不動産・住宅業界への転職をお考えの方に対し、今回は「不動産業界への転職で、笑えない失敗談を防ぐポイント」について、不動産会社向けの集客・教育コンサルティングを行っている私、株式会社レコの梶本幸治が解説します。
転職失敗例の逆を行けば、転職に成功できる?
今回のコラムを執筆させていただくにあたり、「不動産業界以外での転職失敗例はどうなっているのだろう」と知りたくなり、インターネット上でいくつかの記事を読んでみました。
すると、転職に失敗する方に多い共通点として、次のようなポイントを挙げているサイトが多いように感じました。
・前職の会社に対する不満が多い
・前職時代に自分が行っていた仕事をうまく説明できない
・しっかりとした目標を持たずに転職活動を行っている
なるほど、不満ばかり言いながらも自分自身が何をしてきたか説明できず、確たる目標もないまま転職活動を行っているようでは、転職活動もうまくいかなくて当然かもしれませんね。
では、その逆を行けば転職活動はうまくいくのでしょうか?
・前職の会社に不満はなかったが、新たな挑戦がしたい
・前職時代に自分自身が成し遂げた成果をしっかりと説明できる
・しっかりとした目標を設定し、その成就に向けて転職活動を行っている
転職に失敗する方の「逆を行く方」は、確かに転職活動で成功を収めそうです。
しかし、この「失敗例の逆を行く方」の特徴を見ていて、ふと気付いたことがあります。それは、異業種から不動産会社(小~中規模)に転職された方で、あまり幸せな結末を迎えられなかった方の特徴に似ているということです。
「えっ! 転職活動で成功を収める人の特徴について話をしていたんじゃないの?なんで、転職後に幸せな結末を迎えなかった方の特徴の話になっているの」と思われたかもしれませんね。
私自身も驚いたのですが、このように前向きに転職活動を行っておられた方が、未経験の不動産業界にチャレンジした結果、夢破れて不動産業界を去っていくという場面に、これまで多く遭遇してきました。
このように不幸な転職は、不動産業界内のさまざまな職種で見受けられますが、その中でも特に、「マーケティング担当者」として転職された方に多いように感じます。
不動産業界のWEBマーケティング担当に転職した方の笑えない失敗談
では、異業種から不動産業界の「WEBマーケティング担当」として転職された方の、希望にあふれる入社から不幸な退職までをご紹介しましょう。
物販ECサイトでWEBマーケティングの現場責任者を任され結果を出していたAさんは、自らのスキルアップを目指して、他の商品を扱いたいと考えていました。
どうせ転職するなら高額商品を扱う不動産業界へチャレンジしようと考え、某県庁所在地に拠点を置く中規模不動産会社(売買仲介・買い取り再販中心で、まれに土地分譲も実施)へマーケティング担当として転職されたのです。
この不動産会社は、三大ポータルサイト利用と新聞折り込みのみで購入希望者の集客を行っていました。
物販業界出身のAさんは「購入希望客の母数底上げ」こそ重要だと考え、次のような方針を打ち出されたそうです。
・PPC広告※1、DSP広告※2から自社HPの会員登録LP※3にアクセスを流し込み、会員登録数を増やす
・そしてそれら登録会員の【客だまり】へ、ステップメール※4やメールマガジンを送信することにより、顧客のランクアップを図り成約増加を目指す
・なお、紙媒体(チラシ)はもはや時代遅れなので廃止し、競合が予想されるポータルサイトの利用も縮小する
※1:検索エンジンやサイトの広告枠で配信されるクリック報酬型広告
※2:広告主のプラットフォーム上で配信される広告。ターゲットに合わせて画像や動画などの広告が配信される
※3:問い合わせや購入を目的とするランディングページ
※4:あらかじめ作成されたメールを一定期間、順番に配信するメール
これらの施策を行い、以下のような結果となりました。
・自社ホームページへのアクセスが激増
・しかし、会員登録は目標の10%程度にとどまる
・さらに、ポータルサイト利用縮小により、物件への問い合わせが激減
・結局、売り上げはAさんがマーケティングを担当する前に比べ20%減
結局、Aさんの施策は全く結果が出ず、Aさんは不動産業界を去って元の物販業界に戻られたそうです。
不動産業界独特の考え方を理解しておくことが、転職の失敗を防ぐポイント
なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか? 少し専門的な話になりますが、解説いたします。
不動産を買いたいと思っておられるお客さまをWEBで集客する際、2通りの考え方があります。
1つ目は、魅力ある物件を多くそろえ、その物件に対するお問い合わせを増やす方法。そして2つ目は、不動産を探しているお客さまの希望条件(ご予算・探しているエリア・物件種別等)を登録していただく会員システムを構築し、会員数の増加を目指す方法です。
そして、それぞれの成約率ですが「物件に問い合わせいただいたお客さま」でおよそ10%程度、「会員登録していただいたお客さま」で2~3%程度と、圧倒的に「物件に問い合わせいただいたお客さま」の成約率が高いのです。
また、会員登録は物件自体への問い合わせに比べ「問い合わせをするメリット」を打ち出しにくく、アクセス数が増えたからと言って、それに比例して会員登録者数が増えるわけでもありません。
Aさんは物件自体への問い合わせが獲得できる「ポータルサイト」や「チラシ」を削減し、「会員登録」の増加を目指してPPC広告、DSP広告を増やしてしまったのが間違いの原因だったのです。
お客さまの総数を増やし、そのお客さまを中・長期的に追客することにより成約につなげるのは、「マーケティングの王道」とも言える手法です。
しかし、1件当たりの単価が高く、誰でも購入できるわけではない不動産業界では、「お客さまの数は少なくてもいいから、買ってくださる可能性の高い方を集める」という考えも重要だといわれています。
このように、不動産業界独特の考え方を理解せずに不動産業界へ転職すると、不幸な結果になってしまう可能性があります。
今回はマーケティング担当者のお話を通して、不動産業界への転職で、笑えない失敗談をご紹介しましたが、このような例は営業でも人事でも総務でも起こりうることです。
転職時はインターネットなどでしっかりと情報収集し、ミスマッチが発生しないようにくれぐれもお気をつけください。
【関連記事はこちら】>>不動産業界への転職はおすすめ? 未経験での転職で「成功する人」「失敗する人」
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