新型コロナウイルス感染症の拡大をなかなか抑え込めないなか、ウィズコロナの「新しい生活様式」への対応が求められようになっている。住まいに関しても、マンション・一戸建てにかかわらず、「コロナ対応」が大きなテーマになっており、シェアオフィスやオンラインフィットネスに対応した物件など、次々と新商品が発表されている。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
コワーキングスペースを設置した
「パークタワー勝どきミッド/サウス」
在宅ワークが継続されるなか、簡単に外出しにくいというコロナ禍での生活を意識して、新築マンションでは、共用施設や専有部での対応が進んでいる。
三井不動産レジデンシャル株式会社などが、東京都中央区勝どきで開発を進めている新築分譲マンション『パークタワー勝どきミッド/サウス』(2024年入居開始予定)。
都営地下鉄大江戸線の勝どき駅直結、大規模商住複合開発物件で、総戸数は2786戸に達する。その規模の大きさや利便性の高さなどもさることながら、マンションのコンセプトである「ニューノーマル時代の暮らしの多様性に応える」のとおり、さまざまな面でウィズコロナ、アフターコロナ時代に対応したマンションとして注目を集めているのだ。
共用施設としてミッド棟に設置される約300㎡のコワーキングスペースでは、Wi-Fi、コピー機、電話ブース、自動販売機などが設けられ、コンシェルジュが備品貸し出しなどのサービスを提供する。オフィスに出社しなくても、集中して仕事に取り組めるように配慮されている。
仕事以外でも、オンラインフィットネスサービスが利用できるパーソナルスタジオの設置、ひとりでリラックスできるプライベート空間なども用意されている。また、専有部では間取り変更メニューがあり、「書斎部屋」プランが追加されている。アフターコロナでも趣味のスペースなどに転用でき、汎用性の高いプランになっている。
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新生活様式の住まい方に対応する
「ブランズタワー所沢」
東急不動産株式会社が埼玉県所沢市の所沢東町地区市街地再開発事業内で建設中の新築分譲マンション『ブランズタワー所沢』(モデルルーム公開中、2022年2月下旬入居開始予定)。新しい生活様式のキーワードである「働き方」、「ウイルス対策」、「健康増進」に対応するため、マンションの共用部にワークブース、専有部にホームフィットネスを設けるなど、新しい商品企画を盛り込んでいる。
共用部には、テレワークに豊富な知見を持つ株式会社オカムラなどが開発した、フルクローズ型の「テレキューブ」を設置する。
テレキューブはさまざまな場所に容易に設置できるワークブースで、オフィスビル、空港、駅などに設置されるケースが増えているが、新築分譲マンションに導入されるのは、この『ブランズタワー所沢』が初めてのことだ。
テレワークをする人のなかには、執務スペースの確保に苦労している人も少なくない。Web会議や営業の電話などの際に求められる高い遮音性を確保しにくいという問題もある。テレキューブは遮音性能が高いため、セキュリティーに優れた静かな環境で、資料作成、メール、電話、Web会議なども可能。より快適に仕事に取り組めるようになっている。
そのほか、ブランズタワー所沢では、フィットネスアプリ「WEBGYM」を活用したインテリアオプションを用意している。グループ会社の東急スポーツオアシス監修で、フィットネス製品と運動に適した空間デザイン(壁材、照明、家具、ミラーなど)をパック化した提案で、こちらも新築分譲マンションで初めての導入となる。テレワークなど在宅時間の長期化による運動不足や健康不安などを解消する狙いだ。
シェアオフィスやワークブースを設置
「リビオ成増ブライトエア・フォレストエア」
日鉄興和不動産株式会社が東京都板橋区成増で販売している新築分譲マンション『リビオ成増ブライトエア・フォレストエア』(モデルルーム公開中、2021年4月下旬入居開始予定)。東武東上線の成増駅から徒歩12分の立地で、総戸数は101戸。
大規模マンションでは、先述の『パークタワー勝どきミッド/サウス』のように共用部にワーキングスペースを設けるケースが増えつつあるが、『リビオ成増ブライトエア・フォレストエア』の規模で、上の写真のようなシェアオフィスルームを設けた新築マンションは珍しい(※)。もちろん、入居者専用なので仕事に集中できるし、入居者同士の交流を深める場所にもなるだろう。
ビジネス空間づくりに定評のある三井デザインテック株式会社の協力のもと、「自宅にいる便利さ」、「お気に入りのカフェのような空間」、「シェアオフィスの機能性」を同時に実現。建物から出る必要がないため、コロナウイルス感染の不安が少なく、しかも、自宅から出ることで(建物内のシェアオフィスに移動することで)気分を一新して仕事に取り組める空間になっている。
フリーWi-Fiはもちろん、照明の明度設定はオフィスと同等、ファミレス席のようなミーティングスペースに加え、先述の『ブランズタワー所沢』同様に、オカムラの「テレキューブ」も設置される。この設備なら、オフィス並み、あるいはそれ以上に集中して仕事に取り組めるのではないだろうか。
※シェアオフィスルームの設置は「リビオ成増フォレストエア」のみだが「ブライトエア」居住者も利用可能。
コワーキングスペースを設置する
「ザ・パークハビオ ソーホー 大手町」
三菱地所レジデンス株式会社は、“通勤時間ゼロ”を掲げる新たな賃貸マンション「The Parkhabio SOHO(ザ・パークハビオ ソーホー)」の展開を開始する。その第1弾として、東京都千代田区内神田に2022年6月に誕生するのが、『ザ・パークハビオ ソーホー 大手町』だ。マンション内に入居者向けのシェアオフィスを設けることで、外出することなく仕事ができるという、新たなライフスタイルを提案している。
『ザ・パークハビオ ソーホー 大手町』は、東京メトロ各線の大手町駅から徒歩7分という利便性の高い場所に建つため、都心のオフィスに通うには最適な立地だが、それでもウィズコロナ時代には通勤ラッシュは不安。そこで、マンションの1階に約60㎡のコワーキングスペースを設ける。
在宅勤務といっても、自宅内の居住空間だけでは息が詰まりかねないが、同じ建物内の別の場所に移動することによって閉塞感がなくなり、かつ快適に仕事に取り組むことができるようにする。もちろん、このコワーキングスペースは入居者なら24時間無料で利用できる。
なお、この建物には、三菱地所レジデンス株式会社とケンテック株式会社などが共同開発した新建材「(仮称)配筋付型枠」が使用される。これは、コンクリート打設用の型枠として使用したものが、そのまま木材仕上げになるものだ。天井仕上げ材を必要としないため、従来よりも高い天井高にでき、天然の木材ならではの風合いや温かみのある空間が実現できる。これも、ウィズコロナの閉塞感を癒やしてくれるのではないだろうか。
アフターコロナ時代に対応した一戸建てを積水ハウスが提案
積水ハウス株式会社が、2020年8月から発売開始した戸建て注文住宅、「ファミリー スイート おうちプレミアム」のコンセプトは、「アフターコロナのライフスタイルに対応した新コンセプトモデル」だ。リビングは独自開発の工法により、仕切りのない大空間が確保され、そこに「在宅ワーク」「おうちでフィットネス」「うち de バル」など、さまざまな機能を盛り込めるようになっている。
たとえば、「うち de バル」は、リビングの一角にホテルのバーのような落ち着いた空間や居酒屋のようななじみやすい空間をつくり、夫婦でゆったりした時間を過ごせるという仕様だ。
また、「おうちでフィットネス」は、株式会社アシックスと共同研究・開発したオンラインフィットネスシステムで、1日5分から、老若男女誰でも目的に応じて取り組める運動プログラムが動画などで提供される。自宅の限られたスペースでできるため、思い立ったときにいつでも、人目を気にせずに運動ができるという。これなら、スポーツジムに出かけにくいウィズコロナ時代だけではなく、アフターコロナでも続けられそうだ。
さらに、「ファミリー スイート」の大空間リビングの一角に、机などを設置するだけで仕事に集中できるスペースをつくる「在宅ワーク」プランでは、防音性能を高める仕様も可能。在宅ワークだけでなく、子どもの習い事、授業のオンライン化にもストレスなく対応できそうだ。
共働き世帯に複数のテレワークスペースのある一戸建てを提案する三井ホーム
三井ホーム株式会社は、コロナ禍における共働き夫婦の働き方や住まいに関する意識・実態調査を実施、その結果を踏まえた提案を盛り込んだ戸建て注文住宅、『シュシュ クール』を発表した。
その特徴は以下の3つだ。
①共働き家族をサポートする機能的な空間構成
②スタイリッシュな内外装と上質な暮らしをかなえる豊かな間取り提案
③災害から家族の暮らしを守る「レジリエンス」機能提案
①では、夫婦ともにテレワークする家庭に対応し、夫婦がそれぞれ目的に応じて利用できる、複数のワークスペースを設けている。それも、静かな空間で落ち着いて仕事をしたいときの玄関奥のクローズタイプ、調理などの家事の合間に仕事をしたい時はキッチン横のセミクローズタイプ、子どもの様子を見ながら仕事をしたいときは、ダイニングルームを活用したオープンスペースなど、家族の状況や仕事の内容などに合わせてフレキシブルな利用が可能になる。
また、③の災害から家族を守る「レジリエンス」機能に関しては、太陽光発電システム搭載が可能な屋根形状とし、国が普及を推進している、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が可能。エネルギーの自給自足により、地球環境にやさしいだけではなく、有事の際への備えになり、テレワークの増加による電力消費量増加への対応にもなる。
これからの住まい選びは、コロナ対応の物件も視野に入れて
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続き、先行きを見通しにくい環境だが、それでもマンションや一戸建ての市場動向をみると、しだいにコロナ禍以前のレベルに戻りつつある。
あまり萎縮し過ぎても、マイホーム取得のチャンスを逃してしまうことにもなりかねない。これから住まい探しを始めようと考えている人は、ウィズコロナ・アフターコロナの「新しい生活様式」に対応した物件も視野に入れてみてはいかがだろう。
【関連記事はこちら】>>Withコロナ時代、住まいはどう選ぶ? 2020年上半期のマンションや戸建ての売れ筋から見えてくる、これからのトレンド
コロナ対応で注目の 新築マンション |
◆パークタワー勝どきミッド/サウス(モデルルーム公開前) | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 |
サウス、ミッド:2024年4月下旬入居予定
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交通 | 都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅 徒歩2分 (サウス) 都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅 徒歩1分 (ミッド) |
所在地 | 東京都中央区勝どき4丁目1500番地(サウス)(地番)、1501番地(ミッド)(地番) | |
間取り | 1K ~ 4LDK(サウス) 1K ~ 3LDK(ミッド) |
専有面積 |
31.29㎡ ~ 144.43㎡(トランクルーム等除く)(サウス) |
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総戸数 |
サウス:総戸数1665戸、販売総戸数1109戸、事業協力者住戸556戸 ミッド:総戸数1121戸、販売総戸数570戸、事業協力者住戸551戸 |
来場者数 | ー | |
売主 | サウス:三井不動産レジデンシャル株式会社、鹿島建設株式会社/ミッド:三井不動産レジデンシャル株式会社、清水建設株式会社 | 施工会社 |
サウス:鹿島建設株式会社 ミッド:清水建設株式会社 |
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※データは2020年9月17日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆ブランズタワー所沢(モデルルーム公開中) | ||||
価格 |
4,688万円(1戸)~7,478万円(1戸) |
入居時期 | 2022年2月下旬予定 | |
交通 | 西武池袋線・西武新宿線 「所沢」駅 から徒歩 6分 | 所在地 | 埼玉県所沢市東町500番(地番) | |
間取り | 2LDK ~ 4LDK | 専有面積 | 63.77㎡ ~ 92.38㎡ | |
総戸数 | 155戸(権利者区画9戸含む) | 来場者数 | ー | |
売主 | 東急不動産株式会社 | 施工会社 | 佐藤工業株式会社東京支店 | |
※データは2020年9月17日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆リビオ成増ブライトエア(モデルルーム公開中) | ||||
価格 |
3998万円~ 5098万円 |
入居時期 | 2021年4月下旬(予定) | |
交通 | 東武東上線「成増」駅 徒歩12分 他 | 所在地 | 東京都板橋区成増五丁目328番1(地番) | |
間取り | 3LDK | 専有面積 | 65.10㎡ ~ 67.70㎡ | |
総戸数 | 48戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 日鉄興和不動産株式会社 | 施工会社 | 株式会社イチケン 東京支店 | |
※データは2020年9月17日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆リビオ成増フォレストエア(モデルルーム公開中) | ||||
価格 |
4,558万円~ 5,498万円 |
入居時期 | 2021年4月下旬(予定) | |
交通 | 東武東上線「成増」駅 徒歩12分 他 | 所在地 | 東京都板橋区成増五丁目343番13、71、72、73、74、75(地番) | |
間取り | 2LDK+S ~ 3LDK | 専有面積 | 65.39㎡ ~ 72.74㎡ | |
総戸数 | 53戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 日鉄興和不動産株式会社 | 施工会社 | 株式会社イチケン 東京支店 | |
※データは2020年9月17日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |