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不動産屋さんの「離職率」は高い? 相談していた担当者が急に辞めたのですが……

【第39回】2020年1月17日公開(2020年6月26日更新)
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長。普段は不動産会社向けの集客&教育のコンサルティングを中心としていますが、ダイヤモンド不動産研究所では売主の側に立った「不動産を売却するときの注意点」シリーズなど、さまざまな読者に向けて解説します!

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不動産屋さんと言えば「離職率が高い」というイメージが、一般的にもあるのでしょうか? 確かに「相談中の不動産仲介会社の営業担当者が急に辞めたのですが……」という声はよく聞きます。不動産会社向けの集客&教育コンサルも行う株式会社レコの私・梶本幸治がその実態について述べたいと思います。

不動産業界は「離職が多い」は本当か

 本題に入る前に、先日、実際にあったお話を一つご紹介いたします。

 この連載を書いている私、梶本は不動産会社や住宅会社に対し、集客や社員教育のコンサルを行うのが仕事なのですが、先日、とある企業から「不動産を売却したい方向けの"会社案内"を作成したいので、どのような"会社案内"が良いか、相談に乗ってほしい」との依頼を受け、同社の社長と打ち合わせを行いました。

 社長からの要望は「スタッフの顔写真をたくさん掲載し、社内の雰囲気を売主のみなさんに知ってもらいたい」というものでしたが、それを聞いた私は次のように提案しました。

 「不動産を買いたい方に自社をアピールする際の優先順位は、第一に『物件』で、第二に『営業担当者の人柄』などの順になります。一方で、不動産を売りたい方に対しては、『営業担当者の人柄』が第一になります。その点で申し上げると、社員のみなさまの顔写真を掲載した"会社案内"は素晴らしいと思います。しかし、顔写真を入れた後に離職者が出れば、印刷済みの"会社案内"を廃棄し、デザインを手直しする必要が生じてしまいます。ですので、"会社案内"そのものには社員さんの顔写真を掲載せず、"スタッフ紹介"はパワーポイントなどで自社作成した印刷物を"会社案内"に挟み込みませんか。」

 結果的に同社は、私のこの提案を採用してくれました。

 その1カ月後、実際に2名の離職者が出たのですが、"会社案内"の破棄も、デザインのやり直しも必要もなかったため、私は社長から非常に感謝されたのです。

(……でも、こんなことで感謝されてもあまりうれしくないですよね。)

 このように、不動産業界では社員の頻繁な離職は「当たり前」のことです。

他業界より「不動産業界の離職率が高い」という
統計上のエビデンスはない

 では、不動産業界全体の離職率はどの程度なのでしょうか?

 厚生労働省が取りまとめた「平成30年雇用動向調査結果の概況」の「産業別入職・離職状況」によりますと、不動産業・物品賃貸業の離職者数は10万3800人で、離職率は13.7%でした。産業全体の離職率が14.6%ですから、不動産業界の離職率が高いとは統計上は言えないのでしょうか。
【参考サイト:厚生労働省 平成30年雇用動向調査結果の概況】https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf

 平成30年のデータだけを見ても分かりませんので、この厚生労働省雇用動向調査結果の概況を見ながら、平成26年~平成30年の不動産業界・物品賃貸業の離職率および入職率を見てみましょう。

【不動産業・物品賃貸業の離職率と入職率:厚生労働省雇用動向調査結果の概況】

 

  • ・平成30年:離職率13.7%、入職率17.9%
  • ・平成29年:離職率16.5%、入職率17.4%
  • ・平成28年:離職率11.5%、入職率16.1%
  • ・平成27年:離職率15.9%、入職率21.1%
  • ・平成26年:離職率11.8%、入職率13.0%

 直近5年間の数字を見ても、他業種に比べて不動産業界の離職率が高いとは言えません。

 しかし、さまざまな不動産会社と仕事をしている私の肌感覚でのお話で恐縮ですが、上記の厚生労働省が出している離職率は「低すぎるのではないか」と感じています。(データには、働き方改革の進む"大手"の不動産会社や、異業種であるリース会社などの"物品賃貸業"も含まれているからかもしれません)
【関連記事はこちら】>>不動産屋から営業時間外の深夜にメールの返信があったのですが「残業ばかり」なのでしょうか?

 実際、営業担当者が5名程度の小規模な不動産・住宅会社では、2年くらいで営業担当者全員が退職し、「2年前から変わらずに在籍しているスタッフは、社長と事務担当者だけ」なんて会社も珍しくないのです。

不動産会社を「離職する理由」

不動産屋の離職率は高い?

 では、離職する理由は何でしょうか?

 不動産業界・住宅業界は独立・起業する人が多い業界でもあります。

 腕に自信のある営業担当者は、ある程度の実績を積んでくると「会社勤め」に飽き足らなくなり、自らの可能性を信じて独立・起業の道を選ぶ人がいます。

 また、自ら独立・起業するまでには至らないものの、他の不動産会社から「ウチの営業部長で来てくれないか? 給料は毎月〇〇万円出すよ」などと声をかけられ、キャリアアップを理由に転職する人もいます。

 一方で、不動産業界・住宅業界は、営業担当者が厳しく結果を求められる世界でもあります。

 そのため、営業成績が振るわない営業担当者は、どうしても長く勤めることが難しい状況になりがちです。本当に残念なことではありますが、2~3カ月間くらい営業成績が落ち込めば、居場所がなくなる不動産・住宅会社は現在もまだまだたくさんあるのです。

 このように良い意味でも悪い意味でも、不動産業界・住宅業界は「実力の世界」であることが、不動産業界・住宅業界の離職率を高める一因になっていると私は思います。
【関連記事はこちら】>>不動産屋さんってどのくらいのお給料を貰っているの? 不動産業界に就職する人ってどんな人が多いの?

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