青森県内の市区町村別の治安を調べるため、警察庁・総務省の統計資料をもとに治安ランキングベスト3をまとめた。青森県では、市区町村によって治安状況に大きな差がある。近年は特殊詐欺の増加や犯罪の低年齢化など、犯罪の質的な変化も課題となっている。日本初の女性防犯アドバイザー、 犯罪予知アナリストである京師美佳氏には防犯対策について伺った。安全、安心に暮らすために参考にしていただきたい。
全国治安ランキングで青森県は14位

青森県は治安の良さで全国14位。事件はおよそ246人に1人の割合で発生し、比較的治安が良い県に入る。
しかし、知能犯や風俗犯には注意が必要だ。被害が深刻化しており、2024年にSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は67件発生し、被害額は約4億4,611万円にも及んでいる。出典:青森県警察「特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止」
あらゆる世代が被害に遭遇しており、青森県警察は手口を紹介して注意を呼び掛けている。出典:青森県警察「令和6年12月末現在、特殊詐欺の認知件数・被害額 (数値は暫定値)」
青森県の犯罪発生率の推移
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青森県の犯罪発生率は、1980年代から1990年代前半にかけては横ばいで推移していたが、1990年代後半から2000年にかけて急激に上昇し、2002年にピークを迎えている。これはバブル経済の崩壊による経済の停滞や失業率の上昇が影響したと考えられる。
そして、2003年以降から2020年まで低下した。この頃、警察が犯罪を防止するため、街頭防犯カメラシステムを導入した。また、子どもの安全を守るための児童見守りシステムの導入が開始された効果だと捉えられる。出典:総警視庁「街頭防犯カメラシステム」 出典:総務省「児童見守りシステム導入の手引書」
しかし、2020年以降、再び犯罪発生率が上昇傾向にある。これは全国的な傾向でもあり、新型コロナウイルス終息後に外出する人が増えたことで犯罪が発生したものだ。出典:法務省「新型コロナウイルス感染症と刑法犯認知件数の推移」
また、青森県は高齢化率が高く、地域の防犯機能が弱体化していることも指摘されている。出典:青森県「青森県犯罪のない安全・安心まちづくり推進計画」
【市区町村別】青森県の治安ランキング抜粋版(令和6年)
青森県の治安ランキングの上位と下位の市区町村は以下の通りだ。
治安が良かった市区町村の1位は田子町、2位は東通村、3位は大間町。
治安が良くなかった市区町村の1位は青森市、2位は五所川原市、3位は弘前市だった。

治安が良い市区町村は「田子町」

田子町では「田子町美しいまちづくり条例」が定められており、環境美化の日に清掃活動(町内一斉クリーンアップ作戦)が行われている。まちをキレイにすることで犯罪を抑止している。 出典:青森県田子町「美しいまちづくりについて」
田子町はにんにくの生産地として有名だ。収穫時期の間は警察の防犯指導隊と農家が一体となり、にんにく盗難防止パトロールを行い、被害ゼロを目指している。 出典:青森県田子町「にんにく盗難防止パトロール」
2025年からは野生鳥獣による農作物への被害防止を図るため、田子町鳥獣被害防止計画を策定し、センサーカメラを設置した。 出典:青森県田子町「田子町鳥獣被害防止計画」
さらに、住民が町内を移動できるように田子町コミュニティバスを運行している。青森県警察の交通事故月報によると、2024年の年間事故発生件数は4件、死亡事故は0件と事故の抑制につながっており、住民の安全と安心を支えていることがわかる。 出典:青森県警察「交通事故月報(令和6年12月末)」
治安が悪い市区町村は「青森市」

2005年に青森市と浪岡町が合併して、新しい地域「青森市」ができた。気候は夏が短く、冬が長く涼しいため、春から秋にかけて快適に過ごすことができる。冬は、たくさん雪が降るため有数の豪雪都市といわれている。 出典:青森市「青森市ってどんなまち?」
本町周辺など繁華街は観光スポットだが、風営法違反や迷惑防止条例違反が多く、治安が悪化している。特に客引き行為に威圧感があると声が上がっていた。
このような背景から、青森市と青森警察署、青森市本町安全・安心まちづくり協力会が連携・協力し、青森市客引き行為等の防止に関する条例の普及、啓発活動、客引き行為の一掃を目指している。協力会には、本町周辺の町内会、飲食店、ビル管理会社、ビル所有者などが加入済みだ。 出典:青森市「青森市客引き行為等の防止に関する条例」
◆ダイヤモンド不動産研究所のサイトでは、青森県の治安ランキングの総合順位や防犯対策について解説しているため、ぜひ参考にしてほしい◆