「三田ガーデンヒルズ」驚きの再販価格は21億円!? 新築時の3倍も上昇した理由とは? 同様の値上がりを見せたマンションも紹介

2025年7月8日公開(2025年7月9日更新)
高田一洋:一心エステート株式会社代表取締役CEO

前例のない高額な分譲価格(坪単価1000万~)で注目を集めた「三田ガーデンヒルズ」(東京都港区)。2025年4月から引き渡しが開始され、中古市場に登場しています。その中には、21億円もの再販価格が付いた物件も出ています。ここまで上昇した背景や今後の中古マンション市場について解説します。(一心エステート株式会社代表取締役:高田一洋)

「三田ガーデンヒルズ」が注目を集めた理由

 「三田ガーデンヒルズ」が業界で大きな話題となった背景には、販売が開始された2023年当時のマンション市場を理解する必要があります。2023年2月と言えば、まだ新型コロナが大きな影響を与えており、同年5月には5類感染症と位置づけられるものの、先行きが不透明な状況でした。

 そうしたなか発表された「三田ガーデンヒルズ」の分譲価格は、坪単価1000万円を超える水準で、当時としては前例のない高額設定でした。多くの業界関係者が「誰が購入するのか」と疑問視していたのが正直なところです。

 しかし、この物件が特別だったのには明確な理由があります。まず、事業主体が三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスという業界の2大デベロッパーによる共同開発だったことです。両社による「ガーデンヒルズ」ブランドの開発は、「広尾ガーデンヒルズ」以来、実に38年ぶりのことでした。

 立地面でも申し分ありませんでした。麻布十番駅から徒歩5分という好アクセスに加え、約25,000㎡という港区最大の敷地面積を誇る旧逓信省簡易保険局庁舎跡地という希少な土地でした。

 歴史的建造物を一部保存・再生した「OLD CRAFT & NEW TECH」をコンセプトとするファサードデザインも、格式ある建築美として注目を集めました。さらに南側には三井グループの迎賓館である「綱町三井倶楽部」を望む、まさに一等地中の一等地です。

 共用施設の充実ぶりも他の追随を許さないレベルでした。帝国ホテルと提携したコンシェルジュサービスをはじめ、会員制のフィットネスジム・プール、バーラウンジ、レストラン、シアタールーム、ワークスペース、ゴルフレンジ、スパなど、全1002戸という大規模プロジェクトだからこそ実現できた豪華な設備が話題となりました。

 山手線内側で低層レジデンス、かつ全戸数1000戸を超える最大級の開発という希少性も、注目される理由の一つでした。このような条件が揃った土地は今後二度と出現しないであろうという見方が、業界では一般的でした。

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「三田ガーデンヒルズ」中古価格は、新築分譲時の3倍!?

 「三田ガーデンヒルズ」は、2025年3月の竣工、4月からの引き渡し開始に伴い、早くも中古市場に物件が登場し始めています。その価格水準を見ると、新築分譲時の予想を大幅に上回る状況となっています。

 新築分譲時の価格は、坪単価で1000万円から1600万円程度、平均で1200万円から1400万円程度でした。ところが現在の中古市場では、その約3倍の価格で取引されるケースが出現しています。  

 不動産ポータルサイトを確認すると、2LDK・52㎡で5.2億円、100㎡クラスで8.5億円といった物件が市場に出ており、中には3LDK・160㎡で21億円という超高額物件まで登場している状況です。

三田ガーデンヒルズの中古価格、販売図面
三田ガーデンヒルズ 3LDK 21億円の販売図面(筆者提供)

 これは、新築時の坪単価1200万円程度が、わずか3年足らずで坪単価3000万円を超える水準まで上昇しているということです。このような短期間での急激な価格上昇は、一般的なマンション市場では極めて異例です。先述したような立地性や1000戸を超える大規模開発、そして共用施設などが希少性を高めているようです。

 著名な実業家による購入事例なども話題となり、富裕層の間では完全に「投資対象」として認識されている様子が伺えます。「三田ガーデンヒルズ」は、もはや居住用の住宅という枠を超え、資産運用の一環として位置づけられていると言えるでしょう。

同様の価格上昇を見せたマンション、今後上昇が期待できるマンション

 「三田ガーデンヒルズ」のような顕著な価格上昇を示した物件を分析すると、「駅近・大規模・都心一等地」というキーワードが重要な要素として見えてきます。

 過去の類似事例として、「白金ザ・スカイ」が代表的です。新築時の坪単価が550万円から600万円程度だったものが、現在では1500万円程度まで上昇し、約3倍価格が上昇しています。このプロジェクトも大規模タワーマンションで、優れた立地と充実した共用施設を備えていた点で共通しています。

 「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」も、同様の価格上昇トレンドを示しています。白金エリアの希少性と三菱地所レジデンスのブランド力が相まって、大幅な資産価値向上になっているようです。

 今後同様の価格上昇が期待される物件として、私は「プラウドタワー渋谷」に注目しています。渋谷駅徒歩5分、132戸のタワーマンション、野村不動産と旭化成不動産レジデンスの共同開発という条件が揃っており、新築時の平均坪単価1146万円から考えると、引き渡し後の価格上昇は十分に期待できるでしょう。

 虎ノ門ヒルズエリアや麻布台ヒルズ周辺も同様で、森ビルによる大規模開発プロジェクトの波及効果により、周辺マンションの価格押し上げ効果が期待されています。

 これらの物件に共通する要素は、「交通利便性・大規模開発・高級エリア・充実した共用施設・有力デベロッパーによる開発」です。そして「再現不可能な立地」であるということも挙げられます。「三田ガーデンヒルズ」のような希少立地は、今後の市場では入手困難と考えられます。

【関連記事】>>【2025年版】価格が上がる都心6区の注目マンション11選!プロが着目する価値上昇の3大要素を解説

中古マンションの値上がりは今後も続く?

 マンション価格の今後の動向について、私は基本的には上昇トレンドが継続すると考えています。ただし、市場の二極化が進行していることも重要なポイントです。

 現在の市場は、パワーカップルがフルローンで購入可能な2億円以下の実需市場と、それを超える富裕層市場に明確に分かれています。興味深いことに、1億円以下の物件の価格上昇は限定的である一方、1億円以上、特に2億円を超える物件の価格上昇率が顕著に大きくなっています。

中国系富裕層の影響

 いくつかの理由が考えられますが、まず中国系富裕層による日本不動産への投資拡大などは、最近話題になっている「潤日(ルンリィー)」に関連しています。

 中国国内の政治・経済情勢の不安定化を受け、資産保全の観点から日本の不動産への投資が活発化しているのです。日本の不動産市場は価格変動リスクが相対的に小さく、長期的な資産保全に適していると評価されているためです。

富裕層に富が集中する構造へ

 日本の所得構造も、従来の「一億総中流社会」から欧米型の「一部富裕層への富の集中」へと変化しつつあります。この構造変化が、高額不動産市場の形成と拡大を支えていると言えるでしょう。

 結果として、一般的な所得層では高級マンションへの購入が困難になる一方、富裕層向け物件は投資対象として独自の価格形成メカニズムを持つようになっています。「三田ガーデンヒルズ」の21億円という価格設定は、まさにこの市場構造変化の象徴的な事例と捉えることができます。

 ただし、金利上昇リスクや地政学的リスクなど、価格下落要因も存在することは事実です。また、これらの高額物件を購入できるのは、IPO成功者、事業経営者、海外投資家など、限られた富裕層に限定されるという現実もあります。

 結論として、都心の希少立地における大規模高級マンションについては、建設コスト上昇、富裕層マネーの流入、投資商品としての性格強化などを背景に、今後も価格上昇トレンドが継続する可能性が高いと判断しています。ただし、これは特定の市場セグメントでの現象であり、マンション市場全体が一律に上昇するわけではないという点も付け加えておきたいと思います。

【関連記事】>>不動産価格は、金利上昇やトランプ政権の関税政策にどう影響する? 今後の不動産市場の見通しを考察

【記事で取り上げた中古マンション一覧】

名称 所在地 竣工年  
三田ガーデンヒルズ 東京都港区 2025年

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白金ザ・スカイ 東京都港区 2023年

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ザ・パークハウス白金二丁目タワー 東京都港区 2018年

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プラウドタワー渋谷 東京都渋谷区 2024年

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