マンション購入後に後悔…実は良くなかった共用施設7選&番外編

2023年11月28日公開(2024年2月29日更新)
日下部理絵:住宅ジャーナリスト、マンショントレンド評論家

近年の新築マンションは、共用施設が豪華なことが多く、それが購入の決め手になることも少なくない。しかし、意外と住んでみると良くなかった、むしろ要らなかったという施設も存在する。その施設と理由を、番外編とあわせて全部で8つ紹介する。物件選びの参考にしていただきたい。(マンショントレンド評論家・日下部理絵)

マンションの共用施設、意外と良くないものも多い?

画像出典:PIXTA
画像出典:PIXTA

 購入する前は、いいかも!と思った共用施設が、住み始めてから思っていたのと違う、いまだ1回も使用していないという事例は多い。しかも、それらの維持費が高い……となれば、マンション購入を後悔することにもなりかねない。どんなものがあるのだろうか。

実は良くなかった共用施設7選

1.機械式駐車場

 まずは駐車場のなかでも機械式駐車場である。ガソリン価格など維持費の高騰、池袋で起きた暴走事故などを受けて、シニア層の免許返納など車離れが止まらない。結果として全国のマンションで「空き駐車場問題」が起こっている。

 地域性もあるが、マンションによっては駐車場100%完備など、1住戸1台以上を販売時のうたい文句としている物件もある。

 そして、駐車場使用料を管理費会計や修繕積立金会計などの収入源としているマンションも多く、駐車場に空きが生じると駐車場使用料が減ることになる。つまり、当初予定していた収入が減り、収支状況に影響が出る。

 特に機械式駐車場があるマンションでは、使用料収入が減っているにもかかわらず、維持費がかかり続けるため事態はより深刻だ。

 今、車を所有しておらず駐車場を使用する予定がないから関係がないかというとそうではない。駐車場専用の「駐車場会計」があるマンションを除いては、駐車場使用の有無にかかわらず、すべてのマンション所有者(組合員)に関係する問題である。

 たとえば、駐車場使用料の収入を補うため、管理費等の値上げになることがある。つまり、毎月の管理費等として家計に負担が押し寄せてくるというわけだ。

 さらに、金食い虫ともいわれる機械式駐車場の撤去や埋設する判断をしても当然タダではない。修繕積立金会計で補えなければ、車所有に関係なく一時金が発生するケースもある。

 マンション購入時は車所有の有無にかかわらず、駐車場の有無と、空き状況を必ず確認すること。できるなら車文化のエリアや高級車を1人1台以上を所有するような超がつく高級マンションを除いては、機械式駐車場があるマンションは避けた方が無難である。

【関連記事】
>>機械式駐車場は冠水リスクや管理費上昇のデメリットがある? マンション購入前に見落としがちな「駐車場問題」をプロが解説

2.プールや温泉などの水もの施設

画像出典:PIXTA
画像出典:PIXTA

 続いてプールや大浴場などの水もの施設である。自宅マンションにプールや大浴場があるというのは、購入を検討する際には魅力的に映るであろう。しかも大浴場が温泉ともなれば、大いにマンションの売りの一つになる。

 しかし、プールや温泉などの施設を維持するには多額の費用がかかる。その維持費は一般的に、管理組合に支払う毎月の管理費等のなかから捻出されている。

 つまり、毎月の管理費等が高額になりがちなのだ。実際にプールや温泉付きのマンションでは管理費等が高いことが多い。

 ところが、住み始めた当初は頻繁に利用していても飽きてしまったりすることも多い。なかにはそもそも住民間で「裸の付き合い」をしたくないという人も一定数いる。

 利用頻度が少ないからといって維持費は減らないし、管理費等の負担が軽減されるわけではない。もし利用する頻度が少ないのであれば、水もの施設がないマンションを選んだ方が無難である。

3.スポーツジム

画像出典:PIXTA
画像出典:PIXTA

 スポーツジムを定期的に利用する人にとってマンション内に安価もしくは無料で使えるジムがあるのはありがたいことだ。月額料金だけでなくジムに通うまでの手間暇や交通費の削減にもつながる。

 しかし、マンションによっては24時間利用できず、使用できる時間帯がライフスタイルに合っていないことがある。また、ジムマシンの内容やトレーナーがいないため、物足りなさを感じる人もいる。 

 そして、使用したあとにマシンを拭くのがジムの一般的なルールだが、無人であることが多いマンションのジムでは汗などが拭かれずに汚いことも。マナー違反者がいた場合の運用がうまくいっていないケースもみられる。

 購入前にジムマシンの内容や使用できる時間帯、使用料の有無、マナー違反者などはいないかよく確認したい。使えないもの、使わないものにお金を使うほど無駄なことはない。使用頻度が低いならジムのないマンションを選んだ方が無難である。

4.カラオケ施設

 カラオケ施設も機器や防音室などに多額の維持費がかかる。たとえば、通信カラオケ本体、マイク、スピーカー、アンプ、液晶モニター、カラオケ選曲用リモコン、インターネット回線などが必要である。

 カラオケ施設がある場合、機器はレンタルか購入か、レンタルなら中途解約の違約金はいくらか、利用者数などをよく確認したい。利用の有無にかかわらず、毎月の管理費等として維持費がマンション所有者にのしかかることになるからだ。 

 立地にもよるが、カラオケブームが一段落した現代において、マンション館内にカラオケ施設があることの付加価値は低いのではないか。そもそもカラオケ店の方が、総合的な費用や最新楽曲も入りいい可能性すらある。またコロナ禍によりカラオケ施設は衛生面も問題視された。

 カラオケを普段あまり利用しないなら、カラオケ施設がないマンションを選んだ方が無難である。

5.カフェ

 カフェがあるマンションは、おしゃれな空間で飲み物を片手に読書やテレワークをしたり、知人が来た際に利用したりと、館内を出ずとも利用できとても便利で、魅力的だと感じるだろう。

 なかにはテイクアウトをしたり、カフェで提供しているお菓子やパンなどにファンがついていることも。

 しかし、注意したいのは管理組合が運営している場合だ。外部業者であれば、しっかり収支が計算されているが、管理組合の場合、利益を追求する経営をしていないため、マイナスが出ていても運営が続けられていることがある。

 本来なら、1000円くらいで売らないと利益が取れない焼きたてパンが、なんと100円で売られていたという事例がある。

 そして、この赤字のしわ寄せは住民の維持費にのしかかることになる。マンションを購入する際は、カフェの運営が管理組合なのか、外部業者への委託なのか、よく確認していただきたい。

6.過度なセキュリティーシステム

 防犯カメラ、オートロックなどセキュリティーの強さはマンション住まいの醍醐味ともいえ物件選びにも大きく影響する。

 しかし、過度なセキュリティーシステムは日常生活に支障をきたしたり、災害時にかえって治安悪化を招くことがある。

 たとえば、セキュリティーのため低層階でいったんおり、乗り換えしないと高層階に行けない仕組みのエレベーターの場合、日常生活を考えると不便で仕方ない。

 また地震発生時などは、電気の復旧までオートロックが解除され、誰でも出入りできてしまい治安が懸念されたり、電子キーのみの場合、部屋の鍵が開かないということも。

 セキュリティーは重要だが、過度すぎるセキュリティーは便利が不便を招きかねない。あらかじめセキュリティーの仕組みや停電時、震災時などの対応をよく確認しておきたい。

7.ペット関連施設

 今やペットは家族同然の存在である。しかし、住民すべてがペットを飼っているマンションはまれであろう。

 ペット関連施設にも様々あるが、たとえばペットの足洗い場では、小型犬などは水圧でペットが驚いて利用できないということも。またドッグランをうたい新築分譲したものの、あまりに小さくペットが走るどころか、ゲートボールすらできずスペースを使いあぐねているマンションもある。雑草が生えるなど悲惨なドッグランも存在する。

 これら利用率の低い施設でも「ペットクラブ」などが設立されているマンションを除いては、ペット飼育の有無にかかわらずペット関連施設の維持費も負担することになる。

 購入を検討するマンションのペット飼育の可否、細則の内容、ペットトラブルの有無、そして使用頻度の低いペット関連施設がないかを確認したい。

番外編!過剰すぎる装飾に注意

画像出典:PIXTA
画像出典:PIXTA

 日常的に利用する施設ではないが、過剰すぎる館銘板やオブジェがあるマンションは避けた方が無難だ。

 大理石などで造られた館銘板やオブジェは維持費がかかる。実際に大理石でできた館銘板が欠けた際、修理に多額の費用がかかったことがある。

 また過剰なシャンデリアなども機器本体はさることながら、電気代もかさむ。豪華で目を奪われる共用施設なども住戸を購入すれば、管理するための維持費を負担するということを忘れないでほしい。

まとめ

 人生で最も高い買い物といわれる住まい。マンションの売りであるその共用施設などに惹かれて購入したものの、使用してみたら不便だった。住み始めてから時間が経つが実はいまだ一度も使っていない、という声も聞こえてくる。

 共用施設は使用の有無にかかわらず、維持費は管理費等で負担するのが一般的。使わないものに維持費を負担するほどしゃくなことはない。

 購入を検討するときは、比較検討することが多く大変ではあるが、購入後の負担も考えて維持費がかかる施設はないか、自分にとって不要な施設はないか、施設をめぐるトラブルは発生していないかなど、よく確認してから購入をしたいものだ。

【関連記事】
>>こんなハズじゃなかった…! マンション購入後、住んでみて分かった後悔エピソード3選
>>選んではいけないタワマンの特徴は? 大規模修繕で200万円超!? 購入後に後悔しがちなポイントを解説
>>「隣人ガチャ」で大ハズレ…!ブラック住民がいるマンションを事前に見抜く方法はある?

  • RSS最新記事
 

注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
 

【注目の大規模物件】 【新築マンションの基礎】
HARUMI FLAG(晴海フラッグ)
三田ガーデンヒルズ
グランドヒルズ南青山
パークタワー勝どきミッド/サウス
ワールドタワーレジデンス
パークタワー西新宿
新築・中古マンションの市場動向
最新の新築マンション相場や価格は?
値引きをする会社はどこ?
「音」のトラブル!遮音性の確認法
管理のチェックポイント
住み心地を決める「階高」
◆新築マンション人気ランキング
TOP