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リフォーム見積もり時に注意するべきポイントとは? 事前準備から見積もり時のコツ、見積書の見方について解説

2023年10月31日公開(2023年11月15日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 高橋みちる:アールイーデザイン一級建築士事務所 代表

リフォーム業者への見積もり時には、金額の確認だけでなく、安心してリフォームを任せられる業者かどうかをチェックすることが大切です。リフォーム見積もりに必要な「事前準備」「リフォーム業者探し」「見積もり依頼の方法」「見積書の正しい見方」の流れやポイント、注意点について解説します。

リフォーム見積もりのポイント

【準備】リフォーム見積もり前に用意するもの3点

リフォーム 見積もり
「リフォーム見積もり」は業者選びの重要なステップだ(画像:PIXTA)

 リフォーム工事はその家に合わせたオーダーメイドのため、定価がないのが普通です。トイレ・風呂場・屋根・外壁……など、工事箇所によってある程度の相場はありますが、実際にかかる費用は見積もりを取ってみないと分かりません。

 このように、リフォーム前には「見積もり依頼」が必須なのですが、どのように依頼したらいいのでしょうか。リフォーム業者から適正な見積もりを得るためにも、以下の3点を事前に準備しておきます。

準備① 住まい全体やリフォーム箇所のデータ

リフォーム前には、家の構造がわかる間取り図を用意しておこう(画像:PIXTA)

 家の図面(配線・配管を含む)や間取り図のコピー、リフォーム箇所の写真(画像)などを用意します。築年数や面積、構造、これまでのリフォーム歴などについても、答えられるように整理しておきましょう。

 また、屋根や外壁などのリフォーム費用を見積もる場合は、隣家との間隔も測っておくといいでしょう。足場を組めるかどうかで費用が異なってきます。

準備② 予算の希望額と上限額を決める

  リフォーム費用の予算を決めます。希望額と上限額をそれぞれ決めておくといいでしょう。実際に見積もりを依頼する時は、リフォーム業者に「希望額」だけを伝え、上限額については胸のうちにしまっておきましょう。上限額を伝えてしまうと、どうしてもその金額を基準にした品質のリフォームプランになってしまいがちです。その場合、追加工事などが発生すると、上限予算を超えてしまうこともあります。

準備③ リフォームの要望と優先順位を明確にする

「キッチンのコンロはIHにしたい」「玄関周りにゴルフバッグの入る収納スペースを設けたい」など、要望が具体的なほうが、見積もりの精度は高まります。複数箇所のリフォームを希望する際は、優先順位を付けます。耐震工事や断熱工事、老朽した部分の補修など、暮らしの安全に関わることを最重要事項にして、そのほかの要望についてはこだわりの強さで順位付けします。

 また、リフォーム業者に要望を伝えるときは、「なぜ、そのリフォームをしたいのか?」という背景や意図についても伝えるようにしましょう。たとえば、アイランドキッチンを希望する理由が、車椅子でも移動できるように動線を確保することであれば、そのことも伝えます。本来の目的を達成するのに、より良い案を提案してもらえるかもしれません。

【関連記事】>>リフォームの優先順位はどこから? 一級建築士が教える、リフォームで最優先にすべき3つのポイントは「断熱・耐震・バリアフリー」

【見積もり依頼】リフォームの見積もりを取る方法は2通り

 見積もりを取る準備ができたら、リフォーム業者に見積もり依頼をします。

方法① リフォーム業者に直接、見積もりを依頼する

 近所の工務店や既に面識のあるリフォーム業者、知人の紹介などで見つけた業者に、直接、見積もりを依頼します。

 見積もりを出す前には「現地確認(現地調査)」といって、リフォーム業者の担当者が家を訪れリフォーム箇所の確認を行います。依頼者もその場に立ち会い、リフォーム業者からの質問や提案を受けながら、見積もりの内容や範囲を確定させていきます。

■第一候補は“その家を建てた業者”

 リフォームの依頼をするにあたっての第一候補は「その家を建てた業者」です。誰よりもその家の構造を熟知しているため、安心してリフォーム工事を任せられます。

 特に、ハウスメーカーで家を建てた場合は注意が必要です。

 リフォームコンサルタントの高橋みちる氏によると「ハウスメーカーは、構造などに独自の基準を持っていることがほとんど。これを理解せずに、別の工務店やリフォーム業者に頼んでしまうと、本来の耐震性や断熱・気密性を損なってしまうケースもあります。ハウスメーカーにリフォームを依頼すると予算が大きくなりがちですが、安全性や性能を考えると、必ずしも高額だとは言えません」

 ハウスメーカーでなくても、手元に家の図面がなければ、リフォーム業者に正確な構造を伝えることができません。そのためにも、まずは家を建てた会社に連絡することをおすすめします。

■リフォーム業者探しは、事前のリサーチが大切

 リフォーム業者を一から探す場合には、リサーチが非常に重要です。リフォーム業者と言っても、工務店、住宅メーカー・ハウスメーカー、リフォーム専門業者などがあり、それぞれに特徴があります。

 工務店の中でも「プランニングが得意」「施工技術が高い」などと特徴が各社で異なり、リフォーム専門業者の場合は、水道、塗装、屋根など得意な領域が限られている場合も多いので、自分の望む予算・内容でリフォームを行える業者をリサーチしておく必要があるのです。

 リサーチの際には、施工のポリシーやセールスポイント、工事実績などを確認しましょう。また、口コミサイトやSNSで評判をチェックするのもおすすめです。その業者でリフォームをしたことがある知人に、話を聞くのもいいでしょう。他の業者についての情報も持っているかもしれません。

方法② 「リフォーム業者一括見積もりサイト」を利用する

 「一括見積もりサイト」とは、複数のリフォーム業者にまとめて見積もりを依頼できるサービスです。質問に回答する形式で、家の基礎データや希望するリフォーム内容を入力していくと、条件に合ったリフォーム業者が抽出され、そのまま見積もりを依頼することができます。

 ただし、ここで得られるのは、限られた情報による「概算の見積もり」です。そこからさらに話を進める場合は、業者に個別に連絡を取り、改めて正確な見積もりを取り直すことになります。

 つまり、一括で大まかな見積もりを取った後は「自分で直接業者に依頼する」ときと変わりありません。業者を絞り込んで家を訪問してもらい、リフォーム箇所を確認してもらったうえで、正確な見積もりを出してもらいます。

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【見積もり依頼】リフォーム見積もり依頼時の注意点

 見積もりを取る目的は、リフォームプランや工事費用の金額を確認するだけではありません。その前後のやり取りも含めて、その業者の専門性や取り組みの姿勢もチェックしましょう。また、以下の点にも注意して、見積もり依頼をしていきましょう。

注意点① 相見積もりは3~5社程度にとどめる

 リフォーム関連の情報サイトの多くが、相見積もりを取ることを勧めていますが、これは悪徳業者に引っかからないようにするためです。見方を変えれば、評判などのリサーチを事前にきちんと行えていれば、必ずしも相見積もりを取る必要はありません。多くても3~5社にとどめるのがベストです。

 前出の高橋みちる氏は、「そもそも見積もり金額は業者選びの決め手にはなりません。10社から見積もりを取ったとして、最安値の業者に工事を頼めるでしょうか? 安ければ安いで、必要な工事が省かれていたり、監理が甘かったりするものです」と言います。

 リフォーム業者を選ぶ際には、予算だけでなく、施工実績や評判、プランの好み、担当者の人柄などを重視して決める人がほとんどです。むやみに複数の業者から見積もりを取っても、時間のロスにしかなりません。

注意点② 相見積もりを取るときは依頼内容を統一する

 依頼内容をバラバラにして見積もりを取ってしまうと、正しい比較ができません。そうでなくても、見積書の書式は業者によって異なります。

 ただし、業者の特徴を踏まえたうえで、A社ならこの内容でリフォーム、B社ならこの内容で……といったように、具体的なイメージがあるなら、無理に統一する必要はありません。むしろ気をつけたいのは、相見積もりだからといって適当な内容で見積もりを取り、工事の依頼先を決めてから要望を大きく変更することです。

 もちろん、変更がまったくいけないわけではありませんが、その都度、業者にとっては仕事のやり直しになります。どんな買い物にも、注文の変更には期限があるように、依頼する側の責任を忘れてはいけません。

注意点③ 他社の見積もりを値引き交渉に利用しない

 単なる値引き交渉ならともかく、他社の見積もりを利用するのは「買いたたき」で、業者からすれば気分の良いものではありません。また、見積書が他社に流れているのでは……という不信感にもつながります。

「浴槽、便器など設備や材料については、業者によって仕入れ値が異なります。同一製品でも見積もり金額は当然違ってきます。他社から入手した最安値の見積もりを持ち出して値下げを要求するのは、自重すべきです」(前出・高橋氏)

 仮に値引き交渉に成功しても、相手の気分を害しているため、意図せず工事が雑になることも起こりえます。値引きが成功しても、当初予定していた材料から安価なものに変更して、値引き分を補うことも考えられます。リフォームという重要な仕事を任せる相手です。誠意を持って接しましょう。

【見積書】見積書でチェックすべき4つのポイント

 見積書が分かりやすい形で丁寧に作成されているかどうかで、その業者の仕事に対する姿勢も読み取れます。見積書が届いたら、見積もり金額だけでなく、さまざまな箇所をチェックします。

 見積書の構成は通常、「材料費」「施工費(工事費)」「諸経費」の大きく3つに分かれ、その下の明細が細かいほど、見積もり金額の根拠が詳しく示されていることになります。

 一方で、工事や設備の専門知識のない一般の人が、見積書の細部まで理解するのは容易ではありません。以下のチェックポイントを中心に、ほころびがないかを見ていきましょう。

チェックポイント① 書式が整っているか?

 「見積書の作成日」「社名・社印」「見積もりの有効期限」に漏れがないかを確認します。「有効期限」の記載がない場合には、材料費などの変動によって、見積もり金額が変わる可能性がないかを確認しておきましょう。

チェックポイント② 見積もりの詳細を担当者が把握しているか?

 各工事項目に対して、「仕様(摘要)」「単価」「数量」「価格」の各欄があり、それぞれ詳細が記載されているかをまず確認します。

 「仕様」欄では、商品名やメーカーの型番が記載されているかどうか。また、「キッチン一式」など、「〇〇一式」という表記で金額が一くくりにされている場合は、その内容を担当者がきちんと説明してくれるかどうかをチェックしましょう。

 リフォームは、やってみなければ内容がわからないケースもよくあるため、「一式」として多めに予算を見積もることも一般的です。その際には、担当者から「もし作業が不要になれば、その分は減額させてもらいますね」などと返事があれば、誠実な業者と言えるでしょう。

チェックポイント③ 諸経費が総額の25%以内か?

 「諸経費」とは、営業担当者や事務員の人件費、事務所を維持するための経費などをひとまとめにしたものです。ここに、「現場管理費(スケジュールや施工具合を取り仕切る担当者の人件費)」などを含む場合もあります。

 諸経費は積算して算出できる類いのものではないため、総工事費の8~15%に設定している業者が多いです。ただし、工事費や材料費にどのくらい利益を乗せているかにもよるため、諸経費の割合だけを見て、高い、安いの判断はつきません。

 とはいえ、諸経費が25%を超えているようなら、ダメもとで交渉してみてもいいかもしれません。反対に5%を切るような極端に低い割合の場合は、材料費や工事費が高くなっている可能性が高いでしょう。もし諸経費の安さをアピールしてくるようなら、総額の高さを悟られないようにしていることも考えられるので、注意しましょう。

チェックポイント④ 追加費用がかかる可能性はないか?

 解体や廃材の処分費についての記載がない場合は、別途費用がかからないか確認しましょう。そのほか追加料金が発生しやすいケースとしては、壁を剥がしたところシロアリ被害が見つかり、その駆除や柱の補強などの手当てが必要になる場合などです。

見積書を見ても何の費用か分からないものは、ためらわずに確認しましょう。後でもめるより、業者も確認してもらったほうが助かります。十分納得したうえで工事を依頼しましょう」(前出・高橋氏)

【見積書】よくある項目リスト

最後に、リフォームの見積書でよく記載のある項目を紹介します。不明な点はそのままにせず、きちんと確認してからリフォーム工事を依頼するようにしましょう。

<リフォーム見積書に記載される主な費用>

木工事

  • 木材を主原料とする加工や組み立て、取り付けにかかる工事費用。柱・梁などの構造主体、屋根・壁・床などの下地、床板・鴨居・階段・押入れの造作などの工事費用。

内装工事費

  • 壁紙・クロスの張り替えなど、天井・壁・床の表面の仕上げにかかる工事費用。

防水工事費

  • 建物内に雨や雪が侵入するのを防ぐため、屋根や屋上、外壁、バルコニーなどの防水処理にかかる費用。

左官工事費

  • モルタル、プラスター、漆喰などの壁材をコテで塗る工事にかかる費用。
    トイレ・浴室・キッチンなどのタイル補修・張り替えなども該当。
    前者は1㎡あたりの金額、後者はタイルの枚数で算出。

タイル工事費

  • 左官工事のうち、タイルの補修・張り替え部分の工事費用。

塗装工事費

  • 屋根や外壁などに仕上げ材として液体の塗料を、ローラーやスプレーガンで塗る工事にかかる費用。

建具工事費

  • ドア・障子・ふすま・収納の扉・引き戸などの取り付けにかかる費用。 建具とは、開閉できる部屋や、外部との仕切りのこと。

鋼製建具工事費

  • 建具工事のうち、金属製のドアや扉を取り付ける場合の費用。
    アルミサッシや網戸、鉄製の門扉やドアなど。

ガラス工事費

  • サッシに入れるガラスなどの工事費用。

家具工事費

  • 建築物の家具の据付けにかかる工事費用。

住設工事費

  • キッチン、トイレ、洗面化粧台、給湯器、エアコンなどの設置工事費用。
    設備代や搬入費も含む。

給排水設備工事費

  • キッチン・お風呂・トイレなど、水回り設備を新設する際の給湯給水(上水)工事、または雨水・汚水(下水)工事にかかる費用。

電気工事費

  • スイッチ・コンセントの追加や位置変更、照明などの設置に伴う配線工事費用。

電気設備工事費

  • 電気を建物内に引き込み、分電盤からコンセントまでの末端処理を行うための工事費用。

仮設工事費

  • 建物の外回りに足場や仮囲いをしたり、作業により通路や室内を傷つけないように養生シートなどで覆ったりするための工事費用。

養生費

  • 「仮設工事費」のうち、養生シートで被う工事部分の費用。マンションのリフォームでは、エレベーターや廊下などの共用部分に養生が必要なことも。

解体撤去費

  • 不要になるキッチンや浴室など既存の設備や、工事の作業上必要な間仕切り壁や内装材などを破壊・撤去するのにかかる工事費用。

廃材処分費

  • 解体で出た廃棄物の処分にかかる費用。

小運搬費

  • マンションや階段の多い家など、家の前までトラックが入れないときの人の手による荷物の運搬費用。

雑工事費

  • 見積書の他の項目に該当しない工事費用。厳密な定義はないが、引き渡し時のクリーニングやポスト・表札などの設置費用などが例。

諸経費

  • 営業担当者や事務員の人件費、事務所を維持するための経費などをひとまとめにした費用。「現場管理費」「書類作成手数料」「申請手数料」などを含むことも。

現場管理費

  • 現場で工事を進めるために必要な経費。「現場監督や営業担当者の人件費や交通費」「工事保険などの保険料」など。

リフォーム見積もりに関する質問・FAQ

Qリフォーム(リノベーション)の見積もりには費用がかかる?
A

多くのリフォーム業者は、概算の見積もりを無料で出してくれます。ただし、詳細の見積もりを作る際には、現地に訪問して、建物の状態を詳しく調べる必要があります。その分の経費は、リフォーム業者が負担していることになります。

Q複数のリフォーム業者で、相見積もりをしてもいい?
A

相見積もり自体は問題ありません。複数社に同時に見積もり依頼をする場合は、依頼内容を統一しておきましょう。また、相見積もりで得た他社の見積書を用いて、値引き交渉を行うことは、マナー違反になるので注意です。

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