マンション価格はドルベースで値下がり中? 首都圏のマンション市場動向を不動産アナリストが解説!【2022年5月版】

2022年5月19日公開(2022年5月18日更新)
岡本郁雄

最新の市場動向を見ながら、マンション市場の動向を紹介したい。ウクライナ情勢で不透明感がある中、販売開始時期が延びた新築マンションも見られた。一方、契約率は75.2%と高水準を維持しており、マンション市場は変わらず堅調だ。(不動産アナリスト:岡本郁雄)

急激な円安がもたらす不動産市場への影響

 ロシアのウクライナ侵略以降、円相場の下落が止まらない。本稿を書いている2022年4月28日には、2002年以来となる20年ぶりの円安ドル高の1ドル=130円を突破した。

 要因は、物価高に対応した欧米各国の政策金利の引き上げ。アメリカなどが経済の回復基調でインフレ傾向にあった中で、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格をはじめとするさまざまな原料・食料品価格が上昇。アメリカなどは、インフレ抑制のために政策金利を引き上げている。

 一方で、日本は大規模な金融緩和政策を堅持。長期金利を抑えるために、日本銀行による指値オペが行われており、日本と欧米各国との金利差が拡大している。日本銀行は、今の金融緩和策を当面続けるとしており、今後さらに円安が進む可能性がある。

  不動産市場にも影響が出始めている。もともと建築費の高止まりが続いていた中、コロナ禍による世界的な住宅需要の高まりによって、木材などの資材価格が上昇した。さらにエネルギー価格の上昇やウクライナ情勢による資源価格の高騰に円安が加わることで、建築費は今後さらに高くなるることが予想される。建設物価調査会総合研究所発表の2022年3月分の建設総合(東京)の建設資材物価指数は、126.7で前年同月比14.9%も上昇している。

新築マンションは、ドルベースでは値下がり!

 また、円安はドルベースで見た日本の不動産価格を引き下げることにもつながる。2011年4月末日の1ドルの為替相場(東京インターバンク相場 月末)は、81.60円だった。2011年の首都圏新築マンションの年平均価格は4,578万円。ドルベースに換算すると約56万1000ドルになる。

 仮に2022年4月の為替相場を1ドル=130円とし、2021年度の首都圏新築マンション平均価格6,360万円で試算すると、約48万9000ドル。大きく上昇しているはずのマンション価格は、ドルベースで見ると下がっている。1ドル108円89銭だった1年前の2021年4月末(2021年の首都圏新築マンションの平均価格は6,260万円)は、試算すると約57万4000ドル。1年で10万ドル近くも安くなったことになる。

 今は、コロナ禍の移動制限があり、外国人が円安メリットを実感しにくいが、往来が活発になれば日本の不動産を割安と感じても不思議はない。

 円安で注意すべきもう一つのポイントは、住宅ローン金利の動向だ。日米の金融政策の違いが円安の大きな要因とすれば、将来的には金融政策が変わる可能性もある。住宅ローン金利は、日本銀行の金融緩和によって変わらず低水準だが、長期金利の上昇もあり、2022年5月の住宅ローン金利を引き上げる金融機関が目立つ。

 長期金利が大きく上昇しているアメリカでは、住宅ローン金利が大幅にアップしている。当面は今の政策が維持されると思われるが、金利の先高観は高まっており、注意が必要だろう。

【関連記事はこちら】>>住宅ローンの変動金利が上昇する時期を予測!高い貸出金利の人が激減して、銀行が一斉に金利を引き上げるのは「2023年」!?

 続いて、2022年3月度の首都圏新築マンション市場を見てみよう。

最新の首都圏新築マンション市況は?

 2022年3月の首都圏新築マンションの供給戸数は、対前年同月比19.7%減少の2,492戸。前年同月よりも611戸供給戸数が少なく、前月より205戸増加した(参考:不動産経済研究所「首都圏新築マンション市場動向 2022年3月度」)。

首都圏の新築マンション市場動向
首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年3月」)

 新築マンションの1戸当たりの平均価格は6,518万円、前年同月(6,330万円)比で3.0%の上昇。㎡当たりの単価は97.6万円、前年同月(93.5万円)比で4.4%のアップ。契約率は75.2%で、前年同月(73.6%)比では1.6ポイントのアップ。前月(73.3%)比では1.9ポイントのアップとなった。

 契約率は好不調の目安である70%を上回っており、好調といえる。建築費の上昇も続いており、価格の上昇は今後も続きそうだ。

 販売在庫は、5,881戸で前月よりも265戸の減少。前年同月の7,357戸よりも1,476戸少なくなっている。

 また、新築マンションの地域別の新規発売戸数は下表のようになっている。

首都圏の新築マンション新規発売戸数および契約率
都区部……1,049戸(前年同月比-13.7%) 76.5%
都下………247戸(前年同月比+54.4%) 60.3%
神奈川県…627戸(前年同月比-33.2%) 79.7%
埼玉県……325戸(前年同月比+15.2%) 75.1%
千葉県……244戸(前年同月比-51.9%) 73.4%

 次に中古マンション市場を見てみたい。

中古マンション成約件数は、前年同月比で約20%減少

 2022年3月度の首都圏中古マンションの成約件数は3,405件で、前年同月(4,428件)比で19.5%減少した(参考:東日本不動産流通機構発表の「2022年3月度の中古マンション月例速報」)。

首都圏の中古マンション市場動向
首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2022年3月度の中古マンション月例速報」)

 2022年3月の首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で+8.4%の4,158万円。平均成約㎡単価は、65.40万円で+10.8%となっている。

 首都圏中古マンション新規登録件数は、13,852件となっており、前月よりも増加。3月も在庫が増加し、37,660件となっている。これで、在庫件数の増加は9カ月連続となっている。一方、成約件数は、対前年で減少している。

 価格上昇で成約件数は伸びていないため、在庫は少しづつ増えているが、需給が緩んでいるほどではなく、価格の高止まりは続きそうだ。

 また、地域別では、以下の通りとなっている。

首都圏の中古マンション成約㎡単価
都区部……………97.09万円(前年同月比+9.9%)
都下(多摩)……48.60万円(前年同月比+12.9%)
神奈川県
横浜・川崎市……55.05万円(前年同月比+6.9%)
神奈川県その他…37.18万円(前年同月比+10.1%)
埼玉県……………40.56万円(前年同月比+20.6%)
千葉県……………35.28万円(前年同月比+12.3%)

 地域別の成約㎡単価は、全ての地域が対前年同月比で上昇し、2けたの上昇率を示す地域が目立つ。前月比では、横浜・川崎市(-2.9%)を除く地域がプラスとなっている。

 次に今月の注目物件を紹介したい。

注目マンション「三田ガーデンヒルズ」 は、港区最大の敷地面積を誇る

 旧逓信省簡易保険局庁舎の跡地に建つ「三田ガーデンヒルズ」は、分譲マンションとしては港区最大の約25,000㎡の敷地面積を誇る。三井不動産グループおよび三菱地所グループが、「広尾ガーデンヒルズ」以来38年ぶりに都心で共同開発する。

 14階建て、総戸数は全 1,002戸。物件の南側には、三井グループの迎賓館、「綱町三井倶楽部」を望むロケーションとなる。

「三田ガーデンヒルズ」の中庭のイメージ

 国際的に活動を行う建築設計事務所「ホシノアーキテクツ」がメインデザインを担当。さらに、ロンドンを拠点に国際的活動を行う建築設計事務所「ホプキンスアーキテクツ」が国内マンションのファサード・デザインに初参画している。歴史的建造物である旧逓信省簡易保険局庁舎(1929年竣工)を一部保存・再生し、歴史の継承と景観への配慮に努める。

「三田ガーデンヒルズ」は、都心の森となる入居者専用の中庭を中心に、既存樹を含む植栽約130種による約7,700㎡のランドスケープを計画。年間約500tの雨水を植栽への育成に利用するなど環境の維持・保全に努める。

 また、ZEH-Oriented(断熱性・省エネ性能を上げることで、使用電気量をプラスマイナス「ゼロ」以下を目指すマンション)の取得を予定。燃料電池(250kw)と太陽光発電設備(200kw)による発電で電力を供給する。また、有事の際は「デュアルフューエルガスタービン発電機」を設置することで、ガスの供給および関連設備が維持される間は、共用部と住戸に対して、継続的・安定的に電気の供給を可能としている。

 共用施設は、ワークスペースやジム、ゴルフラウンジ、サウナや岩盤浴、シアタールーム、ミュージックルーム、カフェラウンジ、 バー、レストラン(店舗)などの設備があり、充実している。帝国ホテルと、コンシェルジュサービスも提携予定で、多様なフロントサービスを提供する。

 販売サロンの開設時期は、2022年秋頃が予定されている。「麻布十番」駅徒歩5分と交通アクセスも申し分なく、2022年のトップクラスの注目物件といえるだろう。

【関連記事はこちら】>>港区の「新築マンション人気ランキング」

「三田ガーデンヒルズ」の竣工予定地

 ウクライナ情勢、急激な円安や金利の先高観など不動産市場の先行きが読みにくい状況だ。ただこうした中でも、2022年4月に行われた「HARUMI FLAG」の「SUN VILLAGE」、「PARK VILLAGE」の販売は、557戸に対し平均倍率約6.6倍、登録申込数3,685組と人気を集めた。こうした時代だからこそ、魅力的なプロジェクトに注目が集まるのも事実。まずは、販売好調なプロジェクトに足を運び、その理由を探ってみるのもよいかもしれない。

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◆三田ガーデンヒルズ
価格 未定 入居時期 2025年4月下旬入居予定
交通 東京メトロ南北線「麻布十番」駅 徒歩5分  他 所在地 東京都港区三田1丁目102番1(地番)
間取り 1R~4LDK 専有面積 一般販売住戸:29.34㎡~376.50㎡ 
※専有面積にトランクルーム面積(0.59㎡~3.13㎡)を含む(他にSTUDIO14.01㎡~29.01㎡)
総戸数 1002戸(一般販売対象住戸952戸、他に店舗2戸) 来場者数 -
売主 三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス 施工会社 -
詳細はこちら
※データは2022年4月29日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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