以下、ランクインした美肌温泉から、特筆すべき温泉を紹介する。
1位は式根島の秘湯「足付温泉」
式根島温泉井
該当温泉 | 足付温泉 |
総合評価 | 68点 | ph得点 | 12点★★★★★ |
塩化物イオン | 20点★★★★★ | 硫酸イオン | 16点★★★★★ |
メタケイ酸 | 16点★★★★★ | 炭酸水素イオン | 4点★★★★★ |
泉質 | ナトリウム-塩化物強塩温泉 | ||
適応症 | うつ状態、きりきず、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性 | ||
pH | 5.9(弱酸性) | ||
成分合計 | 35510mg |
1位は式根島の「足付温泉」だ。伊豆諸島のひとつ式根島までは、東京(本土)からなら竹芝桟橋から高速ジェット船(所要時間は約2時間20分)と大型客船(同約9時間、夜行便)でアクセスできる。
式根島は温泉が豊かな島で、ワイルドな露天風呂が観光スポットとして人気を集めている。足付温泉は島の南側の海岸に沿った岩場にある天然の露天風呂。湯船は岩で囲まれ、岩の隙間から源泉が直接湧き出している。源泉が湧いている場所に湯船をつくった、と表現するのが正確だろう。「足に傷を負ったアシカが温泉に入っていたことから名付けられた」というエピソードにも、さもありなんと納得してしまうようなロケーションだ。
そんな大自然の中にある湯船だけに、入浴できる時間が限られる。海の満潮時には海水が湯船に入り込んだり、湯を流したりしてしまうため、干潮の前後90分が入浴に適したタイミングである。湯加減はまさに潮任せ。入浴のチャンスは限られるが、無事入浴できれば、湯船から太平洋を一望するような、ここでしか味わえない湯浴み体験ができる。
無色透明の湯はきり傷・すり傷などに効果があるとされ、別名「外科の湯」と呼ばれてきた。現代のように医療が発達していなかった時代は、温泉が薬の代わりだったのだろう。
泉質は塩化物強塩泉。塩分が濃い上に、海水がまじりやすい湯船なので、皮膚にうるおいを与える効果があるのは間違いない。
なお、混浴であり、入浴には水着の着用が必要である。
2つの源泉をもつ都会の温泉銭湯「清水湯」
地涌の泉 不老の山
該当温泉 | 武蔵小山温泉 清水湯 |
総合評価 | 56点 | ph得点 | 12点★★★★★ |
塩化物イオン | 12点★★★★★ | 硫酸イオン | 4点★★★★★ |
メタケイ酸 | 16点★★★★★ | 炭酸水素イオン | 12点★★★★★ |
泉質 | ナトリウム-塩化物強塩温泉 | ||
適応症 | うつ状態、きりきず、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性 | ||
pH | 7.8(弱アルカリ性) | ||
成分合計 | 18660mg |
6位にランクインした「武蔵小山温泉 清水湯」は、東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩5分の住宅街にある温泉銭湯。「黄金の湯」と名付けられた茶褐色の濁り湯が名物で、泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。露天スペースにある湯船は小ぶりだが、都内の銭湯では貴重な源泉かけ流しを楽しめる。
清水湯には、今回のランキングにランクインした「黄金の湯」の他に、もうひとつ別の源泉がある。「黒湯」と名付けられた黒色の源泉で、重炭酸ソーダなどの成分が基準を超えているため温泉に該当する。
都市部の限られたスペースに建つ銭湯に、見た目も泉質もまったく異なる2つの源泉が湧いていることに驚くほかない。「温泉とは不思議なものだ」とあらためて実感させられる。2つの異なる源泉を、銭湯価格の550円(大人料金)で楽しめるのだからコスパも高い。
炭酸水素イオンが豊富な「THE SPA 成城」「深大寺天然温泉 湯守の里」
同じく6位にランクインした「THE SPA 成城」と「深大寺天然温泉 湯守の里」は、上位の他の温泉と異なり、ともに炭酸水素イオンが多く含まれるのが特徴だ。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、比較的塩分の濃度も低めだ。炭酸水素イオンの皮膚を清浄にする効果と、塩化物泉の皮膚にうるおいを与える効果の両方が期待できる。
黒湯がかけ流し「THE SPA 成城」
成城の湯
該当温泉 | THE SPA 成城 |

総合評価 | 56点 | ph得点 | 12点★★★★★ |
塩化物イオン | 4点★★★★★ | 硫酸イオン | 4点★★★★★ |
メタケイ酸 | 16点★★★★★ | 炭酸水素イオン | 20点★★★★★ |
泉質 | ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 | ||
適応症 | うつ状態、きりきず、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性 | ||
pH | 7.9(弱アルカリ性) | ||
成分合計 | 7467mg |
「THE SPA 成城」は小田急線・千歳船橋駅から徒歩15分の距離に位置する日帰り温泉施設。ユニクロやフィットネスクラブなどが入るショッピングセンター内にあり、地元住民の憩いの場となっている。
温泉は黒色が特徴の「黒湯」だ。黒湯といえば東京の温泉の代名詞であり、大田区、品川区、目黒区、世田谷区など東京南部に広く分布している。黒色に見えるのは、地層中に堆積した太古の植物の有機物が分解してできたフミン酸(腐植質)などが含まれているため。フミン酸には皮膚にうるおいを与える効果や抗酸化作用があると言われている。
広々した内湯のほか、露天風呂にも黒湯が満たされているが、その濃さは一段抜けていて、まるで墨汁の中につかっているような感覚である。
一番人気は露天スペースにある一人用の「つぼ湯」の湯船。黒湯がかけ流しにされ、その温泉成分をダイレクトに肌で感じることができる。ぬるめの湯なので、気温が高い季節も気持ちがよい。ひとつしかないため順番待ちになることはやむを得ないが、「5分を目安にお譲りください」と掲示があるので、長時間ひとり占めするような無遠慮な客は見られない。
館内には食事処のほか、1万冊のコミックが揃う「ごろ寝ゾーン」などリラックスできるスペースも多く、ゆっくり時間を過ごせる。
名刹・深大寺から近い「湯守の里」
深大寺温泉城山の湯
該当温泉 | 深大寺天然温泉 湯守の里 |
総合評価 | 56点 | ph得点 | 12点★★★★★ |
塩化物イオン | 4点★★★★★ | 硫酸イオン | 4点★★★★★ |
メタケイ酸 | 16点★★★★★ | 炭酸水素イオン | 20点★★★★★ |
泉質 | ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 | ||
適応症 | うつ状態、きりきず、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性 | ||
pH | 8.1(弱アルカリ性) | ||
成分合計 | 8912mg |
都内で浅草寺に次ぐ古刹で、名物の蕎麦が参拝客の人気を集める深大寺。その近くにある日帰り温泉施設「湯守の里」(調布市)。場所柄、地元住民だけでなく、観光客の利用も多い。
黒湯が特徴で、湯船の底が見えないくらい透明度の低い湯は、ツルツル・スベスベとした肌触り。源泉が注がれる湯口からは、黒湯らしい植物由来の香りも感じられる。循環ろ過はしているものの、しっかりと湯の個性が残っているのは好印象だ。
浴室や露天スペースも都内にいることを忘れてしまいそうな落ち着いた空間だ。照明を落とした雰囲気ある内湯は木枠の湯船が心地よく、岩づくりの露天風呂は木々に囲まれている。湯船に浮かぶ落ち葉も風情がある。食事処や休憩室もあるので、癒やしを求めてゆっくりと時間を過ごしたい。
黒湯が名物の蒲田エリア
蒲田温泉
該当温泉 | 蒲田温泉 |
総合評価 | 44点 | ph得点 | 12点★★★★★ |
塩化物イオン | 4点★★★★★ | 硫酸イオン | 4点★★★★★ |
メタケイ酸 | 8点★★★★★ | 炭酸水素イオン | 16点★★★★★ |
泉質 | ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 | ||
適応症 | うつ状態、きりきず、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性 | ||
pH | 8.2(弱アルカリ性) | ||
成分合計 | 2348mg |
黒湯といえば、蒲田エリアの温泉も見逃せない。蒲田駅周辺には市街地に溶け込むように銭湯などの温泉施設が点在する。ランキングでは20位より下の評価にとどまっているが、もともと蒲田エリアの黒湯は肌によいと評判であった。
源泉が黒く見えるのは、先述したように太古の植物に由来するフミン酸(腐植質)などの有機物がおもな原因であるが、フミン酸そのものは温泉分析書のデータに反映されるのは稀であるため、ランキングの順位より上方修正してよいのかもしれない。
昭和12(1937)年創業の蒲田温泉は、同エリアを代表する老舗銭湯である。コンパクトな浴室ながら、2つの温泉浴槽のほか、電気風呂、ジェット風呂、サウナなどが無駄なく収まっている。
住民から長年愛されてきた黒湯の泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉。真っ黒な見た目とは裏腹に、とろみを感じるやさしい肌触りだ。高温と低温の2つの湯船に分かれ、特に45℃を超えることもある熱湯は、銭湯好きを唸らせる。いまも薪で沸かしているという。最近ではレトロブームに乗って、外国人観光客もわざわざ訪ねてくるほどだ。
2階の食堂では名物の「温泉釜めし」などの料理も提供されている。風呂あがりの一杯とともに味わいたい衝動に駆られる人も多いはずだ。
蒲田エリア美肌源泉一覧
・黒湯の温泉(使用施設:ゆ~シティー蒲田)>>詳細を見る
・弘城温泉(使用施設:SPA & HOTEL 和 -なごみ-)>>詳細を見る
・蓮沼温泉(使用施設:はすぬま温泉)>>詳細を見る
源泉成分を科学的に分析!◆温泉ランキング【東京都版】 |