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【2024年版】家の解体費用の相場、補助金は? 空き家の解体や売却時に使える節税特例などを解説!

2023年12月28日公開(2023年12月28日更新)
竹内英二:不動産鑑定士・宅地建物取引士

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空き家対策特別措置法」)により、ここ数年、各自治体が行う空き家解体の補助金が増えてきた。空き家対策特別措置法が施行される以前は、解体工事に補助金を出す自治体は少なかったため、補助金の存在すら知らない人も多いのではないだろうか。昨今では補助金の要件に合致する空き家なら、経済的な負担を軽くしながら解体できるような時代となっている。ここでは、「家の解体費用の補助金」について解説する。

家の解体費用の補助金の特徴

中古住宅
家の解体は費用がかかるが、補助金が利用できる場合もある(画像:PIXTA)

 家の解体費用の補助金とは、主に空き家を取り壊す際にかかった費用の一部を支給してくれる助成制度だ。

 家の解体の補助金の特徴として知っておきたいのが、「自治体が行っているものが多い」「要件が自治自体によってかなり異なる」「工事の完了後に入金される」ということだ。それぞれの特徴について見ていこう。

自治体が行っているものが多い

 家の解体の補助金支給は国が行っているものはなく、自治体が行っているものが多い。取り扱っている自治体は増えてきているが、解体の補助金がない自治体もまだまだたくさん存在する。

 自治体は国に比べると財政基盤が脆弱であるため、補助金制度も突然なくなったりする。逆に前年までなくても、今年から急にできることもあるため、取り壊しの時点で補助金制度があるかどうかを必ず確認することが必要だ。

 今のところ全国の自治体の補助金を正確に検索できる便利なサイトはないため、まとめサイトの情報を信用するのではなく、必ず自分で自治体のホームページを見て補助金の有無を確認してほしい。

要件が自治体によってかなり異なる

 解体の補助金は、要件が自治体によってかなり異なることが特徴だ。自治体によっては、耐震診断の結果まで求められるものや、空き家バンク(自治体による空き家の仲介サイト)に登録されていることを要件としているものがある。

 また、補助率や補助額も自治体によってかなり異なる。補助率は1/3や1/2といったものが多く、最大の補助上限額は50万円としている自治体が多いが、10万円や80万円といった自治体もある

 さらに、空き家そのものの解体補助は行っていないが、門扉やブロック塀などの解体を補助している自治体もある。

 どのような補助金が設定されているかは、自治体のホームページを確認することが必要だ。

工事の完了後に入金される

 家の解体の補助金は、通常、工事の完了後に入金される。工事前に受け取れることはほぼないので、補助金を利用する場合でも解体工事会社にいったんは満額を支払う必要がある。

 補助金の申請には、解体工事会社からの請求書や通帳の振り込み履歴などを提出資料として求められることが多いため、どのような書類が必要となるかもしっかりと確認しておきたい。

 また、解体工事会社も同自治体に所在する会社に限定されていることが多いため、解体工事に着手する前に全ての要件を確認しておくことが必要だ。

家の解体費用補助金の具体例

 ここでは、家の解体費用の補助金について具体例を示す。例えば、東京都台東区には「老朽建築物等の除却工事費用の助成」制度がある。

【台東区:老朽建築物等の除却工事費用の助成】

項目 内容
補助額 除却工事費の1/3以内(上限額50万円)
対象となる住宅 昭和56年5月31日以前に建築された建築物で、耐震診断の結果、倒壊の危険性が高いと判断されたもの
対象者 1.対象建築物の所有者
2.個人または中小企業
3.住民税を滞納していない者(法人の場合は法人都道府県民税)

 また、墨田区では「不良住宅を対象とした除却費の助成」がある。

【墨田区:不良住宅を対象とした除却費の助成】

項目 内容
補助額 除却工事費の2分の1で、上限50万円まで
(無接道敷地に存する不良住宅については100万円)
対象となる住宅 住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当する老朽建物
※不良住宅…住宅地区改良法施行規則第1条に規定する不良度の評点が100点以上のもの
対象者 1.対象建築物の所有者
2.個人または中小企業
3.住民税を滞納していない者(法人の場合は法人都道府県民税)

 このように解体費用の補助金は、自治体によって補助金制度の受付期間や内容が異なるので注意が必要だ。

家の解体費用補助金の探し方

 家の解体補助金は、自治体のホームページを参照するか、直接問い合わせることをおすすめする。

 一部に民間企業が運営している解体補助金を紹介しているポータルサイトがあるが、全ての自治体の補助金をきちんと紹介できていないサイトが多く見受けられる。

 解体補助金に関しては、公的な機関が運営しているサイトがなく、残念ながら正確な情報を検索できる状況にはない。そこで、解体補助金を探すのであれば、「○○市 解体 補助金」や「○○市 除却 補助金」のようなキーワードで検索し、ダイレクトに自治体のホームページに入るのがよい。

 「解体」といったキーワードで出てこない場合は、「除却」というキーワードで再検索しよう。

 また、自治体によっては建物本体ではなく、門扉やブロック塀のみの解体補助金を出しているところもある。「○○市 空き家 補助金」で補助金が出てこなかった場合、「○○町 門扉 解体」、「○○市 塀 解体補助金」といったキーワードでも検索してみよう。

 解体系の補助金は、建築指導課や住宅政策課、防犯対策課などの名称の課が所管していることが多い。検索しても見つからない場合、最終的には電話で直接聞いてみることをおすすめする。

【コラム】家の解体費用の相場の目安は?


 家を解体する場合、どれくらいの費用がかかるのか。解体費用の相場を以下に示す(相場は、ダイヤモンド不動産研究所調べ)。なお、金額は立地条件や近隣状況により異なってくる。
 
【解体費用の相場(2020年)】
住宅の種類 相場
木造住宅解体 30,000円~/坪(9,090円~/㎡)
鉄骨造住宅解体 35,000円~/坪(10,606円~/㎡)
RC造住宅解体 40,000円~/坪(12,121円~/㎡)
ビル・アパート解体 40,000円~/坪(12,121円~/㎡)
内装・外装・店舗解体 25,000円~/坪(7,575円~/㎡)
※坪数や構造、道路の幅の条件により金額は異なる
※参照:解体無料見積ガイド「解体工事の費用


 また、解体の際にゴミ撤去処分などの付帯工事が必要な場合は、以下のような付帯工事費用がかかる。
 

【付帯工事費用の目安(2020年)】
住宅の種類 相場
残置ゴミ撤去処分 12,000円/㎥~
樹木撤去処分 12,000円/㎥~
庭石撤去処分 10,000円/㎥~
土間撤去処分 2,500円/㎥~
ブロック撤去処分 2,500円/㎥~
物置撤去処分 5,000円/ケ~
カーポート撤去処分  20,000円/式~
太陽熱パネル撤去処分 30,000円/式~
ウッドデッキ撤去処分 30,000円/式~
※解体予定地によって人件費や建物の密集度合、廃棄物の処理費用が異なるため相場が違ってくる
※参照:解体無料見積ガイド「解体工事の費用

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空き家を解体せず、放置した場合のデメリット

 空き家を放置した場合は、以下のようなデメリットがあることを頭に入れておこう。

①管理しないと建物価値が下がる
②「特定空き家」に指定される可能性がある
③売却しにくくなる

①管理しないと建物価値が下がる

 空き家は、管理しないと建物価値が下がるというデメリットがある。室内は定期的に換気をしないと、湿気によりカビが大量に発生してしまう。

 また、キッチンやバス、トイレなどの水回りも定期的に排水しないと、排水管の中にたまっている封水が蒸発し、下水からの臭いが部屋中に充満することになる。

 さらに、放置すればシロアリによる腐食が進み、室内に植物が繁茂するような状態にまで至る。躯体が植物に侵食されてしまうと、建物の利用価値がなくなり、取り壊さざるを得なくなる。

 このように、建物は放置すると劣化が進み、価値が大きく下がってしまうのだ。

②「特定空き家」に指定される可能性がある

 放置された空き家は「特定空き家」に指定される可能性がある。特定空き家とは、地域に深刻な影響を与える危険な空き家のことであり、「空き家対策特別措置法」によって行政から指定される。

 特定空き家に指定されると、所有者に対して助言、指導、勧告、命令、行政代執行の順に徐々に厳しい是正指導を受けていく。最終段階の行政代執行では、建物が行政によって強制的に解体されることになる

 もちろん、解体費用は建物所有者に請求されることになるが、支払えない場合は土地が差し押さえられ、最終的には土地まで売却されることになるのだ。

 土地を失いたくなければ、先に補助金を使って解体した方が賢明といえるだろう。

【関連記事はこちら】>>「空き家」になった実家を、上手に売却する方法は?
一戸建ては"空き家の譲渡所得3000万円特別控除"や自治体が補助してくれる"解体助成金"を活用しよう!

③売却しにくくなる

 放置された古い空き家は売却しにくいこともデメリットだ。利用価値のない空き家が残った状態で物件を売ると、買主が空き家を取り壊すことになるが、取り壊し費用を負担してまで購入しようとする人は少ない。

 空き家が残ったままの状態だと購入者が激減し、その結果、売却期間も長引き、売却価格も大きく下がる。

 もし物件を手放したいのであれば、建物は取り壊し、更地にしてから売った方が、早く高く売れるようになる。

解体後の売却で利用できる節税特例

 次に、解体後の売却で利用できる節税特例について解説しよう。

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除

 マイホームを売ったときは、3,000万円特別控除という節税特例がある。本特例は、「居住用財産(マイホームのこと)の3,000万円特別控除」と呼ばれるものだ。

 3,000万円特別控除とは、売却で生じる譲渡所得から3,000万円を差し引くことができる特例だ。3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は以下のようになる。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

 譲渡価額は売却価額。取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額となる。譲渡費用は、仲介手数料や測量費、印紙税、解体費用などの売却に直接要した費用だ。

 3,000万円特別控除を適用した結果、譲渡所得がゼロ(マイナスの場合もゼロ)となれば税金は発生しないことになる。

 3,000万円特別控除の適用対象となる不動産は、原則としてマイホームである。マイホームであれば、解体しても以下の期間内であれば3,000万円特別控除を利用できることになっている。

【解体して3,000万円特別控除を利用できるケース】

 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

 ポイントは、建物を解体後、売却するまでに、更地を例えば駐車場のような貸し付けまたは事業の用に供してしまうと、3,000万円特別控除を利用できないという点である。

 3,000万円特別控除を利用するには、解体後は何もせず速やかに売却しなければならない。

 また、解体費用は譲渡所得を計算する上で譲渡費用となる。そのため、解体そのものも売却時の節税に寄与するということだ。

 マイホームを解体する場合には、その後の売却も含めてスケジュールを検討することをおすすめする。

 居住用財産の3,000万円特別控除の詳しい要件は、以下の国税庁のホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」で確認してほしい。

【関連記事はこちら】>>不動産売却時に活用したい特別控除を解説! マイホームの買い替えでは「3000万円特別控除」と「住宅ローン控除」どちらがお得?

相続空き家を売ったときの3,000万円特別控除

 3,000万円特別控除はマイホームを対象とするものであったが、相続した空き家のうち、一定の要件を満たす住宅は3,000万円特別控除を適用できる。ここでは、当該特例を「相続空き家の3,000万円特別控除」と呼ぶことにする。

 相続空き家の3,000万円特別控除も、適用すると譲渡所得は以下の計算式で求められる。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

 譲渡所得や取得費、譲渡費用は居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除と同じだ。

 相続空き家の3,000万円特別控除が適用できる家屋は、以下の建物が対象となる。

【家屋の要件】

  • 1.相続開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
  • 2.昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 3.区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
  • 4.相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  • 5.相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸し付けの用または居住の用に供されていたことがないこと

 ポイントとしては、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」であり、かつ「区分所有建築物(マンション等)以外の家屋」に限定されているという点だ。

 相続空き家の3,000万円特別控除は、上記の要件を満たす戸建てを取り壊しても適用することができる。

 昭和56年5月31日以前に建築された戸建てを壊して売る場合は、以下の要件を満たす必要がある。

【取り壊して売る場合の要件】

  • 1.取り壊した家屋について相続の時からその取り壊しの時まで事業の用、貸し付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
  • 2.土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸し付けの用または居住の用に供されていたことがないこと

 相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、相続のときからその相続の開始のあった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却することが必要となる(ただし、2021年5月時点では2023年12月31日までの時限立法)。

 相続空き家の3,000万円特別控除は、相続をきっかけに発生する空き家を取り壊して売却する人に対し、できる限り税負担を少なくすることを目的とした特例である。要件に該当しそうであれば、ぜひ検討してみて欲しい。

 相続空き家の3,000万円特別控除には、他にも要件があるため、詳しくは国税庁のホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を参照していただきたい。

まとめ

 以上、家の解体費用の補助金について解説してきた。

 解体補助金は自治体が行っており、要件も自治体によってかなり異なる。最新の内容については各自治体のホームページで確認することが必要だ。

 空き家を放置すると、建物の価値が落ち、最終的には特定空き家に指定される可能性もある。相続空き家は3,000万円特別控除の特例によって節税できるようになっているため、空き家を解体して売る場合には、要件をよく確認した上で特例を利用するのがいいだろう。

【関連記事はこちら】>>不動産売却にかかる税金の節税方法を解説! 特別控除は自宅、賃貸、相続した空き家などで異なる

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