「空き家」になった実家を、上手に売却する方法は?
一戸建ては"空き家の譲渡所得3000万円特別控除"や
自治体が補助してくれる"解体助成金"を活用しよう!

2018年4月16日公開(2021年5月11日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

自分や配偶者の実家が「空き家」になっている人、また今後、「空き家」になることが予想される人も多いのではないだろうか。空き家になった実家の上手な売却法について考えてみる。

年々深刻になる"空き家問題"

 日本には統計上、約6063万戸の住宅があるが、そのうち約820万戸が空き家になっている(総務省統計局による平成25年10月1日調査時点)。

 空き家は人が住んでいないため、建物が傷みやすい。管理や手入れが行き届かないことも多いため、やがて景観や治安の悪化、災害時の倒壊などにつながる恐れがある。

 少子高齢化が大きな社会問題として注目されているが、少子高齢化とセットになっているのが「空き家問題」なのだ。

 空き家がこれだけ増えている背景には、税金の負担も関係している。家や土地などの不動産を所有していると毎年、固定資産税と都市計画税がかかる。しかし、空き家を含めて住宅用の家が建っている場合、土地についての固定資産税が最大6分の1、都市計画税は最大3分の1に軽減される特例がある。空き家を解体すると、土地についての固定資産税、都市計画税がその分、上がってしまう。これも空き家を放置する原因のひとつといわれてきた。

 今後、少子高齢化がさらに進む中、空き家は増えることはあっても減ることはない。いったいどれくらい、空き家は増えるのだろうか。

 野村総合研究所の予測(2015年)によると、新しく建てられる家の数は減るものの、それを上回るスピードで世帯数の減少が見込まれるため、2033年の総住宅数は約7100万戸、空き家数は約2150万戸、空き家率は30.2%に上昇するとされる。実数においては、これからの20年ほどで、空き家の数は約2.5倍に増えるのだ。

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放置された空き家は、罰金刑や強制解体も

 こうした空き家の急増に対し、国や地方自治体はこれまでも対策を講じてきた。

 動きが早かったのは各地の市町村だ。荒れ放題に放置された空き家に対する苦情が増えたことから2010年に埼玉県所沢市が初めて空き家条例を制定(適正管理の勧告や氏名の公表、撤去など)。その後、各地の市町村も同じような条例を次々に制定した。

 一方で、国は2014年(平成26年)に「空家等対策特別措置法」を制定した。この法律では、適切に管理されていない空き家を地元の自治体が「特定空き家」に指定する。「特定空き家」に指定されると、前述の土地の固定資産税などの軽減が受けられなくなる。また、改善の勧告や命令、さらには罰金刑(50万円以下)や行政代執行(所有者の承諾を得ずに建物を解体し、その費用を所有者に請求すること)なども可能になった。

◆「特定空き家」の条件
倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
◆「特定空き家」に対する措置の流れ
助言・指導
所有者等が自らの意思により改善をするように促すこと
勧告
所有者等に相当の猶予期限をつけて必要な措置をするように提示し、勧めること
命令
所有者等に相当の猶予期限をつけて必要な措置をするように命じること
代執行 所有者等に代わって行政が必要な措置を行うこと

 このように、すぐに空き家が解体されるわけではないが、長年、トラブルを放置していれば、強制執行が可能になったのだ。

一戸建ての売却には「3000万円特別控除」

 国によるもうひとつの空き家対策が、平成28年度の税制改正で新たにできた「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」だ。

 この特例は、相続によって空き家となってしまった建物などを売却しやすくするもので、一定の条件を満たすと、空き家になった建物や土地を売却して得られた利益(譲渡所得)から最高3000万円が控除される。

◆「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」のおもな条件
相続開始の直前において、被相続人(親など)が1人で住んでいたこと
昭和56(1981)年5月31日以前に建築された家屋(区分所有家屋を除く)であること
相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていないこと
譲渡価額が1億円以下であること
相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
平成28(2016)年4月1日から平成31(2019)年12月31日までに譲渡すること
家屋を取り壊さずに譲渡する場合には、その家屋が新耐震基準に適合するものであること

 ただ、この特例は上記のように条件がやや分かりにくい。特に注意しなければならないのは、建物の限定である。

 マンション(区分所有建物)は、この特例の対象にならない。あくまで戸建てが対象だ。しかも、昭和56(1981)年5月31日以前に建築された戸建てに限る。これは、昭和56年6月1日から建築基準法における耐震性についての基準が、いわゆる「旧耐震基準」から「新耐震基準」に切り替わったことと連動している。

 さらに、家を取り壊さずに売却する場合は、昭和56年5月31日以前に建築された「旧耐震基準」の戸建てを、「新耐震基準」に適合するよう耐震リフォームを施すことが必要とされる。しかし、住まなくなった旧耐震の空き家を耐震リフォームするには、かなりの費用がかかると思われる。そのため、実際には相続した実家の建物を取り壊し、更地にしてから売却するというケースが多いだろう。

 なお、この特例は平成28(2016)年4月1日から平成31(2019)年12月31日までの売却に適用され、相続の日から起算して3年を経過する年の12月31日までに売却することが条件となっている。したがって、平成25(2013)年1月2日以降に相続した実家までさかのぼって対象、ということになる。その場合、解体前の写真など証拠になるものが必要である。

 このように注意すべき点はあるが、空き家となった戸建ての実家を売却するにあたってはぜひ、この特例を利用するようにしたい。

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建物を解体して、更地にしたほうが売りやすい

 なお、一般的には、老朽化した家が建っている土地より、家が建っていない更地のほうがより早く、より高い価格で売却することができる。老朽化した家が建ったままの土地だと、家を解体するため費用や時間がかかるからだ。

 家の解体費は構造にもよるが、1棟あたり100万~200万円程度かかる。そこで、空き家対策の一環として空き家の解体に補助金を出している自治体もある。

 例えば、東京都足立区の場合、非木造では最大100万円(かつ解体費の半分まで)、木造では最大50万円(かつ解体費の半分まで)の補助が受けられる。空き家のある地元の市区町村で確認してみてほしい。

◆東京都足立区の助成金(老朽家屋等解体工事助成)の場合
 対象となる建物等 ・戸建住宅(木造・非木造)
・共同住宅(木造・非木造)
・住宅兼店舗(作業場)
・工場・倉庫・物置
・塀・門等
 対象となる条件 ・老朽家屋等審議会で「特に周囲に危険を及ぼしている建物」と認定されている
・建物等の所有権すべて(共同所有の場合は全員の同意)を有している
・市町村民税等を滞納していない
・所有権以外の権利が登記されていない
・国、地方公共団体等や宅地建物取引業者は対象外
 助成金額 ・木造→解体工事費用(税抜)の半分(上限50万円)
・非木造→解体工事費用(税抜)の半分(上限100万円)

 なお、相続した実家が空き家の場合、売却ではなく賃貸するという選択もあるだろう。賃貸できれば実家を手放す必要はなく、人が住むので管理もしやすい。賃料収入も見込める。

 しかし、貸す以上は貸主(所有者)として建物や設備を適切にメンテナンスしなければならず、場合によっては貸し出す前にリフォームが必要なこともあるだろう。かけるコストと賃料収入のバランスがとれているかどうかは、よく検討したい。

空き家になった実家は、早期に対応を

 空き家問題が深刻化する中で、荒れ放題に放置しておくことも許されなくなった現在、何らかの対応が必要なのは明らかだ。

 最後に、実家が空き家となった人が取るべき対応をまとめたので参考にしてほしい。

・戸建てなら売却で「3000万円特別控除」が使える
・家は解体して更地にしたほうが売りやすい
・賃貸も可能だが、メンテナンスが必要

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 なお、実際に「空き家」を売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼して、じっくりと相場を把握し、焦らずに販売していくのがいいだろう。その際、「不動産一括査定サイト」などを活用すると、複数の会社に簡単に査定を依頼できるので便利だ。
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