マンション、戸建て、土地などの不動産売却を検討することになったものの、「売却の方法がわからない」「何から始めればいいの?」と悩んでいる人は少なくないだろう。そこでここでは、高値で不動産売却するための、手続きの流れ、相場がわかる査定方法、不動産売却の費用などの基礎知識を紹介する。不動産業界には個人の売主をカモにして儲けようとする不動産業者も多いので、騙されないように気をつけよう。
不動産を売ろうとしても、多くの人は不動産の売買は一生のうちに一度か二度くらいしかなく、ノウハウを持っている人は少ない。一方で不動産仲介会社の中には、自分の利益を優先し、「売主を損させても気にしない」という不動産仲介会社も少なからず存在する。売主が損してしまう金額は数百万円になることすらある。高値で売却するためには、不動産売却の方法や査定のノウハウを知っておくことが不可欠だ。
そこで、初心者でもよくわかる「不動産売却の基礎知識」を紹介していこう。
1. 不動産売却の流れ
2. 相場を調べる
3. 不動産仲介会社を探す
4. 不動産売却の期間
5. 不動産売却の費用
5-1. 不動産売却にかかる必要経費
5-2. 売却益にかかる税金と対策
6. 高く売却するためのノウハウ
6-1. 業者間システム「レインズ」に正しく登録してもらう
6-2. 一般媒介か、専任媒介か?
6-3. マンション売却の注意点
6-4. 戸建て・土地の売却の注意点
まとめ 一括査定サイトで、気軽に査定しよう
1. 不動産売却の流れ
不動産売却を検討するにあたり、最初に取り組むのが「相場を調べる」こと。例えば住み替えのための売却であれば、売却によって次の物件を購入するのに十分な資金を手に入れられなければ住み替えはできないので、相場を調べることは重要だ。相場の調べ方は後述するが、これを知っておかなければ、相場より安く売却してしまったりしかねないので、最初に取り組むべきポイントだ。

次に、「不動産売却の方法を検討」しよう。親戚や隣人に売却するのではない限り、全く知らない他人に売ることになる。その方法は「不動産仲介会社を通じて、誰かに売却する(仲介)」「不動産会社に買い取ってもらう(買取)」の2つがある。
おすすめは「不動産会社に仲介」してもらう方法。特別売りにくい不動産でなければ、2〜6カ月程度をかければ、相場に近い価格で売れることが多い。ただし、最終的な売却価格は買主と相談の上で決まるので、いくらで売却されるかは保証されていないのがデメリットだ。
一方で、「買取」は急いでいる人向けの方法。不動産会社が買い取ってくれるので、1カ月もあれば現金化できる。しかし、不動産会社はその後、転売して利益を手に入れなければならないので、買取価格は相場よりかなり安くなる。だいたい、相場の2〜3割引で取引されるケースが多い。少しでも高く売るために、最低でも2,3社に買取価格を査定するようにしたい。
【関連記事はこちら】>> 「仲介」ではなく、「買取」を選ぶメリット・デメリットは?
2. 相場を調べる
不動産の相場を調べる方法は、主に以下の2つの方法がある。
・「自分で調べる」
・「不動産会社に査定してもらう」
それぞれ解説していこう。
「自分で調べる」のであれば、インターネットのサイトが便利だ。スーモ、ライフルホームズといった不動産物件サイトで、現在売り出し中の物件の価格を見ることができる。また、都心の分譲マンションであれば、マンション・レビューなど、個別のマンションごとの相場を提示しているサービスがいくつも登場しているので参考になる。

「実際に売却された価格が見たい」ということであれば、国土交通省の「土地総合情報システム」にアクセスすれば、「不動産取引価格情報検索」のページで、過去の類似物件の取引価格を調べられる。土地、戸建て、中古マンション、農地、林について、近隣エリアの実際の取引価格が検索できるようになっている。全取引が網羅されているわけではないが、目安を知るのには十分だ。
さらに公的な指標である固定資産税の路線価、相続税の路線価、公示地価を見るのなら、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」が便利だ。ただし、公示地価は銀座などの一等地などでは、相場と公示地価が乖離していることがあるので、あくまで目安として使いたい。
【関連記事はこちら】>> 自分の手で不動産相場を調べる方法とは?
一方で簡単なのが、「不動産仲介会社に査定してもらう」という方法。不動産仲介会社は売却見込み客に対して、基本的に「無料」で査定をしてくれる。不動産仲介会社によっては、物件の査定価格だけでなく、地域の価格推移、ライバル物件の売り出し状況などまで教えてくれることもあるので気軽に活用したい。
ここで忘れてはいけないのが、「複数の不動産会仲介社に査定を依頼する」こと。「タダで査定してくれるなんて申し訳ないので、1社だけに査定を依頼すればいいや」と考える人もいるようだが、それは大きな間違い。不動産仲介会社によって、査定価格にはかなりばらつきがある。複数の不動産仲介会社に査定を依頼して見比べたり、話を聞いたりしなければ、本当の相場が見えてこないので、複数の不動産仲介会社に査定を依頼するようにしたい。
なお、査定価格はあくまでも査定価格であり、売却できる価格とは違う。最終的にいくらで売れるかは、相手があることなので実際に売ってみないと分からない。査定価格が予想よりも高かったからといって、売れることが保証されているわけではないので、勘違いしないように注意しよう。
【関連記事はこちら】>> 不動産売却の「査定価格」は本当に信用できるのか?
3. 不動産会社を探す
査定・売却を依頼する不動産会社はどうやって見つければいいのだろうか。
先ほども書いたように、複数の不動産仲介会社に査定を依頼するべきなのだが、いちいち不動産の情報、個人の情報を登録するのは大変な作業だ。
そこで便利なのが「不動産一括査定サイト」の存在。不動産一括査定サイトは、住所と不動産の種類などを入力すれば、そのエリアで営業しており、査定対象となっている不動産の売却を得意とする不動産仲介会社を紹介してくれるサービスだ。最大6社程度の不動産仲介会社を紹介してくれる。利用は無料だ。6社にまとめて査定を依頼できるワンストップサービスなので、パソコンが苦手という人でも簡単に利用できる。
また、マンション・戸建て・土地であればどの不動産仲介会社も取り扱っているが、投資用不動産・ビル・店舗・工場・農地などを取り扱っている不動産仲介会社は数が少ないため、一括査定サイト経由で探すという活用法もある。

デメリットもある。不動産仲介会社に個人情報を提供するため、電話やメールで営業をかけてくることだ。しかし、電話にでなくても、メールだけのやり取りで価格査定は可能なので、検討してみよう。
なお、以下が主要な不動産一括査定サイトだ。NTTデータグループが運営している「HOME4U(ホームフォーユー)」など、信頼感のあるサイトも増加している。対応している物件タイプの一覧を記載したので、参考にしてほしい。
◆一括査定サイト主要7社の対応物件 |
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サイト名 | 対応物件の種類 | |||||
マンション | 戸建て | 土地 | 投資用物件 | 店舗・工場・倉庫 | 農地 | |
HOME4U | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
LIFULL HOME'S | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
リビンマッチ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
イエイ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
イエウール | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
すまいValue | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
マンションナビ | ○ | × | × | × | × | × |
○:記載あり、×:記載なし。ただし、HOME4U、イエウール、すまいValueは、「その他不動産」の査定が可能 |
【関連記事はこちら!】>> 不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう
4.不動産売却の期間
ここで、「売却の期間」について解説しておこう。
「買取」してもらうのであれば、複数の不動産会社に依頼して、最も高く買い取ってくれる不動産会社に売却しよう。1カ月もあれば、売却して現金を手に入れられる。
「不動産会社に仲介」するケースは、相手があることなので明言できないが、通常に流通している不動産なら、2〜6カ月程度で売却できることが多い。通常、マンションの方が売れやすく、戸建て・土地の方が売れにくい。戸建て・土地だと、3カ月から1年近くかかることもある。
なお、売主が欲を出して、高い価格で売り出した場合、なかなか売れないのは当然だ。1〜2カ月様子を見て、あまりにも反応がなければ、価格を引き下げて売却するようにしたい。
また、特殊な物件も売れにくい。1億円を超えるような物件が数カ月で売れることは稀だ。買主が少ない物件がなかなか売れないのは当然だ。
競合物件が多数ある場合も、なかなか売れない。例えば、同じマンション内で複数の部屋が売りに出されている場合、スペックはほぼ一緒なので、価格が低いものから売れることが多く、高値で売却しようとすると時間がかかってしまうのだ。
5. 不動産売却にかかる費用
■5-1.不動産売却にかかる必要経費
「不動産売却の費用」はどうなっているのか。
不動産仲介会社に支払う「仲介手数料」は上限が決まっており、次の計算で求めることができる。
売却価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)
やや難しいので、実際に計算してみよう。例えば、4000万円の不動産で売却が成立した場合、
4000万円×3%+6万円=126万円+消費税
が上限額となる。大半の不動産仲介会社はこの上限いっぱいの手数料を請求してくる。最近は一部で手数料を割り引く業者が登場し始めているので、交渉してみてもいいだろう。
それ以外にも費用が発生する。以下が主な費用だ。
不動産売却の費用は?
- ●印紙税
- ●抵当権抹消登記費用(およびローン完済費用)
- ●測量費
- ●ハウスクリーニング・補修費用
- ●インスペクション費用
- ●瑕疵保険の検査料・保険料
- ●税金
全ての項目が必要になるわけではないが、不動産売却の費用の相場は、売値の3~10%もかかるので、注意しよう。
【関連記事はこちら】>> 不動産売却の費用の相場は、売値の3~10%!
■5-2.売却益にかかる税金と対策
家やマンションなどの不動産売却で得た利益(売却益)には、税金が発生する。不動産売却で得た利益は「譲渡所得」にあたり、個人であれば所得税と住民税がかかる。ただし、不動産売却で得た「譲渡所得」には、さまざまな特別控除があり、自宅であれば、ほぼ税金がかかることはないので心配しなくていい。
もっとも代表的な特別控除が「居住用財産の3000万円控除」というもの。自宅(マイホーム)として住んでいた不動産を売却した場合、売却益から最高3000万円が差し引かれる。この控除を利用するためには5つほど要件があるが、ハードルは低いのでほとんどの人が利用できる。メリットが大きいので、この控除は忘れずに利用したい。
なお、売却益が3000万円を超える場合は、超えた部分について「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」のどちらの区分になるかに応じて、一定の税率で所得税・住民税がかけられる。税率は、物件の所有期間で決まる。
■長期譲渡所得…物件の所有期間が5年を超えていた場合。所得税15.315%+住民税5%
さらに、土地・建物それぞれの所有期間が10年を超えていた場合は、「居住用財産の軽減税率の特例」が利用でき、税率はさらに低い14.21%(課税長期譲渡所得金額6000万円以下)が適用されるのでお得だ。
なお、上記の特例を利用する場合、税金がかからくても、譲渡があった年の翌年に確定申告が必要なので、忘れないようにしよう。
【関連記事はこちら】>>「家の売却にかかる税金」を、安くする方法は?自宅、賃貸、相続した空き家など、不動産ごとに異なる控除など節税方法や、税金の計算式を紹介
6. 高く売却するためのノウハウ
以上が不動産売却のための基礎知識だ。さらに、「高く売却する」のであれば、工夫が必要だ。以下、不動産仲介会社が話したがらないことも含めて、高く売るためのノウハウを紹介していこう。
■6-1. 業者間システム「レインズ」に正しく登録してもらう
実は不動産業界では、手数料を荒稼ぎするために、売主をカモにして不正行為を行なっている不動産仲介会社がいまだに存在する。大手でも、中小でも、規模に関係なく、不正行為を行なっている不動産仲介会社がある。それを知っているだけでも、高値売却の可能性が高まるだろう。
この不正行為は、「囲い込み」という。図を見ながら説明しよう。

あなたが不動産売却をする場合を考えてみる。その不動産仲介会社は、他の不動産仲介会社から「物件を内覧させてもらえませんか?」という問い合わせがあっても、「先客がいます」などと嘘をついて断ってしまうのだ。
なぜなら、あなたが売却を依頼した不動産仲介会社が、自分で買主顧客を見つけた場合、手数料は、売主からもらう手数料「売却価格×3%+6万円+消費税」だけでなく、買主からもらう手数料「売却価格×3%+6万円+消費税」もあるので、収入が倍に増えるからだ。
こうした「両手取引」に強引に持ち込むことを「囲い込み」といい、法律で禁じているが、売主は気が付きにくいため、いまだに現場では散見される。
「囲い込み」されると、売主としてはせっかくの売却のチャンスをフイにしてしまう。結果として値下げせざるを得なくなり、数百万円も損してしまうというケースもあるので、「囲い込み」は非常に悪質な行為と言える。
【関連記事はこちら】>> 大手不動産は両手取引が蔓延?!「両手比率」が高い会社に注意
そこで、対策として考えられるのが、不動産仲介会社がきちんと営業をしているかチェックすること。具体的には、業者間物件情報ネットワーク「レインズ」に、きちんと情報を登録しているかどうかチェックすることだ。不動産仲介会社の中には、レインズへの登録を忘れていたり、間違った登録をしていることもあるので確認しよう。
またレインズの登録内容の中でも気をつけなければいけないのが、「広告転載区分」という項目。多くの不動産仲介会社は、先ほどの「囲い込み」をするために、物件情報が勝手に拡散しないよう、この「広告転載区分」を「不可」にしている。「広告転載区分」を「広告可」にすれば、他の不動仲介産会社が勝手に広告して顧客を集めてくれるので、不動産仲介会社には「広告転載区分は、必ず『広告可』にしてください」と言おう。それだけでも、「この売主は知識を持っているので、カモにすることはできない」と思われるだろう。
【関連記事はこちら】>> 家を高値で売りたいのなら知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」
■6-2. 一般媒介か、専任媒介か?
不動産会社に仲介してもらう場合、一番悩むのが、契約形態を「一般媒介にするか、専任媒介にするか」という問題だ。
「一般媒介」は、複数の不動産仲介会社に販売を依頼できる契約方法。売主にとっては買主との接点が増えるだけでなく、不動産仲介会社同士を競わせることで早期に売れる可能性がある。
「専任媒介(専属専任媒介も含む)」は、1社の不動産仲介会社に販売を依頼する契約方法だ。売主にとっては販売の間口が狭まるがその分、不動産仲介会社が本気で売ってくれる可能性もある。
ともにメリット・デメリットがあるが、基本的には「一般媒介」を選択するようにしたい。不動産仲介会社は「ぜひ専任媒介で契約しましょう」と言ってくるが、それは手数料を確実に1社で独占したいから。実際には38%の売主が売却時に「一般媒介」を選んでいるので、なるべく「一般媒介」を選ぼう。
不動産仲介では、どの媒介契約が多い? | ||||||
一般媒介 | 38% | |||||
専任媒介 | 44% | |||||
専属専任媒介 | 17% | |||||
※出所:不動産流通推進センター「指定流通機構の活用状況」(新規登録件数、2018年9月)。売り物件の媒介契約における媒介形態別の比率を計算。 |
「一般媒介」は、複数の不動産仲介会社に売ってもらうことになるので管理が大変だが、売れるチャンスが増えるというメリットは非常に大きい。基本的にはこちらを選ぶのが正解だ。
しかし、「一般媒介」では気をつけたいポイントが2つある。
① 田舎の不人気物件や、単価が安い物件は専任媒介で
販売するときに競争力がなかったり、単価が低い物件は、不動産仲介会社としては取り扱いたくない物件だ。売れない可能性が高く、また売れても手数料が安いからだ。そのため、まともに取り合ってくれなかったり、営業もしてくれなかったりするので、売れ残ってしまう可能性がある。
こうした「不人気物件」は、「専任媒介」が適している。専任媒介にすることで、不動産仲介会社が本気で取り扱ってくれるようになる。
また地方では、一般媒介自体が非常に少ないので、一般媒介を依頼する際は、不動産仲介会社の反応を見ながら頼む方がいいだろう。
② 無理な高値での売り出しは禁物
売り出し価格は売主が決めるものだが、あまりにも高くつけると、不動産仲介会社が「どうせこんな高値では売れない」とそっぽを向いてしまうことがある。特に一般媒介だと、どの不動産仲介会社も真面目に扱ってくれず、放置されることがあるので、欲張った売り出し価格は付けないほうがいい。
以上2点に気をつけて、「一般媒介」で不動産を売却しよう。
【関連記事はこちら】>> 「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」でメリットが大きいのはどれ?
■6-3. マンション売却の注意点
「マンション売却」の際に最も気をつける点は、ライバル物件がいるかどうか確認すること。同じマンション内に販売中物件がある場合、スペックは大きく変わらないので、どうしても売出価格に左右されてしまう。まずは、不動産仲介会社にライバル物件の売り出し状況を調べてもらおう。もし、ライバル物件がある場合は、その物件と差別化するための戦略を練る必要がある。
さらに、売却予定のマンションが老朽化している場合は、「最低限のリフォーム」はしておきたい。内覧した際に、水回りが老朽化していたり、水漏れしていたりすると、それだけで印象が悪くなり、売れにくくなる。売れたとしても、値引き依頼も多くなりがちなので、最低限のリフォームだけは取り組むべきだ。。
最近増えている「ホームステージング」に挑戦してもいいだろう。ホームステージングは、きれいな家具や雑貨で、売却する部屋をモデルルームのように見せることで、内覧に来た買主に好印象を与える手法のことだ。人間は第一印象を重視する傾向があるので、ホームステージングを取り入れるのもいいだろう。不動産仲介会社が紹介してくれたり、ホームステージングを請け負う専門の業者がいるので、問い合わせよう。
【関連記事はこちら】>> 大規模マンションの賢い売却方法とは?
■6-4. 戸建て・土地の売却の注意点
戸建てや土地を売却する際に最初に調べたいのは、「境界が確定されているかどうか」ということ。親から相続した土地などの場合、境界だと思っていた壁の位置が測量図と違うケースや、境界を示す「境界標識」「境界杭」がないなど、様々なパターンがある。最近の商慣行では、境界が確定していなければ売れないことが多いので、最初に確認しよう。隣人との関係ここじれて裁判になるケースだと、判決が出るまでに1年以上かかることもある。
では、境界が確定されているかはどう確認すればいいのか。
簡単に確認できるのが、境界に「境界標識」があるか確認すること。四角形の金属やコンクリートでできた柱を地面に埋めたものだ。表面には赤色で矢印、十字マークを刻んでいることが多い。この境界標識は、隣人と境界を確定したときなどに設置することが多い。しかし、これだけでは不十分だ。境界を確定したときに設置したものであるかどうかわからず、道路工事の時などの移動してしまうこともあるからだ。

そこで確認したいのが、「地積測量図」だ。地積測量図は土地の面積を測量した結果を記したもので、長さ、面積、境界標識の位置などが記されている。土地情報を管理している法務局に登録してあり、だれでも閲覧できる。なお、地積測量図は、土地を「分筆登記」「地積更正登記」「表題登記」する際に添付する書面なので、一定の根拠がある書類だ。、
また、「境界確認書」があれば、問題はない。これは境界の位置について測量し、隣人と合意した文書だ。署名・押印した上で、お互いに書類を取り交わすもので、証拠能力もかなり高い重要な書類だ。書面として自宅に保存している場合が多いので、確認しよう。
【関連記事はこちら】>> 「境界未確定」など"不動産の売却"でよくあるトラブルの解決法とは?
まとめ 一括査定サイトで、気軽に査定しよう
以上が「不動産売却の基礎知識」だ。
なお、「不動産をすぐに売る気は無いけれど、相場だけは知っておきたい」という人は多いだろうが、そういう人でも気軽に不動産一括査定サイトを利用して査定するのをオススメする。
自分でも不動産の相場を調べることはできるが、プロの不動産仲介会社であれば過去の売買事例など豊富な情報を持っており、より正確に相場を把握できる。
不動産一括査定サイトは、住所と不動産の種類などを入力すれば、そのエリアで営業する不動産仲介会社を6社程度紹介してくれる。不動産仲介会社を探したり、いちいち情報を入力したりしなくてすむので、非常に便利だ。

最近はマンション・戸建て・土地だけでなく、投資用不動産・ビル・店舗・工場・農地などを取り扱っている不動産仲介会社も登録しており、幅広い不動産の売却に対応可能だ。
なお、以下が主要な不動産一括査定サイトだ。NTTデータグループが運営している「HOME4U(ホームフォーユー)」など、信頼感のあるサイトも増加している。対応している物件タイプの一覧も記載しているので、参考にしてほしい。
【関連記事はこちら】>> 不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう
◆一括査定サイト主要7社の対応物件 |
||||||
サイト名 | 対応物件の種類 | |||||
マンション | 戸建て | 土地 | 投資用物件 | 店舗・工場・倉庫 | 農地 | |
HOME4U | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
LIFULL HOME'S | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
リビンマッチ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
イエイ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
イエウール | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
すまいValue | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
マンションナビ | ○ | × | × | × | × | × |
○:記載あり、×:記載なし。ただし、HOME4U、イエウール、すまいValueは、「その他不動産」の査定が可能 |
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【価格査定、相場】 | 【不動産売却の基礎知識】 |
■不動産価格の調べ方「7カ条」 ■「公示地価、路線価」の調べ方 ■不動産会社の無料査定 ■「価格査定書」の見方 ■一括査定サイト&業者25社を比較 ■中古マンション価格ランキング |
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■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら! |
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地 | |
掲載する不動産会社数 | 約2000店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2009年 | |
運営会社 | 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。 | ||
◆HOME4U(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 1500社 | ![]() |
サービス開始 | 2001年 | |
運営会社 | NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。 | ||
◆イエウール(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1600社以上 | ![]() |
サービス開始 | 2014年 | |
運営会社 | Speee | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。 | ||
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 | |
掲載する不動産会社数 | 1789社(2019年12月) | ![]() |
サービス開始 | 2008年 | |
運営会社 | LIFULL(東証一部) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。 | ||
◆イエイ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1000社 | ![]() |
サービス開始 | 2007年 | |
運営会社 | セカイエ | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。 | ||
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション | |
掲載する不動産会社数 | 900社超、2500店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2011年 | |
運営会社 | マンションリサーチ | |
紹介会社数 | 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社) | |
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。 | ||
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 9社 | ![]() |
サービス開始 | 2015年 | |
運営会社 | ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大9社 | |
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。 | ||