価格が高騰する都心マンションの需要を支えるものは?最新市況を不動産アナリストが解説!【2023年8月版】

2023年8月9日公開(2023年8月10日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

首都圏の新築・中古マンションの最新市況について解説したい。2023年6月度の首都圏新築マンション平均価格は6,550万円となっており、3月からの急激な高騰から落ち着きを取り戻した。都心のタワーマンションの完売が相次いだことも関係しているだろう。しかし、それでも前年同月比で1.6%の上昇となり、高水準は続いている。今月も最新の新築マンション市況と中古マンション価格の動向、および注目マンションを紹介する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

「HARUMI FLAG SKY DUO」の登録が終了!倍率は?

「HARUMI FLAG SKY DUO」のモデルルーム(筆者撮影)
「HARUMI FLAG SKY DUO」のモデルルーム(筆者撮影)

 2023年7月16日に登録が締め切られた「HARUMI FLAG SKY DUO」第1期1次の販売では、総戸数1,455戸のうち573戸を供給。すべての住戸に申し込みが入り登録申込数の総計は8,790件、最高倍率142倍、平均倍率約15.3倍にも上った。

 この背景にあるのが、首都圏の新築マンション価格の上昇だ。

 不動産経済研究所によれば、2023年上半期で見ると平均価格は8,873万円と過去最高を大幅に更新。東京23区の平均価格は、1億2,962万円と前年同期比で60.2%上昇した。

 最寄り駅からの徒歩分数がかかるとはいえ都心立地の「HARUMI FLAG SKY DUO」第1期1次では、70㎡超の3LDKタイプが6,000万円台から売り出された。注目を集めるのも当然だろう。

2023年上半期の総括

 不動産経済研究所によれば、2023年上半期(1~6月)の首都圏新築分譲マンション発売戸数は、前年同期比2,210戸減少の1万502戸。17.4%の減少となった。

 過去最多は2000年の4万6,816戸なので、おおよそ4分の1になったことになる。初月契約率は、72.7%と好不調の目安とされる70%を上回る。

 また、戸当たり平均価格は、前年同期比で36.3%アップの8,873万円。過去最高値を大幅に更新することになった。

 エリア別では、都心高額物件の供給が相次いだ東京23区の平均価格が1億2,962万円で前年同期比60.2%アップ。一方でその他のエリアは、上昇率が10%を超えておらず、東京都下が5,609万円、神奈川県5,748万円、埼玉県5,019万円、千葉県4,766万円。都心やその周辺との価格差が大きく開いてきている。

最新の首都圏新築マンション市況【2023年6月度】

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2023年6月」)

 2023年6月度の新築マンションの1戸当たりの平均価格は6,550万円となっており前年同月比で1.6%の上昇。また1㎡当たりの単価は104.1万円で、前年同月比4.5%のアップとなった。

 2023年6月期の首都圏初月契約率は67.8%となり前年同月比で0.2ポイントアップ、前月比では6.5ポイントのダウンで、好調の目安とされる70%を6月は下回った。

 また、販売在庫は4,951戸で、前月よりも15戸の増加。2022年6月末の販売在庫は5,072戸だったので、在庫は低水準が続いている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 また、首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。

参考:

 平均価格は、神奈川県が5,799万円と11.2%の上昇、千葉県が5,022万円と15.2%の上昇。一方で、埼玉県は25.1%ダウンの5,025万円、都区部は5.0%ダウンの7,703万円となっている。

首都圏の中古マンション市況【2023年6月度】

 続いて、中古マンション市況を見てみよう。

 首都圏では、中古マンション市況も好調さを維持している。東日本不動産流通機構によれば、2023年6月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比3.6%上昇の3,111件と3カ月ぶりに対前年比で増加に転じた。

 成約価格は、前年同月比9.0%上昇の4,610万円。平均成約㎡単価も対前年同月比7.9%上昇の72.27万円となっている。

 成約㎡単価が前年同月を上回るのは、38カ月連続となる。また、2023年6月の在庫㎡単価は、73.44万円となっていて前月とほぼ横ばいだった。

首都圏の中古マンション市場動向2023年6月
首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年6月度の中古マンション月例速報」)

 2023年6月の新規登録件数は、前月よりも1,000件近くも増加。前年同月比では、2,105件も増加している。また、在庫の増加トレンドは継続しており、4万5,000件を超えた水準が続いている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。

東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

 地域別の成約㎡単価は、大半の地域で上昇傾向に。都区部は1年前より6.9%上昇し、㎡単価が104.84万円となり4月、5月に続き直近の最高値を更新した。

 2023年6月度の成約㎡単価の前年同月比の伸びは、千葉県が都区部を上回っている。郊外に目を向けるユーザーが増えているのであろう。

 都心マンション需要を支える買い替え層の存在

 東京都心およびその周辺では、新築マンション価格の大幅な上昇にもかかわらず売れ行きが堅調だ。その要因の一つに挙げられるのが、マンション買い換え層の存在だ。

中古マンションの平均価格が上昇

 もともと、都心エリアは、購入したマンションのリセールバリュー(一度購入したものを売るときの価値)が高いエリアだったが、コロナ禍以降は、さらに上昇。ワンノブアカインドが運営する「マンションレビュー」によれば、70㎡換算価格の最も高い東京都港区の2023年6月までの騰落率は、10年前の2013年6月と比べると、+83.38%。千代田区は、+97.85%、中央区は+94.93%に。

 データ集計に築年数は考慮されてはいないものの、低金利が続いていたこともあり、マンションの長期保有者はかなりの含み益が出ているとみてよいだろう。

2023年6月全国中古マンション価格ランキング1~10位価格推移グラフ
写真を拡大  2023年6月全国中古マンション価格ランキング1~10位価格推移(70㎡換算):出典「マンションレビュー

 また、この10年間で平均価格の順位変動も起きている。

 10年前にトップ10内に位置していた世田谷区と武蔵野市がそれぞれ11位、16位とトップ10圏外に。代わりに入ったのが豊島区と台東区といったJR山手線の通る行政区だ。

中古マンションの平均価格が上昇

ブリリアタワー池袋の外観(筆者撮影)
ブリリアタワー池袋の外観(筆者撮影)

 新築マンションの値上がり率を会員向けに公開しているマンションレビューのデータ(2023年7月28日時点)によれば、ブリリアタワー池袋の値上がり率は、+73.6%。2013年7月の販売開始なので、わずか10年で大きく上昇したことになる。

資産上昇効果が新築需要を後押し

 コロナ禍がやや収まった2023年6月、住宅購入検討者300人に対してアルヒ株式会社が運営する「TownU(タウニュー)」が行った調査によれば、「住む街を選ぶ際に重視したいこと」として、「日常の買い物の利便性」「最寄り駅までの近さ」「職場へのアクセスの良さ」「周辺にある飲食店の多さ」「都心へのアクセスの良さ」が上位5項目に挙げられている。

 また、「住宅購入を検討しているエリア」として、「同じ市区町村内」と答えた人が63.7%にも及ぶ。コロナ禍が収まる中で、東京都への人口流入が再び強まっているが、人口増加の伸びが大きいのは都心三区とその周辺エリアだ。

 資産効果もあり、より質の高い暮らしを求めてマンションの買い替えを検討する人は都心で目立つ。「HARUMI FLAG」の好調な売れ行きは、湾岸エリアの買い替え層も支えている。

 スケールの大きな街づくりや広さ、開放感などマンション保有者が買い替えに動く魅力が備わっていることは、言うまでもないだろう。

 高価格帯にもかかわらず好調な売れ行きを示す「三田ガーデンヒルズ」や「WORLD TOWER RESIDENCE(ワールドタワーレジデンス)」などは、買い替え層に加え、買い増し層もいるという。街が成熟していく中で、需要が量から質へと転換していることが推察できる。

 買い替え需要が支えているとすれば、何らかの要因で資産価格が将来的に下落した場合の影響は避けられないが、今のところそうした兆しはない。

 もうしばらくは、資産価格上昇を背景にした強気のマーケットは続きそうだ。

伊勢丹跡地に誕生する環境配慮型タワーレジデンス 「プラウドタワー相模大野クロス」

プラウドタワー相模大野クロスの完成予想図
プラウドタワー相模大野クロスの完成予想図

 次に今月の注目マンション「プラウドタワー相模大野クロス」を紹介する。

 「プラウドタワー相模大野クロス」は、小田急線快速急行停車「相模大野」駅徒歩4分に建つ総戸数687戸、地上41階建て免震構造採用の大規模タワーレジデンスだ。

 敷地は、伊勢丹相模原店があった跡地。相模大野駅からコリドー街を抜け4分のアクセスの良さだけでなく、bono相模大野や相模大野ジョイモアーズなど商業施設が充実。相模大野図書館などの公益施設も身近で、相模大野中央公園も近隣にある生活利便性の優れた場所だ。

プラウドタワー相模大野クロスの建設地(筆者撮影)
プラウドタワー相模大野クロスの建設地(筆者撮影)

 注目ポイントは、電気・ガス CO₂排出量実質ゼロおよび省 CO₂化の施策が充実していること。東京ガス供給エリアの分譲マンション初となる「カーボンニュートラル都市ガス」、および、実質再生可能エネルギー100%の電気料金プラン「さすてな電気」の採用による、CO₂排出量実質ゼロを実現した。

 共用部は、東京ガスからの相模原市内の太陽光(卒FIT)を一部含んだ実質再生可能エネルギー100%の電気使用により、CO₂排出量実質ゼロを実現する。

 また、集合住宅向けエネファームを含む高効率設備の採用、高断熱化など、住宅性能を高め、省CO₂化を図っている。年間の光熱費の削減にもつながり、家計にもやさしい。さらに、2030年の電気自動車の普及を見据え、充電インフラ整備として屋内平置き駐車場207台全区画に充電用コンセントを設置する。

 急速充電器付きの来客者用駐車場も用意し、電気自動車のカーシェアも行う。EV対応に加え、駐車場が全区画平置きであるのは驚きだ。

 さらに、一部既存建物を再利用することで、CO₂排出量を削減。工事中の仮設電力にも再生可能エネルギー等を利用し環境負荷軽減を目指している。まさに、環境配慮型のタワーレジデンスといえるだろう。

にぎわい広場(仮称)完成予想図(出典 公式ホームページ)
にぎわい広場(仮称)完成予想図(出典:公式ホームページ

 「プラウドタワー相模大野クロス」の1、2階には、店舗や地域貢献施設が設けられる予定。マンションの足元には地域開放の広場が設けられ、賑わい創出を図るとともに、非常時に備えた防災設備を完備し、地域の防災拠点としての機能も併せ持つ。

 建物は、ホテルライクな内廊下設計で、全戸分のトランクルームも用意。各階には、ゴミ置き場も設けられる。執筆時点(2023年7月31日)での販売開始時期は、2023年9月下旬の予定。早々出合えない生活利便性の高い立地でもあり、多くの注目を集めそうだ。

まとめ

 「HARUMI FLAG SKY DUO」だけでなく、都心のタワーマンションの売れ行きは堅調だ。「プラウドタワー芝浦」、「プラウドタワー目黒MARC」といった都心の大規模タワーレジデンスが2023年6月に完売。筆者は、両物件ともモデルルームを見学したが居住空間・共用空間がとても魅力的なプロジェクトだった。

 今秋以降に発売予定のタワーマンションも控えているが、湾岸エリア以外は、物件数は限られている。タワーマンション中心に検討している人は、早めに動くべきだろう。

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