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不動産購入時に、営業担当のやる気をそぐ”NG行為”とは?
元トップ営業マンの“不動産芸人”が教える「大損しない家の買い方」【前編】

2023年7月3日公開(2023年7月13日更新)
ぺんとはうす 世良光治:吉本興業所属の「不動産芸人」兼フリーランスの不動産営業マン

家を買いたいけど、失敗したくない。そう考える人は多いでしょう。著書『住宅購入で成功する人、大失敗する人』で、「損しないためには、営業担当を味方に」と語るのは、元大手不動産トップ営業マンであり、吉本興業所属の「不動産芸人」である世良光治氏。むしろそうしないと、損をする事態もあり得るのだそうーー。本書から紹介します。

不動産営業担当がやる気が出る一言

©Gakken

 不動産で損をしてしまう人の特徴は、「他人からの営業だけで買っている人」です。営業トークをうのみにして、自分で調査することもなく買ってしまう人。そもそも良い物件は営業マンが営業しなくても売れていきます。

 しかし、だからといって「疑り深い人」も損をしがち。営業担当側から見ると「こんなに疑ってこられたら、手を替え品を替え、駆け引きするしか仕方ないな」と考えてしまうからです。本来、味方につけたほうがいい営業担当者を疑心暗鬼にさせてしまうと、この時点でお得な情報は吹き飛んでしまう、と考えたほうがいいでしょう。

 どちらかというと、「この人に損させたくないな」と思わせて、営業担当者を上手に味方に引き込んだほうが有利なのです。

 では、具体的にはどうしたらいいのか。まずは営業の欲しい情報を伝えるのも、大きな一手です。

 実は不動産業界は、購入のお客さまよりも、売却のお客さまのほうを歓迎します。というのは、その売り部件は自社で縛りをかけて、自社のお客さまに固定できるからです。

 一方で、購入のお客さまはどれだけ物件を紹介しても、最後に別の会社から購入されるケースがあります。自社で固定できないからです。もし「住み替えを考えています」なんてお客さまでしたら、もう、最優先でお取り扱いされるでしょう。

事前リサーチで自分の目を養っておくことも大切(出典:PIXTA) 

 そこで不動産営業担当とお話しする際に、自分の売り物件がなくても、「知り合いに近々家を売りたいっていう人がいます。その人を紹介しますよ」と話せば、営業担当はすごく頑張ります。

 購入だけでも、「もし売るとなったら、絶対にあなたにお願いするからね」と言ったら、頑張って値引きしてくれると思います。もちろん、うそを言ってはいけませんが…。

仲介手数料の交渉は最終的に損をする

 "皆さまの一番の味方”である不動産営業担当。だからこそ、実はやってはいけないのが、「仲介手数料の交渉」です。見出しにあるように「損をしますよ」と言い切ることができます。

 不動産の仲介手数料は、宅建業法によって「上限が定められている」という他業種ではあまり見ないスタイルです。仲介手数料の上限を求める計算式は、物件の取引価格によって下記の通りです。

 

 物件価格

 

 仲介手数料の上限

 

 200万円以下

 

 物件価格(税抜き)×5% +消費税

 

 200万超〜400万円

 

 物件価格(税抜き)×4%+2万円+消費税

 

 400万円超

 

 物件価格(税抜き)×3%+6万円+消費税

 この仕組みを利用して手数料の減額をあおるようなネット記事に影響されたのか、最近は家の内見に来て、いきなり「手数料はいくら引いてくれるの?」とおっしゃるお客様にへきえきしています。

 最初にお知らせしたいことは、仲介手数料は不動産会社にとって「成功報酬」なのです。もちろん、上限が定められているのは事実で、両者の合意さえあれば割引もできます。

 なんならゼロにもできますが、僕たちはなりわいとしてやっている以上、ゼロにはできないケースがほとんどです。そもそも不動産仲介業は、こっちは安く買いたいし、向こうは高く売りたいという、利害関係が相反しているところに仲介に入ります。

 営業担当者はお客様になるべく良い形で納得して買ってもらいたいと願い、交渉を行います。その手続きの結果の成功報酬として、お礼として支払う金額が仲介手数料なのです。

ご本人は深く意味を考えずに交渉しているのかもしれませんが、それが思わぬ落とし穴に…(出典:PIXTA) 

 ネット記事などに影響を受けて、内見などの最初の段階で「仲介手数料、割り引いてくれますか?」みたいな話をされると、かなり戸惑います。「頑張ってはほしいけれど、頑張っても成功報酬はあまりあげません」と最初に言われるように感じてしまうからです。 

 というわけで、仲介手数料の値引きの交渉はしないほうがよいというのが、僕の持論です。

 手数料の値引きとは逆に「仲介手数料はしっかり満額払うから、その分一生懸命頑張ってね。頑張ってくれたら、他の人にも紹介するからね」とか、前述した「家、売りたい人がいたら紹介するよ」などなど、話でうまく不動産業者を乗せて一緒のチームとして頑張っていくほうが得策です。

 やる気に満ちあふれた不動産業者が交渉に挑んでもらえれば、物件価格を頑張って値引きしてもらえることだって多々あります。結果的に仲介手数料の金額より、金額的に得するケースが多いようです。

不動産業者はやろうと思えばいくらでも悪いことができる

 少し心情を吐露させていただきましたが、ここからは不動産仲介の怖い話をします。

 不動産仲介業者は、引き渡しまでさまざまな部分のかじ取りをします。物件の紹介から、実際に契約する際の条件面の交渉、登記をする司法書士のあっせん、測量士の紹介、さまざまな諸費用が発生した場合の金額調整、銀行ローンの調整や確認を行うのも不動産業者だったりします。

 これだけさまざまな場面に絡んでいると、不動産業者はやろうと思えばいくらでも悪いことができます。一例を挙げると、登記費用は本来30万円なのに40万円の見積もりを出させて、差額の10万円を袖の下に…なんてことも可能です(もちろん犯罪です)。

 逆に「こんな良いお客さまに、こんなことしたらアカンな」って思わせるくらいのほうが、気付かないうちに損をする事態は避けられるかと思います。

(吉本興業所属芸人 ぺんとはうす 世良光治)

【中編】>>フリーターでも家を買う方法は? 住宅ローンの審査に通るために知っておきたいこと
【後編】>>不動産価格上昇の可能性が高いエリアは? 江東区の枝川エリアがイチオシの理由も解説

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©Gakken
ぺんとはうす 世良光治・著(Gakken刊)
定価:1,540円

不動産売買仲介業トップ3常連の住友不動産販売で10年に1人の逸材と言われる伝説の不動産営業マンでもある著者が「知って得する」「知らないと大損してしまう」家の買い方を、楽しくわかりやすく解説。

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