東京都版「紫外線対策」温泉ランキング【2選】
東京都の「紫外線対策」温泉ランキングは以下の通りだ。
【第1位】古来より湧き続ける「美肌の秘湯」
蛇の湯温泉
該当温泉 | 蛇の湯温泉 たから荘 |
全成分合計 | 160mg/kg | 硫化水素イオン | 12.8mg/kg |
チオ硫酸イオン | 0.5mg/kg | 遊離硫化水素 | 0.1mg/kg未満 |
泉質 | アルカリ性単純硫黄冷鉱泉 | ||
適応症 | アトピー性皮膚炎、うつ状態、自律神経不安定症、尋常性乾癬、表皮化膿症、不眠症、慢性湿疹 | ||
pH | 酸性 |
「紫外線対策」ランキングの1位は、蛇の湯温泉「たから荘」である。多摩川の支流の中でも最大といわれる秋川の源流部に立つ宿だ。バーベキューやキャンプ、釣りなどアウトドアを楽しむ人でにぎわう秋川渓谷から、さらに20キロほど山の中に分け入ると、「兜造り」と呼ばれる武士の兜に似た、独特な切り妻屋根の古民家が姿を現す。
建物は江戸時代中期のものとされ、国の有形文化財に登録されている。深い森と沢に囲まれた重厚な建物を前にすると、もはや東京にいることを忘れてしまいそうだ。温泉の歴史も古く、傷ついた大蛇が川原から湧出する湯で傷を治したので「蛇の湯」と呼ばれるようになったという逸話が残っている。
この源泉の大きな特徴として、自噴泉であることが挙げられる。温泉は地中深くまで掘削してポンプなどで揚湯するのが当たり前の東京において、湧き水のように地面から自然に湧き出てくる温泉は非常に貴重だ。
そんな貴重な源泉を代々大事にしている蛇の湯温泉は、「日本秘湯を守る会」の会員宿である。温泉のよさを守り、自然環境の保持、保全に努める前向きな取り組みをする秘湯の宿だけが入会している。「日本秘湯を守る会の宿なら間違いない」と全幅の信頼を置く温泉ファンも少なくない。

実際、浴室の湯使いも冷鉱泉の宿とは思えないほど優秀である。源泉温度が10.6℃と低温であるため加温、循環ろ過はされているものの、森の緑に囲まれた内湯にはアルカリ性単純硫黄冷鉱泉がたえず注がれている。無色透明の湯は、とろりとやさしい肌触りで、美肌の湯にふさわしい。
↓「蛇の湯温泉 たから荘」の詳細を見る↓ |
【第2位】蘇った「幻の美肌温泉」
鶴の湯温泉
該当温泉 | 玉翠荘、民話の宿 旅館荒澤屋、奥多摩温泉郷 観光荘、民宿 小河内荘、民宿 雲仙屋、山鳩山荘、奥多摩の風 はとのす荘 |
全成分合計 | 246mg/kg | 硫化水素イオン | 4.6mg/kg |
チオ硫酸イオン | - | 遊離硫化水素 | 0.1mg/kg未満 |
泉質 | アルカリ性単純硫黄温泉 | ||
適応症 | アトピー性皮膚炎、うつ状態、自律神経不安定症、尋常性乾癬、表皮化膿症、不眠症、慢性湿疹 | ||
pH | 酸性 |
「紫外線対策」ランキングの2位は「鶴の湯温泉」である。東京都の貴重な水源である奥多摩湖(小河内ダム)に湧く源泉だ。
その歴史は南北朝時代までさかのぼるとされ、名前は傷ついた2羽の鶴が湧き出る泉で傷を癒やしていたことに由来するという。その後、江戸から明治時代にかけては湯治場として大いににぎわったそうだ。
しかし、1957年に小河内ダムが完成し、温泉街と源泉は湖底に沈んでしまった。

その後しばらく鶴の湯温泉は「幻の温泉」であったが、1991年に地域住民の要望によって、水没した源泉を湖底から汲み上げて復活を果たした。現在は奥多摩湖周辺の複数の宿泊施設などにタンクローリーで毎日、配湯されている。
そのひとつが、鳩ノ巣渓谷に面したホテル「奥多摩の風 はとのす荘」だ。すべての客室から渓谷の四季折々の風景を見下ろすことができるという絶景の宿である。

清潔感あふれる浴室も渓谷を見下ろすロケーションで、小ぶりながらも露天風呂は開放感がいっぱいだ。
タンクローリーで運んできた鶴の湯温泉を楽しめるのは露天風呂のほう。運び湯であるため加温・循環ろ過しているが、無色透明のやわらかい湯を楽しめる。
実は同宿の近くには鳩ノ巣温泉という別の自家源泉(泉温16℃)が湧いており、こちらは内湯に注がれている。療養泉には該当しないため泉質名はつかないが、メタほう酸の含有量で温泉に該当する美肌の湯だ。異なる2つの源泉を1つの浴室で同時に楽しめるのは、温泉ファンにとってはうれしいかぎりである。
↓「奥多摩の風 はとのす荘」の詳細を見る↓ |
東京都の硫黄泉の特徴
東京都内の源泉※のうち、本ランキングにおける「紫外線対策温泉」の基準を満たす硫黄泉の源泉は、「蛇の湯温泉」と「鶴の湯温泉」の2つしかない。ともに自然豊かな多摩地域西部の山あいに湧く温泉である。
・温泉法18条に従って東京都に温泉分析書が提出されている
・記事公開の2025年10月時点で一般の利用が可能である
そもそも硫黄泉は、火山帯から湧出する傾向が強い泉質である。関東周辺でいえば、那須湯本温泉(栃木県)、箱根・芦之湯温泉(神奈川県)、草津温泉(群馬県)などが有名で、特に万座温泉(群馬県)は日本一の硫黄濃度の湯として知られる。これらの湯は、乳白色の濁り湯、ゆでたまごのような刺激臭(硫化水素臭)といった特徴が際立つ。
こうした個性的な湯に入浴した経験のある人が東京の硫黄泉に入浴すると、だいぶ異なる印象をもつかもしれない。同じ硫黄泉でも成分構成が異なるということもあるが、湧出量が多くない上に、泉温が低い源泉であるため、加温、循環ろ過、塩素殺菌された上で湯船に注がれるからだ。温泉は循環ろ過するほど源泉本来の特徴は薄まる傾向にあるため、東京の硫黄泉はだいぶシンプルな印象を受けるだろう。
そういう意味では、硫黄泉の紫外線対策効果は多少割り引く必要はあるが、非火山エリアに湧く東京都内の硫黄泉そのものが貴重な存在であり、温泉がもつ温熱効果や癒やし効果も加味すれば、わざわざ訪ねる価値のある源泉と言える。
源泉成分を科学的に分析!◆温泉ランキング【東京都版】 |