築48年のボロ物件を芸人が大喜びする部屋に大改造したビフォーアフターとは? 
西調布ドローン大家さん第2回西調布ドローン大家さん第2回

2020年3月4日公開(2021年1月29日更新)
ザイ投資戦略メルマガ編集部

築48年のオンボロアパートを、「一部屋ごとに内装が違う」という個性的なアパートに大改造した西調布ドローン大家さん。しかし、「王様のブランチ」から取材依頼が来た理由は、それだけではなかった。

[参考記事]
●テレビ番組のオファーが殺到する築48年のオンボロアパートの劇的大改造! 西調布ドローン大家さん 第1回

――「4部屋すべて内装が違う」というだけでも充分面白いアパートと思うんですが、取材理由は違うんですか。では、なぜこのアパートに取材が殺到するんでしょう?

実は、4部屋のうち、1室が劇場なんですよ。アパートの住人の方なら、いつでも好きに使うことができます。

都内でも珍しい劇場付アパートに改造した理由とは?

見るも無残だった部屋が客席付のステージに大変身
リフォーム前はこんなに汚い部屋だった
天井にはビデオカメラ、照明、舞台袖には控室や出口も取り付けられている

――えーっ!劇場なんですか。ほんとだ、舞台に、スポットライト、音響ルームもある!

先ほど、2階のキッチンの水栓から水漏れがして壁と床が腐ってしまっていたとお話ししましたが、その被害を一番受けたのが、この部屋なんです。特に浴室の傷みがひどくて、人が住めるようにリフォームしてもかなり費用がかかってしまう。そこで思い切って、劇場にしちゃえと。

観客席は畳なので、寝転んで舞台を観ることもできるし、広く稽古場としても使えます。水漏れで傷んだ床は、全面に張り替えて補強しており、観客が大勢入っても大丈夫です! このスイッチを押してみてください。電動で引割幕も開閉できるんですよ。舞台の左袖と右袖、両方にドアをつけて、演者が観客席を通らずに出入りができるようにもしました。着替えができるように、舞台袖(楽屋)もあるんですよ。

――うわあ、本格的ですね。しかし、普通の人だと舞台を使う機会がないのでは……

はい。ですからここは「芸人専用のアパート」なんです。アパ―トの名前は「リックタレントハウス西調布」といいます。舞台を必要とする人、たとえば、俳優、タレント、落語家、芸人、音楽家、声優、ユーチューバーなどでしたら、ご入居いただけます。

――審査はあるのですか?

特にありません。夢を持って取り組んでいる方でしたら、実績がなくとも大丈夫です。むしろこれから頑張ろうとしている人を応援したくて、劇場ルームを作ったんです。実は、このアパートを紹介してくれたリックという不動産屋の社長の元お母さんが、女優の東てる美さんでして。

東さんが「劇団員に貸せる物件ないかしら? 近くに稽古場があるといいんだけど」と言ってらしたのを聞いて、不動産屋の社長さんからの助言もあり劇場ルームを思いつきました。私も会社員時代、遠藤周作さんが主宰する劇団「樹座」に所属していたことがあったので、自由に練習する場所が住まいの近くに欲しいという気持ちはよくわかりましたし。

――劇場ルームは住人以外には貸さないんですか? 場所もいいし、時間貸ししたら利益が出そうですが……

今のところ、考えていません。あくまで住人の方専用です。使用料というわけではないんですが、電気代や水道代など諸経費もかかるので、劇場ルームの共益費として月に3000円いただきます。劇場ルームの鍵は住人の方に1つずつお渡しして、誰がいつ劇場を使うのかは、住人の方たちで話し合って決めてもらえればと思っています。

――家賃は共益費別で1階の1部屋が5万5000円。2階の2部屋が5万8000円となっていますが、このあたりの相場としてはどうなんでしょう。

西調布で21平米のアパートですと、4万円強が相場ですから、少し高く設定しています。1部屋を劇場ルームにしなかった場合の家賃収入は、4万円×4部屋で月16万円。現在募集している家賃では、3部屋で月17万円ほどになりますので、家賃収入としては1部屋劇場ルームにしても変わらないんです。

ペットを飼うと家賃が安くなる!というパラドックス

――築古物件は、値段を下げて入居者を確保するというデフレスパイラルに落ち入りやすいですが、劇場つきという付加価値をつけてアパートの賃料を新築なみにするというのは賢いですね。

付加価値といえば、この物件、ペット可なんです。新しい試みとしては、「引き取った犬を飼育する場合は、家賃を4%ディスカウントする」ということでしょうか。犬を飼っても隣に迷惑にならないよう、部屋の壁を防音にしています。

――素敵な試みですね。それにしてもこれだけの大規模リフォームをして内装費が890万円というのはずいぶん安く感じますが。

不動産屋(リック)の社長さんも私の考えに共感してくれて、ステージに出入りするためのドアや引割幕、窓の二重ガラス、アンプやスピーカーなどを無償で設置してくれたので、費用アップせずに当初考えていたより立派なステージになりました。

この社長さんは以前、「ボルタリング・ハウス」という壁に登れる住居を作って、「王様のブランチ」に取材されたことがあるんです。その関係でこのアパートにも取材の話がきたようです。

――しかし、よく劇場ルームを作ろうと思い切りましたね。普通は少しでも安くリフォームして利回りをよくしようと考えると思います。

一つ目の理由は、「ニッチに見えるところ」にこそ競争力があるのではないかと考えました。

二つ目の理由として、私もこの物件を手掛けるまでは、収益性重視でした。ただ、28年ほど大家をやってきて収入も安定してきたところで、「死ぬまでに人に感謝されるものを作ってみたい」と思うようになりまして。

この物件から、将来ビッグになる人が生まれ出ることが、私の夢ですね!

――現在の家賃収入が、年間2300万円とはすごいですね。昨年だけで海外23カ国に渡航されているとか。会社員を早期退職して、家賃収入で海外にドローン撮影をして回る……夢のような生活ですね。

いえいえ、ここまでくるまでにいろいろ失敗もあったんですよ。よかったら、お話ししましょう(次回に続く)(取材・文/タカチホ  撮影/和田佳久)

西調布ドローン大家プロフィール
大手電機メーカー在職中の1991年から物件を購入し、現在、国内に区分4戸、アパート4棟 、ビル1棟、戸建1戸を所有する大家に。ほかに太陽光発電やホテル分譲、海外のコンドミニアム、土地、駐車場など様々な投資をしており、家賃収入は年間約2300万円。現在は大家業のかたわら、海外を飛び回り、ドローンで風景や人物の撮影をしている。

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