2023年5月の住宅ローンの金利推移・相場(132銀行、1000商品)を解説しましょう。住宅ローンの変動金利の相場は、史上最低金利を更新。10年固定と35年固定は金融機関によって対応が分かれています。フラット35は1.830%と、金利を引き上げています。では、各金利タイプの特徴と推移、選び方も合わせて紹介します(住宅ローンアドバイザー 淡河範明)。
住宅ローン金利は上昇始めるも、小康状態
まずは住宅ローン金利の長期的な推移(18年分)を見てみましょう。

グラフを見ればわかる通り、住宅ローン金利は、変動金利も、全期間固定金利(フラット35)も、非常に低い水準にあります。
変動金利は今なお下落を続けています。かつては2%近い水準でしたが、現在は実質金利で0.4%程度まで下がっています。過去最低水準と言えます。
一方で、全期間固定金利は、2004年ごろは3%台でしたが、2019年には1%台前半まで下落。その後、世界的な金利上昇などを受けて、足元では金利が上昇し始めています。全期間固定金利だけでなく、5年固定金利、10年固定金利も上昇しています。
変動金利は、auじぶん銀行が独走
では、諸費用などを加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。
2023年5月の「変動金利(新規借入)」は、調査した主要14行の住宅ローン金利について、1行が金利を引き上げ、金利を引き下げた銀行はありませんでしたが、4月の途中でいくつかの銀行が金利を大幅に引き下げており、市場最低水準を更新。
なお、auじぶん銀行は2年8カ月間連続で首位を維持しました。

※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。変動金利は現在の水準が継続と仮定。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。auじぶん銀行は、2023/5/1現在の金利にau金利優遇割を適用した金利であり、実際の借入日の金利により変動する。審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となる。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定。au金利優遇割は、au回線とじぶんでんきをセットで契約された場合に適用されるプラン。審査によっては、割引が適用されない場合がある。金利はすべて年率で表示示
変動金利は、もっとも利用者が多く、金利競争の主戦場となっています。固定金利は上昇していますが、変動金利は上昇する気配がほとんどありません。
以下は変動金利の上位銀行の金利(表面金利)の推移です。
・SBIマネープラザ 0.320%(前月比±0.000%)通期引き下げプラン
・住信SBIネット銀行 0.320%(前月比+0.050%)通期引き下げプラン
・SBI新生銀行 0.370%(前月比±0.000%)変動フォーカス、キャンペーン
・PayPay銀行 0.380%(前月比±0.000%)全期間引き下げ
・イオン銀行 0.380%(前月比±0.000%)金利プラン・定率型 頭金20%以上
実質金利の低さにおいては、auじぶん銀行が独走状態です。変動金利は新年度に入った4月、大きな動きがありました。住信SBIネット銀行が新商品を発売し、新規借入の表面金利を0.32%、借り換えは0.299%に下げました。
そして、4月の半ばからは、auじぶん銀行が新規を0.219%(4月末まで仮審査申込みすること)、借り換えを0.196%(6月末までに仮審査申込みすること)にまで引き下げています(いずれも、全期間引下げプラン、au金利優遇割、借り換えはキャンペーンも適用)。
そして、その後を、PayPay銀行、イオン銀行、りそな銀行、みずほ銀行、ソニー銀行が0.3%台で追いかけています。
SBI新生銀行が2023年に入ってから金利を引き下げていましたが、特に、0.2%を切る金利がとうとうでてきてしまい、金利競争があらためて最終局面に差し掛かった、という印象を受けます。
このような局面において、ネット銀行を中心に、金利競争を再燃させているのは、最後の書き入れ時を考えているのか、それともまだまだ金融緩和が継続すると考えているのか、はっきりとはわかりません。ただ、資金運用を住宅ローンに頼らざるを得ない銀行が、不採算を覚悟で住宅ローンに取り組んでいるのは、憂慮すべき異常事態だと考えています。
主要地銀等の表面金利ランキング(変動金利、新規借入)
※主要銀行除く、2023年5月
0.325 % 中国銀行
0.370 % 埼玉りそな銀行
0.395 % みなと銀行、JAバンク埼玉、紀陽銀行
0.415 % 横浜銀行
0.420 % 京都銀行
0.445 % 関西みらい銀行
0.455 % 広島銀行
0.470 % きらぼし銀行、北九州銀行
0.475 % 西日本シティ銀行、肥後銀行
0.500 % 九州ろうきん、山陰合同銀行
0.518 % 愛媛銀行
0.525 % 滋賀銀行
0.550 % 西京銀行
0.555 % もみじ銀行
0.575 % 十六銀行、池田泉州銀行
0.590 % 福島銀行
0.590 % 福島銀行
0.600 % 筑波銀行、大東銀行、栃木銀行
10年固定金利は、対応が分かれる
2023年5月の「10年固定金利(新規借入)」は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、6行が金利を引き上げ、5行が金利を引き下げました。

銀行は「10年固定金利」を、固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。
4月中は、市場金利に大きな動きがなかったことから、5月の10年固定金利は、各銀行によって対応が分かれました。
なお、10年固定金利はここ数カ月の金利上昇により、2月・3月はすべての銀行で1%以上に上昇していましたが、4月になって再度1%を切ってくる金融機関が増えています。
なお、表面金利が1.2%と高く見えるみずほ銀行が実質金利で2位となっているのは、固定期間終了後(11年目以降)の金利が他銀行よりも割安に設定されているため、トータルでは割安になるからです。
以下は上位銀行の金利の推移です。
・みずほ銀行 1.250%(前月比+0.050%)全期間重視プラン
・ソニー銀行 1.295%(前月比±0.000%)住宅ローン、頭金10%以上
・三菱UFJ銀行 0.880%(前月比▲0.070%)住宅ローン
・三菱UFJ信託銀行 0.880%(前月比▲0.070%)固定10年プレミアム
・楽天銀行 1.465%(前月比▲0.150%)住宅ローン、全期間引き下げ
なお、約2年間トップを維持していたみずほ銀行は、金利を引き上げ、2位へと転落しました。一方、徐々に金利を引き下げてきたSBI新生銀行は、金利を据え置きながらも、1位を獲得しています。
10年固定金利の「借り換え」のランキングでも、長い間りそな銀行とみずほ銀行が低金利を争っている状態が続いていましたが、SBI新生銀行が2022年6月下旬に借り換え金利を大幅に引き下げ。その他の銀行を押し退け、いずれの期間でも借り換えランキングの上位に食い込んでいます。借り換えを検討している人は、SBI新生銀行を選択肢に入れてもいいでしょう。
10年固定金利については、10年国債金利をベースにしています。世界的な金利上昇の中で先高感があり、日銀の政策転換により、金利上昇が加速していく可能性もありあそうですが、足元では米国金融機関の相次ぐ経営破綻により、金利はやや落ち込んでいます。
主要地銀等の表面金利ランキング(10年固定、新規借入)※主要銀行除く、2023年5月
※カッコ内は、固定期間終了後の基準金利からの優遇幅
0.650% 香川銀行(固定期間終了後の金利は未定)
0.750% 百十四銀行(固定期間終了後▲2.495%、保証料で金利+0.2%)
0.800% 富山銀行(固定期間終了後▲1.00%)、十六銀行(固定期間終了後▲1.55%)、中国銀行(固定期間終了後▲1.90%)、愛媛銀行(固定期間終了後▲2.495%、保証料で金利+0.2%)、北陸ろうきん(固定期間終了後▲1.35%)
0.870% 北洋銀行(固定期間終了後▲1.50%)
0.880% 四国ろうきん(固定期間終了後▲1.00%)
0.900% 鳥取銀行(固定期間終了後▲1.55%)、中京銀行(固定期間終了後▲1.60%)
0.950% 池田泉州銀行(固定期間終了後▲2.10%)
1.000% 山陰合同銀行(固定期間終了後▲1.20%)、福邦銀行(固定期間終了後▲1.90%)、トマト銀行(固定期間終了後▲1.50%)、新潟ろうきん(固定期間終了後1.60%)、九州ろうきん(固定期間終了後、選択した金利プランの利率)
全期間固定金利は、引き下げ傾向
フラット35は、1.830%に大幅引き下げ
2023年5月の「全期間固定・35年固定金利(新規借入)」は、調査した主要9行の住宅ローン金利について、6行が金利を引き上げ、3行が金利を引き下げました。フラット35の金利は引き上がり、1.830%となりました。

5月の全期間固定金利は、金融機関によって対応が分かれました。
ただ、現在、ここ数カ月にわたって固定金利の絶対水準がそれなりに上昇してきているので、全期間固定金利を選択することを躊躇する人が少なくないようです。
以下は上位銀行の金利の推移です。
・SBI新生銀行 1.700%(前月比±0.000%)ステップダウン金利タイプ
・住信SBIネット銀行 1.450%(前月比+0.040%)フラット35S保証型 頭金20%以上
※フラット35S・Aプランは、11年目に金利が0.25%上昇する
・みずほ銀行 1.510%(前月比+0.030%)ネット住宅ローン、取扱手数料型
・三菱UFJ銀行 1.540%(前月比▲0.100%)住宅ローン、事務手数料型
・三菱UFJ信託銀行 1.540%(前月比▲0.100%)三菱UFJネット住宅ローン・三菱UFJ信託銀行専用・ずーっと固定金利コース
りそな銀行が2カ月連続で金利を引き下げ、実質金利ランキングで1位を維持しました。なお、2位のSBI新生銀行は金利を据え置いていますが、りそな銀行とSBI新生銀行のデッドヒートは、当面続きそうです。
フラット35の金利は、引き上がりました。フラット35は、ここ半年近くの間、10年国債の金利とは連動せずに、金利が上がり続けたことが話題になっていましたが、フラット35は、証券化商品であることを理解すべきです。
フラット35の金利は、国債金利におおよそ連動するのですが、証券化商品を購入する投資家の意向がより強く反映されます。投資家は、金利上昇局面では金利を早く上げたいと考えるし、金利下降局面では金利がゆっくり下げたいと考えます。今回は、超長期の金利が緩やかに上がり続けたので、なかなか下げられなかったのだと思われます。
なお、金利上昇局面では本来、全期間固定を選択すべきですが、全期間固定は人気がありません。変動金利は横ばい、全期間固定は上昇という局面で、金利差が1%を超えてしまい、「全期間固定は高いので選択したくない」という人が多いのです。しかし、変動金利は借りた後の「金利上昇リスク」が気になる状態です。こうした人は「ミックスプラン」(例えば、全期間固定金利と変動金利で、半分ずつ借りるなど)が適していると考えます。
主要地銀等の表面金利ランキング(全期間固定、新規借入)※主要銀行除く、2023年5月※フラット35を除く
0.950% 中国銀行1.230% みなと銀行
1.250% 池田泉州銀行、紀陽銀行
1.325% 埼玉りそな銀行
1.350% 四国銀行
1.380% 常陽銀行
1.410% 十六銀行
1.440% 百十四銀行
1.500% 千葉銀行
1.560% 阿波銀行
1.650% 京都銀行
1.700% 大垣共立銀行
1.850% 北海道銀行、北洋銀行
1.900% 静岡銀行
1.920% 京葉銀行
2.050% 足利銀行
住宅ローン金利は上昇する?
最後に住宅ローンの金利について、今一度確認しておきましょう。
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、この10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利(現在は▲0.1%)との連動性が高いと言われています。
どちらも、日銀の金融政策の影響が大きいといえます。日銀は大規模な金融緩和政策、つまり低金利政策を打ち出してきましたが、世界的な金利上昇や、金融緩和による弊害が目立ってきたため、将来的には金利引き上げは不可避です。植田日銀総裁は早期の金融引締はないとしていますが、将来的には金利は上昇していく可能性が高く、住宅ローンを借りる場合は、将来の金利上昇についても考慮しておくべきでしょう。
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
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