ロシアのウクライナ侵攻で、建築費が上昇する?
首都圏のマンション市場動向を不動産アナリストが解説!【2022年9月版】

2022年9月7日公開(2022年9月6日更新)
岡本郁雄 不動産アナリスト

最新の市場動向を見ながら、首都圏のマンション市場の動向を紹介したい。2022年7月度の新築マンションの供給戸数は、前年同月比16.2%増加となる2,268戸。初月契約率は、60.7%となり、好不調の目安となる70%を大きく下回った。一方、中古マンションの平均成約㎡単価は、68.51万円と、前年同月比で12.9%上昇。成約件数も前年同月比3.4%アップし、中古マンション市場は好調だ。(不動産アナリスト:岡本郁雄)

ロシアのウクライナ侵攻による建築費上昇の影響は?

 2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻から半年が経過した。石油や天然ガス、木材など資源価格が高騰し製品価格や輸送コストなど広範囲に影響が出ており、マンション、戸建ての建築費も大きく上昇している。

 一般財団法人建設物価調査会総合研究所が発表した2022年7月度の建築費指数(2011年を基準値100とする)によると、工事原価は集合住宅(RC)が前年同月比8.1%上昇の134.2、住宅(W造)が前年同月比15.4%上昇の138.3(ともに暫定値)で、1年前に比べ工事原価が大きく上昇している。これから工事を発注するマンションや一戸建ては、建築費上昇の影響は避けられない。工期が短い建売住宅はすでに影響が出始めている。

 2022年7月度の新築戸建住宅の新規登録物件価格は、4,481万円で前年同月の4,110万円を9%上回る(参考:東日本不動産流通機構発表2022年7月度月例マーケットウォッチ新築戸建住宅レポート)。

 建築費の上昇に加え用地不足で土地取得費が上がっており、今後の上昇は避けられないだろう。新築マンションに関しては、再開発プロジェクトなど着工済みで未販売のプロジェクトも多い。建築費上昇の影響が強く出てくるのは、2023年度以降だろう。

 ロシアのウクライナ侵攻前から建築費の上昇は続いており、販売経費削減と相場上昇を見込んだ竣工販売物件は、工事費上昇の影響を受けない。竣工販売のマンションは、商品企画もしっかりした物件が目立ち、販売も堅調だ。好調な販売が続く「HARUMI FLAG」の板状棟(ばんじょうとう・板のように横長の建物)は、引き渡しは先だが、その一例といえるだろう。

【関連記事はこちら】>>「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は本当に買いなのかを徹底トーク!人気マンションブロガー座談会(前編)

 工事原価が上がったとしても、市場が受け入れるかは不透明でそのまま価格に反映できるわけではない。販売価格を抑えるコンパクトマンションの企画や建築費を抑えるために設備仕様の見直しを行う物件も増えるだろう。数年先の新築マンション市場を考えると、商品企画にこだわるなら今のほうが選びやすいと筆者は考える。

 築10年を超える大規模マンションの設備・仕様を見ると、ディスポーザー、二重床、ハイサッシ、スロップシンクの採用などエリアによっては新築物件のスペックを上回る物件も目立つ。企画に優れた中古マンション価格の上昇幅が大きいのも当然だろう。

 では、2022年7月度の首都圏新築マンション市場を見てみよう。

最新の首都圏新築マンション市況は?

 2022年7月の首都圏新築マンションの供給戸数は、対前年同月比16.2%増加の2,268戸。前年同月より316戸増加した(参考:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年7月度」)。

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2022年7月」)

 新築マンションの1戸当たりの平均価格は6,379万円、前年同月(6,498万円)比で1.8%のダウン。㎡単価は96.2万円、前年同月(98.4万円)比で2.2%のダウン。契約率は60.7%で、前年同月(68.3%)比では7.6ポイントのダウンとなった。

 販売在庫は、5,126戸で前月よりも54戸の増加。前年同月の6,087戸よりも961戸少なく、販売在庫は低水準を維持している。

 また、新築マンションの地域別の新規発売戸数は下表のようになっている。

首都圏の新築マンション新規発売戸数および契約率(2022年7月度)
都区部……1,033戸(前年同月比+10.8%) 60.3%
都下………76戸(前年同月比-20.0%) 72.4%
神奈川県…577戸(前年同月比+19.2%) 67.9%
埼玉県……410戸(前年同月比+106.0%) 58.3%
千葉県……172戸(前年同月比-28.9%) 39.0%

 契約率では、どの地域も低調に見えるが、当初予定よりも早期に完売している物件も多い。東川口駅徒歩1分の「レーベン東川口GRANDEST」や門前仲町駅徒歩3分の大横川の桜並木近くに建つ定期借地権付マンション「ヴェレーナグラン門前仲町」、新綱島駅直結の複合再開発タワー「ドレッセタワー新綱島」など好立地で魅力的な商品企画のマンションは売れ行きが好調だ。

 また、20階建て以上の超高層物件の供給は、14物件314戸となっており、契約率75.5%と高い(2022年7月度)。価格が高止まりする中で、注目度の高いプロジェクトや値頃感のある物件に人気が集まり物件の選別化が進んでいるのだろう。

「ヴェレーナグラン門前仲町」の建設地
「ヴェレーナグラン門前仲町」の建設地 (撮影:筆者)

 次に中古マンション市場を見てみたい。

首都圏の中古マンション市況は?

 2022年7月度の首都圏中古マンションの成約件数は、下記の表の通り3,104件となっており、前年同月(3,002件)比で3.4%増加した(東日本不動産流通機構発表「2022年7月度の中古マンション月例速報」)。

首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2022年7月度の中古マンション月例速報」)

 首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で11.1%上昇の4,348万円。平均成約㎡単価は、68.51万円で+12.9%となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、27カ月連続だ。成約件数も伸びており、中古マンション市場は好調だ。

 また、新規登録件数の14,982件は、2020年10月度の15,106件に次ぐ多さであり、中古マンション価格が大きく上昇する中で、保有するマンションを売却する動きも高まっているのかもしれない。

 また、地域別では、以下の通りとなっている。

首都圏の中古マンション成約㎡単価

都区部……………99.81万円(前年同月比+11.3%)
都下(多摩)……49.67万円(前年同月比+7.4%)
神奈川県
横浜・川崎市……56.67万円(前年同月比+3.2%)
神奈川県その他…38.94万円(前年同月比+18.9%)
埼玉県……………41.66万円(前年同月比+19.8%)
千葉県……………35.51万円(前年同月比+13.3%)

 地域別の成約㎡単価は、今月も高い伸びを示した。東京都区部の成約㎡単価99.81万円は、2022年4月度の99.73万円を超え直近の最高値を更新。また、東京都区部、神奈川県その他、千葉県、埼玉県が10%を上回る伸びを示しており、広範囲で中古マンション価格の上昇が続いていることを示している。

注目マンション「ザ・パークハウス 南麻布」

 マンション分譲に適した都心の駅近立地が限られる中で注目されるのが、定期借地権付分譲マンションだ。「ザ・パークハウス 市谷加賀町レジデンス」や「Brillia City西早稲田」など好立地の定期借地権付分譲マンションの売れ行きは堅調だ。

 2022年10月中旬より案内が始まる「ザ・パークハウス 南麻布」は、今秋以降に販売される定期借地権付き分譲マンションの注目物件だ。立地は、外苑西通りに面した東京メトロ日比谷線「広尾」駅徒歩2分。10階建て全26邸の中層レジデンス。建物上層階の東側には開放感あふれる眺望が広がっており、自然豊かな有栖川宮記念公園の森も望むことができる。なお、「広尾」駅周辺での新築マンションの供給は、約3年ぶりとなる。

 多様なライフスタイルに対応する1LDK~3LDK のプランを備え、最上階には1フロア2邸の3LDKを配置。さらに2階では1フロアを階高約4.5mとして、スキップフロアで空間を柔らかに仕切った「Class1.5プラン」を3住戸提案している。

 階高が基準階の1.5倍となり、吹き抜けのLDKを始め、生活スタイルや様々なシーンにあわせてフレキシブルに利用できる空間を増やすことで、上質な暮らしをかなえる。独立した洋室はスキップフロアならではの柔らかく仕切られた空間の広がりを感じることができる。ロフトやスキップフロア下のストレージなど、スペースが豊富にあり、自由な暮らし方が可能。ロフト部分は、容積率の対象には含まれないため、敷地の有効利用にもプラスだ。

「ザ・パークハウス 南麻布」の「Class1.5プラン」のイメージ
「ザ・パークハウス 南麻布」の「Class1.5プラン」のイメージ

 建物は、シンメトリックな外観デザインで、シャープな垂直ラインが印象的。エントランスホールには、時とともに風合いを増す伊達冠石(だてかんむりいし)を使用している。既に多くの反響を集めており、2022年7月上旬のHP開設以来の資料請求件数は、2022年8月末時点で1,400件を超える。総戸数26戸であることを考えると驚きの反響件数だ。なお、価格は未定(2022年9月2日時点)。借地期間は、建物解体、工事期間を含んで50年となっている。

「ザ・パークハウス 南麻布」の外観立面完成予想CG
「ザ・パークハウス 南麻布」の外観立面完成予想CG

 都心のマンション適地は、コロナ禍前はホテル用地と競合して分譲マンションとしての事業化が容易ではなかったが、最近は賃貸レジデンスとの取得競争が激しい。「ヴェレーナグラン門前仲町」が早期完売したように、好立地は定期借地権付マンションのメリットだ。マンション購入の選択肢として検討してみてはいかがだろうか。

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