2025年3月の住宅ローンの金利推移・動向は、変動型は据え置き、10年固定は引き上げ、35年固定は引き上げとなっています。フラット35(買取型)は1.940%で前月から引き上げとなりました。変動型は基準金利が上がったとはいえ史上最低金利を維持しています。本記事では、住宅ローンの金利推移を中心に金利動向も解説します。
住宅ローンの金利推移(変動金利、フラット35)
まずは、住宅ローン金利の過去約40年分の長期推移を見てみましょう。
1990年代、変動金利は8.0%以上という時期もありましたが、バブル崩壊以降、住宅ローン金利はほぼ一貫して下落してきました。
現在の変動金利は0.5%程度といまだ低金利が続いていますが、2024年の利上げ以降、金利の上昇が始まっています。
全期間固定金利の「フラット35(2003年以前は住宅金融公庫)」の金利もほぼ一貫して下落してきましたが、日銀による異次元金融緩和の終了に伴って、近年は上昇傾向にあります。とはいえ、長期的に見ればなお低金利といえます。

それでは、変動金利、10年固定金利、35年固定金利それぞれの金利推移や動向、最新のランキングを見ていきましょう。
住宅ローン「変動金利」推移、動向、最新のランキングは?
では、諸費用などを加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。
最新の変動金利ランキングは以下のような結果となりました。

2025年3月の「変動金利(新規・借り換え)」の実質金利ランキングについては、りそな銀行がトップとなりました。また、調査した主要14銀行の住宅ローン金利について、12行が金利を据え置き、2行が金利を引き上げました。
上位銀行の変動金利の推移
以下は、新規借入の上位銀行の変動金利(表面金利)推移(前月比)です。
2位、SBI新生銀行 年0.410%(前月比±0.000%)住宅ローン 変動金利半年型タイプ(新規借入、頭金10%以上)
3位、PayPay銀行 年0.420%(前月比±0.000%)住宅ローン 全期間引下げ(新規借入)
4位、三菱UFJ銀行 年0.425%(前月比±0.000%)住宅ローン(事務手数料型)
4位、三菱UFJ信託銀行 年0.425%(前月比±0.000%)三菱UFJネット住宅ローン・三菱UFJ信託銀行専用・変動金利タイプ
2025年3月の「変動金利(新規借入)」の上位5銀行の住宅ローン金利については、5行全てが金利を据え置きました。
変動金利はもっとも利用者が多く、金利競争の主戦場となっています。2024年10月には基準金利が引き上げられましたが、それでも過去最低水準です。
変動金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の変動金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
変動金利の動向は?
2024年7月の日銀金融政策決定会合でゼロ金利政策が解除され、「金利のある時代」に突入したことを受けて、多くの銀行が預金金利と住宅ローン金利を引き上げ、変動金利では0.4%台が過半となりました。
・融資率に応じて金利を引き下げる銀行が出てきている
しかし、"隠れ"利上げの動きが徐々に出てきています。融資率(物件総額に占める住宅ローンの割合) に応じて、金利を上乗せする銀行が増えてきているのです。
例えば、auじぶん銀行は、優遇なしで0.479%ですが、融資率80%以下であれば0.434%と0.045%の引き下げとなります。さらに、住宅ローン金利優遇適用、50才以下、一般団信を利用すると0.194%と尋常でない低金利を実現しています。
このように、融資率に応じて金利を引き下げる状況はフラット35では以前からありましたが、最近ではイオン銀行、住信SBIネット銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行、ソニー銀行など、増えてきています。
銀行の公式サイトで目立つ場所には低い金利が記載されていますが、融資率によって金利が高くなることにはなかなか気付きません。よって、隠れ利上げと呼んでいます。
・2025年もさらなる利上げがある
2025年1月の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%程度とする利上げが決定されました。植田日銀総裁の「中立金利は1~2.5%」という発言もあり、今後のトランプ新大統領による経済政策の影響はありますが、日銀は年内にさらなる利上げに踏み切る可能性が高いと考えます。
政策金利1%まで利上げがあっても、景気に大きな影響を与えることはないと考えられますが、心理的に利上げの影響を懸念する人が少なくありません。そのため、それ以上の金利の引き上げには慎重になると見ています。
変動金利は今後、日銀の利上げとパラレルに引き上げる銀行と、そこまで利上げをしない銀行と、二極化していくと考えています。
住宅ローン「10年固定金利」推移、動向、最新のランキングは?

2025年3月の「10年固定金利(新規借入)」はみずほ銀行が1位、SBI新生銀行が2位という結果でした。また、10年固定金利の動向は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、13行が金利を引き上げました。
上位銀行の10年固定金利推移
以下は新規借り入れの上位銀行の10年固定金利の推移(前月比)です。
2位、SBI新生銀行 年1.530%(前月比+0.280%)住宅ローン 当初固定金利タイプ(新規借入)
3位、みずほ銀行 年2.200%(前月比+0.600%)みずほネット住宅ローン(固定金利選択、ローン取扱手数料型、新規借入)
4位、イオン銀行 年1.910%(前月比+0.050%)住宅ローン 金利プラン・定率型(新規借入、頭金20%以上)
5位、三菱UFJ銀行 年1.690%(前月比+0.250%)住宅ローン(事務手数料型)
2025年3月は上位5銀行の全てが金利引き上げとなりました。銀行は「10年固定金利」を固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。
10年固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の10年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
10年固定金利の動向
10年固定金利の住宅ローンは、10年国債金利をベースにしている銀行が多いと考えられます。今後も、日銀の利上げ期待と欧米の利下げにより、金利は細かい上下動を繰り返すと予想しています。
上のグラフを見ても、全体の水準が徐々に切り上がっていることがわかるでしょう。2025年3月の表面金利の最低金利は1.75%と先月の1.25%から切り上がっており、約半分の銀行が1.5%を下回り、残りは1.5%を超えてきています。
2025年は、日銀の政策金利の引き上げと、米国の利上げの可能性から10年国債の金利の変動幅が拡大すると見込んでいて、2025年末には、最低金利が1.5%を超え、半分くらいが2.0%を超えると予想します。
住宅ローン「全期間固定金利」推移、動向、最新のランキングは?

2025年3月は、アルヒが「全期間固定金利(新規借入)」の実質金利ランキングで1位。住信SBIネット銀行が2位となりました。また、調査した主要7行の住宅ローン金利(フラット35除く)について、7行全て引き上げとなりました。
上位銀行の全期間固定金利推移
以下は、上位銀行の全期間固定金利の推移(前月比)です。
2位、住信SBIネット銀行 年0.870%(前月比+0.050%)フラット35S・保証型・ZEH・長期優良(4ポイント、頭金20%以上)
3位、三井住友信託銀行 年1.440%(前月比+0.050%)フラット35S・手数料定率・金利Aプラン(頭金10%以上)
4位、楽天銀行 年1.440%(前月比+0.050%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
5位、りそな銀行 年1.440%(前月比+0.050%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
2025年3月の「全期間固定・35年固定金利(新規借入)」の上位5行について、5行全てが引き上げ、フラット35(買取型)の金利も引き上げで、1.940%でした。
35年全期間固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の35年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
35年全期間固定金利の動向
これまで、超長金利はおおむね上昇傾向にあり、住宅ローンの全期間固定金利も徐々に金利が引き上がっていくと見ています。
現在、調査している金融機関で、フラット35とSBI新生銀行以外は、表面金利が2%を超過している状況です。
フラット35は、10年国債とのヒストリカルスプレッド(これまでの金利差)は1.5%でしたが、2025年2月の金利差は0.6%と極端に縮小しています。これは、営業政策的に金利を上げていないものと見られますが、強烈な割安感があると考えています。
ただ、いつまで身を削り続けることができるかはわかりません。どこかで我慢の限界がきて、年内に基準金利が2%を超えると見ています。
トランプ政権の誕生により米国金利が上昇する可能性がでてきたため、全期間固定金利が再び上昇する可能性が考えられるからです。
場合によっては金利が下がる局面があるかもしれませんが、国内景気は堅調である可能性もあり、下値は限られていると見ています。
市場金利(長期金利)の動向と推移
住宅ローン金利に影響を与える日本の市場金利も見ておきましょう。
市場金利と住宅ローンの関係は?
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、短期金利との連動性が高いと言われており、短期金利は日銀の政策金利(1月の金融政策決定会合で0.25%から0.5%程度に引き上げ)を指標としています。
どちらも日銀の政策次第で将来的には上昇していく可能性があるため、金利タイプは慎重に選ぶ必要があります。「住宅ローンの金利タイプの選び方は?」の項目を参考にしてください。
2025年1月、トランプ新大統領の経済政策に注目
2024年3月に開かれた金融政策決定会合では、マイナス金利政策と長期金利をコントロールするイールドカーブコントロール(YCC)政策が、ともに撤廃されました。
7月の金融政策決定会合で日銀は利上げを決定。ゼロ金利解除に伴い、多くの銀行が住宅ローンの基準金利を引き上げ。2025年1月の金融政策決定会合では、政策金利を0.5%程度に引き上げることが決定しました。
固定金利については、トランプ新大統領の経済政策の影響で、10年国債金利が上昇すると見込まれています。そのため、今後は住宅ローンの固定金利も上昇していくと考えられます。
2025年3月3日の日本の10年国債金利は1.410%で、15年ぶりに1.4%を超える水準となっています。引き続き、今後の金利動向に注視する必要があります。

世界的な金利高の中で、日銀は今なお低金利政策を継続しています。そのため円安が進んでいるのが現状です。円安はインフレを加速する可能性があり、今後の金利動向は予断を許しません。
なお、市場金利が上昇することで、銀行の資産運用のスタンスが変更となる可能性があります。
これまでは国債金利が0%近辺であったため運用の魅力が乏しく、住宅ローンを積極的に獲得してきましたが、国債金利が上昇してくれば、「安全な国債で資産運用しよう」という銀行が増える可能性があり、結果として住宅ローンを無理に低金利で獲得する必要がなくなります。
こうした銀行の資産運用の面からも、住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
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新規借入2025年3月最新 主要銀行版
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
りそな銀行の住宅ローンは、まず金利設定がかなりチャレンジングです。期間固定金利の場合、固定期間終了後も当初の金利優遇がずっと大きいままなので、金利は低いですね。そのため借り換えをするならメリットが大いにあります。
審査は、厳しくも緩くもないですね。用意する書類に関して厳格で、お客様の属性にもよりますが、必要書類が他の金融機関に比べて提出書類が多く、また、一つ不備があるときっちり揃えるまで何度もやり取りをしなければならず、煩わしいかもしれません。書類の不備があると審査が長びくリスクもあります。
一般に、自営業や会社経営をしている場合は、直近3期分の決算書と確定申告書、役員報酬の源泉徴収票の提出を求められます。りそな銀行では、さらなる書類を求められることもあり、会社の納税証明書の提出が必要となることもあります。そのため審査に時間がかかりがちで、事前審査も本審査もそれぞれ2〜3週間かかることも珍しくなく、融資実行を早めにしたい人は要注意です。