
使う家電に対してコンセントが少なく、延長コードだらけという家も珍しくないでしょう。新築を建てるなら、コンセントは多めに付けたいと思うかもしれません。ただ、数だけでなく、コンセントの位置や高さが重要と一級建築士の船渡亮氏は言います。リビングやキッチン、寝室など部屋ごとのコンセントは、どこに何口配置するのがベストなのか。YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まいの間取り教室」で解説した内容の一部を要約してお届けします。
LDKだけでコンセントが31口以上も必要!?
今住んでいる家では、コンセントが少なくて延長コードだらけ。なので、新築の家では、コンセントをたくさん付けてこの悩みを解決したいと思っている人は多いかもしれません。
先日、パナソニックが、スマートフォンの普及などを背景に、日本の住宅ではコンセント数が圧倒的に不足しているという提言を出しました。この提言によると、LDKには計31口以上、そして各居室の四隅にコンセントを設置することが望ましいということです。31口と聞いて「そんなに必要なの?」と驚くと思いますが、実際テレビ周りや充電機器、季節家電、在宅ワーク機器など日常で使う家電は増え続けています。
ただ、コンセントはやみくもに数を増やせばよいという単純な話でもありません。数だけにこだわると、全く使わないコンセントがある一方、あとから「ここに追加したい」と思ったり、家具の裏に隠れて使えない、欲しい場所まで届かないなどの問題が起こったりします。配置する場所と高さをしっかり計画しなければ、数を増やしてもあまり意味がないのです。
コンセント設計の黄金ルール5つ
では、どうすればいいのか。コンセント設計の黄金ルールとして、建築士が使っている5つの原則を解説します。
1. 家具の配置を先に決める
まずは、家具や家電の配置を先に決めることです。テレビボード、ベッド、ソファ、机、ダイニングテーブルなどの周りには、必ずコンセントが必要です。おかしな位置につけてしまうと、家具に隠れて使えなくなるリスクもあります。仮でいいので家具配置を先に決めておきましょう。
2. 家電は今後も増えると心得る
2つ目は、家電は今後も増え続ける前提で計画することです。40年ほど前のリビングにあった家電といえば、テレビや扇風機、こたつ程度でしたが、現代は比較にならないほど多様化しており、今後も増えていくでしょう。便利になっていく反面、コンセント数が必要になるので、余裕を持ったコンセント計画が重要になります。
3. 延長コードの使用を事前に想定する
3つ目は、延長コードの使用をあらかじめ想定しておくことです。予算の都合でコンセントをそれほど増やせない場合、延長コードで対応しても問題はありません。ただ、どのように延長コードを沿わせていくかは、考えておいた方が良いです。
基本的には壁沿い、さらに言うと巾木(はばき)沿いだとベストです。巾木というのは、床と壁の間にある部材で、巾木に沿わせるように延長コードを設置できると目立たず、違和感がなくなります。
4. 動線を横切るコードはNG
4つ目は、電源コードが動線を横切ってしまわないようにすることです。ホットプレートや空気清浄機、スタンドライトなどリビングやダイニングで使う家電は、コードが部屋を横切ることがあります。動線は人が歩くところになるので、転倒のリスクが生じてしまうことも。特にホットプレートは、コードが横切りやすくなるので、コンセント位置には気を付けてください。
5. こだわる場合のみ「標準高さ」を変更
5つ目は、こだわる場合のみ「標準高さ」を変更することです。コンセントの高さは、ハウスメーカーや工務店ごとに標準高さが決まっているので、施主が決める必要はありません。
ただ、自分なりにこだわりたい、ニッチに集約したい、造作家具に合わせたいなどの場合は、高さを指定してOKです。基本的には標準で構いませんが、迷ったときは、今住んでいる家のスイッチの高さを実際に測ってみて、もう少し上げたい、下げたいと考えるのが良いでしょう。各箇所のコンセントの標準高さについては、動画で詳しく説明していますので、知りたい方はチェックしてみてください。
リビング・ダイニングのコンセント、適切な位置や数は?
次に、各部屋のコンセントのベストな配置や数についてお伝えしていきます。コンセントの不足が最も起きやすいのは、家族が集まるリビングで、今後も家電が増えていく可能性が高い場所です。
テレビ周りでは、コンセントはだいたい6~8口は欲しいところです。テレビのほか、レコーダー、ゲーム機、Wi-Fiルーターなどを考慮すると、最低でも6口は確保しておきたいですね。考え方としては、現状のテレビ周りで使っている電源の数を数えて、それプラス2口くらい追加するとかなり余裕が出てきます。
ソファ周りには、2口コンセントを1口は設置するのがいいでしょう。スマートフォンやタブレットなどの充電に使うケースが多いかと思います。注意点としては、動線側に設置しないこと。動線側にあると、足に引っ掛かりやすく危ないためです。
ソファ周りに全く壁がない場合、床に設置するフロアコンセントという選択肢がありますが、床断熱だと断熱欠損になり、床暖房の場合はもともと設置することができません。また、抜き差しの多い電源コードを使うとき、フロアコンセントだとかがんで動作しないといけないので、使い勝手があまり良くないです。あくまで最終手段と考えておきましょう。
ダイニングテーブルから抜き差ししやすいか
ダイニングでは、固定家電用より、抜き差し前提の位置にあると良いです。造作の対面キッチンなら、高さはダイニングテーブルから250㎜ほど、床からは900㎜くらいに設置すると、非常に使いやすくなります。テーブルでホットプレートを使ったり、PC作業をするのを念頭に置いた位置になります。
アイランドキッチンやペニンシュラキッチンのようにオープンタイプなら、窓側の壁にコンセントを設置して延長コードで対応するような形になります。
固定家電が多いキッチンでは、どこに何口あると便利か
キッチンは固定家電が密集するエリアなので、しっかり電源を確保する必要があります。背面収納、カップボード周りには、冷蔵庫を除いて、4口~10口程度付けたいところです。家電としては、電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ケトル、自動調理器などが対象になります。人によって使う家電が異なるので、今使っている家電を基準に考えて、可能であれば、それプラス2口ほど追加するのがいいと思います。
コンセントの位置としては、まとめて付けるのではなく、2口を両端と中央などに分散して設置するのがベターです。高さはカウンターから150㎜が目安になります。大型の電子レンジを置く場合は、背面に隙間がなくなるケースも。裏側にコンセントがあると電源が入れにくくなるので、大型レンジを置く場所は事前に確認しておきましょう。
調理スペースのワークトップには、2口あると重宝します。ミキサー、電気ケトル、ホットサンドメーカー、ジューサー、ミキサ―などの家電が該当します。対面キッチンなら設置しやすいのですが、ペニンシュラなどのオープンキッチンの場合、メーカーによって設置位置が決まっているので必ず確認した方が良いです。
パントリーにも2口コンセントを1カ所は確保できるとベターです。セカンド冷蔵庫、ワインセラーなどを将来置きたくなる家電用として対応できます。また、ある程度広いパントリーなら、掃除機を置いて、すぐ使えるようにしておくととても便利です。
寝室のコンセント設計は、ベッド周りを意識する
夫婦の寝室では、ベッドの両サイドにそれぞれ2口ずつ設置するのが理想的です。ベッドの大きさと置く場所に合わせてコンセントを設置しましょう。
高さは床から250mmでもいいですが、600mmから700mm程度まで上げると、ベッドから抜き差しがしやすくなります。スマホ充電だけでなく、いびき対策の医療機器などを使う際にも対応できます。
机を置く場合は、最低2口確保します。他に、扇風機や空気清浄機などの家電用に、壁に2口~4口ほどのコンセントは必要になります。
洗面所・脱衣室は、標準コンセント以外にいくつ追加すべき?
洗面所は、洗面化粧台に付いている標準コンセントに加えて、2口から4口追加すると便利でしょう。ドライヤーの他、ヘアアイロン、シェーバーや電動歯ブラシの充電に使用できます。
ランドリースペースでは、洗濯機用とは別に、壁に2口あると良いです。用途としては、除湿機やサーキュレーター、アイロンなどがあげられますが、実際何を使うか、何をするか明確にしてから決めるようにしましょう。
そのほか、動画では「廊下・外部」「ワークスペース」などに必要なコンセントの数や位置、これから増えそうな家電についても解説しています。詳しく知りたい方はぜひ確認してみてください。
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