窓の断熱リフォームはメリットの多いリフォームだ。結露を大幅に減らせるだけでなく、光熱費が削減でき、さらには病気にかかりにくくなることで医療費が安くなるとの論文もある。そこで窓断熱リフォームの種類やメリット、来年度ぜひとも活用したい国の補助金制度「先進的窓リノベ2026事業」についても紹介する。(フリージャーナリスト:福崎剛)
30年間で約270万円が浮く試算も
日本では2025年4月まで戸建住宅に対する断熱の法的義務がなく、寒冷地であっても「無断熱の家」を建てることが法律上は可能だった。その結果、日本の住宅の多くが、先進国の中でも断熱性能が著しく低い=エネルギーを浪費しやすい構造になっている。
家の断熱性能の向上に有効なのが窓リフォームだ。工事費が比較的リーズナブルであり、長期的に見た「コスト削減効果」も期待できる。
近畿大学の藤田浩司氏の研究では、断熱性能(保温性)が高い住宅と低い住宅を比較した場合、30年間にかかるトータルコスト(断熱費+冷暖房費+医療費)に大きな差が生じることが示されている(※1)。
この研究を基にした一般社団法人ロングライフ・ラボの試算では、断熱性能が低い住宅(UA値0.87/日本の一般的な基準)に比べ、断熱性能が高い住宅(UA値0.46/欧州レベル)では、30年間の医療費だけで約134万円の差が出るという。さらに、冷暖房費などの削減分も含めると、トータルで約270万円もの経済的メリットが生まれる計算となっている(※2)。
「窓にお金をかける」というよりも、「将来のムダな出費を減らす(ヘッジする)投資」と考えれば、これほど利回りの良い選択肢はそう多くないだろう。
※1:近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 藤田浩司氏『医療費を考慮した経済的な住宅断熱性能』
(公社)空気調和・衛星工学会近畿支部 2020年11月17日 環境工学研究会(大阪)「住宅の室内環境と医療」
※2:1年目に30歳の夫婦と2歳および0歳の子供が住み始めたとの想定に基づく。
窓の断熱リフォームは補助金が活用できる!
さらに、窓の断熱リフォームでは国や自治体の補助金が活用できる。
2025年は政府の「先進的窓リノベ2025事業」や「子育てグリーン住宅支援事業」といった制度が用意されていた。これに自治体独自の補助金を「上乗せ(併用)」することで、例えば東京都では自己負担額を6分の1まで抑えられる場合もあった。
2025年分の申請はすでに締め切られているが、2026年にも「先進的窓リノベ2026事業」の実施が閣議決定されている(2025年12月26日現在)。
実は、実際の申請が始まる前の今こそ、リフォームの計画を立て、補助金申請に必要な準備をスタートさせておく好機だ。年末から年始にかけては、腰を据えて住まいと向き合いやすいタイミングでもある。この機会に一度、窓リフォームの種類や効果を確認し、来年度の制度開始に備えておこう。
対象となる窓断熱リフォームの種類を確認しよう
「リフォーム」と聞くと、大掛かりな工事をイメージしがちだ。しかし、窓断熱リフォームにはさまざまな方法があり、意外なほど手軽にできるものもある。
いつもの生活を続けながら、短時間で「暖かい家」にアップデートできるのが、窓リフォームの大きな魅力の1つだ。2026年の補助金を視野に入れるのであれば、住まいの条件や予算に適した方法を検討しておく時間的余裕もある。そこで、簡単に窓リフォームの方法を紹介しておこう。
【内窓設置】
内窓リフォームは、今の窓枠をそのままに、新たに室内側へ窓枠と窓を取り付ける方法だ。非常に手軽に断熱化を図ることができる。
例えば、内窓の多くは、1枚ガラス窓の内側に2枚ガラスの窓と窓枠を設置する。設置工事が簡便なため、最短1時間程度で工事が終了するとのことだ。
ただし、窓が2重になることにより、開け閉めや掃除の手間が増える可能性もあるため注意しよう。
【外窓交換(カバー工法・はつり工法)】
「カバー工法」と呼ばれる方法もある。これは今ある窓枠の上から新しい窓を被せて取り付ける方法だ。一般的な住宅なら半日程度で工事が済むとされている。
窓枠に窓枠を被せるため、ガラス部分の面積が一回り小さくなってしまうことには注意したい。
なお、窓枠ごと取り外して新しい窓を取り付ける方法は「はつり工法」と呼ばれる。基本的にカバー工法よりも工期・費用を要するが、窓の大きさは維持することが可能だ。
【ガラス交換】
窓のガラス部分だけを複層ガラスなどに交換する方法もある。サッシごと交換する工法に比べて費用を抑えやすく、1枚あたり30分〜1時間程度と短時間で作業が完了する場合が多い。
【その他】
このほか、断熱ブラインドを設置しても断熱効果が見込める。しかし、補助制度の対象には含まれないケースが多いほか、窓リフォームと比べれば効果は限定的だ。
どの方法でも窓から逃げる熱を防いでくれるため、室温を保ちやすくなる。ただし、分譲マンションなどで窓リフォームを行う場合は注意が必要だ。内窓の設置は専有部分となるため問題はないものの、外窓・外壁は共有部分にあたるため、管理規約によってはカバー工法での工事ができない場合がある。必ず事前に管理組合などへ確認しよう。
「先進的窓リノベ2026事業」は“早い者勝ち”の制度
「先進的窓リノベ2026事業」も2025年と同様、予算上限に達し次第終了となる“早い者勝ち”の制度だ。
高い断熱性能を持つ窓への改修にかかる費用の一部を補助するもので、上限は100万円。対象となる工種は「ガラス交換」「内窓設置」「外窓交換(カバー工法)」「外窓交換(はつり工法)」の4種類だ。工種、断熱グレード、窓の面積、住宅の種類などによって補助単価は変わるが、一般的に必要となる費用の2分の1以内で設定されている。
なお、2025年は11月時点で予算上限に達し、前倒しで予約受付終了となった。また、予算は2025年が1,350億円だったのに対し、2026年は1,125億円と少々縮小されている。そのため、来年度はさらに早く終了となる可能性もある。来年の秋頃に「そろそろ寒くなってきたから」とリフォームを検討しても遅すぎるのだ。
2026年は3月下旬に申請受付が始まるので、受付開始前に次のポイントを押さえておきたい。
(2)実質の自己負担額はいくらで済むのか?
(3)リフォーム後、将来の光熱費がどれくらい下がるのか?
また、国の補助金だけでなく、居住している自治体の補助制度も事前にチェックしておこう。自治体の補助金は、国の補助金と併用できるケースも多く、その場合、国の補助金の交付決定が出たあとに申請・交付が認められる仕組みになっていることが少なくない。国の補助金をいかに早く申請し、交付決定を得るかが、リフォームを成功させるカギになる。
有利な制度を最大限に活用し、賢く・合理的で・健康的な暮らしを手に入れていただきたい。
リフォームするなら複数業者に相見積もりを
なお、来年度の窓リフォームを検討している場合は、リフォーム業者探しを早めに始めておくと良い。
また、リフォーム工事には定価がなく、依頼先によって工事費用が変わるため、はじめから1社に絞って見積もりを取るのではなく、必ず相見積もりを取り、比較することも重要だ。場合によっては、数十万円単位で工事費用が変わってくる。
複数社に見積もりを取る際に便利なのが「リフォーム会社一括見積もり・紹介サイト」だ。かなえたい暮らしや建物の種類(戸建て・マンション)、住所、電話番号、氏名の情報を入力すると、一度に複数の会社から見積もりがもらえる。
たとえば、「SUUMOリフォーム」はプロのアドバイザーが要望に合う業者を紹介する。最適な条件のリフォーム会社を無料で探し出してくれるほか、業者への断りも代行してくれる。
また、「タウンライフリフォーム」はプランや見積書で一歩踏み込んだ提案をしてくれるなど、各サービスで特徴がある。
【関連記事】>>「リフォーム一括見積もり・紹介サイト」12社を徹底比較!おすすめのサイトや、利用方法・注意点を解説
以下の表は、編集部が厳選したおすすめのリフォーム会社一括見積もり・紹介サイトだ。ぜひ、ご自身の使い勝手に合ったものを活用してほしい。
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| 紹介会社数 | 3〜4社 | 平均3社 | 最大8社 | 3〜8社 | 最大3社 | 3〜4社 | 最大5社程度 | 2社〜 | 最大5社 | 複数社 | 最大9社 | ー |
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リフォーム おすすめ記事 【業者選び】おすすめ「リフォーム一括見積もりサイト」を徹底比較! 【税金】2025年度版 リフォームに使える減税制度・補助金を解説 |
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| リノコ(リフォーム見積もりサイト) | |
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| 登録業者数 | 約1000社 |
|---|---|
| 資料請求 | 無料 |
| 運営会社 | セカイエ株式会社(資本金3000万円) |
| 住所 | 東京都港区 |
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| ハピすむ(リフォーム一括見積もりサイト) | |
| 登録業者数 | 1000社以上 |
|---|---|
| 資料請求 | 無料 |
| 運営会社 | 株式会社エス・エム・エス(東証プライム上場・資本金23億1022万円) |
| 住所 | 東京都港区 |
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| リフォーム比較プロ(リフォーム一括見積もりサイト) | |
| 登録業者数 | 500社以上 |
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| 運営会社 | 株式会社サフタ(資本金990万円) |
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