長年、不動産市場で都内の物件を見続けてきた経験から確実に言えることがあります。それは、マンションの価値上昇には、はっきりとしたパターンがあるということです。特に都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)における注目すべきマンションには、共通する要素があります。今回は、そんな「将来的に価値が高まる」マンションの特徴と、2025年、注目する具体的な物件について紹介します。(一心エステート株式会社代表取締役:高田一洋)(※トップ画像:PIXTAより)
マンションの価値が上昇する3大要素とは
価値が上がっていくマンションには、「大規模開発」「複合開発」「利便性」という3つの要素が必ず備わっています。
大規模開発
まず、1つ目の「大規模開発」から見ていきましょう。大規模開発とは、具体的には1,000戸規模の物件を指します。なぜ大規模開発であることが重要かというと、物件がそのエリアのランドマークとなり、街の価値そのものを押し上げる効果があるからです。
例えば、港区白金の「白金ザ・スカイ」は、総戸数1,247戸のタワーマンションで、エリアの象徴的な存在となっています。実際に、2019年11月の発売後(建物完成は2023年3月)から着実に価格が上がり続けています。
さらに大規模な例を挙げると、ミッド棟とサウス棟あわせて2,786戸にもなる「パークタワー勝どき」(中央区勝どき)です。圧倒的な規模を誇るマンションであり、2023年8月の完成以降、こちらも価格の上昇が続いています。
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複合開発
2つ目は「複合開発」です。これが実は非常に重要で、特に商業施設や公共施設、オフィスとの一体型開発は、確実に価値を上げていく要素になります。
代表的な例としては、江東区豊洲の「アーバンドック パークシティ豊洲」が挙げられます。こちらは、三井ショッピングパークである「アーバンドック ららぽーと豊洲」と専用地下通路で繫がっている総戸数1,481戸の大規模マンションです。商業施設と一体開発された、まさに複合開発の成功例と言えます。

川崎市の「ラゾーナ川崎レジデンス」も同様です。大規模商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」と一体型のマンションで、2005年6月の発売当初から高い人気を誇っています。なお、これらは都心6区外の物件ですが、複合開発の事例として非常に参考になります。
最近の例では、中野駅を中心とした再開発案件が注目されています。これは区役所、大学、商業施設、オフィスなど、さまざまな機能が一体となる複合開発です。同様の事例として、2015年3月に完成した池袋の「ブリリアタワー池袋」も、豊島区本庁舎と一体型の49階建手、総戸数432戸の大規模複合タワーレジデンスで、現在も中古市場で価格が上がっています。
利便性
3つ目の「利便性」ですが、具体的には、駅直結やペデストリアンデッキ(高架歩道)によるアクセス機能の高さを指します。雨の日でも濡れずに駅まで行けるような利便性は、価値の上昇に大きく影響しています。
文京区にある、都営三田線・大江戸線「春日」駅と直結する総戸数571戸の「パークコート文京小石川ザ・タワー」は、まさにそういった交通利便性と都心の生活利便性を兼ね備えた物件の代表例です。
将来価値が高まる物件の共通点
「大規模開発」「複合開発」「利便性」、これら3つの要素が重なれば重なるほど、その物件の将来性は高まります。私の経験則から申し上げると、この3要素がそろった物件は、「絶対に抽選に申し込むべき」物件になります。
実際、私自身も強気で抽選に参加しています。なぜなら、当選すれば、その時点で、資産価値が1,000万円を超えるような価値上昇が期待できるケースも珍しくないからです。100万円単位の値上がりなど、当たり前のように起こりえます。
年末ジャンボ宝くじで2等の1,000万円が当たる確率は、500万分の1。それと比べれば、高い確率だと考えられます。
2025年、注目の再開発エリアは、品川、中野
今年、注目したいのが、品川区と中野区における再開発です。品川は、リニア中央新幹線の始発駅となることも決まり、今後の発展が期待されるエリアです。特に品川駅周辺の大規模再開発には要注目です。
オフィス棟、商業施設、そして住居棟が一体となった開発が進められており、まさに先ほど説明した3大要素がそろう案件となっています。
中野は、中野サンプラザ跡地の再開発が大きな転換点となるでしょう。すでにスタートしている案件もありますが、今後も段階的に開発が進んでいく予定です(※注)。特に、三井不動産による再開発プロジェクトは、商業施設とオフィス、そして住宅が融合した、まさに理想的な複合開発となっています。
これらの再開発エリアに建設されるマンションは、間違いなく注目物件となるでしょう。商業施設やオフィスと一体開発されるため、将来の資産価値の上昇が期待できます。
(※注)2025年3月、中野区は、工事費の高騰を受けて事業者から示された計画の見直し案を採用するのは難しいと判断し、現在の枠組みでの再開発を断念する方針を固めたと報道されました。事業者の選定からやり直すため、再開発は当初の予定より大幅に時間がかかりそうです。
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都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)の注目マンションは?
では、具体的にどのような物件に注目すべきか。以下、私が注目している都心6区の物件を順を追ってご紹介していきます。
千代田区の注目物件

居住用のマンションが少ないことから、希少性が高い千代田区のマンションの中でも、特に注目なのが「ワテラスタワーレジデンス」。地上41階、地下3階建てで、総戸数333戸のタワーマンションです。
JR中央線・東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩3分という好立地に加え、地下1階から3階はホールやギャラリーなどのコミュニティエリア、19階までがオフィスフロア、20階以上がレジデンスとなっています。まさに複合開発されたマンションです。
2013年4月に竣工した物件ながら、中古価格は値上がりを続けており、新築時よりも高く取引されています。まさに千代田区を代表するプライスリーダー的なマンションです。
中央区の注目物件

中央区では、先述の「パークタワー勝どき」が注目です。ミッドとサウスの2棟を合わせて総戸数2,786戸という圧倒的な規模に加え、駅直結という利便性の高さが特徴です。これだけの規模になると、そのエリア自体の価値を押し上げる効果があります。
実際に住む方にとっては、充実した共用施設の利用やサービスを享受できるだけでなく、資産として安定性の高い物件でもあります。
同じく中央区には、東京オリンピックの選手村として話題になった「晴海フラッグ スカイデュオ」があります。
50階建て、総戸数1,455戸の大規模開発、東京湾に面した眺望の良さに加え、晴海エリアにおける再開発と、今後ますます発展が期待される将来性の高い物件と言えます。
大規模開発による街の価値向上効果に加えて、周辺には商業施設も計画されており、生活利便性も高まることが予想されます。住む方にとっての快適性と資産としての将来性を兼ね備えた物件です。
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港区の注目物件
港区なら、2025年3月下旬完成、4月下旬に入居開始される「三田ガーデンヒルズ」がまず挙げられます。言わずと知れた注目物件です。麻布十番駅から徒歩5分という好立地に建つ総戸数1,002戸のマンションで、大規模開発によって、周囲の物件価格も引き上げられています。
2023年の上期に、都区部の新築マンションの平均価格が1億2,962万円と、1億円台を超えたことが話題になりました。この年はちょうど「三田ガーデンヒルズ」の販売が開始された時期であり、第1期で売り出された82.99㎡の2LDKが2億5,100万円台だったことが、平均価格に大きな影響を与えました。
先述の「白金ザ・スカイ」も、まだまだ価値が高まる余地があると見ています。住環境の良さと資産性を兼ね備えた物件と言えるでしょう。
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渋谷区の注目物件
「プラウドタワー渋谷」(2025年3月完成)は、野村不動産が手掛ける総戸数132戸のタワーマンションで、渋谷駅から徒歩5分という抜群の立地にあります。代官山や恵比寿などの人気エリアからも近く、住環境と利便性を両立した物件です。生活利便性を備えた注目物件といえるでしょう。
2025年6月から入居開始の予定ですが、すでに賃貸でも募集されており、11階2LDK(70.39㎡)で、賃料は105万円、管理費、共益費が5万円と、すでにプレミアム価格であることがわかります。将来的なリセールバリューも期待できる優良物件です。

「代官山アドレスザ・タワー」(2000年8月竣工)は、代官山駅徒歩1分に位置する地上36階(地下5階)建て、総戸数501戸のタワーマンションです。
高級住宅地として名高い代官山という立地も相まって、築15年以上経った今でも、中古の取引価格は上昇しています。住環境の良さと生活利便性の高さを兼ね備えた、理想的な住まいと言えるでしょう。
新宿区の注目物件
新宿区では、「パークタワー西新宿」(2024年竣工)が注目を集めています。西新宿の高層ビル群に隣接し、新宿駅からも徒歩圏内という立地条件の良さに加え、総戸数470戸、40階建ての超高層タワーレジデンスです。
西新宿という東京を代表するビジネス街に位置しながらも、近くには新宿中央公園もあり、都会の喧騒から一歩離れた住環境も魅力となっています。商業施設や保育所なども入居しており、利便性と複合開発という要素を備えた物件と言えます。
また、「クラッシィタワー新宿御苑」(2024年11月完成)も見逃せません。新宿御苑駅徒歩4分と好立地に建つ、地上35階建て、総戸数280戸のタワーマンションです。緑豊かな新宿御苑も近く、都心にいながらにして自然を感じられる環境が特徴です。新宿駅や東新宿駅からのアクセスも良く、ビジネス街と住宅街の両方の魅力をあわせもった物件です。
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文京区の注目物件
文京区では、先述の「パークコート文京小石川ザ・タワー」(2021年完成、地上40階建て、総戸数571戸)に加えて、2026年11月下旬に完成予定で、現在販売中の「リビオシティ文京小石川」に注目です。

「リビオシティ文京小石川」は、総戸数522戸で敷地面積が1万2,000㎡と、文京区内最大の大規模プロジェクトです。複数の共用施設があり、1階にはスーパーマーケットが入ります。
2024年10月から行われた第一期(1次~4次)の販売では、130戸が9,090万円~2億1,990万円の価格帯で完売しています。価格も定期借地権なので所有権に比べて安い点も魅力です。
後楽園駅をはじめ4駅4路線など複数路線を使えるのは魅力ですが、難点は駅までの距離が徒歩10分~13分かかる点でしょう。「文京区×大規模マンション×駅徒歩10~13分×定期借地権」のリビオシティ文京小石川の売れ行きが、東京都の不動産マーケットの需要の強さを測る目安になると考えています。
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2025年の都心マンションの展望
2025年、都心6区のマンション市場は、さらなる活況を呈すると予想しています。重要なことは、マンションを単なる「住まい」だけでなく、将来的な資産価値となる視点も持つことです。複合開発による利便性の向上や、大規模開発による街の価値向上は、必然的にマンションの価値上昇につながっていきます。
改めて強調しておきたいのは、「価値上昇の要素を持つマンション」の価格は、今後も上がる可能性が高いということです。逆に言えば、現在人気のないマンションがあとから価値が大きく高まることは、ほとんどありません。
だからこそ、最初の物件選びが重要になります。大規模開発、複合開発、利便性という3つの要素を基準に、じっくりと物件を見極めていきましょう。そして、良い物件が見つかったら、多少無理をしてでも購入を検討する価値は十分にあります。住む方にとっての快適さはもちろん、将来のリセールを考えても、優れた選択となるはずです。
これから先、東京の都心部では、さらなる再開発が進んでいきます。その中で、確実に価値を上げていく物件を見極める目を持つことが、良い住まいを手に入れ、同時に資産形成にもつながる近道となるはずです。
【記事で取り上げた注目マンション一覧】
名称 | 所在地 | 竣工年 | |
---|---|---|---|
白金ザ・スカイ | 東京都港区 | 2023年 | |
パークタワー勝どき | 東京都中央区 | 2023年 | |
アーバンドック パークシティ豊洲 | 東京都江東区 | 2008年 | |
ラゾーナ川崎レジデンス | 神奈川県川崎市 | 2015年 | |
ブリリアタワー池袋 | 東京都豊島区 | 2015年 | |
パークコート文京小石川ザ・タワー | 東京都文京区 | 2021年 | |
ワテラスタワーレジデンス | 東京都千代田区 | 2013年 | |
プラウドタワー渋谷 | 東京都渋谷区 | 2024年 | |
三田ガーデンヒルズ | 東京都港区 | 2025年 | |
HARUMI FLAG SKY DUO | 東京都中央区 | 2025年 | |
代官山アドレスザ・タワー | 東京都渋谷区 | 2000年 | |
パークタワー西新宿 | 東京都新宿区 | 2024年 | |
クラッシィタワー新宿御苑 | 東京都新宿区 | 2024年 | |
リビオシティ文京小石川 | 東京都文京区 | 2026年予定 |
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