新築マンションを値引きする会社はどこ?
デベロッパーの懐具合から傾向を分析(2020年版)

2019年12月26日公開(2020年8月28日更新)
千日太郎

千日太郎(せんにち・たろう)氏:住宅ローン、不動産分野で人気の高いブロガー。住宅ローンの選び方・借り方、不動産の購入のノウハウなどを、持ち前の分析力を駆使して紹介します。
 公認会計士であるため、金融商品の分析力については定評があり、データを駆使して、本当にお得な住宅ローンや、その使い方をあばいていきます!「千日なら、こういう選び方、返し方をします」「こういう人にはメリットが大きい」といった具体的な活用法やメリットを、様々なシミュレーションを駆使しながら紹介します。ブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」を運営。

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新築マンションを購入する際、「どのくらい値引きしてくれるのか」が非常に気になる人は多いはず。そこで、2020年の新築マンションの値引きについて、傾向と対策を教えましょう。まずは供給する主要なマンションデベロッパー(住友不動産、三井不動産など)の懐具合をあらわにし、そこからどのくらい値引き交渉にのってくれるのかを明らかにしていきます。(住宅ローン・不動産ブロガー、千日太郎)

新築マンション購入時、値引き交渉に応じてくれるデベロッパーは?

 不動産経済研究所が2019年12月19日に首都圏・近畿圏マンション市場予測を発表しました。

 首都圏の供給戸数については、2019年新築マンション供給戸数は前年比15.7%減となっていて、高値が続き多くの物件の販売が長期化しています。2020年は前年比2.2%増となっていてわずかに回復する見込みとなっています。価格面では、都心・駅近の人気は変わらず高く、高値安定で郊外マンションも駅近を中心に価格下落の兆候はありません

 近畿圏の供給戸数については、2019年新築マンション供給戸数は前年比19.8%減となっていて、価格上昇と消費増税で予想を下回り、2020年は前年比1.2%増となっていてわずかに回復する見込みとなっています価格面では大阪・関西万博、IR構想によって上昇傾向が続いています。中心地は地価が上がり過ぎてホテル等と競合になってきています。

首都圏/近畿圏の新築マンション供給戸数

 このような時期に新築マンションを購入する我々としては、高値掴みしないようにしなければなりません。そこで重要になってくるのが「値引き交渉」です。しかし営業マンはこう言うでしょう。

 「お客様、このマンションは人気物件で値引きはできません…」。

 確かにそれはその通りかもしれませんが、それでも値引きしてもらって買う人が一定数居ることは確かです。そこで、、新築マンションの主要なデベロッパーの懐具合から、値引き交渉にどのくらい対応してくれそうなのか、会社ごとに2020年の値引き交渉の傾向と対策を考えてみましょう。

新築マンション販売戸数ランキング(全国、首都圏、近畿圏)

 まず、新築マンションの販売戸数の上位にどんな会社が名を連ねているのか見てみましょう。

■全国のマンションデベロッパーの販売戸数ランキング

 下表は、不動産流通推進センターの統計調査結果から過去3年間(2016年度から2018年度)で常に上位20位以内に入っているマンションデベロッパーの平均販売戸数で順位を付けた表です。

全国マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
*2016年度~2018年度の平均

 旧財閥系が上位を占めており、下位グループに差を付けていますね。新興ではプレサンスコーポレーションはかなり伸びてきました。そして、別格で一つ頭が抜けているのが住友不動産です。

■首都圏のマンションデベロッパーの販売戸数ランキング

 次に首都圏を見てみましょう。

首都圏マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
*2016年度~2018年度の平均

 首都圏ランキングは全国ランキングと似た順位になっています。販売戸数を見ても上位4社の大半が首都圏でマンションを販売しています。新日本建設、大和地所は首都圏の地場の販売業者です。

■近畿圏のマンションデベロッパーの販売戸数ランキング

 最後に近畿圏のランキングです。

近畿圏マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
*2016年度~2018年度の平均

 近畿圏は、全国とガラっと変わります。全国ランキングで上位にあったプレサンスコーポレーションは近畿圏で大半の物件を販売しています。2位の日本エスリード、4位の阪急阪神不動産、5位の近鉄不動産、7位の和田興産は全国ランキング、首都圏ランキングに出てこなかった会社です。関西の地場で強い業者ということです。

マンションデベロッパー各社の「新築マンション値引き傾向」を丸裸にする方法

 各マンションデベロッパーの販売戸数ランキング上位の会社の「値引き傾向」を反映するもの、それは決算書の数字です。決算書では「分譲売上高」と「販売用不動産」に注目します。そして、「販売用不動産÷分譲売上高」で、マンションデベロッパー各社の「新築マンション値引き傾向」を丸裸にすることができます

・「分譲売上高」は文字通り、売上高です。マンションが完成して、購入者に鍵を引き渡した時点で計上されます

・「販売用不動産」は在庫です。完成して、まだ売れていないマンションの原価が計上されます

 このルールは全ての会社に共通のルール(会計基準)です。つまりこういうことが言えるのです。

「販売用不動産÷分譲売上高」が高い
⇒ 売上高に対して多くの在庫を抱えている

・「販売用不動産÷分譲売上高」が低い
⇒ 売上高に対して少しの在庫しか持たない

 それでは、新築マンション販売戸数上位ランキング上位の会社を、「販売用不動産÷分譲売上高」を横串で比較してみましょう。会社によってずいぶんと違うということが見えてきますよ。

在庫が多いマンションデベロッパーほど売り急がない!(過去3年間の販売用不動産÷分譲売上高)

※ 平均的な在庫水準を比較するため3月の本決算ではなく期の真ん中の第2四半期(9月)を使いました。3月決算の会社以外は直近の第2四半期を3期間比較しています。 非上場会社(阪急阪神不動産など)は四半期決算を行っていないため、3月の本決算を使い、分譲売上高は2分の1にしました。

 ここで上図の見方をご説明しましょう。実は、在庫が多いマンションデベロッパーほど売り急がない傾向があります

 かつては「在庫」は悪ととらえられていました。在庫が膨らめばそれだけ金利の支払いも多くなり、財務を圧迫するからです。しかし、2008年の不動産バブル崩壊により、財務状態が悪いマンションデベロッパーはほとんど破綻してしまい、現在は財務状態が良好なデベロッパーだけが残っているという状況です。こうなると、売り急ぐ必要がなくなり、完成後もじっくりと販売していくデベロッパーが増えています。

 一方で、在庫はほとんど持たないというデベロッパーも存在します。在庫を持たない方針を明確にしているデベロッパーは、期末に売れ残り物件があれば、比較的容易に値引きに応じます

マンションデベロッパー別の値引き交渉の傾向と対策

 そこで、2020年における、マンションデベロッパーごとの値引きの難易度をS、A、Bの3つにランク分けしてみました。参考にしてみてください。

2020年のデベロッパーごとの値引きの難易度

 それぞれのマンションデベロッパーごとに、どんな販売方針を持っているデベロッパーで、2020年にはどの程度、値引き交渉の余地があるのか、ワンポイントアドバイスを書きましょう。

 住友不動産   値下げしなくても売れる

 旧財閥系のトップ4社の中でも一つ抜けて販売戸数を維持しているのが住友不動産です。他の会社は在庫の割合を増やしている中で唯一、在庫の割合を下げています。これは、在庫が増えるよりも販売が増加しているからです。住友不動産のマンションで、「値下げしなくても売れてます」と営業マンが言うのはブラフ(ハッタリ)ではありません

 野村不動産   完成在庫は値下げ余地あり?!

 野村不動産の在庫の割合は、100%を少し下回る水準で安定していましたが、2019年の上半期の売上は減少し、在庫が大きく膨らんでいます。首都圏の契約率の低迷から多くの在庫を抱えざるを得なくなっている状態がこのように数字に表れています。モノは良いので、値下げ交渉で少しでも下がれば購入する価値ありです。

 三井不動産   慌てて値引きはしない

 三井不動産は、2017年上半期に500%超えという異常値を示していますが、在庫が増えているのではなくて前年の上半期に投資家向け分譲売上高が激減したためです。その後は増収増益しており正常化していますので、値引きの期待値は低めですね。

 三菱地所   決算前の2月が狙い目

 三菱地所は、基本的に完成在庫を嫌うタイプの会社です。ただ、野村不動産が売れ残りで在庫を増やしてしまったのに対して、三菱地所は上手に売り切っていますね。物件の完成月前後と決算月の直前(2月)のタイミングをピンポイントに狙って値引き交渉することをおすすめします。

 プレサンスコーポレーション   社長逮捕の不祥事で買い控え、値引きチャンス

 近畿圏(関西)でトップのプレサンスコーポレーションは、学校法人の横領事件に関わったとして社長が逮捕されています。そういう会社の物件はブランド価値も落ちるし、モラルに欠ける経営者の販売物件を購入するのは不安だと思われる人も多いでしょう。つまり逆張りすれば、値引き交渉の大チャンスでもあります。

 大和ハウス工業  値引き難易度は高め

 大和ハウス工業は、タイプとしては住友不動産に近いタイプで、値引きが困難な部類に入ります。ただし、旧財閥系、電鉄系とは違うので、社内でのマンション分譲の売れ残りに対する風当たりは強そうです。難易度が高い中では値引きに応じやすい会社です。

 東急不動産   販売好調で、値引きは困難

 東急不動産のような電鉄系のデベロッパーの特徴として、鉄道というインフラ事業から安定的な資金が供給されるので、在庫を抱え続ける資金力があるという点があります。売れずに在庫を資金化できなくても、ある程度やっていけます。値引きの難易度は高めです。

 大京   完成物件なら値引きの余地あり

 大京といえば、ライオンズマンションです。2019年1月25日付でオリックス株式会社の完全子会社となりました。これによって、塩漬けとなっている滞留物件の処分がより進んでいくでしょう。完成物件に絞って値引き交渉すれば成功率は高めです。

 タカラレーベン   滞留物件は一通りハケたか?

 タカラレーベンは、基本的に完成在庫を持ちたくないタイプの会社です。2018年度の決算では、完成在庫の引き渡しが進んで売上は増えましたが利益は減少しています。つまり、値引き販売を進めたということです。そして、2019年度は増収増益となっています。値引き対象となるような、滞留物件はある程度整理されたのかもしれません。

 あなぶき興産   完成物件が狙い目

 あなぶき興産も、基本的に完成在庫を持ちたくないタイプの会社です。若干、在庫の割合が増えているのは分譲売上高がジリジリ減っていて、底だまりの売れ残り物件が滞留しているためです。決算月が6月の会社ですので、今からですと3月に向けての値引き交渉というよりは、完成物件に絞って値引き交渉すれば成功率は高めだと思います。

 日本エスリード   随時交渉すべし

 日本エスリードは、ほぼ近畿圏(関西)のみでマンションを販売している会社で、近畿圏ではプレサンスコーポレーションに次ぐ2位です。完成在庫を持たない方針ですので、随時値引き交渉していきましょう。

 一建設    大和地所    明和地所    新日本建設  積極的に値引き交渉したい

これらは首都圏を中心として戸建てとマンションを供給している会社です。一建設は売上に対して多額の在庫をかかえています。さらに在庫の割合が年々上がっているところから、滞留がさらに進んでいることを意味します。売却が進んでいない理由が値引きを拒否しているからなのか? 決算数値からだけでは見えませんが、セオリーとして滞留在庫を減らしていかなければならない財務状態であることは確かです。

 大和地所、明和地所、新日本建設は3年間平均して在庫の割合が少ないです。これは方針として完成在庫を持たず、完成が近づいたら値引き販売していることを意味します。売り出しから随時交渉していくべきでしょう。

 和田興産   随時交渉すべき

 和田興産は、近畿圏(関西)でマンションを販売している会社です。基本的に完成在庫を持たないタイプです。決算月まで待つことなく、物件の完成月までにはほとんどの部屋を売り切りますので、随時値引き交渉すべき会社です。

 阪急阪神不動産   値引き交渉は難しい

 2018年4月に阪急電鉄と阪神電鉄の不動産事業を阪急不動産㈱に移管し、商号を阪急阪神不動産㈱に変更しました。阪急阪神グループは関西では絶大なブランドイメージを誇ります。電鉄系のデベロッパーの特徴として、鉄道というインフラ事業から安定的な資金が供給されるので、在庫を抱え続ける資金力もあります。基本的に値引き交渉は難しい部類ですが、物件によっては数百万円の値引きしてもらえたという情報もあります。

『早くしないと売れてしまいますよ!』~この心理戦に勝つ方法

 マンションデベロッパーの営業マンにこんな風に言われて背中を押される人は多いです。

 営業マン 「早くしないと売れてしまいますよ」。

 確かに売れてしまう可能性もありますが、過度に焦ったり迷ったりすれば誤算を誘発します。購入してから「こんなはずじゃなかった…」といった失敗をしないためには、焦って購入を決めてしまう前に、一度立ち止まって視野を広く持ち、またいろいろな角度から見ることです。

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