世田谷で新築9%など都心好立地戦略に転換した理由。
アンダー・コロナで狙うべき物件と戦略とは?
不動産投資家 森井雄一氏 第3回 

2020年5月27日公開(2021年1月29日更新)
ザイ投資戦略メルマガ編集部

サラリーマンをしながら、わずか2年で18棟を購入し、現在積算評価額で約12億円の不動産を所有。コロナ禍の3月末にサラリーマンを卒業、念願のセミリタイアを果たした森井雄一さん。第3回では、地方高利回りから一転して都心に物件を買い進めた理由、コロナ禍での不動産投資戦略を聞いた。

不動産投資でセミリタイアした森井さん。満室想定の家賃収入は、年間1億2000万円
不動産投資でセミリタイアした森井さん。満室想定の家賃収入は、年間1億2000万円(記事の最後にプロフィールあり)

 

[参考記事]
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不動産投資家 森井雄一氏 第2回

●世田谷で新築9%など都心好立地戦略に転換した理由。
アンダー・コロナで狙うべき物件と戦略とは?
不動産投資家 森井雄一氏 第3回

地方高利回り→都心好立地物件へと転換した戦略とは?

ーー物件リストを見ると、15番以降で戦略に変更がありましたか? 都内やその近郊が中心に?

7年間で購入した物件のリスト。15棟目以降は東京中心に購入している
7年間で購入した物件のリスト。15棟目以降は東京中心に購入している

 

はい、7棟目あたりから徐々に物件の評価額も意識して購入を進めていたので、15棟目あたりになると僕のポートフォリオを見て銀行さんも比較的高額な一都三県の物件への融資を前向きに検討してくれるようになりました。

埼玉県川口市の重量鉄骨 3DK×9部屋、利回り13%のマンション
埼玉県川口市の重量鉄骨 3DK×9部屋、利回り13%のマンション

この頃から都内やその近辺の評価額の高い物件を探すようになりました。空室リスクが低く資産価値が高い都心近郊の物件は、やはり将来性を考えても魅力的ですからね。ただ、このような短期間で僕が複数の物件を購入することができたのは、やはり初期に購入した物件でキャッシュが出ているからこそだと思っています。なので、今でも地方の築古でも条件のよい物件があれば、都心と並行して購入は前向きに検討しています。

ーーバランスシートがどんどん良くなってきた感じですか?

資産価値が高い物件を安く買う事ができていたので銀行さんにもその点は評価してもらっていました。例えば、15棟目の川崎市の物件は駅徒歩2分の好立地です。16棟目の川口市の物件はほぼ競売みたいな形で安く手に入れています。17棟目の文京区の物件はほぼ土地値でRC物件を買えました。18棟目の世田谷区の物件も駒沢大学駅から徒歩5分くらいの立地なのですが、坪単価100万円で土地を仕入れています。相場は坪300万円以上のエリアです。土地を安く手に入れたので重量鉄骨でスペックのよい新築アパートを利回り9%で建てることができました。この物件も銀行さんから評価してもらっています。

世田谷区で土地から仕入れて新築し、利回り9%を実現したアパート
世田谷区で土地から仕入れて新築し、利回り9%を実現したアパート

ーーこんな好条件の物件を立て続けに買えてる理由は?

とにかく人より沢山動いていると思います。毎日家に帰ってから、2、3時間は物件を探していましたし、昼休みも業者さんとよく電話していました。ポイントは「業者は買わないけど、一般の人が買うには癖がある物件」が出てきたら、僕に話を回してと伝えておくことでしょうか。

先ほどの世田谷の土地も大手住宅デベロッパーが扱うには狭すぎる、でも一般向けの戸建用地としては大きすぎて中途半端、でも僕はアパート用地として見ていたので話が回って来た。

根性論みたいになってしまいますが、とにかく動かなければ情報なんて入ってこないんです。

融資についても同じです。僕は普通の年収のサラリーマンで属性が特別良いわけではないので、銀行を回っている数はかなり多いと思います。それこそ30行くらいは回っている。情報収集もあわせると50行は超えると思います。最初はアポ無し訪問などもしていました。同じ金融機関でも支店ごとで対応が違うこともあるので、支店別に電話してみたり。もちろんはたいがいは断られるので、心が折れそうになりましたけどね(笑)。途中からは不動産会社から紹介された金融機関に相談に行く事が多くなりました。

物件近くの金融機関、自宅周辺で将来的に付き合いたい金融機関、スピードの早い金融機関、そういう金融機関に目星をつけて「どこかが貸してくれるかもしれない!」と、あきらめずに繰り返し挑戦し続けた結果が今に繋がっていると思っています。

ーーサラリーマンの勤務中は時間が取れましたか?

僕はメーカーの営業だったんですけど、外回りより内勤の割合が多かったです。

なのでけっこう大変でしたね。たとえば「入居者さんが夜逃げしました」と緊急の連絡がきても、すぐに対応できないし、勤務中は物件情報などのメールが見られないので、いい情報にすぐ反応できるように「いい物件が出たら電話か、SMSでメッセージをください」と業者さんにお願いしていました。

かなり多くの連絡が業者さんから入るのですが、サラリーマンの仕事も給料をもらっている以上は手抜きのないようにやろうと決めていたので、自分の時間を削るしかなく、時間を捻出するのはなかなかハードでした。

セミリタイヤには家賃収入5000万円でも足りない

ーーサラリーマンを辞められてますが、リタイアの基準はありましたか?

妻と将来の計画を32歳の時に立てて、自分の退職を40歳と設定しました。

元々は、40歳までに家賃収入5000万円を目指そう、それを超えたらセミリタイアしようという目標だったのですが、実際に運営してみると融資の返済、修繕費、税金など、思っていた以上に色々な経費がかかる事が分かりました。そこで再度妻と相談し、5000万円では少し心配だから、家賃収入が7000万円~8000万円になったらセミリタイアしようと。

人生は一度しかありません。人生80年として、40歳になれば残りは半分。残りの人生は自由に生きたいという考えもありました。

会社員の属性がなくなってしまうと、融資が受けられないのではという不安はあったのですが、銀行さんにお話ししてみたところ、事業として成り立っていれば融資は大丈夫ですよ、と言って頂けた事もあり、退職を決意しました。

サラリーマン時代から時間を見つけては夫婦で物件の草むしりなども行なっている。築古も多いのでこまめな手入れは肝要
サラリーマン時代から時間を見つけては夫婦で物件の草むしりなども行なっている。築古も多いのでこまめな手入れは肝要

ーー2013年からの2年間で一気に買い進めて、その後2019年まで物件を買われてません。不動産バブルを感じてのことですか?

あの頃は僕のところに全然いい情報が来なかったですね。常に「安い金額で買いたい」と言っていたので、そんな人には話が回ってこないんです。もっと高く買ってくれる人がいるわけですから。

銀行もバンバン融資を出すようになっていたので、僕の担当をしてくれていた方達もいつも忙しそうでした。

不動産サイトも相変わらずチェックしていましたが、僕がどんどん買い進めていた時期より利回りが2~3%くらい下がっていたので「ここで買うとババを引くな」と思いました。今はキャッシュを貯めておいて、次に来るチャンスに備えておこうと思っていました。

ーー周りがドンドン買っていく中で、さらに価格が上がるかもといった焦りはなかったですか?

全然なかったですね。とにかく沢山情報収集をしていたので、どこの駅の路線価がいくらぐらいとか、だいたい頭に入っているんです。だから、不動産の価格が上がって、利回りが下がって、条件が悪くなっている事を肌で感じたというか……。

圧倒的に安く買うことがビジネスとして成功する秘訣だと思っていたので、無理して買おうとは思いませんでした。

それと僕は一番最初に新築ワンルームで失敗しているので、それが教訓として生きているのかもしれませんね。

アンダー・コロナでの不動産物件の購入戦略は?

ーーコロナ禍で不動産価格が下がるという見方がありますが、いかがですか。

下がる可能性が高いと思います。景気も悪化する可能性が高いので、資金繰り対策などで「多少損してもいいから、不動産を売ってすぐに現金化したい」というような話も出てくるかもしれない。ただ、金融機関は今コロナ対策でそれどころではないので融資は非常に厳しい状況です。こういう時は、動かせる余裕資金として現金があるとやはり有利ですね。

幸い、僕はしばらくキャッシュを貯めて準備していたので、多少ですが蓄えがあります。ただ、コロナで先行きが不透明ですので、手元の資金を全て使うのは避けようと思っています。条件のいい物件が出てきたら無理のない範囲で買えたらいいな、とは思っています。

ーーちなみに今検討中の物件はありますか?

23区内で駅徒歩3分の一棟ビル、利回りが30%、売価が1000万円くらいのものを検討しています。これはテナントビルで、将来が心配になった大家さんが投げ売りしたものです。テナントビルは難易度が高いので、初心者にはおすすめできませんが。ほかには評価額で1700万円の戸建てが380万円というものや、評価額が500万円の戸建てが10万円という情報もありました。

コロナの影響もあると思いますが、やはり数年前とはぜんぜん違ってお買い得な物件が増えてきていますね。

ーーアフターコロナでどのようなことが起こると思いますか?

今までの都心近郊、駅近物件が何より一番、という構図がもう少し複雑になるかもしれないと思っています。「東京が嫌だ」と離れる富裕層がいるかもしれないし、テレワークの普及で通勤に便利な駅近でなくても、広くて住み心地が良い郊外の物件がよいという需要も生まれてくるかもしれない。また、「オンライン」というキーワードは絶対に重要になってくると思っていますので、インターネット無料物件などは需要が高くなるのではないかと思います。僕も手探りで予測できない事も多いですが、どこにチャンスが生まれるのか、常にアンテナを張って見極めていきたいと思っています。

あとはコロナでローンが払えなくて任意売却になる物件が絶対に出てきます。その時にどういう風に自分に情報が来るように仕組みを作っておけるか、そこに想像力を働かせて動いていた人にはチャンスが回って来るでしょう。もし良い情報が来たら、すぐに動くべきです。不謹慎と言われてしまうかもしれませんが、こういう時期だからこそ、必ず良い情報は出て来る。行けると思ったらスピード感を持って動ける人がチャンスを掴める人だと思います。

ーーこれから不動産投資をはじめる人にアドバイスはありますか?

コロナで局面が変わると思います。破綻する人も出るし、すごくお金持ちになる人も出る。

今までの常識が通用しない可能性もあります。

それでも、不動産投資について言えば、どんな状況でも僕が思う成功の秘訣はただ一つ、「安く買う事」。この一点に尽きると思っています。

人によって「安い」と思える金額の許容範囲は変わってくると思いますが、圧倒的に安く買う事さえできれば、多少のリスクは飲み込む事ができます。

今は特にコロナの感染拡大という特殊な状況化にある事も踏まえて、堅実な経営の為にも、まずは失敗しても挽回できる金額から小さく始めるのがいいと思います。

そして良い情報を得るためには動き続けることです。今のその動きが、5年後、10年後の自分の人生を変えると信じて、僕も勉強し続けたいと思っています。

杉並区で購入した戸建。リノベーションとステージング(家具、家電などで飾り付け)など工夫できることはすべて行なう
杉並区で購入した戸建。リノベーションとステージング(家具、家電などで飾り付け)など工夫できることはすべて行なう

(取材・文/栗林 篤)

森井さんプロフィール 2013年9月に不動産投資をスタートするも1件目は新築区分を購入して失敗。その後、書籍などで猛勉強し、地方築古高利回りに目覚める。現在、21棟、戸建4戸、区分1戸を含めて184室を所有。満室想定家賃収入は、年間1億2000万円ほど。平均利回りは15%ほどで、利回り250%の物件も所有。2020年3月末に念願のセミリタイアを実現した。

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