都内に8棟56戸で年間家賃8000万円の
元メガバンク大家が教える、エリア戦略とは?
二代目元メガバンク大家 岡元公夫さん 第2回

2020年8月13日公開(2021年1月29日更新)
ザイ投資戦略メルマガ編集部

40歳で銀行員を辞め、不動産開発会社で経験を積んだ後に不動産プロデューサーになった岡元公夫さん。年間家賃収入8000万円、所有する物件数は8棟56戸と、大家業でも大成功を収めている岡元さんだが、投資エリアは都内に絞っているのだという。そこには業界の裏事情を知り尽くしたプロだから思いつく、驚きの投資戦略があった。今回は「収益が上がる物件選びのコツ」を伝授する。

家賃収入年間8000万円の元メガバンク大家・岡元公夫さん(記事の最後にプロフィールあり)

[参考記事]
●第1回 家賃年収8000万円!元メガバンク銀行員が専業大家になった理由
●第2回 都内に8棟56戸で年間家賃8000万円の元メガバンク大家が教える、エリア戦略とは?
●第3回 リアル半沢直樹!元メガバンカー大家がこっそり教える「銀行が融資したい人VS貸し渋りにあう人」

●第4回 元メガバンカーが伝授。不動産投資ではじめて物件を買うとしたら「都内の区分マンションがおすすめ」な理由

 

「自分の居住地」など知ってるエリアに絞りこもう!


―――岡元さんが所有する物件は8棟56戸、すべて都内ですね。どうしてでしょうか。

私が都内出身で都内在住だからです。投資エリアは「自分の居住地」がベストなんです。居住地以外なら、「隣接する都道府県の1つのエリア」に絞る。実はこのところ不動産投資家の数が急増しているため、物件の獲得競争が激化しているんです。いい物件ほどすぐに売れてしまいますので、瞬時の判断能力が必要になっています。大勢のライバルに差をつけるなら、土地勘があったほうが絶対に有利です。地元ならいい物件が回ってきやすいですしね。


―――確かに長く住んでいれば、住所を聞くだけで、大体の家賃相場や住人のニーズがわかります。

最近は自然災害も多いですから、昔からその土地を知っているほうが安心です。今後、温暖化は進む一方ですから、洪水などの災害が増えることはあっても減ることはないでしょう。それに、8月から不動産取引の際に水害ハザードマップで物件の所在地を説明することが義務づけられましたから、災害エリアかどうかは今後、資産価値にも大きく影響してきますよ。

―――土地をよく知っているという意味では「自分の出身地」もよいかもしれませんね。

よいと思います。私も自分の出身地の近くで、業者さんが値付け間違いをして安価で売りに出されていた区分マンションを購入したことがあります。安かった理由はもともとの家賃設定が間違っていたから。その家賃の利回りから物件の価格を設定したところ、激安の販売価格になってしまったようです。よく知っている土地なら、「この住所でこの賃料は安い、お買い得だ!」とすぐにピンときますよね。そういう判断力はすごく大事だと思います。

―――確かに、昔から頻繁に川の氾濫が起きているようなエリアは、割安でも地元の人は手を出さなかったり、土地の事情はいろいろとありますよね。

そういう土地だとわかっていて戦略として買う分にはいいと思うんですが、知らないで買ってしまうと失敗します。
もうひとつエリアを絞ったほうがいい理由を上げると、そのほうが「効率化と採算性の向上を図れる」というメリットがあるからなんです。よくコンビニなどの小売業が使う出店方法に、「ドミナント戦略」というものがあります。特定地域に集中的に展開することで、ライバル企業より優位に立つ戦略です。これは不動産投資においても有効なんです。たとえば物件の管理を管理会社に委ねるとき、区分マンション1戸だけの方と複数の1棟アパートを任せる方とでは扱いが変わってきます。これはリフォームをお願いする工務店さんでも同じことです。大口になればなるほど、扱いや条件がよくなってきます。

東京都中央区のハザードマップ。水害は保険が適用されない事例も多いのでしっかりエリアを確認しよう


―――お得意様や大口を優遇するということですね。ほかにエリア選びのポイントはありますか?

鉄道などの公共交通機関の新線開業・路線延長・駅の新設は大注目です。例えば、都心なら麻布十番。今まで陸の孤島であったところに地下鉄2路線が開通して利便性がぐっと増して地価が上がりました。国や都道府県の政策で再開発されるエリアも狙い目です。例えば北千住。区の政策で東京電機大学など複数の大学が誘致されて若い人も増え、町が活性化しましたよね。そういった感じで、今は安いけど、数年後には人口が増えて地価の上昇が見込めそうな場所を狙ってみるといいでしょう。家賃水準の上昇が見込めます。


―――そういった人気エリアでお値打ち物件を探すコツはありますか?

 「本来はグレードが高い物件なのに、メンテナンスが十分にされておらず、設備もボロボロで薄汚れて見える物件」がいいですよ。家賃水準が高いエリアの物件は大規模リフォームしても家賃アップできますので、短時間で回収することが可能です。私は再建築不可でも、将来性のある物件だったら購入します。今、仕込んでいる戸建ても再建築不可なので、300万円という安価で購入できました。リフォーム後は高利回りで賃貸に出す予定です。実はその物件、隣の家が買えたら建築可能になるんです。いつか隣が買えたら高額で売却したいなと。そう考えると夢が広がりますよね。もし隣の家が買えなかったら、ずっと賃貸で回せばいいだけですから、リスクもさほどありません。


―――なるほど、土地の価値を上げるにはいろんな方法があるんですね。

常に「物件を最大限有効活用できる方法」を考えるといいと思います。私は駐車場12台のほかに、バイクガレージ26台所有しているんですが、そのバイクガレージはRCマンションを購入したとき、1階が駐車場兼資材置き場として空いていたので、それをシャッター付きのバイクガレージに改良して貸し出したものです。普通に駐車場にしたら2台分のスペースしかありませんが、バイクなら26台留められる。それだけ賃料がアップします。

4棟目で購入したRCマンション
4棟目RCマンションの駐車場をバイクガレージにしたことで収益アップ

 「住居として賃貸している部分以外に活かされていない空間がないか、もしあったらそれを活用できないか」を検討して、少しでも収益力がアップする方法を模索してみるといいと思います。それこそ、駐車場をコインパーキングにしたり、自動販売機をおいてみたり、入居者用にレンタル収納スペースにしたりと、いろいろ方法はあると思います。


―――少しの空間も有効利用する……。すごく勉強になりました。次回は「融資を受けられる人の条件」に関して教えてください。

(取材・文/タカチホ 撮影/和田佳久)

元メガバンク大家岡元公夫さん プロフィール

大学卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。銀行員時代は法人個人の融資をおもに担当。企業オーナーの事業承継対策や富裕層への相続対策も手掛ける。2004年に実家の跡を継いでからは、都内にマンション・アパート・戸建を精力的に取得。銀行を退行後は不動産開発会社に勤務。不動産収入が年間6000万円ほどになり会社員を卒業。現在、東京エステートバンク株式会社(東京房屋)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者向けにコンサルティング及び不動産の紹介・管理を行なっている。東京大家の会・主宰、東京築古組・理事。

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