築20年超えマンションのリフォームはどこから始めればいい? 優先順位と費用の目安を解説!

2025年11月20日公開(2025年11月19日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

中古マンション市場では、築20年から30年の物件が急増している。不動産価格は築25年程度から底打ちすることが多く、リフォームを前提に購入する人も多い。ただ、どこから手をつけたらいいのか、と迷う人が大半だろう。そこで、効果的なリフォームの優先順位と具体的な費用の目安について解説していきたい。(フリー記者・後藤利恵子)

築20年超えのマンションは設備の故障リスクが高まる

築20年以上のマンションは給湯器などの設備が劣化してくる
築20年以上のマンションは給湯器などの設備が劣化してくる(出所:PIXTA)

 マンションは築20年を超えると、内装などの経年劣化はもちろんのこと、給湯器、ユニットバス、トイレ、キッチンといった使用頻度の高い水回り設備の故障リスクが高くなる。

 物件内見の段階では壁や床の傷や汚れに目が行きがちである。しかし、実際には暮らしに直結する設備機器から対処していくのが最優先である。給湯器やユニットバスの急な故障は、日々の暮らしに支障が出てくるからである。水漏れは機器周囲の修復工事などの費用も追加でかかることもある。

 また、水回り設備は年々性能が向上していることから、更新することがランニングコストの削減にもつながるため、先行投資の役割も担う。

 まずはリフォーム業者と相談をし、交換などの必要な箇所を洗い出して、全体の予算を出しておくと、リフォームのためのローンや支出の計画を立てやすくなる。まとめて一気に進めるよりも、段階的に費用配分の計画を立てるほうが現実的である。

築20年超えマンションリフォームの優先順位と費用目安

 築20年超えのマンションをリフォームする際の優先順位と費用の目安は以下の通りだ。

築20年超えマンションリフォームの優先順位と費用目安

 中古マンションのリフォームにおいて、優先順位の高いものから具体的な内容と費用の目安を見ていこう。

優先順上位は水回り(キッチン、浴室、トイレ)

 優先順位の1位は、水回りのキッチン、浴室、トイレである。

・キッチン

 築20年超のマンションでは、キッチンの収納扉の傷みや、コンロ・換気扇の汚れ、旧式ゆえの使い勝手の悪さが目立つ。リフォームは「システムキッチン」への入れ替えが一般的で、I型・L型・対面型など間取りや使い勝手に応じて選択できる。

 リフォームを行うことで、収納力アップや換気性能が良くなくるなど、利便性の向上が期待できる。価格目安は90万〜120万円。食洗機の追加やIH化で150万円程度になるケースもある。

・浴室

 浴室は20年前後でカビや劣化が進行する。とくにタイル浴室は水漏れリスクがある。リフォームはバリアフリー床やユニットバス交換が選択肢となる。費用目安は80万〜100万円。断熱浴槽や浴室乾燥機の導入も加えると、120万〜150万円程度になることが多い。

・トイレ

 旧式のトイレは汚れが落ちにくい形状だったり、使用水量が多いタイプが少なくない。最新の節水型やタンクレストイレに交換すれば、清掃面やデザイン性が向上し、水道代の節約にも寄与する。費用目安は30万〜40万円になる。

人気のタンクレストイレに交換することもできる
人気のタンクレストイレに交換、費用目安は30万〜40万円(出所:PIXTA)

優先順位2位は、洗面台、配管・給湯器

 優先順位の2位には洗面台と配管・給湯器が並んでいる。水回り内の優先度はキッチン、浴室、トイレに次ぐ。また、配管や給湯器の交換もこの順位に位置づけられる。とくに築年数が古い場合は注意が必要だ。

・洗面台

 築20年以上の洗面台は、蛇口の劣化や収納不足が目立つ。必要なのは収納力の向上と水栓の交換である。シャワー水栓にすることで使い勝手が向上し、LED照明にすれば省エネに寄与するなどのメリットがある。費用目安は30万〜40万円である。

・配管・給湯器

 築20年超えのマンションでは、給水管や排水管の更新を積極的に検討しておく必要がある。給排水管は室内水回りを支える基盤で、劣化は漏水や詰まりの原因となる。給湯器の見直しもライフラインに直結する重要な設備であるため欠かせない。

 エコジョーズ、エコキュートといった高効率給湯器に交換することで省エネに寄与するなどのメリットがある。費用目安は、配管交換で50万〜150万円、給湯器交換で20万〜40万円となる。

リフォーム優先順位3位は床材、4位は内装

 3位と4位は部屋の中で目にする頻度の高い場所である。

・床材

 マンションの床材はフローリングまたはカーペットと選択肢が限られている。フローリングは無垢材風や防音フローリングに張り替えることで、デザイン性と機能性の両立が可能である。カーペットは、築年数の経過で汚れや匂いなどが気になってくるため、新調により衛生面でもメリットがある。費用目安は6万〜30万円(6畳)と材料によって価格差が大きい。

 マンションでは多くの場合、「床の遮音等級(例:LL-45以上)」などの管理規約が定められている。これに合わない床材交換や間仕切り変更は、許可が下りず工事中断の可能性があるため、必ず事前に管理組合の規約を確認し、承認を得るべきである。

・内装(クロス・建具)

 クロス(壁紙)の張り替えや建具の交換は印象を刷新できる。内装は美観に影響するものの生活に直結するリフォームではないため優先順位は低い。費用目安は5万〜10万円(6畳程度)である。なお、すべてを同一クロスで統一するよりも、一部にアクセントカラーを用いると、部屋の雰囲気を効果的に変えられる。

壁紙リフォームではアクセントカラーを使うと部屋が華やかになる
壁紙リフォームではアクセントカラーを使うと部屋が華やかになる(出所:PIXTA)

予算別(500万円、1000万円)のリフォームプラン

 ここからは、一定の金額でどこまでリフォームができるかを見てみたい。仮に予算が500万円と1000万円だと、次のようなプランが考えられる。

予算500万円のリフォームプラン

 最優先の「水回り」を集中的に更新するシナリオである。築20年超のマンションでは、給湯器や浴室・キッチンの故障リスクが生活に直結するため、必需設備を中心に刷新する。

予算500万円の中古マンションリフォームプラン

 築20年超えのマンションでは、配管更新も検討対象であり、できれば100万円程度は予備費として確保したい。配管更新が不要であれば、残余はクロス張替えや照明・建具交換に充当できる。

予算1000万円のリフォームプラン

 余裕のある予算を確保し、専有部全体を刷新して新築同様の水準を目指す。水回りに加え、床材・配管・内装まで含むフルリノベーションに近い構成である。

予算1000万円の中古マンションリフォームプラン

 500万円プランは「水回り+部分的な床・内装」による即効性重視、1000万円プランは資産価値維持の側面として捉えることができる。

リモートワークができるミニ書斎が50万円

 中古マンションのリフォームは、機能性を第一優先にして行うのが原則になるが、長期間生活しているとライフスタイルの変化によるリフォームの必要性が出てくる。

 コロナ禍以降でとくに増えているのが、リビングの一部にテレワーク(リモートワーク)ができる小さな書斎をつくるリフォームだ。テレワークの普及により、自宅にこもって仕事をするスペースがほしいというニーズが増えたためである。

 現在主流となっているのは、間取りに大幅に手を入れるのではなく、スクリーンパーティションといった間仕切りなどを入れて、スペースを区切るものだ。

リビングの一部をパーティションで仕切って書斎にする簡易リフォーム
リビングの一部をパーティションで仕切って書斎にする簡易リフォーム(出所:PIXTA)

 筆者もこの書斎リフォームを行った。リビングの端に2畳程度のスペースを区切り、固定式のパーティションを設置。天井にはダウンライトを設けた。それだけで、仕事に集中できるスペースができる。

 パーティションは、半透明タイプや格子形状のものなど種類が豊富でデザイン性が高く、部屋の雰囲気も変わる。費用はパーティションが約30万円、ダウンライトは2台で約5万円、設置代を入れても50万円程度だった。こうしたライフスタイルの変化に合わせてリフォームを行うことで、自宅の満足度が向上するだろう。

まとめ

 築20年超えのマンションリフォームでは、優先順位をつけて計画的に進めることが肝要である。

 リフォームに当たっては施工業者から見積もりを取ることが必須。複数業者からの費用や提案の内容を比較すれば、リフォームの優先順位や費用面の把握ができる。

 また、マンションではリフォーム内容について管理組合との確認が不可欠である。共用部分や規約に関わる工事は事前確認が必須で、許可・日程調整を怠るとトラブルにつながりかねない。

 最後に、資産価値の観点を持つべきである。水回りなどの修復は将来の売却価格に反映されていく。ライフスタイルにこだわった改修は、売却価格にマイナスに働く要因となるので、慎重な判断が求められる。

【関連記事】>>マンションのリフォーム会社おすすめランキング! 大手17社比較で分かった本当に評判・評価の良い業者は?

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