2023年2月の住宅ローンの金利推移・相場(132銀行、1000商品)を解説しましょう。住宅ローンの変動金利の相場は、史上最低金利を維持。10年固定は各社によって対応が分かれ、35年固定は多くの金融機関が金利を引き上げました。フラット35は1.880%と、金利を大幅に引き上げました。では、各金利タイプの特徴と推移、選び方も合わせて紹介します(住宅ローンアドバイザー 淡河範明)。
住宅ローン金利は上昇するも、まだ低金利
まずは住宅ローン金利の長期的な推移(18年分)を見てみましょう。

グラフを見ればわかる通り、住宅ローン金利は、変動金利も、全期間固定金利(フラット35)も、非常に低い水準にあります。
変動金利は今なお下落を続けています。かつては2%近い水準でしたが、現在は実質金利で0.4%程度まで下がっています。過去最低水準と言えます。
一方で、全期間固定金利は、2004年ごろは3%台でしたが、2019年には1%台前半まで下落。その後、世界的な金利上昇などを受けて、足元では金利が上昇し始めています。全期間固定金利だけでなく、5年固定金利、10年固定金利も上昇しています。
市場金利(長期金利)が急上昇
住宅ローン金利に影響を与える市場金利も見ておきましょう。
米国の長期金利(10年国債)は、急速に進むインフレ対策として、年明けより継続的な利上げを実施。右肩上がりで上昇を続けており、直近も追加の利上げにより金利は上昇。2023年2月1日の米国長期金利は3.475%となっています。
日本の市場金利(10年国債)は、米国長期金利の上昇につられて徐々に上昇。2022年12月には、日銀が金利誘導目標を0.25%から、0.5%に引き上げたことで、金利は一気に上昇しました。現在(2023年2月1日)の金利は0.490%です。
変動金利は、auじぶん銀行が独走
では、諸費用(手数料・保証料)を加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。
2023年1月の「変動金利(新規借入)」は、調査した主要14行の住宅ローン金利について、金利を引き上げたのが1行、金利を引き下げた銀行はありませんでした。
なお、auじぶん銀行は2年5カ月間連続で首位を維持しています。

※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。変動金利は現在の水準が継続と仮定。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。
変動金利は、もっとも利用者が多く、金利競争の主戦場となっています。固定金利は上昇していますが、変動金利は上昇する気配がほとんどありません。
以下は変動金利の上位銀行の金利の推移です。上位5銀行は、いずれも金利を変更しませんでした。
・SBI新生銀行 0.320%(前月比±0.000%)変動フォーカス、キャンペーン
・PayPay銀行 0.349%(前月比±0.000%)全期間引き下げ
・SBIマネープラザ 0.375%(前月比±0.000%)通期引き下げプラン
・イオン銀行 0.380%(前月比±0.000%)全期間重視プラン
金利の低さにおいては、auじぶん銀行が独走状態です。SBI新生銀行、PayPay銀行、SBIマネープラザ、みずほ銀行、ソニー銀行が0.3%台で、auじぶん銀行を追いかけています。
全体的に、市場金利が上昇している中でも、変動金利だけは据え置くという動きが見られました。また、住宅ローン需要期である1月〜3月に合わせて、先月のイオン銀行同様、月の半ばであっても金利を引き下げる銀行が出てくる可能性もあるので、変動金利の低金利競争は今後も注目しておくべきでしょう。
以下は主要地銀等の金利です。
主要地銀等の表面金利ランキング(変動金利、新規借入)
※主要銀行除く、2023年2月
0.325 % 中国銀行
0.395 % JAバンク埼玉、紀陽銀行
0.415 % 横浜銀行
0.445 % みなと銀行
0.455 % 広島銀行
0.470 % きらぼし銀行、北九州銀行、埼玉りそな銀行
0.475 % 西日本シティ銀行
0.495 % 関西みらい銀行
0.500 % 九州ろうきん、山陰合同銀行
0.505 % 愛媛銀行
0.550 % 西京銀行
0.575 % 十六銀行、池田泉州銀行
0.590 % 福島銀行
0.600 % 筑波銀行、大東銀行
10年固定金利は、対応分かれる
2023年2月の「10年固定金利(新規借入)」は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、6行が金利を引き上げ、3行が金利を引き下げました。

銀行は「10年固定金利」を、固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。
1月は多くの銀行が金利を引き上げましたが、2月は銀行によって対応が分かれています。金利を引き下げたのは、三井住友信託銀行・auじぶん銀行・住信SBIネット銀行の3社です。
なお、10年固定金利はここ数カ月の金利上昇により、12月までは表面金利1%を切る金融機関が6社もあったのに、先月・今月の金利改定によってその数は0社になってしまいました。
以下は上位銀行の金利の推移です。
・みずほ銀行 1.400%(前月比±0.000%)全期間重視プラン
・ソニー銀行 1.463%(前月比+0.218%)住宅ローン、頭金10%以上
・りそな銀行 1.185 %(前月比+0.060%)当初固定金利プラン
・PayPay銀行 1.190 %(前月比+0.140%)全期間重視プラン
なお、約2年間トップを維持していたみずほ銀行は、1月に金利を大幅に引き上げたことで2位となりました。
10年固定金利の「借り換え」のランキングでも、長い間りそな銀行とみずほ銀行が低金利を争っている状態が続いていましたが、SBI新生銀行が2022年6月下旬に借り換え金利を大幅に引き下げ。その他の銀行を押し退け、いずれの期間でも借り換えランキングの上位に食い込んでいます。借り換えを検討している人は、SBI新生銀行を選択肢に入れてもいいでしょう。
10年固定金利については、10年国債金利をベースにしており、世界的な金利上昇の中で先高感もあって、上昇が始まっています。10年国債金利などに比べると、上昇スピードはやや抑えられていましたが、日銀の政策転換により今後、金利上昇は加速していくことが予想されます。
4月以降のどこかで金利水準の引き上げを行う可能性は十分にあると考えておいてもよいでしょう。
主要地銀等の表面金利ランキング(10年固定、新規借入)※主要銀行除く、2023年2月
※カッコ内は、固定期間終了後の基準金利からの優遇幅
0.600% 香川銀行(固定期間終了後の金利は未定)
0.640% 愛媛銀行(固定期間終了後▲2.495%、保証料で金利+0.2%)
0.800% 鳥取銀行(固定期間終了後▲1.55%)、中国銀行(固定期間終了後▲1.90%)、富山銀行(固定期間終了後▲1.00%)
0.850% 十六銀行(固定期間終了後▲1.55%)、島根銀行(固定期間終了後、選択した金利プランの利率)
0.870% 北洋銀行(固定期間終了後▲1.50%)
0.880% 四国ろうきん(固定期間終了後▲1.00%)
0.900% 北陸ろうきん(固定期間終了後▲1.35%)、大分銀行(固定期間終了後▲1.30%)
0.950% 豊和銀行(固定期間終了後▲1.30%)、北海道ろうきん(固定期間終了後▲1.50%)
0.980% 西京銀行(11年目以降1.10%)
1.000% 山陰合同銀行(固定期間終了後▲1.20%)、新潟ろうきん(固定期間終了後1.60%)、九州ろうきん(固定期間終了後、選択した金利プランの利率)、トマト銀行(固定期間終了後▲1.50%)
全期間固定金利は、大半が引き上げ
フラット35は、0.2%上昇の1.880%
2023年2月の「全期間固定・35年固定金利(新規借入)」は、調査した主要8行の住宅ローン金利について、6行が金利を引き上げ、金利を引き下げた銀行はありませんでした。
フラット35の金利は大幅に引き上げで、1.880%となりました。

全期間固定金利は、先月から引き続き、多くの銀行が金利を引き上げました。 日銀の金融政策転換の影響を受け、SBI新生銀行と三井住友銀行を除くすべての銀行が金利を引き上げています。
固定金利の絶対水準がそれなりに上昇してきているので、全期間固定金利を選択することを躊躇する人が少なくないようです。
以下は上位銀行の金利の推移です。
・りそな銀行 1.445%(前月比+0.050%)住宅ローン超長期
・住信SBIネット銀行 1.500%(前月比+0.070%)住宅ローン超長期
・アルヒ 1.520%(前月比+0.220%)スーパーフラット5S・Aプラン
・優良住宅ローン 1.630%(前月比+0.200%)フラット35S・Aプラン
※フラット35S・Aプランは、11年目に金利が0.25%上昇する
民間銀行の商品で注目されるのは、SBI新生銀行の「ステップダウン金利タイプ」です。当初金利が1.7%で、段階的に下がり、31年目からは0.85%まで下がるという商品なのですが、知名度が低いように感じます。当初の金利は高いものの、実質金利では1.559%と低くおさえられる良い商品なので、もっと成約が伸びてもいい商品だと思います。
新生銀行がSBIホールディングの傘下となり、1月から名称が「SBI新生銀行」へと変更となりました。名称変更にあわせて住宅ローンの金利を全般的に割安な金利に設定してきたようです。そのため、最近は、りそな銀行とSBI新生銀行のトップ争いとなっています。
なお、金利上昇局面では本来、全期間固定を選択すべきですが、全期間固定は人気がありません。変動金利は横ばい、全期間固定は上昇という局面で、金利差が1%を超えてしまい、「全期間固定は高いので選択したくない」という人が多いのです。しかし、変動金利は借りた後の「金利上昇リスク」が気になる状態です。こうした人は「ミックスプラン」(例えば、全期間固定金利と変動金利で、半分ずつ借りるなど)が適していると考えます。
主要地銀等の表面金利ランキング(全期間固定、新規借入)※主要銀行除く、2023年2月※フラット35を除く
0.950% 中国銀行
1.250% 池田泉州銀行
1.350% 四国銀行
1.380% 常陽銀行
1.445% 埼玉りそな銀行
1.540% 阿波銀行
1.570% 千葉銀行
1.630% 武蔵野銀行、筑波銀行、鹿児島銀行、南日本銀行、北洋銀行、神奈川銀行、大分銀行、宮崎銀行、豊和銀行、筑邦銀行、ほか多数
住宅ローン金利は上昇する?
最後に住宅ローンの金利について、今一度確認しておきましょう。
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、この10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利(現在は▲0.1%)との連動性が高いと言われています。
どちらも、日銀の政策次第で、将来的には上昇していく可能性があります。
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淡河範明さん
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