東京都の空き家率・空き家数ランキングを公開する。全国的に問題視されている「空き家問題」は、地方だけでなく都市部でも年々増加しており、社会課題のひとつとなっている。本記事では、東京都の空き家率とその全国順位を紹介し、空き家の特徴や対策・活用方法についても解説しよう。
東京都の空き家率、長期推移、特徴
東京都の空き家の全体概要をみてみよう。
最新のデータ(2023年度)によると、東京都の空き家数は896,500戸、空き家率は10.93%となっている。東京都の空き家率は全国44位に位置しており、全国の13.84%に比べて低い。
東京都は住宅需要が高く空き家率は全国でも低いが、総住宅数が非常に多いため空き家の絶対数は最多である。
近年、人口増加の鈍化と住宅供給過多により賃貸用住宅の空室が増え、東京でも空き家率は上昇傾向を示している。空き家の多くはマンションなどの一時的な空室だが、都心の木造密集地域などでは老朽化した空き家が防災上の課題となっている。
そのため、空き家活用のマッチングや区市町村による特定空家の行政代執行など、都市型空き家への対策が進められている。
東京都の空き家率の長期推移は?
2023年度の東京都の空き家率は、前回調査データ(2018年度)から0.37ポイント増加。空き家数は86,600戸増加した。人口減少と高齢化の影響が顕著に現れており、今後も増加傾向が続く可能性が高い。
以下に、1958年からの空き家率と空き家数の推移を示す。

東京都の空き家の推移(1958年〜2023年)
年 | 空き家率 | 空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|
2023 | 10.93% | 896,500 | 8,201,400 |
2018 | 10.56% | 809,900 | 7,671,600 |
2013 | 11.10% | 817,100 | 7,359,400 |
2008 | 11.07% | 750,300 | 6,780,500 |
2003 | 10.76% | 665,400 | 6,186,000 |
1998 | 11.01% | 624,400 | 5,669,500 |
1993 | 9.95% | 527,100 | 5,299,500 |
1988 | 8.53% | 411,100 | 4,817,600 |
1983 | 8.73% | 395,200 | 4,528,200 |
1978 | 8.06% | 341,800 | 4,239,200 |
1973 | 5.62% | 213,400 | 3,795,600 |
1968 | 3.96% | 124,390 | 3,139,380 |
1963 | 2.67% | 67,000 | 2,514,000 |
1958 | 2.25% | 41,000 | 1,824,000 |
東京都の空き家ランキング【2023年度最新版】
東京都の市区町村の空き家の状況はどうなっているのか。以下は、空き家率が高い順のランキングだ。表の市区町村名からはそのエリアの将来の中古戸建て価格予想が確認できるので、売却などを検討している方は参考にしてほしい。
- 空き家率順
- 放置空き家率順
順位 | 市区町村名 リンク先は 将来価格予想 |
空き家率 | 空き家数(戸) | 放置空き家率※ | 放置空き家数(戸) | 住宅総数(戸) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 豊島区 | 13.94% | 29,810 | 0.86% | 1830 | 213800 |
2 | 港区 | 13.69% | 24,360 | 1.43% | 2550 | 177980 |
3 | 清瀬市 | 13.63% | 5,660 | 2.46% | 1020 | 41530 |
4 | 国立市 | 13.49% | 6,160 | 1.73% | 790 | 45680 |
5 | 府中市 | 12.97% | 18,470 | 3.48% | 4960 | 142390 |
6 | 荒川区 | 12.90% | 16,920 | 3.99% | 5230 | 131160 |
7 | 千代田区 | 12.56% | 5,300 | 1.37% | 580 | 42210 |
8 | 瑞穂町 | 12.30% | 1,730 | 5.61% | 790 | 14070 |
9 | 中野区 | 12.11% | 28,620 | 0.81% | 1920 | 236250 |
10 | 立川市 | 12.04% | 12,360 | 2.02% | 2070 | 102640 |
11 | 昭島市 | 11.92% | 7,250 | 1.83% | 1110 | 60820 |
12 | 北区 | 11.90% | 25,460 | 1.98% | 4230 | 213930 |
13 | 葛飾区 | 11.77% | 29,420 | 2.40% | 6010 | 249950 |
14 | 墨田区 | 11.75% | 20,500 | 2.17% | 3780 | 174530 |
15 | 多摩市 | 11.70% | 9,270 | 2.29% | 1810 | 79210 |
16 | 青梅市 | 11.70% | 7,520 | 4.59% | 2950 | 64280 |
17 | 板橋区 | 11.69% | 42,490 | 2.84% | 10320 | 363490 |
18 | 狛江市 | 11.29% | 5,330 | 2.86% | 1350 | 47200 |
19 | 渋谷区 | 11.24% | 19,670 | 0.56% | 980 | 174970 |
20 | 新宿区 | 11.18% | 29,180 | 0.52% | 1350 | 261030 |
21 | 八王子市 | 11.09% | 33,650 | 2.60% | 7900 | 303470 |
22 | 東大和市 | 11.06% | 4,590 | 2.72% | 1130 | 41490 |
23 | 中央区 | 11.05% | 11,720 | 5.10% | 5410 | 106070 |
24 | 武蔵野市 | 11.01% | 9,840 | 3.56% | 3180 | 89370 |
25 | 小平市 | 10.92% | 10,990 | 2.50% | 2510 | 100600 |
26 | 足立区 | 10.89% | 43,850 | 2.75% | 11070 | 402630 |
27 | あきる野市 | 10.89% | 3,950 | 4.30% | 1560 | 36280 |
28 | 世田谷区 | 10.88% | 58,850 | 4.41% | 23840 | 541000 |
29 | 大田区 | 10.83% | 48,880 | 2.05% | 9260 | 451460 |
30 | 三鷹市 | 10.76% | 11,720 | 2.52% | 2740 | 108940 |
31 | 日野市 | 10.72% | 10,950 | 3.20% | 3270 | 102110 |
32 | 目黒区 | 10.70% | 18,250 | 1.96% | 3340 | 170580 |
33 | 羽村市 | 10.67% | 2,920 | 2.34% | 640 | 27360 |
34 | 福生市 | 10.66% | 3,330 | 2.37% | 740 | 31230 |
35 | 文京区 | 10.47% | 15,670 | 4.59% | 6870 | 149710 |
36 | 台東区 | 10.46% | 15,390 | 6.87% | 10110 | 147140 |
37 | 小金井市 | 10.41% | 7,430 | 2.91% | 2080 | 71400 |
38 | 東久留米市 | 10.19% | 5,810 | 3.18% | 1810 | 57000 |
39 | 品川区 | 10.08% | 26,680 | 2.13% | 5630 | 264650 |
40 | 東村山市 | 9.89% | 7,610 | 2.26% | 1740 | 76940 |
41 | 調布市 | 9.66% | 13,080 | 1.69% | 2290 | 135360 |
42 | 杉並区 | 9.54% | 34,870 | 1.73% | 6330 | 365470 |
43 | 練馬区 | 9.48% | 39,770 | 1.89% | 7950 | 419650 |
44 | 国分寺市 | 9.43% | 6,870 | 1.23% | 900 | 72880 |
45 | 町田市 | 9.38% | 20,220 | 2.29% | 4930 | 215630 |
46 | 江戸川区 | 9.32% | 34,130 | 4.24% | 15530 | 366170 |
47 | 西東京市 | 9.31% | 10,030 | 2.89% | 3110 | 107690 |
48 | 武蔵村山市 | 9.22% | 3,070 | 2.43% | 810 | 33300 |
49 | 江東区 | 9.04% | 26,950 | 2.29% | 6820 | 298230 |
50 | 稲城市 | 8.72% | 3,860 | 1.33% | 590 | 44270 |
51 | 日の出町 | 6.94% | 460 | 4.98% | 330 | 6630 |
空き家率がもっとも高い市区町村は豊島区
東京都で空き家率がもっとも高かったのは豊島区の13.94%だ。
豊島区は、主要駅周辺を除き、築古マンションや小規模木造住宅が多く、若年層の流入先が他区に偏在。再開発が追いつかず、空き家化が進行した結果、東京都でもっとも空き家率が高くなっている。
深刻化している「放置空き家」率がもっとも高いのは台東区
近年注目されている空き家問題だが、中でも深刻化しているのが、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家、つまり放置空き家である。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の放置空き家数は3,856,000戸で、住宅総戸数に占める放置空き家の割合は5.93%に達している。
放置空き家は、管理されずに放置状態にあるケースが多く、倒壊・火災等の安全性の問題、ゴミの不法投棄や不審者の侵入等による治安悪化、周辺の不動産価値の低下などの問題を引き起こす。特に地方では人口減少に伴い放置空き家が増加し、集落の維持が困難になるケースも出ている。
東京都の放置空き家率がもっとも高かったのは、台東区で6.87%となっている。
国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により特定空家等への対策を強化しているが、所有者不明や相続放棄による管理者不在の空き家も多く、対応が難しい状況である。空き家の発生予防と利活用促進の両面からの対策が急務となっている。
東京都の空き家対策や活用事例は?
東京都では、「空き家でお困りの方 (東京都空き家ポータルサイト)」から、相談窓口や補助金一覧などを確認できるページを開設している。
また、空き家対策として「予防」「適正管理」「活用」の三本柱を掲げ、総合的な取り組みを展開している。
予防策では、所有者への啓発活動や相続登記の促進を図っている。適正管理においては、市区町村と連携し、空き家の実態調査や危険空き家の除却支援を実施。活用面では、「空き家利活用モデル事業」を通じて、地域のニーズに応じた空き家の利活用を推進している。
東京都における空き家活用事例
多摩地域の空き家活用事例として、日野市では築50年以上の古民家を改修し、コミュニティカフェとして再生した事例がある。地域住民の交流の場としての機能に加え、子育て世代の居場所づくりや高齢者の生きがい創出にも貢献している。
UR都市機構はこのほど、八王子市、法政大学と、グリーンヒル寺田団地にコミュニティスペースを開設した。大学が集積する地域特性を活かし、学生と地域住民が共同生活を送る場として機能し、世代間の交流と地域コミュニティの活性化を促進している。
所有する空き家はどうすればいい?
相続などにより所有する空き家がある場合、売却、解体、賃貸活用の3つの対策が考えられる。
売却する

今後も使う予定がなく、解体や賃貸にも魅力を感じないならば、売却を検討しよう。
都心部などでは、不動産会社による仲介を通じて買い手を探すのが一般的だが、売却期間が数カ月以上かかる場合もある。
一方、不動産会社による直接買取ならばスピーディに契約でき、契約不適合責任が免除されるメリットもあるが、売値は仲介に比べて低くなりがちだ。
地方や限界集落では買い手を見つけるのが困難な場合もあり、各都道府県の「空き家バンク」を活用して移住希望者とマッチングするか、不動産買取専門業者に相談する手もある。
さらに、相続した土地ならば「相続土地国庫帰属制度」の利用も視野に入れて、全体的な負担を減らす手段を探ることが大切である。
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解体する

建物が老朽化して倒壊リスクが高い場合、解体を早めに検討するのが望ましい。特に豪雪地帯などでは、降雪前に建物を取り壊しておけば周囲への被害を防げる。
解体費用はかかるが、放火や倒壊などのリスクを考慮すれば、結果的に周囲とのトラブルやメンテナンスの負担を減らすことにつながる。解体後の土地にすぐ利用予定がない場合は、時間貸し駐車場やマッチングサービスを使って暫定的に運用するのも一つの手だ。
今後も使い道がなければ、早めの売却によって固定資産税などの負担が軽減されることにもなる。
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賃貸活用する

空き家がそのまま使える、あるいはリフォームすれば活用可能な場合は、賃貸住宅として貸し出すのが一般的な選択肢となる。
ファミリー向け物件が不足している地域では、安定した賃料収入が期待できるかもしれない。
また、短期利用のニーズを狙うならば、シェアスペースとしてイベントや集まりに提供する手法や、観光需要が回復しつつある中で民泊として運用する方法もある。