東京の新築マンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、2021年末の販売で、最高抽選倍率111倍を付けた。一方、大阪の新築マンション「Brillia Tower堂島」は、最高抽選倍率37倍だった。注目度が高い東西の2物件だが、購買層は対照的。いったいどんな人たちが買っているのか、物件の特徴と併せて見てみよう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
「Brillia Tower堂島」は、「Four Seasons Hotel」が入る日本初の複合開発マンション
「Brillia Tower堂島」は、東京建物が大阪市北区堂島で開発している鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)、地上46階・地下1階建ての超高層マンション。総戸数は463戸(うち分譲対象外53戸)だ。
大阪都心の新たなランドマークになる。大阪の都心中の都心ともいうべき堂島の交通利便性に恵まれた立地であることに加え、世界的なラグジュアリーホテルの「Four Seasons Hotel」と東京建物のマンションブランド「Brillia(ブリリア)」マンションが一体となった、日本初の複合開発であることが最大の特徴といっていいだろう。
購入すれば「Four Seasons Hotel」の世界最高クラスのさまざまなサービスを享受できる。そして、「Brillia Tower堂島」は、それにふさわしい仕様・設備となっている。たとえば、最上階のラウンジ・パーティールームのほか、バー、フィットネスルーム、ワーキングスペースなどの共用施設が充実している。外観も上層階の建物形状をセットバックさせ、大阪の街に埋もれない、シンボリックな外観となっており、所有者のプライドを十分に満足させる建物といっていいだろう。
「Brillia Tower堂島」の価格は、5250万円~10億8000万円
「Brillia Tower堂島」は、誰もが憧れる大阪を代表するハイグレードマンションになりそうだが、価格もそれにふさわしく、高額になっている。
2021年11月の第1期販売の対象住戸の専有面積は37㎡~236㎡台。間取りはstudio(1ルーム)タイプから3LDKまでで、価格は5250万円~10億8000万円台だった。坪単価にすれば、447万円~1509万円台になる。
シングルやディンクス向けの都心にしては比較的リーズナブルな住戸もあるが、全体としては富裕層向けの超高額物件が中心となっている。ちなみに、分譲対象外の53戸は、一般には販売されず、東京建物などの顧客に特別な価格で販売されているとみられる。もちろん、10億円以上の住戸が多いのではないだろうか。
2021年11月に行われた一般向け分譲の第1期は、販売戸数185戸に対して、平均4.6倍、最高37倍の申し込みで完売したわけだが、どんな人たちが買っているのかをみると、興味深い結果になっている。
「Brillia Tower堂島」の購入者は、50歳以上がほぼ半数、7割は2人以下の世帯
「Brillia Tower堂島」の購入者のプロフィールをみると、最も特徴的なのが年齢。10歳刻みでみると、一番多かったのは50代の25.7%で、次いで60代が23.4%だった。ほぼ半数を50歳以上の人たちが占めているわけだ。
世帯人員は2人が36.9%で、1人が31.7%と、2人以下が7割近くに達しており、ファミリーの比重は極めて低い。職業は値段からして当然予想されることだが、会社役員が37.8%、会社経営が15.4%、医師が10.7%で、会社員は14.9%にとどまっている。
居住地をみると、大阪府が63.5%を占め、そのうち大阪市北区が17.7%、中央区が8.7%などとなっている。
「Brillia Tower堂島」のstudioや1LDKは投資用か?
ある程度の年収に達しているか、それなりの資産を持つゆとりある年配の単身者やカップルが、交通利便性が高く、共用施設がそろい、サービスが充実したマンションでゆったりとした生活を送りたいとして購入したケースが多いのではないかとみられる。
ただ、専有面積の狭いタイプは、居住目的ではなく投資用に購入されている物件が多いのではないかとみられるが、その点は公表されていない。
次期販売される住戸の販売予定価格、販売戸数は未定だが、専有面積は37㎡台~126㎡台で、間取りはstudioタイプ~3LDKまでとなっている。
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「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、普通の会社員でも何とか手が届く
一方、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、分譲住宅4145戸、賃貸住宅1487戸で、総開発面積約13.4万㎡の規模を誇り、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスなど大手企業10社の共同事業で、三井不動産レジデンシャルが幹事会社をつとめている。
2021年末時点の販売においては、「Brillia Tower堂島」を大きく上回る最高倍率111倍を記録したわけだが、その人気の理由は「Brillia Tower堂島」とは大きく異なっている。
東京都中央区晴海アドレスで、都心に近い立地ではあるものの、最寄り駅の都営地下鉄大江戸線の「勝どき」駅から徒歩20分前後と、必ずしも交通の便に恵まれたマンションとはいえない。にもかかわらず、こんなに人気を集めているのは、「Brillia Tower堂島」と違って、会社員世帯でも、多少頑張れば手が届く価格帯に設定されている点にあるのではないだろうか。
都心近くのマンションが4000万円台から購入可能
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、最高111倍を記録した2021年の販売では、2LDKが4990万円~で、3LDKは5790万円~だった。首都圏の平均価格が6000万円を超え、東京23区だけに限ると8000万円を超えるなかでは、この価格帯にはかなりの割安感がある。
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、2020東京オリンピック・パラリンピックの選手村として利用したあと、分譲住宅にリフォームして販売することを前提に、東京都が周辺相場より格安で土地を販売したという経緯があり、価格も相場より安めに設定されている。
しかも、最初に販売が行われた2019年からほとんど価格は据え置かれている。その間、首都圏、特に東京23区の新築マンション価格は大幅に上昇しており、割安感が一段と強まっている。「都心近くでマンションを手に入れられる最後のチャンス」とばかりに、多少の無理を覚悟で購入している会社員世帯も多いのではないだろうか。
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、広めの住まいを求めるファミリー層が多い
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の事務局によると、2021年11月の販売に申し込みをした人のプロフィールは概ね次の通りだ。
購入希望者の現在の居住地は、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」のある東京都中央区やその周辺の江東区、港区が中心だが、首都圏全体に広がっている。地縁や土地勘のない人も、その価格のお手頃感から購入に動いたケースが多かったのではないだろうか。
家族数は2人から3人が中心で、4人以上のファミリーも少なくない。この点は先の「Brillia Tower堂島」が1人、2人が中心だったのと大きく異なる。専有面積70㎡台~80㎡台の広めのすまいを求める人が多く、コロナ禍を反映して、ワークスペースも可能な住まいを求めて購入する人が少なくなかったようだ。
年代的には30代、40代が中心。50代以上が半数近い「Brillia Tower堂島」とは好対照。ただ、50代以上も3割を超え、リタイア後の生活を見据えて、ユニバーサルデザインが徹底した「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」を求める人も一定数いたようだ。
2022年3月からの販売も、人気を集めるのは必至
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の次回の販売は、3月中旬から始まる。販売戸数は未定だが、これまで同様に数百戸の大規模な販売になるとみられる。
「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、分譲マンションが「PARK VILLAGE」「SUN VILLAGE」「SEA VILLAGE」と呼ばれる3エリアから成るが、今回対象となるのは、「PARK VILLAGE」と「SUN VILLAGE」だ。
「PARK VILLAGE」は専有面積66㎡台~91㎡台で、80㎡台の3LDK中心。価格は6000万円台~1億0400万円台で、最多販売価格帯は7900万円台を予定している。
一方、「SUN VILLAGE」は商業施設に隣接し、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の入り口に位置して、利便性の高い立地が特徴。61㎡台~106㎡台までと幅広く、間取りも1LDK~4LDKまで多彩。価格帯は4900万円台~1億700万円台で、6400万円台が最多価格帯となっている。
新築マンション価格上昇のなかでも、価格はほぼ据え置かれており、今回も人気を集めるのは間違いないだろう。次期販売の最高抽選倍率は、果たして111倍を超えるのか、注目だ。
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◆Brillia Tower 堂島 | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 |
2023年12月下旬(予定) |
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交通 | JR「大阪」駅徒歩9分 他 | 所在地 | 大阪府大阪市北区堂島二丁目17番5(地番) | |
間取り | studio~3LDK | 建物面積 | 37.01㎡ ~ 126.92㎡ | |
総戸数 | 463戸 | 来場者数 | - | |
売主 | 東京建物 | 施工会社 | 竹中工務店 | |
※データは2022年3月9日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆HARUMI FLAG(晴海フラッグ) | ||||
価格 |
SUN VILLAGE 第一工区 第1期 4,900~10,700万円台 SEA VILLAGE 第2期 未定 6,000万円台~10,400万円台 |
入居時期 | 【SEA VILLAGE】2024年3月下旬【SUN VILLAGE第一工区】2024年3月下旬【PARK VILLAGE第一工区】2024年3月下旬 | |
交通 | 【SEA VILLAGE】都営大江戸線「勝どき」駅(A3a出口利用)下車徒歩16分(E棟)・17分(D棟)・18分(C棟)・19分(B棟)・20分(A棟) 他 | 所在地 | 東京都中央区晴海5丁目502番、503番、504番 | |
間取り | 【SEA VILLAGE】3LDK~4LDK 【PARK VILLAGE】2LDK~3LDK 【SUN VILLAGE】2LDK ~ 4LDK |
専有面積 | 【SEA VILLAGE】85.37㎡~123.01㎡(トランクルーム面積0.42㎡~1.58㎡含む) 【PARK VILLAGE】66.85㎡~91.73㎡ 【SUN VILLAGE】61.06㎡ ~ 116.58㎡ |
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総戸数 | 【SEA VILLAGE】686戸 【PARK VILLAGE】1,637戸 【SUN VILLAGE】1,822戸 |
売主 | 三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産社、東京建物八重洲分室、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、大和ハウス工業 | |
※データは2022年3月9日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |