2025年8月29日11時30分頃、東京都八王子市で自動運転バスが歩道に乗り上げ、街路樹に衝突する事故が発生し乗客数名が軽傷を負った。そのバスにはダイヤモンド不動産研究所の記者も同乗していた。自動運転バスの”暴走”事故の様子をレポートする。

このバスは、東京都が進めるプロジェクトの一環として、八王子市で8月23日より実証実験を行っていた自動運転バスだ。自動運転レベルは運転手が同乗する「レベル2」で、実際の道路を一般の乗客を乗せて運行していた。
「きゃあ!」「痛い!」事故の瞬間、騒然となる車内

事故は、始発の高尾駅北口から出発して直ぐに起きた。平日のお昼時の甲州街道。車通りは非常に少なく、4車線で幅も十分。横断歩道も信号も離れている。あおり運転やスピード超過の車が近くを通ったわけでも、車線に飛び出してきた歩行者がいたわけでもない。事故が起こりようもないはずの場所で、今回の事故は突然、発生した。
バスは大きく車線を外れ、歩道へと乗り出して街路樹へ衝突。乗っていた筆者の感覚では、この間、減速や急停止が行われたようには感じなかった。
今回はたまたま街路樹に衝突して止まったが、そこに歩行者がいたら大惨事となっていたことだろう。
事故は偶然か、必然か
実のところ、発進前から不安はあった。
事故を起こしたバスの1本前のバスが、わずか数メートルの区間を何度も急ブレーキをかけながら進んでいく姿を、停留所の人々は不安そうに見つめていたからだ。
また、バスの発進直後「急ブレーキがかかることが多いため、シートベルトを締めるように」とのアナウンスが入ったものの、設置されていたシートベルトがあまりに緩いことも気になった。これでは、有事の際に効果があるのかは疑問である。実際、体が前方に大きく投げ出され、手すりや椅子などに衝突してしまった乗客もいた。
今回の実証実験。開始するには時期尚早であり、準備不足だったのではないか。それが一乗客としての率直な感想である。