩)……42.98万円(前年同月比+1.6%)
神奈川県
横浜・川崎市……50.76万円(前年同月比+4.8%)
神奈川県その他…35.07万円(前年同月比+6.5%)
埼玉県……………34.95万円(前年同月比+7.4%)
千葉県……………32.93万円(前年同月比+10.3%)
また、2021年6月の首都圏中古マンション新規登録件数は、13,049件となっており、前年同月(16,143件)比で19.2%の減少。2021年6月末時点の在庫件数は、33,641件となっており、前年同月(45,555件)比で26.2%の減少。在庫件数は、この1年間で最も少なくなっている。
注目物件①武蔵小山の駅前再開発マンション「シティタワー武蔵小山」

武蔵小山駅の再開発事業である「シティタワー武蔵小山」が 2021年6月に竣工した。「シティタワー武蔵小山」は、住友不動産が手掛ける、免震構造の地上41階建て、総戸数506戸の超高層タワーマンション。既に完成済みで、200戸以上が契約済みと売れ行きも堅調だ。
東急目黒線「武蔵小山」駅より徒歩1分というめぐまれた立地。東急目黒線「武蔵小山」駅からは、「目黒」駅まで1駅3分。東京メトロ南北線や都営三田線で「大手町」駅へ19分と都心直結の好アクセスとなっている。
かつて武蔵小山駅周辺は、老朽化した木造の建物が密集する市街地となっており、防災性の向上が求められていたが、再開発事業により道路も整備され、魅力ある複合市街地となった。
「シティタワー武蔵小山」は、タワー棟、レジデンス棟、低層棟の3棟で構成され、住宅・商業・公益施設の一体で整備される。店舗部分には、スーパーやコンビニエンスストア、物販店、クリニック(内科・小児科・皮膚科)や薬局などが入居する予定となっている。低層棟の2階には、公益施設である荏原第一地域センター・区民集会所が入る予定だ。

また、「シティタワー武蔵小山」は、1階に、2層吹き抜け 200㎡超の大空間を設けたグランドエントランスホールを配置。 36階にはスカイラウンジ&パーティールームを用意するなど共用施設も充実している。
専有部のクオリティーも高い。キッチンのカウンタートップには、天然石を採用。ディスポーザーやスライド式食器洗い乾燥機が標準装備され、スライド収納はブルモーション機能(閉まる直前にブレーキがかかり、ゆっくり閉まる)付きだ。
「武蔵小山」駅周辺では、さらに「小山三丁目第一地区市街地再開発準備組合」、「小山三丁目第二地区市街地再開発準備組合」など再開発の準備が進められている。今後の再開発による街の将来性も高く評価されているようだ。
注目物件②小岩駅徒歩1分の再開発マンション「プラウドタワー小岩ファースト」
武蔵小山駅のように、複数の市街地再開発によって街が大きく変わりつつあるのが、総武線小岩駅だ。小岩駅徒歩1分に誕生するのが、「プラウドタワー小岩ファースト」である。

小岩駅周辺では、「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本構想」に基づき、100年栄える一体的なまちづくりを推進中だ。2015年には、「南小岩七丁目西地区第一種市街地再開発事業(アルファグランデ小岩スカイファースト)」が完了し、すでに店舗と住宅から成る地上29階建ての再開発タワーが竣工済みだ。
そして今、「小岩」駅南口で開発が進められているのが、「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」だ。南口交通広場とフラワーロード商店街を結ぶ駅前街区には、商業、公共、保育、医療施設と住居が整備される。また、10階建ての商業施設「FIRSTA koiwa」(ファスタ小岩)が2021年新春に開業。1階部分には、地域の交流拠点にもなる江戸川区のコミュニティースペース「KOITTO TERRACE」がオープンした。
その小岩駅南口に建設予定の「プラウドタワー小岩ファースト」は、駅前タワーレジデンスにふさわしいスタイリッシュな外観が印象的だ。ホテルライクな内廊下を採用し、ライブラリーラウンジやキッチンを備えたコミュニティーラウンジなどの多彩な共⽤空間も用意されている。
間取りは、全41タイプ。設備仕様も充実していて、ディスポーザーや食器洗い乾燥機が標準装備されている。上層階の一部住戸には、プレミアムプランが計画され、最高天井高約2.75mのゆとりの空間を実現している。
2021年7月に第1期88戸の販売がスタート。「小岩」駅まで徒歩1分という立地に加え、再開発プロジェクトとしての魅力もあり、資料請求件数が3,000件を超えるなど注目を集めており、売れ行きも堅調だ。
「武蔵小山」や「小岩」のように都心へのアクセスが良好で、商店街が古くから栄えた街は、建物の老朽化や住民の高齢化が課題となっている。街の機能を強化する市街地再開発は、防災性を高めるとともに人の流入を促し、街の活性化にもつながっていく。複数のプロジェクトが連携すれば、その効果は一層大きくなるだろう。将来性も期待できる既成市街地の再開発プロジェクトに、注目していただきたい。
◆幕張ベイパーク スカイグランドタワー | ||||
価格 | 4880万円(1戸)・5580万円(1戸)・6080万円(1戸) | 入居時期 | 2021年9月下旬入居予定 | |
交通 | 京葉線「海浜幕張」駅 徒歩13分 | 所在地 | 千葉県千葉市 美浜区若葉3丁目1-1 | |
間取り | 2LDK(1戸)・3LDK(1戸)・4LDK(1戸) | 専有面積 | 76.53㎡(1戸)・79.52㎡(1戸)・81.76㎡(1戸) | |
総戸数 | 826戸 | 来場者数 | ― | |
売主 | 三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンス、伊藤忠都市開発、東方地所、富士見地所、袖ヶ浦興業 | 施工会社 | ― | |
※データは2021年8月2日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆シティタワー武蔵小山 | ||||
価格 |
7,200万円~1億8,000万円 |
入居時期 | 2022年4月下旬 | |
交通 | 東急目黒線「武蔵小山」駅から徒歩1分 他 | 所在地 | 東京都品川区小山三丁目1番24(地番) | |
間取り | 1LD・K ~ 3LD・K | 専有面積 | 40.74㎡ ~ 80.05㎡ | |
総戸数 | 506戸(非分譲住戸186戸・その他住戸1戸〔※1〕含む) | 来場者数 | ー | |
売主 | 住友不動産 | 施工会社 | ー | |
※データは2021年8月2日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆プラウドタワー小岩ファースト | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 | 2022年6月下旬 | |
交通 | JR中央総武線 「小岩」駅 徒歩1分 ※サブエントランスまで約80m・1分(メインエントランスまでは約140m・2分) | 所在地 | 東京都江戸川区南小岩六丁目2355(地番) | |
間取り | 1R ~ 3LDK | 専有面積 | 35.30㎡ ~ 75.26㎡ | |
総戸数 | 233戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 野村不動産・タカラレーベン・清水建設 | 施工会社 | ー | |
※データは2021年8月2日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
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