2024年度の補正予算が成立し、「子育てグリーン住宅支援事業」がスタートすることになった。新築住宅の建築や取得に当たっては最大160万円の補助金で、既存住宅のリフォームについては、最大60万円の補助金が出ることになる。2025年に住宅の購入やリフォームを考えている人は確認しておこう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
※前身制度の「子育てエコホーム支援事業」は予算上限に到達次第、または2024年12月31日をもって受け付けを終了する。
子育てグリーン住宅支援事業とは
日本は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を国際公約としている。実現のためには、さまざまなレベルで思い切った施策が必要になる。
住宅分野においてもCO2排出量削減のための施策が求められており、12月に成立した2024年度の補正予算に「子育てグリーン住宅支援事業」が盛り込まれた。
振り返れば、2021年に閣議決定されたエネルギー基本計画において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とともに、「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標が設定されている。
「子育てグリーン住宅支援事業」では、より省エネ性能の高い住宅の建設を促進するため、図表1にあるように、ZEH以上の省エネ性能を確保した「GX志向型住宅」について、1戸当たり160万円の補助を行うことになる。
GX志向型住宅ではないものの、長期優良住宅については最大100万円、ZEH水準住宅については最大60万円の補助金が出る。ただし、こちらは18歳未満の子どものいる子育て世帯か、夫婦いずれかが39歳以下の若者夫婦世帯に限られる。それに対して、GX志向型住宅は住宅の条件をクリアできれば、年代などにかかわらず全世帯が対象になる。
なお、この制度は賃貸住宅を新築する際にも適用される。
160万円の補助を受けられるGX志向型住宅とは
GX志向型住宅とは、一体どんな住宅を指すのだろうか。
GXとはグリーントランスフォーメーションの略語で、化石エネルギー中心の産業・社会構造を、クリーンエネルギー中心の構造に転換する、経済・社会システム全体の改革への取り組みを指している。GX志向型住宅は、そのGXを志向する住宅ということになり、子育てグリーン住宅支援事業では次の3つの条件を満たす必要があるとしている。
第一には、断熱等性能等級が6以上でなければならない。国が定める住宅性能表示制度の断熱等性能等級は等級1から7まであり、7が最高等級になるが、GX志向型住宅ではそれに次ぐ等級6が求められ、極めて高い断熱性能が要求される。
第二には、再生可能エネルギー(太陽光発電システム)を除いたエネルギー消費量35%以上の削減が求められる。太陽光発電システムを含めずに、一般的な住宅よりもエネルギー消費量を大幅に削減できることが条件だ。これまでのZEH基準住宅では、太陽光発電システムを除いたエネルギー消費量を20%削減することが条件だったことを踏まえると、GX志向型住宅は非常に高い省エネ性能を必要とするといえる。
第三に、再生可能エネルギー(太陽光発電システム)を活用してエネルギー消費量を100%以上削減することが求められる。つまり、太陽光発電システム、蓄電池などを使って、自宅で必要なエネルギーを自給できるような高い省エネ性能にする必要があるわけだ。そのために、家庭用蓄電池についても設置費の3分の1を上限に補助することになっている。
なお、対象となるのは2024年11月22日以降に、基礎工事より後の工程の工事に着手した新築住宅となっている。
このほか、施工事業者が「登録事業者」であることも160万円の補助金を受け取る条件だ。大手のハウスメーカーは、登録事業者として多くの条件を満たせる住宅を建設しているが、中堅以下のビルダーや中小工務店などでは対応できない事業者もある。住宅の取得や注文住宅の建築を依頼するときには、あらかじめ子育てグリーン住宅支援事業を利用できる事業者であるかどうかを確認しておく必要がある。
GX志向型住宅のさまざまなメリット
より高いレベルの省エネ性能が求められるだけに、価格が高くなる可能性があるが、その分、GX志向型住宅にはさまざまなメリットがある。
第一のメリットは、高い断熱性能によりエアコンなどの効率が上がり、光熱費を大幅に削減できることだ。新築後、生涯にわたって削減できるのでメリットは大きい。さまざま試算があるが、平均的な戸建て住宅の場合は年間10万円以上削減できるというデータが多いので、10万円としても10年で100万円、50年住み続ければ500万円の軽減。建築費のコストアップは、その後のランニングコストで取り戻すことができるようになる。
第二のメリットは、室内を常に一定の温度で保つことができることだ。室内環境が快適になるのはもちろん、冬場のヒートショック、夏場の熱中症を抑制することができ、住む人にやさしい住まいになる。気候変動により、夏の暑さ、冬の寒さが極端になっているので、この点は特に注目しておいていいかもしれない。
第三のメリットは充足感だ。エネルギー消費量を抑えられる住宅なので、環境にやさしい住まいになる。そのため、地球環境に貢献しているという充足感を感じることができるのではないだろうか。
また、GX志向型住宅は次世代型の住宅として、一般的な住宅に比べると評価が高まり、住宅市場においても高く評価され、市場価値が高まる可能性が高い。将来、売却が必要になったときには、一般的な住宅より高く売却できるようになるはずだ。
リフォームにも最大60万円の補助金
子育てグリーン住宅支援事業では、新築住宅の取得だけではなく、住まいのリフォームに対しても補助金が出るようになっている。カーボンニュートラルを念頭において、省エネ性能を高めるためのリフォームが対象だ。図表2にあるように、1戸当たりの補助金の上限が60万円になっている。
補助の対象になるリフォーム工事は、「開口部の断熱改修」「躯体の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」の3種類。3種すべての工事を行う場合がSタイプで、補助金上限は60万円になる。いずれか2種類だとAタイプとなり、上限は40万円だ。これらの工事に併せて子育て対応改修、バリアフリー改修を行う場合にも補助の対象になるが、補助額の上限は変わらない。
この既存住宅のリフォームに関する補助も、新築と同じく2024年11月22日以降にリフォーム工事に着手した工事が対象となり、事業者登録を行っている事業者に限られるので注意が必要だ。
高断熱窓の設置には最大200万円の補助
今回の子育てグリーン住宅支援事業は、以前から実施されている経済産業省・環境省・国土交通省の3省連携による既存住宅の省エネリフォームを継続する形で引き継いでいる。こちらも補助額が大きいので、見逃さないようにしたい。
対象となるのは、(1)高断熱窓の設置、(2)給湯器、(3)開口部・躯体等の省エネ改修工事の3種類。
(1)の高断熱窓の設置に関しては、高性能な断熱窓へのリフォームが対象。内窓の設置、外窓交換、ガラス交換の3種類があり、窓の大きさやグレードなどによって補助金が定められている。工事費に対する補助率は2分の1までで、1戸当たり200万円が上限となっている。
(2)の給湯器に関しては、高効率給湯器が対象で、ヒートポンプ給湯器が1台当たり10万円、ハイブリッド給湯器が1台当たり13万円、家庭用燃料電池(エネファーム)が1台当たり20万円となっている。
(3)の開口部・躯体等の省エネ改修に関しては、「開口部の断熱改修」「躯体の断熱改修」「住宅エコ設備の設置」の3種類を行う場合、1戸当たりの上限が60万円。いずれか2種類の場合には1戸当たりの上限が40万円となる。
補助金を上手に活用してマイホーム取得やリフォームを
2025年は充実した住宅取得支援制度を活用して、住宅の取得やリフォームを実現するのにうってつけの年になるのではないだろうか。
新築住宅については、まだまだ価格が上がりそうだし、住宅ローンの金利も上昇が懸念されている。ますます高くなってしまう前に、早めに行動を起こしたほうがいいかもしれない。
なお、子育てグリーン住宅支援事業の予算枠は1850億円。予算枠の上限に達し次第終了するので、あまりのんびりとはしていられないかもしれない。
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