愛媛県の空き家率は19.76％で全国7位【2025年版】ランキングや長期推移、活用事例などを解説！

愛媛県の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、愛媛県の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。

愛媛県の空き家率、長期推移、特徴

　愛媛県の空き家の全体概要をみてみよう。

　最新のデータ(2023年度)によると、愛媛県の空き家数は145,600戸、空き家率は19.76%となっている。愛媛県の空き家率は全国7位に位置しており、全国の13.84%に比べて高い。

　愛媛県は県内全域で空き家の増加が深刻化している。中予・南予の山間地域や離島では若年層の流出と高齢世帯の減少により家屋の空き家化が顕著で、集落全体で空き家が目立つ所もある。

　松山市でも中心部から離れた地域で空き家が増える傾向にある。県全体として市場に流通しない「その他の空き家」の割合が非常に高い。こうした放置空き家の老朽化は防災や治安上の問題となり、県や市区町村は空き家除却や活用に向けた支援を強化している。

愛媛県の空き家率の長期推移は？

　2023年度の愛媛県の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から1.59ポイント増加。空き家数は15,800戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。

　以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

愛媛県の空き家の推移（1958年〜2023年）

年	空き家率	空き家数（戸）	住宅総数（戸）
2023	19.76%	145,600	736,800
2018	18.17%	129,800	714,300
2013	17.50%	123,400	705,200
2008	15.09%	102,800	681,100
2003	13.67%	88,900	650,100
1998	11.51%	71,500	621,300
1993	11.40%	67,500	592,000
1988	10.77%	60,000	557,000
1983	9.42%	48,300	512,500
1978	7.44%	35,500	477,400
1973	5.69%	24,500	430,700
1968	4.49%	17,210	382,980
1963	2.88%	10,000	347,000
1958	2.49%	8,000	321,000

愛媛県の空き家ランキング【2023年度最新版】

　愛媛県の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。

空き家率がもっとも高い市区町村は西予市

　愛媛県で空き家率がもっとも高かったのは西予市の28.36%だ。

　西予市は愛媛県内でもっとも高い空き家率を推移している。過去調査でも増加傾向にあり、人口の減少と高齢化による居住ニーズの縮小が主因とされている。また、同市の中心市街地外の住宅管理が行き届かない状況も続いている。

深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは西予市

　近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。

　2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。

　放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。

　愛媛県の放置空き家率がもっとも高かったのは、西予市で24.65%となっている。

　国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。

愛媛県の空き家対策や活用事例は？

​　愛媛県では、空き家問題への対策として、老朽化が進んだ危険な空き家の除却に対する市町への財政支援を行っている。また、特定空き家の判定基準を策定し、技術的支援も提供している。

　​さらに、産学官の連携による「愛媛県空き家対策ネットワーク」を設立し、空き家の利活用や流通促進を図っている。​相談窓口として、NPO法人「愛媛県不動産コンサルティング協会」が管理・活用・解体に関する相談を受け付けており、県民の空き家に関する課題解決を支援している。​

愛媛県における空き家活用事例

　内子町では伝統的な町並みにある空き家を改修し、移住者向けシェアオフィス「COWORKING-HUB nanyo sign（南予サイン）」として再生した事例がある。古い町家の風情を活かしながら高速通信環境を整備し、テレワークやワーケーションに対応した空間として機能している。

　西予市では「空き家活用モデル地区」を選定し、空き家再生による集落の活性化を進めている。このモデル地区では、地域住民と行政が協働で空き家を地域交流のための施設や特産品加工所に改修し、集落の持続可能性を高めることに取り組んでいる。

所有する空き家はどうすればいい？

　相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。

売却する

　今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。

　都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。

　一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。

　地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。

　さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。

解体する

　建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。

　解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。

　今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。

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賃貸活用する

　空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。

　ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。

　また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。

　空き家をどう活用するのがいいかプロに提案してほしいという方は、無料の「空き家解決プラン提案サービス」を利用するのも一つの方法だ。