分譲された新築マンションで、完成後にも一定数、住戸が販売されていることがあります。いわゆる「売れ残り住戸」といえるのですが、売れ残りがあるからといって必ずしもマンションに問題があるわけではありません。ただ、こうした売れ残りの住戸が大量に発生すると、思わぬトラブルが起きることがあります。ここでは、新築マンションの売れ残り住戸について解説します。(不動産・住生活ライター・高田七穂)
売れ残り住戸の大量発生で、
マンション運営に支障が出る危険性が

大量の売れ残りが出たときに、マンション運営に影響を及ぼすことがあります。問題となるのは、居住後に、所有者同士で話し合ってマンションの方向を決めていくための多数決原理がうまく働かなくなることです。
多くの人が住んでいるマンションには、「管理規約」という決まりがあります。管理規約の内容を決めたり、変更したりするには、所有者が持つ議決権の過半数や4分の3、5分の4などの賛成が必要となります。ここで、売れ残り住戸があるマンションでは、売り主(デベロッパーや不動産会社)が多くの住戸を所有していることになります。つまり売り主は、売れ残り住戸分の議決権を持っていることになります。
大部分の売り主は、どのような議案であっても所有者の今後を考え、多くの人の意見に従います。ただ、もし、そうではない売り主だったなら…。売り主が議案に反対すると、物事が決まらなくなってしまいます。
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賃貸住戸になったらどうなる?
過去には、不動産会社が売れ残りの住戸を賃貸にするというお知らせを受け取り、悩んだ人がいます。1年半たっても、3分の1の住戸が売れ残っていたマンションでの話です。3分の1もの住戸が賃貸にまわるとなると、理事会の運営に支障をきたす可能性があるうえ、入居する住民の質も気になります。
新築マンションの売れ残り住戸分、
管理費や修繕積立金は誰が支払う?
また、管理費や修繕積立金の支払いをめぐって問題が起きたこともあります。マンション完成後、住戸が売れるまでは、売り主である不動産会社が管理費や修繕積立金を支払うことになっています。
ですが、ごくまれに、購入前の重要事項説明書に「売り主は販売中の住戸の管理費と修繕積立金を免除する」と明記されている例があって、その場合は売れ残り分の管理費や修繕積立金は、管理組合には入ってきません。
以前は、こういったマンションを売り切る自信がない一部の不動産会社の対応が、大きな問題になっていました。今では、非常に少ないはずですが、全くないとは言い切れません。
新築マンション購入時にチェックしておくべきポイント
売れ残り住戸に対する不動産会社の対応は、重要なチェックポイントです。
購入前に不動産会社に、住戸が売れ残った場合の管理費や修繕積立金への対応、賃貸住戸にする可能性などを確認することはもちろん、「管理規約(案)」があれば、チェックしておきましょう。
購入前の重要事項説明の段階でも、所有者に不利な内容は書類に明記され、説明されることになっています。「売れ残り住戸の管理費用などを免除する」など、購入者側に不利になる内容が明記されていないか、確認しましょう。
新築マンションの売れ残り住戸は安く購入できる?
新築マンションが分譲されてから、2カ月〜3カ月たっても売れ残り住戸がある場合は、もとの分譲価格から値引きされる場合があります。
通常、マンションデベロッパー・不動産会社は、金融機関から融資を受けてマンション建設の土地取得や建設を行うのですが、その返済は、マンション購入者からの売り上げから支払われます。売れ残り住戸が大量に発生すると、返済期間が長期化し、利子がかかり続けるのです。
そのため、デベロッパーは損失をなるべく抑えようと、マンション分譲価格を値下げする場合があります。また、値下げされていなくても、不動産会社によっては値引き交渉に応じてくれる場合もあります。
なお、新築マンションでは、分譲されてから1年が経過すると、未入居であっても中古物件という扱いになり、新築の販売価格から大幅に値引きされることがあり、安く購入できるかもしれません。
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