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シニア向け住宅の選び方のポイントは?高齢者向け住宅のメリットとデメリットを比較解説【終の住処の選び方2】

2024年2月22日公開(2024年2月27日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 高山善文:シニアビジネス・コンサルタント

人生100年時代、介護サービスや高齢者向けのサービスが受けられる高齢者専用の住宅が注目されている。しかし、その種類やシステムなどは非常に複雑だ。そこで、この記事では「シニア向け住宅(高齢者向け住宅)」の選び方について解説していく。1回目では、主にシニア住宅の種類や費用について紹介した。2回目はそれぞれの住宅のメリット・デメリット、選ぶ時の注意点などについて説明する。

シニア向け住宅はどう選べばいい?

終の住処について今のうちから考えよう(出典:PIXTA)
まずはどんな選択肢があるのか知るところから始めよう(出典:PIXTA)

 前編の「シニア向け住宅はどんな種類があるの?全種類の特徴や費用感をわかりやすく徹底解説では、シニア向け住宅の選択肢や特徴、費用について説明した。今回は、それぞれの住宅のメリット・デメリットを説明したい。

 改めて、主なシニア向け住宅の種類を挙げてみる。選択肢としては自宅をバリアフリー化する方法もあるが、ここでは、以下4つの住宅について説明したい。

シニア向け住宅(高齢者向け住宅)の選択肢

①シニア向け分譲マンション
②有料老人ホーム(住宅型)
③サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
④シニア向け賃貸住宅

 各住宅のメリット・デメリット、介護の充実度、具体的な住宅施設の例を下の表にまとめた。介護についての考え方は人それぞれではあるが、将来の安心を担保するうえでは重要なポイントとなるため、項目には、〇×△で介護の充実度も加えた。

シニア向け分譲マンションのメリット・デメリット

種類 メリット デメリット 介護(〇×は充実度) 施設の例
シニア向け分譲マンション

所有権があるため、資産になる
夫婦で住みやすい
レストラン、大浴場など共有施設が充実

住宅の数が少なく、中古市場は限定的で、売りにくい
要介護度が高くなったり、認知症になると退去の可能性も

△通常、訪問介護体制はある。物件規則により、要介護度が高くなれば退去の可能性も

 「ディオセーヌ」(フージャーズ)
「ルミシア」(ミサワホーム不動産)

有料老人ホーム(住宅型)

看護師などが常駐する有人管理体制が整う
食事、家事支援がある
プールなど豪華な共有施設がある施設も多い

費用が高い
退去がしにくい

〇住宅型と介護型を併設するケースが多い

 「パークウェルステイト」(三井不動産)
「プレザングラン」(三菱地所レジデンス)

サービス付き高齢者向け住宅

施設の数が多い
費用が安い施設が多い
退去がしやすい

サービス内容、費用のばらつきが大きい
部屋が狭い
古いタイプは、自立型が少ない

〇介護体制が整っている

 「オウカス」(野村不動産)
「グランクレール」(東急不動産)

シニア向け賃貸住宅

駅近など便利な場所にある場合が多い
退去しやすい
費用は比較的安価

都心周辺に限られる
食事サービスはない
要介護が進んだら住み続けられない可能性も

×ホームセキュリティーのみ。要介護度が高くなれば退去の可能性も

 「ヘーベルVillage」(旭化成ホームズ)

 まずは、シニア向け分譲マンションのメリット・デメリットから見てみよう。

シニア向け分譲マンションのメリット

・所有権があるため、資産になる。
・夫婦で住みやすい。
・共用施設が充実している。

 ほかの住宅とシニア向け分譲マンションとの大きな違いは、所有権付きだということ。資産になるというのは大きなメリットと言えるだろうまた、夫婦など家族単位で住みやすいのも利点だ。間取りでは、一般のコンパクトマンションと大きな違いはないだろう。2LDKを選べば夫婦で住むには十分な広さが確保できる。

 そして、最近ではレストラン、大浴場、ライブラリーなどの共用施設を有している物件が増えている。レストランでの食事は、配膳サービスがあるケースもある。買い物や食事の支度が面倒になったら、建物内にあるレストランで食事ができるというのは、シニアにはうれしいサービスだ。また、同じ敷地内や徒歩数分の場所にクリニックがある場合もある。

シニア向け分譲マンションのデメリット

・住宅の数が少ない
・シニア向け分譲マンションの中古市場は限定的
・要介護度が高くなったり、認知症になると退去の可能性も

 シニア向け分譲マンションは首都圏近郊に増加中ではあるが、その数はまだ限定的だ。必然的に中古市場も活発とは言えない。シニアビジネス・コンサルタントの髙山善文さんによると、「資産になるといっても簡単には売れず、自分たちがすぐに住めるわけでもないため、相続の際に子どもが喜ばないケースもある」という。

 そして、もうひとつ気を付けたいのは、要介護度が高くなったり、認知症になると退去せざるを得ない可能性もあるということ。所有権であるため、簡単に退去となることはないが、入居時に規則を確認しておく必要がある。

有料老人ホーム(住宅型)のメリット・デメリット

 次に、有料老人ホーム(住宅型)のメリット・デメリットを見てみたい。

有料老人ホーム(住宅型)のメリット

・看護師などが常駐し、有人管理体制が整う
・食事、家事支援がある。
・プールなど豪華な共用施設がある施設も多い

 有料老人ホーム(住宅型)の最大のメリットは、介護面の充実だ。【終の住処の選び方1】で紹介した「パークウェルステイト幕張ベイパーク」のように、看護師などが24時間体制で待機していたり、要介護度が重くなると、同じ建物や敷地内にある介護付き施設に移動できるケースが多い。終(つい)の棲家(すみか)という意味では、安心材料がそろっている。

 また、最近では、食事サービスや家事支援はもちろん、プールや大浴場などの共用施設を有する施設も多くなっている。

有料老人ホーム(住宅型)のデメリット

・費用が高い
・退去がしにくい

 有料老人ホーム(住宅型)は、立地によりかなり異なるものの、一般的には費用負担が重くなる。また、初めに利用権として終身の費用を前払いで支払うケースもあり、退去がしにくいという欠点もある。実際の入居者は80歳前後が多く、利用年数が増えてより高額になるため、若いうちからの入居は難しいのが実情だ。
 
 そして、「老人ホーム」という言葉をネガティブに捉られるというデメリットもある。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

 続いて、サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリットを見てみたい。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のメリットは?

・施設の数が多い
・費用が安い施設が多い
・退去がしやすい

 サ高住の特徴でもあり、メリットはその数の多さだ。国の財政面での援助があることから、近年その数は増加しており、制度開始から約10年後の2020年には、全国の登録戸数が25万戸を超えている。

 また、賃貸契約となっていて、費用は敷金のみで月額料金も比較的抑えられるケースが多い。

サ高住「オウカス 幕張ベイパーク」の例(出典:公式ホームページから)
サ高住「オウカス 幕張ベイパーク」の例(出典:公式ホームページから)

 一方、東京都中央区の「グランクレールHARUMI FLAG」など一部のサ高住では、終身契約を導入している施設もある。

 「グランクレールHARUMI FLAG」では、80歳1LDK1人入居で前払い金が4500万円を超えるが、都心ではこのような高級なサ高住が増えている。

「グランクレールHARUMI FLAG」1LDK80歳一人入居の例(出典:公式ホームページから)
「グランクレールHARUMI FLAG」1LDK80歳1人入居の例(出典:公式ホームページから)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のデメリット

・サービス内容、費用のばらつきが大きい
・部屋が狭い
・古いタイプは介護型が中心で、自立型は少ない

 まず、サ高住で義務づけられているサービスは、生活相談、安否確認だけのため、提供されるサービスにばらつきがあり、料金の差も非常に大きいということが言える。

 前述した「グランクレールHARUMI FLAG」のように入居時は自立者向けでも常時介護が必要になったら、介護棟に移動できる施設もあるが、古くからあるサ高住では介護職員が同じ建物内に常駐する介護型が多く、個室ではなかったり、個室でも部屋が狭い。施設により大きな差があるということは知っておいたほうがいいだろう。

シニア向け賃貸住宅のメリット・デメリット

 最後に、シニア向け賃貸住宅のメリット・デメリットを見てみよう。

シニア向け賃貸住宅のメリット

・駅近など便利な場所にある場合が多い
・賃貸のため、退去しやすい
・費用は比較的安価

 シニア向け賃貸物件は、都内を中心に増えている。高齢になると、賃貸物件を貸してもらえないことが多いが、そうした需要に応える形となっている。駅からの距離も比較的近く、退去がしやすいことから、自由な生活を求めるシニアに向いている。従来型のサ高住などと比べると部屋も比較的広めで、費用負担も軽い場合が多い。

 最近増えている都市型のシニア向け賃貸住宅に「ヘーベルVillage」がある。「ヘーベルVillage」は、室内はバリアフリー設計となっており、見守り・駆けつけサービス(ホームセキュリティー)や月1回の生活・健康相談サービスがあるのが特徴だ。

 下は、東京メトロ丸ノ内線方南町駅 徒歩7分にある「ヘーベルVillage方南町」。駅から近く、アクティブシニアには住みやすい環境となっている。

「ヘーベルVillage方南町」1LDKの例(出典:公式ホームページから)
「ヘーベルVillage方南町」1LDKの例(出典:公式ホームページから)

シニア向け賃貸住宅のデメリット

・都心周辺に限られる
・食事サービスはない
・要介護が進んだら住み続けられない可能性もある

 シニア向け賃貸住宅のデメリットとしては、物件があるのが都心や都心近郊に限られることが挙げられる。また、レストランなどはないため、食事は自分で用意することが原則になる。もちろん、大浴場など豪華な共用施設もない。

 また、訪問介護サービスを受けられることは多いが、要介護3以上など要介護度がすすみ、自分たちだけで生活するのが難しくなると、退去せざるを得ないケースも考えられる。

シニア向け住宅選びは入居年齢もポイントに

 ここまで主に、「シニア向け分譲マンション」「有料老人ホーム(住宅型)」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「シニア向け賃貸住宅」と4つの種類のシニア向け住宅を見てきた。

 上記のシニア向け住宅の選びのポイントは、費用と将来の介護への備え。そして、もうひとつは入居年齢となる。

 80歳前後での入居を望むなら、介護体制が充実している「有料老人ホーム(住宅型)」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が有力候補となるだろう。資金面で考えれば、「有料老人ホーム(住宅型)」は、ある程度高額になる可能性が高い。「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、施設によってかなりの幅があるため、あらかじめ予算を決めてから選ぶ必要がある。

 60代、70代と早めの入居を望むなら、「シニア向け分譲マンション」か「シニア向け賃貸住宅」が有力候補となる。アクティブシニアで、自由な生活を望む人が向いているだろう。「シニア向け分譲マンション」は、所有物件という強みがあるため、実際の退去事例は少ないようだが、それでも退去に関する規則をよく確認することが重要だ。

 この中では「シニア向け賃貸住宅」が一番ライトなシニア住宅となる。介護面の充実度は低いが、それでもホームセキュリティーや生活相談サービスもあるため、一般住宅よりは安心感をもって生活ができるだろう。

 実際にシニア向け住宅を選ぶ際には、見学や内見は欠かせない。シニアビジネス・コンサルタントの髙山善文さんによると、「介護で重要なのは人になる。素人が見学で介護の質を確かめるのは難しいが、一つの目安として介護職員の定着率を調べてみるといい」と教えてくれた。見学の際に担当者に聞けば、教えてくれるとのことだった。職員は一定数離職するものだが、そのペースが速く、激しい場合は要注意だというから、覚えておこう。

まとめ

 シニア向け住宅の特徴について、お分かりいただけただろうか。理想の終の棲家を見つけるためには、まだ先の話、介護が必要になったら…などと言わずに、ミドルエイジから情報を収集、定期的に情報をアップデートし、自分に見合った暮らしをイメージしてみることが重要だ。

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