【東京都中古マンション価格推移】都心3区は成約価格が回復するも、売出価格との差(ワニの口)は依然として大きい!【完全版】

【東京都中古マンション価格推移】都心3区は成約価格が回復するも、売出価格との差(ワニの口)は依然として大きい!【完全版】
2026年7月14日公開(2026年7月15日更新)
服部盛昭:株式会社R-Scope 不動産ライター

東京都の中古マンション市場は、都心3区・城東・城南・城北・城西・多摩の6エリアで需給の動きが異なり、同じ東京都でもエリアごとに違う顔を見せている。本記事では、2026年6月度の最新データをもとに、「売出価格」と「成約価格」の推移を確認し、エリア別の最新動向を解説する。
※本記事のグラフ、データは東日本不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ」をもとに編集部が作成。(画像出典:PIXTA)

2026年6月の東京都の中古マンション価格推移の概要

 本記事で用いる2つの価格の意味を整理しておこう。「売出価格」(新規登録価格)とは、売主が希望する価格だ。一方「成約価格」は買い手がついて実際に契約が成立した価格を指す。この2つの価格の差が大きいほど、売り手と買い手の認識のズレが大きいことを意味する。

 6月の首都圏全体は、成約㎡単価が82.64万円/㎡(前年同月比-0.8%、前月比+2.3%)となり、5月に記録した73カ月ぶりの前年割れからは脱した。一方で首都圏の売出(新規登録)㎡単価は115.57万円/㎡(前年比+22.0%)と26カ月連続で上昇を続けており、売り出し段階の価格と実際の成約価格の乖離は依然として大きい。

 東京都内のエリア別に分解すると、都心3区が在庫の急増と高値の滞留に苦しむ一方、城北・城東・城南では成約価格が前年を上回るなど、都心と周辺エリアで対照的な結果となった。

都心3区 成約価格は回復するも売出価格との差は依然として大きい

東京都心3区 マンション価格推移成約価格売出価格9000万円1億円1億1000万円1億2000万円1億3000万円1億4000万円1億5000万円1億6000万円1億7000万円1億8000万円1億9000万円2億円2億1000万円2億2000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 千代田区・中央区・港区の都心3区は、6月の成約価格が1億2642万円(前年比-6.4%、前月比+7.8%)となった。5月の1億1723万円から反発したものの、直近13カ月では5月に次いで2番目に低い水準にとどまっている。これまで1億3000万円台後半で推移していたことを踏まえると、5月・6月と続けて水準を切り下げた格好だ。

 成約件数は223件(前年比-27.1%)で、5月の198件からは持ち直したが、前年比では6カ月連続の減少が続いている。専有面積は56.70㎡(前年比-2.5%、前月比+6.6%)で、5月から広さを取り戻す動きも見られ、6月の価格反発は「広めの物件が成約に加わったことによる押し上げ」という側面も否定できない。

 一方で気になるのは在庫の積み上がりだ。在庫件数は4676件(前年比+44.8%)と6エリアでもっとも高い増加率を記録した。在庫平均価格も2億1324万円(前年比+15.2%)と高値が並ぶ。新規登録価格は1億9854万円で、成約価格との差(ワニの口)は依然として大きい。売り出し段階の強気な価格設定と実際に成約する価格帯とのギャップが埋まらないまま在庫だけが膨張している流れは継続中だ。

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城東地区 成約価格は6063万円、前月比で+7.5%

東京東部(城東地区) マンション価格推移成約価格売出価格4000万円5000万円6000万円7000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 台東区・江東区・江戸川区・墨田区・葛飾区・足立区・荒川区の城東地区は、6月の成約価格が6063万円(前年比+6.7%、前月比+7.5%)と前月比で上昇し、成約㎡単価も100.98万円/㎡(前年比+6.2%)と100万円台を回復した。

 価格上昇を牽引しているのが専有面積の拡大だ。成約物件の平均専有面積は4月56.43㎡→5月56.41㎡→6月60.04㎡(前月比+6.4%)と大きく広がっている。㎡単価の伸び以上に成約価格が上昇している背景には、需要の高いファミリー向けの広い物件が成約に多く含まれるようになったためと考えられる。

 成約件数は475件(前年比-10.4%)で、5月の399件から大きく回復しており、在庫件数も5080件(前年比+6.7%)と他エリアと比べれば緩やかな増加にとどまっている。ただし在庫㎡単価は117.85万円/㎡(前年比+20.8%)と成約㎡単価を17万円近く上回っており、都心3区ほどではないものの、売り出し価格の先行上昇は続いている。

城南地区 成約価格は7284万円、前月比で2.3%下落

東京南部(城南地区) マンション価格推移成約価格売出価格4000万円5000万円6000万円7000万円8000万円9000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 品川区・大田区・目黒区・世田谷区の城南地区は、6月の成約価格が7284万円(前年比+6.7%、前月比-2.3%)となった。

 注目したいのは成約件数の動きだ。6月は376件で前年比-9.8%となり、4月は-10.6%、5月は-27.8%に続き、前年比でマイナスの状態が続いている。ただし件数の絶対数で見ると、5月の306件から6月は376件へと回復しており、減少幅そのものは縮小した。件数の戻りが実需の底打ちを示すものかは、次月以降のデータで見極める必要がある。

 新規登録価格は7559万円で、成約価格7284万円との差は275万円とタイトだ。在庫件数は4381件(前年比+6.9%)で伸びは緩やかであり、専有面積は56.26㎡(前年比-3.4%)とやや小ぶりの物件が成約の中心になっている。件数の急激な回復が一時的なものか、実需の戻りを示すものなのかにも注目していきたい。

城北地区 成約価格が前年比で23.9%の大幅上昇。売出価格も大きく伸び、割安イメージが薄れる

東京北部(城北地区) マンション価格推移成約価格売出価格3000万円4000万円5000万円6000万円7000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 文京区・豊島区・北区・板橋区・練馬区の城北地区は、6月の成約価格が6042万円(前年比+23.9%、前月比+6.0%)となり、前年比は6エリアの中で最も高い上昇率となった。成約㎡単価も107.54万円/㎡(前年比+14.3%)と、100万円/㎡台に定着しつつある。

 これまで城北地区は相対的な割安感から実需の受け皿とされてきたが、価格は徐々に上昇している。新規登録価格も5670万円(前年比+20.8%)まで切り上がっており、現在はまだ成約価格が上回っているが、売り出し段階から強気な価格設定が目立っていることがうかがえる。専有面積は56.19㎡(前年比+8.4%、前月比+2.7%)で、広さの拡大も価格上昇を後押ししている。

 在庫件数は4035件(前年比+13.1%)と供給も積み増しが続いているが、成約価格の伸びがそれを上回っている状況だ。城北の「買いやすさ」がどこまで維持されるかは、今後も注視していきたいポイントだ。

城西地区 成約価格は8470万円、前月比で-2.9%

東京西部(城西地区) マンション価格推移成約価格売出価格5000万円6000万円7000万円8000万円9000万円1億円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 新宿区・渋谷区・杉並区・中野区の城西地区は、6月の成約価格が8470万円(前年比+1.3%、前月比-2.9%)となった。成約㎡単価は164.37万円/㎡(前年比+6.4%)で、6エリアの中で都心3区に次ぐ高水準を維持した。

 一方で気がかりなのは在庫の質だ。在庫㎡単価は199.93万円/㎡(前年比+19.0%)と、200万円/㎡の大台目前まで上昇している。在庫件数も4707件(前年比+19.0%)と積み上がっており、成約㎡単価との差は35万円/㎡以上に開いている。これは50㎡の物件に換算すると1750万円以上の価格差に相当する。5月時点で見られた「高値の物件が売れ残る」構図が、そのまま6月も続いている形だ。

 成約件数は269件(前年比-17.2%)で減少が続くものの、専有面積は51.53㎡(前年比-4.8%、前月比-2.8%)とコンパクト化が進んでおり、渋谷・新宿へのアクセスを評価する層が、予算内で買える面積に絞り込んで成約している可能性がある。

多摩地区 成約価格は3878万円、前月比で-0.3%

東京都(多摩地区) マンション価格推移成約価格売出価格3000万円4000万円5000万円24/124/424/724/1025/125/425/725/1026/126/426/6

 多摩地区(八王子市・立川市・武蔵野市・調布市など)は、6月の成約価格が3878万円(前年比+7.4%、前月比-0.3%)となった。4月3879万円→5月3890万円→6月3878万円と、ほぼ横ばいの推移が続いており、都区部のような大きな変動は見られない。

 特徴は在庫の減少が長期化している点だ。在庫件数は3241件(前年比-9.3%)で、前年同月比のマイナスが1年近く継続している。新規登録件数も1077件(前年比-17.5%)と大きく落ち込んでおり、供給の細りが際立つ。

 一方で成約件数は420件(前年比+7.4%)と6エリアの中で唯一プラスを維持し、成約価格(3878万円)は新規登録価格(3764万円)を114万円上回る「売り手優位」の状態が続いている。専有面積は66.04㎡と6エリアで最も広く、都区部と比べて広さの面で優位に立てる点が、実需層を引きつける最大の要因とみられる。供給が絞られる中でも需要が途切れない多摩地区の構図は、当面続く可能性が高い。

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