新米大家のレッド吉田さんが、百戦錬磨の先輩投資家から、賃貸経営の極意を学ぶ本連載。今回のゲストは、平均利回り20%という高利回り中古アパートへの投資を軸に、約3800万円の家賃収入を得る石原博光さんです。起業家、そして著述家としても活躍する石原さんに、叶えられない夢はない?! 石原さんの次の夢やお金を稼ぐためのゲン担ぎまで幅広く語り合った対談の第4弾。
[参考記事]
レッド吉田さん vs 石原博光さん
【第1回】利回り20%を実現するカリスマ大家が不動産投資を始めた理由
【第2回】不動産投資も芸能界もリスクの先に見えてくる景色がある!
【第3回】不動産投資で銀行から借りた金利は下がるものではなく、下げるもの
購入の基準は「表面利回りから金利を引いて12%以上」
レッド吉田さん(以下、レッド) 石原さんの物件は利回りはどれくらいあるんですか?
石原博光さん(以下、石原) 僕は地方の古いアパートをターゲットにしているので、表面利回りから金利を引いて、12%以上というのを一つの目安にしています。
レッド 金利分を引いて利回り12%というと、かなり競争が激しいんじゃないですか?
石原 そんなことありませんよ。田舎は最初から選択肢から外している人も多いですし、プライドが高い人は、ボロ物件を選びませんから。僕は都会の1万円も田舎の1万円も同じだと思うんですが、大家さんには都会でとれた1万円の方が価値があると考える人が意外と多いんです。都会に物件を持つ方が自尊心が満たされるんでしょうね。
レッド なるほど。みんなが狙わないような場所で高利回りのアパートを買っていく作戦なんですね。
石原 そうです。そんなの資産価値がないからダメだという人もいますが、僕は「資産」を作るのは投資の第2フェーズに入ってからでいいと考えています。最初は格好悪くてもいいから、お金を作りだす仕組みを手に入れることが大事。それができたら、次の段階で資産を買っていけばいいんです
レッド 地方のボロ物件でも融資はつくんですか?
石原 知人で、年収300万円で自己資金が50万円しかなかったのに、アパートを1棟買っている人がいます。そのアパートからの収益を合わせて翌年にもう1棟買って、今ではサラリーマンしながら2棟の大家さんです。利益の出る物件なら、貸すところはあるんですよ。それに、高利回りの物件なら、5年とか10年で無借金になりますから、それを担保にして次の物件を買うこともできます。まとまったお金がないといってFXや株に進む人が多いですが、お金を理由に不動産投資をあきらめる必要はないと思いますね。
築古アパートの流動性は意外と高い
レッド 出口戦略はどう見ていますか? 都会は土地代が高いから建物が古くても土地として買う人がいますが、地方ではそうもいきませんよね。
石原 収益がしっかり上がっていれば、土地が安い分総額も抑えられるという値ごろ感を歓迎する人たちは常にいます。建物は古くても上手に手を入れていけば使用できますから。それだけでなく、減価償却を目的に、築20年以上のものを欲しい層もいつも一定数以上はいるものです。そもそも田舎であっても、住宅用地などの需要はあります。
レッド 確かに、どんな田舎でも、人がいれば住むところは必要ですよね。
石原 そうです。ですから、築古のアパートの流動性は意外と高いんですよ。僕も以前、千葉の古いアパート2棟を1600万円で買って、100カ月後に売却したところ、2050万円で売れました。最終的にはキャッシュフローと売却益で2500万円残りました。
レッド それはすごいですね。駅の近くだったんですか?
石原 駅からは遠かったですね。電車で都会に通う人が住む中途半端な田舎の場合、駅に近いことは大事ですが、本当の田舎は電車の本数も利用する人も少ないので、駅からの距離は関係ないんです。みんな、車やバイクで移動するので、駐車場の方が大事ですね。
レッド ボロい物件だと、騒音等のクレームが出ませんか?
石原 安い物件に住む人は騒音なんて当たり前と思っているので、音のクレームは少ないですね。それに、田舎に多い地主系の大家さんは、都会の投資家と比べてものんびりした方が多く、競争も激しくありません。北関東で僕がカッコよくリフォームした物件は、相場より高くてもすぐに埋まりました。他に同じような物件がないから、一人勝ちできるんです。
仕組みができたら遠隔操作で自動操縦する方がいい
レッド でも、築古物件は買ったあとが大変なイメージがあります。リフォームとかも大変じゃないですか?
石原 大変といえば大変ですけど、面白いですよ。一昨年、築26年のアパートを塗装したんですが、職人さんが「貸すのがもったいないくらい、キレイに塗ってやる」といって、いい仕事をしてくれました。塗装料、いくらだと思います? 足場を組んで3カ月かけて塗ってもらって4世帯1棟分が40万円ですよ。屋根も塗装と修繕をしたんですが、それも20万円でした。トータル60万円で古さを感じさせない物件になりました。
レッド ええ~! 地方はリフォーム代も安いんですね。そういえば、石原さんは、セルフリフォームはされるんですか?
石原 最初の頃は自分で畳を上げてフローリングを張ったりしていました。壁紙の張り替えもシャンプードレッサーの交換も、やればできます。でも、自分の働いた分の人件費は経費にならないので、今はプロにお願いしています。仕組みができたら遠隔操作で自動操縦する方がいいですよ。自分はディレクターとしての責任を果たすのが仕事だと思っています。
レッド 客付けはどこに頼むんですか?
石原 基本は地場の管理会社さんですが、近くの仲介会社さんにもお願いしています。AD(広告料)といって1カ月分の家賃を払ったり、決めてくれた人に1万円~の謝礼を支払うこともします。経費にしたい場合は、クオカードや商品券を使うとお手軽だと思います。
レッド やっぱり、謝礼を渡すと喜んでくれるものですか。
石原 若い人はそうですね。でも、相手によっては失礼になるので、年配の方ならお寿司をご馳走するなど、やり方は変えています。もったいないという人もいますが、僕はADをケチって空室のままにしておくより、必要なお金は使って、1日も早く埋めた方がいいという考えです。
「時間とお金のどちらが大切か」でやり方が変わってくる
レッド なるほど。生き金を使うということですね!
石原 そうです。ちなみにリフォームは直接、職人さんに電話をして日当でやってもらいます。インターネットの電話帳で業種を入れると、個人名が出てくるので、見つけるのは簡単です。大きなリフォームを丸ごと頼むと高くなるので、「1日いくらでこれをやってくれませんか?」という聞き方をするのがいいですよ。
レッド 工務店に頼むんじゃなくて、職人さんに発注するのがミソなんですね。
石原 はい。でも、職人さんを一人一人手配すると、自分が現場監督の仕事をやらなければいけません。それは意外と大変なので、忙しい方にはおすすめしませんね。それに最近は、あえて管理会社にリフォームを発注して、儲けさせてあげることも大切だと思っています。僕は過去に、外壁塗装に必要な500万円を管理会社さんに立て替えてもらって、それを家賃と相殺する形で支払わせてもらったことがあります。手元に現金がなかったので助かりました。
レッド 自分で発注した方が安いけれど、管理会社さんとの関係をよくするために、わざわざそうしたんですか?
石原 そのとおりです。管理会社さんの取り分が入るので多少高くなりますが、カギの開け閉めも全部頼めるので、気持ち的には非常にラクですよ。どちらの方法を選ぶかは、今の自分にとって時間とお金のどちらが大切なのかで決まると思います。自分の今いるステージによって、リフォームのやり方も変わるということです。
(取材・文/加藤浩子 撮影/和田佳久)