火災保険の基礎知識【2022年】

火災保険は、住まいや暮らしに万一の事態が起こったときに備える重要な保険。持ち家でも賃貸でも必ず加入しておくべきものだが、意外にも、一度契約したらそのまま放置しているという人も多い。大手損保会社に限らず、最近では見積もりから契約までネットで完結できる、ネット系(ダイレクト型)損保でも火災保険が登場している。楽天損保やソニー損保などがその代表例だが、大手損保と比べるとどちらがおとくなのだろうか?

大手損保とネット系損保の違いとは? 

 火災保険の提供元は、大きく分けて「大手損保」「ネット系(ダイレクト型)損保」「共済」の3つに分かれるのだが、それぞれどのような特徴があるのだろうか。

【大手損保会社の特徴】

 昔からある財閥系などの大手損保会社が提供している火災保険。全国各地に代理店がおり、近くの代理店を通じての契約が一般的だ。最近は、自社Webサイトなどを通じて契約者が自ら契約手続きを行うこともできるようになっているが、契約後には担当代理店があてがわれるケースが多い。代理店は、事故発生時の保険金請求手続きなども手伝ってくれる。

 多くの場合、複数の補償内容がセットになっている「パッケージ型」商品となっており、契約時には「〇〇プラン」といった形で選択する。そのため、不要な補償内容が入ってしまう可能性もある。

 以下が、大手損保会社の代表的な個人向け火災保険だ。

・トータルアシスト住まいの保険(東京海上日動火災)
・THE すまいの保険(損保ジャパン)
・タフ・すまいの保険(あいおいニッセイ同和損保)
・GK すまいの保険(三井住友海上)

<大手火災保険 メリット・デメリット>

メリット:代理店からきめ細かなサポートが受けられる
デメリット:パッケージ型商品のため、保険料が高くなりがち。代理店の知識、接客レベルに差がある

【ネット系(ダイレクト型)損保会社の特徴】

 大手損保と比べると比較的最近に、火災保険事業に参入してきた損保会社が提供する火災保険。インターネット上で見積もり請求から契約まで行えるのが特徴で、代理店を経由しないことから「ダイレクト型」ともいう。

 補償内容を契約者が自ら選択して、契約内容を決めるケースが多く、そうした商品の場合、大手損保のパッケージ型とは違って自由度が高い。Webサイト上で補償内容が理解できるようにと、シンプルな商品設計になっていることも多い。また、事故発生時に保険金を請求する際も、Webサイト上や電話相談窓口から、契約者が自ら行うのが基本だ。

 以下が、代表的な個人向けネット系(ダイレクト型)火災保険だ。

・SBI損保の火災保険(SBI損保)
・ホームアシスト(楽天損保)
・ソニー損保の新ネット火災保険(ソニー損保)
・セコム安心マイホーム保険(セコム損保)

<ネット系(ダイレクト型)火災保険 メリット・デメリット>

メリット:24時間・365日申し込みができる。補償内容を自由に選択できる商品が多いため、不要な補償を外すことで保険料を抑えることができる。
デメリット:契約・見積もり・保険金請求などすべて自分で対応する。商品の種類が限られている。

大手損保とネット系損保、保険料が安いのはどっち?

 大手損保とネット系(ダイレクト型)損保、それぞれで見積もりを取ってみた。東京都・木造戸建て・新築ほか、建物の条件は同じとした。

【火災保険料の見積もり条件】
所在地:東京都
建物の構造:H構造(木造)
延べ床面積:100㎡
建築年月(2020年1月=新築、新耐震基準)
保険期間:5年間
支払い方法:長期年払い
補償範囲:「火災」「落雷」「破裂・爆発」「風災」「雹(ひょう)災」「雪災」「水濡れ」「盗難」「水災」「破損・汚損」
保険金額:建物2000万円、家財1000万円(どちらも免責金額0円)
地震保険割引:建築年割引(新耐震基準)

 以下が、各社の見積もり結果だ。

【火災保険料 見積もり結果】
・三井住友海上:年間10万9290円(地震保険なし:年間5万6790円)
・損保ジャパン:年間10万4090円(地震保険なし:年間4万5740円)
・ソニー損保:年間9万9083円(地震保険なし:年間4万6583円)
 
・セコム安心マイホーム保険:年間9万3310円(地震保険なし:年間4万810円)

 この結果を見ると、ネット系(ダイレクト型)損保の方が、1〜2割程度保険料が安いことが分かる。

 ただし、同一条件・同一補償範囲で見積もりを取ったとしても、細かい部分では補償内容が異なるので注意したい。免責金額(自己負担額)の有無やその金額、事故時諸費用(損害自体を修繕する費用のほかに必要になる費用に充てる保険金)がどれだけ出るかなどは、各商品によって異なるからだ。

2022年10月、火災保険料は大幅値上げへ!

 ここ数年、日本では未曽有の災害が増えており、火災保険料・地震保険料ともに値上がりが続いている。そして、2022年10月にも各社が保険料改定を予定しており、その際には最大36%の値上げとなる地域も出てきそうだ。

 以下の3つのパターンに当てはまる人は、現在の火災保険を解約して、2022年10月になる前に新たに火災保険の長期契約を結ぶことで、保険料が節約できる可能性がある。

① 保険期間の残りが1〜2年
② 築年数が10年以上
③ 短期契約、分割支払いをしている

 各社とも料金改定の3〜4カ月前からは、新料金の見積もりが取れるようになるはずなので、2022年6月以降に、一度、新保険料の見積もりを取ってみることをおすすめする。

 新保険料の方が現在の保険料よりも高くなる場合には、一度解約して、再度長期契約を結び直すことで、安い保険料のまま数年間は保険料を固定することができる。

【関連記事】>>火災保険料は2022年10月にも値上げへ! 契約期間も最長5年へ短縮される見込み! 保険料の値上げ前にチェックしておくべきこととは?

【関連記事】>>2021年1月、地震保険が最大14.7%の値上げ!都道府県別、地震保険料の改定率をチェック!

火災保険の基礎知識(補償範囲、選び方、入り方)

 火災保険は、火災や自然災害によって住宅が受けた損害を補償するための保険だ。万一の事態でも私たちの暮らしを守っていくために、マンション、一戸建てにかかわらず、住宅を購入したら必ず加入しておきたい。

【火災保険の対象】 

 火災保険の対象は「建物」「家財」の2種類に分かれている。

 「建物」とは一戸建てやマンションの外壁、ビルといった建物の基礎部分のこと。戸建てだと、塀や門、車庫なども建物扱いとなります。また、基礎部分に直接備え付けてある冷暖房設備、浴槽、キッチン、畳や建具なども対象となる。

 一方、「家財」とは建物の中にある家財道具のことで、家具や家電製品、食器、日用品などが対象だ。保険会社によっては、家のなかにある貴金属や宝飾品が、保険対象に含まれることもある。

 火災保険の対象は「①建物のみ」「②家財のみ」「③建物+家財の両方」という3種類から選べるが、「③建物+家財の両方」を保険の対象にすることが多い

火災保険 保険の対象

 ちなみに賃貸の場合は、建物部分は大家の持ちものにあたるので、入居者が加入する火災保険の対象は、必然的に「家財のみ」となる。

【火災保険の補償範囲】

 その名前から、補償範囲は「火災」のみと思う人もいるが、火災保険では、落雷や破裂・爆発、突風、雹(ひょう)、大雪や台風、水害など、多くの自然災害が対象になる。また、盗難や騒擾(そうじょう)行為、暴力などによる損害も補償範囲だ。


【火災保険の補償範囲】

・火災:失火やもらい火、放火などによる火災の損害
(例:火災により住宅が燃えてしまった 等)

・落雷:落雷による損害
(例:雷が落ちて、家電製品が壊れた 等)

・破裂・爆発:ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害
(例:漏れたガスに引火して住宅が燃えてしまった 等)

・風災、雹(ひょう)災・雪災:強風や雹、大雪による損害
(例:台風により住宅の屋根が破損した 等)

 損害保険会社によって多少の差はあるが、火災保険の基本的な補償範囲は上記の通り。また、そのほかにも以下のようなオプションを付けることができるので、自分の住まいに必要な分を選択して加入する。


【火災保険の補償範囲(オプション)】

・水濡れ:漏水などによる水濡れの損害
(例:マンションの上階から水が漏れて部屋が水浸しになった 等)

・水災:台風や集中豪雨による損害
(例:豪雨により床上浸水した 等)

・盗難:強盗や窃盗による損害
(例:泥棒に窓ガラスを破壊された、家財を盗まれた 等)

・建物外部からの物体の落下、飛来、衝突:建物外部からの物体による損害を補償
(例:家に車がぶつかってきた 等)

・騒擾(そうじょう)・集団行為等にともなう暴力行為騒擾や集団行為による暴力・破壊行為による損害
(例:労働争議などがあり自宅が破壊された 等)

 たとえば、最近は台風や集中豪雨による河川の氾濫や、内水氾濫(排水処理が追い付かず、市街地で下水道があふれるといったもの)が増えているため、浸水被害が頻発する地域に住んでいるのであれば、「水災」のオプションを付けるといった具合いだ。

 そのほかにも、「個人賠償特約」や「弁護士費用特約」、「類焼損害特約」といった、日常生活におけるリスクへの備えとして、さまざまな特約(オプション)が用意されている。もちろん、補償範囲を広げたり特約を追加したりすると、その分保険料も上がるので、必要に応じて加入するようにしよう。

必ず、複数社から見積もりを取って比較しよう

 火災保険は、あまり比較せずに加入する人が多いようだが、保険会社によって保険料も補償内容も千差万別。大手損保会社・ネット系(ダイレクト型)損保会社のどちらも視野に入れ、複数社で見積もりをとってきちんと比較することが大切だ。

 火災保険料の見積もりは、代理業者に依頼するか、各損害保険会社のWEBサイトにて必要項目を入力して算出することができる。火災保険料の見積もり作成に必要な情報は以下のとおりだ。

【火災保険料の見積もりに必要な情報】

1)個人情報
・氏名、電話番号、メールアドレス

2)火災保険の対象となる建物の情報
・建物構造(戸建てかマンションか、木造かコンクリート造かなど)
・築年数
・所在地
・床面積 など

3)火災保険の内容
・地震保険の有無
・家財保険の有無
・風災、水災などオプションの補償の有無
・火災保険の保険期間 など

 一般社団法人 日本損害保険協会の「2018年度損害保険代理店統計」によると、国内の損害保険会社は28社。1社ずつ見積もりを依頼するのが面倒という人には「火災保険の一括見積もりサイト」が役立つ。一括見積もりサイトを使えば、一度の入力で複数社から見積書を得ることができる。

【一括見積もりサイトの使い方】

一括見積もりサイトにて、以下の情報を入力
・個人情報(氏名、電話番号、メールアドレス、住宅ローンの有無等)
・火災保険の対象となる建物の情報(建物構造、築年数、所在地、床面積等)
・火災保険の内容(地震保険の有無、家財補償の有無、特約の有無、保険期間等)

提携先保険代理店から見積もりが届く

必要があれば、電話や対面で詳細を確認する

 見積書は、早ければその日のうちに、遅くとも1週間程度ではあらかた集めることができる。一括見積もりサイトを使えば、1つのサイトから、だいたい2~5社分の見積もりが届く。

 また、一括見積もりサイト「保険の窓口インズウェブ」「住宅本舗」「保険スクエアbang!」の3つについては実際に利用して、使い勝手を比較した。

【関連記事】>>火災保険の一括見積もりサイト3社をレビュー!実際に見積書を取り寄せ、比較してみた

■無料の「火災保険一括見積もりサイト」はこちら!
◆保険の窓口インズウェブ (火災保険一括見積もりサイト)
特徴 一度入力すれば、数日中に、最大16社から見積もりをもらえる。
紹介する保険会社数 最大16社(セコム損保、セゾン自動車火災、SBI損保など)
 運営会社 SBIホールディングス(東京都)
無料見積もりはこちら
◆住宅本舗 (火災保険一括見積もりサイト)
特徴 一度入力するだけで、最大16社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。
紹介する保険会社数 最大16社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上など)
運営会社 株式会社A2Z(東京都文京区)
無料見積もりはこちら
保険スクエアbang!(火災保険一括見積もりサイト)
特徴 一度入力するだけで、最大6社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。
紹介する保険会社数 最大6社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動火災、AIG損保など)
運営会社 株式会社ウェブクルー(東京都世田谷区)
無料見積もりはこちら

2022年版 専門家おすすめの火災保険を紹介!

 火災保険は、商品の内容が複雑であるため、一概にどの商品がおすすめかを言い切ることは難しい。戸建てなのか、マンションなのか、どのような立地にあるのか、また、建物の構造などによっても、必要な補償は変わるからだ。

 そこで、火災保険の専門家である平野雅章氏と葛石晋三氏に、おすすめの火災保険を、戸建て・マンション・賃貸それぞれの項目でおすすめの商品を複数選抜してもらった。火災保険商品の特徴と、どういった人に向いているのか、なども解説しているので、迷っている人は参考にしてほしい。

【監修者プロフィール】
・平野雅章氏:横浜FP事務所代表、全国ファイナンシャルプランナー 相談協会理事。1級FP技能士・CFP(R)。住宅ローン、火災保険などを中心に累計3,500件を超える個人相談を行っている。
・葛石晋三氏:株式会社日本総険 専務取締役。保険仲立人として、個人・法人向け損害保険の商品選定やリスクマネジメントのコンサルティングを行う。

【関連記事】>>専門家が選ぶ、おすすめの火災保険【2021年版】 

最新記事はこちら

【注目の記事はこちら】
【火災保険】専門家が選ぶ、おすすめ火災保険を紹介!(2021年度版)
【火災保険】2021年1月の値上げに対抗する方法とは
【台風】浸水被害に備える「水災補償」は必要?
【水害】東京西エリアで、内水氾濫が起きやすいのは?
【注意】「リフォームがタダになる!」火災保険申請代行の罠

◆保険の窓口インズウェブ (火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力すれば、数日中に、最大16社から見積もりをもらえる。

紹介する保険会社数 最大16社(セコム損保、セゾン自動車火災、SBI損保など)
運営会社 SBIホールディングス(東京都)
デメリット 希望とは異なる保険内容で見積もりが提供されることがある。
無料見積もりはこちら
◆住宅本舗 (火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大16社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。

紹介する保険会社数 最大16社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上など)
運営会社 株式会社A2Z(東京都文京区)
デメリット 間に保険代理店が入っているため、契約までに最短でも6日以上かかることも。
無料見積もりはこちら
カンタン火災保険(火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大19社から比較、そのうち複数社から見積もりが送付される。12時までに問い合わせをすれば、最短で当日に見積もりがもらえる。

紹介する保険会社数 最大19社(楽天損保、三井住友海上、東京海上日動火災など)
運営会社 株式会社ユースラッシュ(東京都渋谷区)
カンタン火災保険 一括見積もりサイト 株式会社ユースラッシュ
デメリット 運営会社が保険代理店なので対応が早い一方、契約後は電話などでのサポートが中心となる。
無料見積もりはこちら
保険スクエアbang!(火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大6社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。

紹介する保険会社数 最大6社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動火災、AIG損保など)
運営会社 株式会社ウェブクルー(東京都世田谷区)
保険スクエアbang!トップページ
デメリット 提携先が6社しかないため、他のサイトに比べて見積もりをとれる社数が少ない。
無料は見積もりはこちら

おすすめ火災保険比較 質問 FAQ

Q火災保険の比較はどうやればいい?
A

同じ条件で、複数社に見積もりを取ることがおすすめです。各社によって補償範囲や特約などが違うので、見積書を見ながら、細かい部分を確認するのがいいでしょう。

Q火災保険の「一括見積もりサイト」とは?
A

複数社からの見積書を、一度に取り寄せることができるサイトです。物件の情報(建物の種類、築年数、床面積、所在地など)を入力すると、最短で翌日には、3社~5社程度から見積書が届きます。

 

火災保険の基礎知識【2022年】の記事一覧