不動産を売却するか、賃貸に出すかーー不動産を所有しているなら、どうすべきか悩んだことがある人は多いでしょう。都内で不動産会社を経営する高田一洋氏が、同テーマについて実例を交えながら、自身のYouTubeチャンネル「たかちゃん不動産」で解説しました。
不動産を売るか貸すかで悩んでいる人は多い
不動産を売るか、貸すかーーこのテーマは、私が経営する不動産会社の相談でもとても多いです。特に都心のようなエリアでは、どちらを選んでも利益が出る可能性がある、いわば「ありがたい悩み」ともいえます。プロとしては、物件を見ただけでどちらが良いかおおよその見当はつくものの、最終的にはお客様の事情が非常に重要になってきます。
では、売却を選ぶケース、賃貸を選ぶケースそれぞれの要因を不動産に関する重要な知見も踏まえて見ていきましょう。
売却を選ぶケースとは?
結果的に不動産を売却することに至るお客様のケースには、主に以下の3つの要因が見られます。
1. 利益の確定と心理的な安心感
最も大きな売却理由は、「相場が上がっているうちに一度利益を確定させたい」というものです。 含み益といった「目に見えない資産」を、現実の現金として確定させておきたいという心理が働くのです。不動産市場は景気や金利などの影響を受けやすく、トランプショックのような不安定な時期には売却に傾く傾向が強くなります。
2. 住み替え時の資金計画と住宅ローンへの影響
 
住み替え(新しい住宅の購入)をする際、現在の自宅の住宅ローンが残ったままだと、次の住宅の審査や金利に影響を及ぼし、物件の選択肢が狭まる場合があります。
住宅ローンが残債として残っていると、次の融資額の上限が決まってしまい、借り入れが難しくなる可能性があるのです。
近年では、今の自宅を残したまま次の住宅を購入できる状況が広がり、先に購入できる人も一定数いますが、資金計画を成り立たせるために売却を先行させるケースもあります。ただ、今のトレンドとしては、売却と購入の両方を同時に進めていく「ミックス型」が一般的です。
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3. 3,000万円特別控除の適用
さらに、税制上のメリットも売却を後押しする要因になっています。これは少しイレギュラーなテクニックですが、住まなくなってから3年以内、かつその3年目の12月31日までに売却すると、3,000万円の特別控除を利用できる場合があります。
「たまたま賃貸に出していたものの、借りていた方がすぐに退去してしまい、住まなくなってまだ1年半しか経っていない」という相談事例で、この特別控除を利用できたケースがありました。これにより、値上がりしている分をそのまま非課税の利益として取り出すことが可能になります。
私自身が不動産業界に入った2010年(リーマンショック直後)は、売却=損失(マイナス)を被る時代でしたが、2020年代に入ると不動産相場は急速に上昇し続けて、ほとんどのケースでプラスになっているため、売却に対するネガティブな感情はあまり働かなくなりました。
今では前向きな資産整理の手段として売却を選ぶ人が増えています。状況を見極めながら利益を確定させるという発想が、現在の不動産市場では主流になりつつあります。
賃貸に出すケースとは?
不動産を売却せずに、賃貸に出すことを選択するお客様の特徴としては、以下の3点が挙げられます。
1. 将来的に物件に戻る予定がある場合
賃貸を選ぶ理由の一つは、いずれ戻る予定があるケースです。地方転勤や海外赴任の場合は3〜4年という期間が多く、その間部屋を空けておくのはもったいないため、定期借家契約で貸し出す選択をします。特に分譲マンションでは、定期借家契約の物件が多いのが実情です。
2. 思い出や愛着による感情的な理由
初めて購入したマンションや、親御さんから引き継いだ実家など、「売りたくない」という感情的な理由から賃貸を選ぶこともあります。 結婚や出産・育児など、家族の思い出が詰まっている物件に対しては、やはり愛着があり、手放すことをためらうケースが多く見られます。
3. 資産形成のポートフォリオとして保有したい
 
不動産は古くから「安定資産」と呼ばれており、資産形成のポートフォリオの一つとして持っておきたいというニーズが一定数あります。
不動産は、自分で住む、賃料収入を得る、売却して現金化するという複数の活用方法を持てるため、非常に優秀な資産だといえます。
保険会社や鉄道会社などの大企業でも不動産を活用しており、100年以上続いている企業や老舗の半数以上が大家業を営んでいるというデータもあるほどです。永続的に繁栄していく組織には、不動産の力が不可欠であるという事実は立証されているため、資産として保有し続ける選択は賢明だといえるでしょう。
利益が出ると分かっても、個人の事情で選択が変わる
不動産の売却か賃貸かという選択は、市場価格や賃料相場を基準に考えるのが基本です。しかし、ご相談を受けていると、数字の上では売却が有利でも、持ち主の思い入れや生活環境で結論が変わることが多く、所有者の事情が8割を占めるのが実情です。合理的な判断だけでは整理できない気持ちの部分が、意思決定を大きく左右しているようです。
実際、売却の利益確定や賃貸による安定収入といった数字で見える要素に加え、家族の将来やライフイベント、思い出といった数字にできない要素が重なることで、判断が複雑になるケースも少なくありません。
結局のところ、「売却か賃貸か」という問いに普遍的な正解はありません。市場の相場感に頼るよりも、自分や家族の事情を整理したうえで冷静に考えることが、結果的に一番納得できる判断につながるのでしょう。合理性と感情、その両方を見据えたバランス感覚が、不動産を上手に活かす鍵になると言えそうです。
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