高騰するマンション、自己資金、ローン借入額に変化は?
首都圏のマンション市場動向を不動産アナリストが解説!【2022年4月版】

2022年4月9日公開(2022年4月8日更新)
岡本郁雄

今回は、最新の新築・中古マンションの市場動向を見ながら、マンション市場の動向を紹介したい。2022年2月の首都圏新築分譲マンション発売戸数は、前年比2%増の2,228戸。契約率は73.3%で、2カ月ぶりの70%台と需給ともに堅調な動きを見せている。(不動産アナリスト:岡本郁雄)

マンションと戸建て、広がる価格差

 建築費の上昇や土地価格の高止まりで新築マンション価格の上昇トレンドが続いている。2021年の平均購入価格は5,709万円(参考:リクルート「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」)。2001年の調査開始以来過去最高で、2020年の5,538万円を171万円上回っている。

 一方、2021年新築一戸建て契約者の平均購入価格は4,331万円となっており、マンションとの価格差が大きい。新築マンションの平均購入価格は、2016年の5,081万円を境にずっと5,000万円超で推移している。マンションは、ある程度の自己資金や年収がないと届かない住まいになってきている。

 また、ライフステージ別では、新築マンション購入者のうち、シングル男性世帯が6.9%、シングル女性世帯が11.1%で、単身世帯の割合が18%になっている。これは、2001年の同調査開始以来で最も比率が高い。新築マンション購入者のおおよそ5~6組に1組程度が単身世帯ということになる。

 なお、新築マンション購入者における子供あり世帯は36.1%、夫婦のみ世帯が32.7%であり、マンション購入者の中心は、依然として夫婦もしくは子育てファミリーであることに変わりはない。

 既婚世帯における共働き比率は、2001年調査開始以来最高の74.3%に。2001年が41.5%、10年前の2011年が54.6%であり、共働き世帯の比率はこの20年で大きく伸びている。

首都圏新築マンション購入者の世帯総収入、自己資本比率は?

 新築マンション購入者の世帯総年収は、全体平均で1,019万円。2020年の985万円をさらに上回った。2011年の新築マンション購入者の平均世帯総年収は754万円であり、10年間で265万円も上昇している。

 一方、自己資金比率の平均は、2020年の17.9%を上回る19.1%に。シニアカップル世帯の自己資金比率が最も高く68.2%で、全額キャッシュが半数を超える。また、全体で見ると全額キャッシュでの購入が8.1%ある一方で、自己資金5%未満の合計は40.9%、自己資金なしは16.4%となっており、資金計画にはバラつきがある。

首都圏新築マンションの自己資金比率(2021年)

首都圏新築マンションの自己資金比率(2021年)
写真を拡大(出典:リクルート 2021年首都圏新築マンション契約者動向調査)

住宅ローンの借入額は?

 ローンの借入総額を見ると4,941万円で、2020年の4,864万円を上回り、2005年以降最高に。5,000万円以上を借り入れた人の割合は44.9%になっている。世帯総年収1,000万円以上に限れば、世帯の平均借入額は6,103万円となる。また、既婚・共働き世帯の46.9%がペアローン利用者だ。

 住宅ローン金利は、長期金利の上昇でやや上がっているものの、依然として低金利が続いている。こうした融資環境のもと、住宅ローンの借入額を確保することでマンション購入を実現している。同調査による2011年の住宅ローン借入額の平均は3,251万円なので、10年間で1,690万円も住宅ローンの借入額が増えている。

 日米の金利差で、円安が進み輸入物価が上昇するなど金融緩和のマイナスの影響も出始めている。今の低金利がいつまで続くかは、今後のマンション市場に少なからず影響を与えるだろう。

首都圏新築マンション 購入価格とローン借入額の推移

首都圏新築マンション 購入価格とローン借入額の推移
写真を拡大 (出典:リクルート 2021年首都圏新築マンション契約者動向調査)

 続いて、2022年1月度の首都圏新築マンション市場を見てみよう。

最新の首都圏新築マンション市況は?

 2022年2月の首都圏新築マンションの供給戸数は、昨年同期比2%増加の2,287戸。2021年11月以来の増加に転じた(不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年2月度」)。

首都圏の新築マンション市場動向
首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年2月」)

 新築マンションの1戸当たりの平均価格は7,418万円、前年同月(6,380万円)比で16.3%の上昇。㎡当たりの単価は109.5万円、前年同月(94.8万円)比で15.5%のアップ。契約率は73.3%で、前年同月(76.0%)比では2.7ポイントダウンしている。販売在庫は、6,146戸で、前月よりも291戸の減少。前年同月の7,891戸よりも1,745戸少なくなっている。

 また、2022年2月度の契約率は、好不調の目安とされる70%を上回った。ウクライナ情勢による先行きの不透明感は否めないものの、堅調さは維持している。

 新築マンションの地域別の新規発売戸数は、下表のようになっている。

首都圏の新築マンション新規発売戸数および契約率
都区部……1,048戸(前年同月比―0.2%) 74.8%
都下………231戸(前年同月比+87.8%) 69.3%
神奈川県…514戸(前年同月比-33.8%) 70.4%
埼玉県……193戸(前年同月比+99.0%) 62.7%
千葉県……301戸(前年同月比+53.6%) 83.1%

 次に中古マンション市場を見てみたい。

首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比約12%減少

 2022年2月度の首都圏中古マンションの成約件数は、3,146件で、前年同月(3,587件)比で12.3%減少した(参考:東日本不動産流通機構発表「2022年2月度の中古マンション月例速報」)。

首都圏の中古マンション市場動向
首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2022年2月度の中古マンション月例速報」)

 首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で+6.6%の4,023万円。平均成約㎡単価は、62.51万円で前年同月比+8.4%となっている。また、地域別では、以下の通りとなっている。

首都圏の中古マンション成約㎡単価
都区部……………93.05万円(前年同月比+9.1%)
都下(多摩)……46.04万円(前年同月比+7.6%)
神奈川県
横浜・川崎市……56.68万円(前年同月比+8.9%)
神奈川県その他…36.04万円(前年同月比+6.2%)
埼玉県……………38.47万円(前年同月比+13.3%)
千葉県……………34.51万円(前年同月比+9.3%)

 地域別の成約㎡単価を見ると、対前年比では今月も全ての地域で上昇している。前月比では埼玉県を除く地域で弱含んでおり、上昇ペースにやや歯止めがかかっている。

 また、2022年1月の首都圏中古マンション新規登録件数は、12,951件となっており前月よりも増加。今月も在庫が増加し、37,259件となっている。これで、在庫件数の増加は8カ月連続となっている。

 次に、今月の注目物件を紹介したい。

注目マンション①「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」は、日本最初の分譲マンション建て替え物件

 マンション価格上昇の一因となっているのが、都市部でのマンション適地の減少だ。都市が成熟していく中で、都心部などの好立地や経済性の高い大規模なマンション用地を取得することが難しくなってきている。

 一方で、かつて分譲されたマンションが経年により物理的にも機能的にも劣化し、そうした物件の再生が喫緊の課題となっている。上記2つの課題を解消するのが中古マンションの建て替え事業だ。今回は、中古マンションの建て替え事業で誕生する注目の2物件を紹介したい。

 1953年に東京都が分譲した日本初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」。この旧宮益坂ビルディングは、竣工当時は周囲よりも高い 11階建てで、ひと際目立つ超高額マンションとして渋谷に誕生した。「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」(売主:旭化成不動産レジデンス)は、その建て替え事業によって誕生する全 128邸のレジデンスだ。

 渋谷駅に近く、宮益坂のケヤキの街路樹に面した恵まれた立地にある「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」​は、渋谷ヒカリエとヒカリエデッキで直結する便利なロケーションで、高さ約 6.8mものゲート状の3階エントランスと結ばれる。

 建物の再生にあたっては、旧宮益坂ビルディングの特徴とも言える 2層吹き抜けの回り階段を再現し、かつての記憶を受け継ぐ空間を創出している。

「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」のエントランスホール
「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」のエントランスホール(出典:公式ホームページ)

 エントランスホールから見たケヤキ並木の景色は圧巻で、夏季は新緑が広がり、冬季は光を採りこむ。共用部の壁面には、宮益坂ビルディングと記された館銘板が残されており、かつての記憶をとどめている。内廊下方式を採用しておりプライバシーに配慮したつくりになっている。

 「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」の低層部は、事務所と店舗が入り、住居は5階から15階部分となる。住戸は、最高約2.6mのハイサッシを採用した開放感のあるつくり。宮益坂に面した161㎡台のモデルルームを見学すると、建て替えで実現できた空間の価値が実感できる。宮益坂に面した高台の高層階からは、都市再生で魅力を増している渋谷の街が一望できる。

 天井カセット型エアコン採用のリビングダイニングは、すっきりと開放的。ワイドスパンの間取りは、キッチンや各居室の独立性が高い。キッチンには、ディスポーザー、エアコン、床暖房を標準装備。デザイン性の高い SieMatic(ジーマティック)社製のシステムキッチンやグローエ社製の水栓、洗面化粧台にフィオレストーン天板を採用するなど、上質な仕様だ。 

 2022年3月末日時点で「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」の総来場者数は300組を上回っており、販売は好調だ。渋谷駅にヒカリエデッキでアクセスできる立地が富裕層に高く評価されており、目立った競合物件もない。こうした希少性の高い場所で分譲できるのも、建て替えプロジェクトならではと言えるだろう。

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注目マンション②「ブリリアシティ石神井公園アトラス」は、石神井公園団地建て替え物件

 次に紹介するのは、石神井公園団地の建て替え事業で誕生する「ブリリアシティ石神井公園アトラス」(売主:東京建物 旭化成不動産レジデンス URリンケージ)。西武池袋線「石神井公園」駅から徒歩20分~25分(ほか、棟によって異なる)、3万7000㎡超の敷地面積で、全844戸。

 石神井公園団地は、1967 年(昭和42 年)に竣工した敷地規模42,365 ㎡、総戸数490 戸(鉄筋コンクリート造地上5 階建て、全9 棟)の東京都内最大級の大型団地で、都内における最も古い団地のひとつだった。

 西武池袋線「石神井公園」駅、西武新宿線「上石神井」駅の2駅利用可能な立地。周辺は閑静な住宅地が広がっていて、広大な石神井公園や石神井川、桜の美しい練馬区立さくらの辻公園など武蔵野の自然が残る恵まれたロケーションである。50年を超える歴史の中で、夏祭りやもちつき大会、サークル活動などコミュニティー活動が盛んに行われ、親世代の元に子世代が近居するような事例もあったという。

 建物・設備の老朽化と住民の高齢化が進む中、2007年に建替・修繕検討委員会を設置し、団地の再生について検討が始まった。その後、東京建物、旭化成不動産レジデンス、UR リンケージが事業協力者として参画。9棟・490戸の団地が、8棟・844戸の「ブリリアシティ石神井公園アトラス」に再生されることが決まった。

「ブリリアシティ石神井公園アトラス」の完成予想模型
「ブリリアシティ石神井公園アトラス」の完成予想模型

 「ブリリアシティ石神井公園アトラス」の注目点は、大規模団地の建て替えプロジェクトならではの広大な敷地を活かした全体プランニング。全棟が南向き(南東向き、南西向きを含む)に配置されているだけでなく、各棟の間隔が確保され、四季折々の植栽や駐車場を配することで、暖かい日差しの入る心地よい住環境を醸成している。建て替え事業でもあり、地権者の意向も踏まえ、ゆとりを持った暮らしやすさに配慮したプランニングとなっている。

 中央のセンタープラザには、2層吹き抜けのグランドラウンジをはじめ、キッズルーム、パーティールーム、スタディールーム、ゲストルーム、マルチスタジオなど大規模マンションならではの多彩な共用施設が用意されている。

 また、ちょっとした買い物ができる店舗の開業が予定されている。総戸数844戸のうち地権者住戸は301戸となっており、石神井公園団地の居住者の多くが建て替え後も入居する予定。多彩な共用空間をベースに新たなコミュニティーも育まれそうだ。

 専有面積は、42.47㎡~100.47㎡の3LDKタイプの間取りが中心で、柱を部屋の外に配置したアウトフレームのスッキリしたプラン。バルコニーの奥行きは約2mあり、モデルルームでは、専有面積以上のゆとりを感じた。また、ファミリー向けを想定してか収納量も十分確保されている。

 「ブリリアシティ石神井公園アトラス」の第1期の販売開始は、2022年4月からの予定だが、2022年2月末時点で2000件を超える資料請求があり、集客も堅調。地元の練馬区以外からの問い合わせも多く、豊かな自然環境と大規模マンションならではのスケールメリットのある共用空間、住宅街に面した南向きの開放的な住戸プランが評価されている。

 都心アクセスが良好な場所で、敷地面積が3万7000㎡を超えるようなマンションには早々出合えない。大規模団地の建て替えプロジェクトだからこそ実現できたと言えるだろう。

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 2020年12月末時点で全国のマンションは、約675万戸を超えるストック戸数に対し、旧耐震基準で建てられたマンションは約103万戸もある。しかし、マンション再生の合意形成は難しく、建て替えは容易ではない。今回紹介した、2物件も建て替えまでに様々なハードルがあったようだ。都市の持続可能な発展には、多くの人が暮らす集合住宅の再生は欠かせない。

 「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」や「ブリリアシティ石神井公園アトラス」など、建て替え物件に注目が集まるのは、マンションだけでなく街全体の将来性に多くの人が魅力を感じているからなのかもしれない。

 

◆宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス
価格 4億6,000万円~5億6,000万円 入居時期 2022年4月下旬
交通 東京メトロ銀座線 ヒカリエ方面改札より徒歩1分、東急東横線・東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線「渋谷」駅 12出口より徒歩2分、JR線「渋谷」駅 宮益坂口より徒歩3分 所在地 東京都渋谷区渋谷2丁目19-4(地番)
間取り 2LDK〜3LDK 専有面積 124.97㎡~161.06㎡
総戸数 総戸数128戸(非分譲住戸65戸、一般分譲対象外住戸57戸) 来場者数 -
売主 旭化成不動産レジデンス 施工会社 戸田建設
※データは2022年4月4日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

 

◆ブリリアシティ石神井公園アトラス
価格 3,500万円~8,500万円(予定) 完成時期 2023年6月下旬予定
交通 西武池袋線「石神井公園」駅徒歩20~25分  他  所在地 東京都練馬区上石神井三丁目127番1(他13筆)(地番)
間取り 1LDK ~ 4LDK 専有面積 42.47㎡ ~ 100.47㎡
総戸数 844戸 (<うち、地権者住戸301戸、提携企業優先販売住戸5戸含>)他、店舗区画1区画) 来場者数 -
売主 東京建物、旭化成不動産レジデンス、URリンケージ 施工会社 長谷工コーポレーション
詳細はこちら
※データは2022年4月4日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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