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予算2000万円と3000万円で注文住宅は何が変わるのか?
スペックの違いやポイントをプロが徹底解説!

【第8回】2020年2月3日公開(2020年6月26日更新)
船渡亮

船渡亮(ふなと・あきら、株式会社かえるけんちく代表。一級建築士):

年間コンサル数1000件を誇る家づくりコンサルタント。購読数5000人の無料メールマガジン「かえる家づくり\脱/初心者講座」を配信し、「理想の暮らしを家づくりで実現する!」ための知識をわかりやすく紹介している。また、月間15万PVのブログ「かえるけんちく相談所」を運営し、家事動線、収納、断熱気密や構造、夫婦関係など、家づくりや暮らしについて独自の切り口で解説する。

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同じ床面積の戸建て住宅でも予算が2000万円と3000万円では、当然ながら、家の性能、外観や内装のスペックが変わってきます。予算によって具体的にどのような点が変わってくるのでしょうか。2000万円、3000万円、それぞれのモデルケースをもとに、その違いや家づくりを進めるうえでの注意点などを解説していきます。(株式会社かえるけんちく代表・一級建築士 船渡亮)

まず押さえるべきは、「耐震性」と「断熱・気密性」 

 建売住宅や分譲マンションの場合、家のスペックや性能はデベロッパーが決めたものになりますが、注文住宅の場合は、施主が全て選ぶことができます。

 施主は、限られた予算をどのように配分するかを考えなければなりません。キッチンや浴室などの住宅設備、内装、外壁など目に見えるものにできるだけ多くの予算を使いたい、と思いがちですが、実は注文住宅でまず押さえなければならないのは、目に見えない「性能」の部分です。

 戸建て住宅の「性能」とは、耐震性、断熱・気密性です。この中で建築基準法により「強制力のある最低基準」があるのは耐震性だけです。

 ただ耐震性の最低基準は、居住者の命や家財を守ることのみを目指しているので、地震で家が壊れないことを保証するものではありません。つまり建築基準法通りに建てても、地震時に破損や倒壊する可能性は十分にあり得るということです。

 断熱・気密性は、住む方の快適性や健康に関わります。断熱性に国の基準はありますが、不動産団体などの反対により強制力は持っていません。つまり、昭和や平成に増産された低スペックの「暑くて寒い家」と同じものを、令和になっても建ててしまう可能性がある、ということです。

 予算をどう使うかは施主の自由ですが、地震で破損・倒壊する、暑くて寒い家に住みたいという人はまずいないでしょう。これらを回避するためには、以下の2つの基準をクリアすることが必須になります。

・耐震等級2または3
・断熱等性能等級4

耐震等級とは、国が定めた耐震性の基準です。等級1が建築基準法相当、等級2が基準法の1.25倍、等級3が1.5倍の耐震性となります。木造軸組み工法の場合は、等級2以上をクリアした上で、モノコック工法を採用することをお勧めしています。

 工法の詳細については、こちらを参照してください。

【関連記事はこちら】戸建て住宅で使われる3つの建築工法について知ろう!そのメリット・デメリットは?

ヒートポンプ技術で機能的かつ経済的にお湯を沸かす「エコキュート」(出典:Pixta)
ヒートポンプ技術で機能的かつ経済的にお湯を沸かす「エコキュート」(出典:Pixta)

 一方、断熱等性能等級4は、断熱性の基準です。2021年4月からは、住宅を建てる場合、この基準に達しているかを建築士が施主に説明することが義務付けられます。達していなくても家を建てることはできますが、事実上、断熱の最低基準といえます。

 このほか、省エネ・創エネ性も家の性能ですね。エコキュートやエコジョーズなど高効率な給湯器や、太陽光発電や太陽熱利用給湯システムなどを採用することで実現できます。これらは、耐震性と断熱・気密性をクリアした上で余裕がある場合に検討してください。

予算2000万円と3000万円の注文住宅のモデルケース

2000万円と3000万円の注文住宅の比較
2000万円と3000万円の注文住宅の比較

 同じ床面積30坪の場合、予算によって外観やデザイン、住宅性能はどのように変わるのでしょうか。

 上記の外観パースを見てもわかるように2000万円モデルはシンプルな外観で外構も最低限になっていますが、3000万円モデルはデザイン的で、縦滑り出し窓など装飾窓が多く使われています。また住宅の耐震性能や断熱・気密性能にも差があります。

 次に、具体的に2000万円と3000万円の家づくりの違いを紹介していきます。

2000万円の家は、耐震・断熱の最低基準をクリア、外観はシンプル

 30坪で予算2000万円の注文住宅の場合、付帯費用や経費を差し引くと建築本体工事費は1500~1600万円程度となり、坪単価は50万円台です。安全で快適な住宅を建てるには十分な予算ですが、凝ったことをするのは難しいといえます。優先順位を明確にし、何にお金をかけるべきかを明確にして家づくりをする必要があります。

延べ床面積30坪2000万円の注文住宅の仕様例
延べ床面積30坪2000万円の注文住宅の仕様例

▪性能

 2000万円モデルは、前述した耐震性・断熱・気密性、2つの基準をクリアした性能です。

 昭和や平成に作られてきた戸建て住宅に比べると性能がアップしており、安全で快適な家と言えます。

 この場合、耐震等級を取得するための構造計算(30万円程度)は行っておらず、簡易計算により等級を確認しています。そのため「耐震等級2相当」という表現になります。モデルケースのように総2階であれば構造計算なしでも問題はないですが、複雑な形状の場合は、構造計算を行った方が安心です。実際に、熊本地震では、耐震等級2相当の住宅が全壊しています。

 断熱に関しては、暑さ寒さはこれまで住んでいた住戸の環境により感じ方が違います。上下左右が住戸に囲まれ、暑さ寒さの影響を受けにくい分譲マンションに住み慣れた人にとっては、戸建て住宅は、若干寒いと感じるかもしれません。

 また、断熱等性能等級4ギリギリの場合、リビング階段や吹き抜けがある開放的な空間では暖房効率が悪くなりますが、サッシをアルミ樹脂サッシに変更すれば改善できます。部屋ごとに区切られた間取りであれば、エアコンだけで一年中快適に過ごすことができます。

 空調は個別エアコンです。換気は第三種換気という従来の方法で行います。外壁に空いた給気口から外気を取り入れるという原始的なやり方で行います。

▪デザイン

 

2000万円の住宅の外観
2000万円の住宅の外観はいたってシンプル

 外観はシンプルな切妻屋根の総2階です。南側は引き違いで大窓とし、それ以外は、縦滑り出し窓など小窓を配置します。窓配置は、道路から見える部分については、高さや大きさをそろえ、整った印象にしています。

 このモデルケースでは、外壁はサイディング、屋根はスレート材と、住宅会社が標準採用している建材としていますが、同じ外壁材、屋根材でもメンテナンスが少なくてすむ商品もあります。予算に余裕がある場合は、こうした商品を検討してもいいかもしれません。

▪注意点

1)商品住宅型を扱う住宅会社を選ぶ

 住宅会社は、「完全注文住宅型のみを扱う会社」よりは、「標準仕様のある商品住宅型も扱っている会社」を選んだ方がコスパがよくなります。これは大量発注が可能で、施工方法も統一されているため、原価を下げることができるためです。

 ただ標準仕様があまりに低レベルですと、結局オプションで増額になってしまうので、前述した2つの基準、「耐震等級2または3」、「断熱等性能等級4」をクリアした商品を持っている会社を選びましょう。

【関連記事はこちら】初心者でも分かる、注文住宅の見積書の見方は?

2)施主が積極的に動く

 一般に坪50万円台の場合、設計者が打ち合わせに参加することも少なく、提案も少ない場合が多いです。そのため施主自身が家づくりを学び、情報収集していくことが重要になります。

 また、安価に良いものを採用するために、「施主支給」を行うという手もあります。施主支給とは、施主自身が発注や運搬、スケジュール調整などの作業を行うこと。住宅会社に支払う経費分をコストカットが可能ですが、その分、施主自身が行うことが増えます。

 施主支給できるものとしては、エアコン、照明器具(シーリングライト、ペンダントライト)が一般的ですが、無垢フローリングやキッチンなどの住宅設備も会社によっては可能です。

 また、解体工事や外構工事を施主が直接、発注することもできます。ただ工事の責任は施主自身が負わなければならないので注意が必要です。ただ、工事会社を住宅会社に紹介してもらう場合は、紹介料が住宅会社にキックバックされますので、そこまで安くなりません。

 価格を優先するのであれば、必ず自分自身で探した会社に依頼するようにしましょう。

3)将来を見据えて、作りこみすぎない

 注文住宅の醍醐味は、スタディーカウンターを作る、クローゼットに引き出し収納を付けるなど造作家具工事ができることです。しかし、造り付けはきれいにすっきり見えますが、費用もかかりますし、将来の家族構成や暮らしの変化に対応しにくくなる場合もあります。

 そして多くの場合、それらは市販品で代替が可能です。将来的に売却しなくてはならない場合も、作りこんだ家は、使いにくく資産価値も低くなります。耐震性や断熱性には価値がありますが、前の所有者のこだわりは、購入者にとってマイナスでしかありません。

 また将来、外壁やフローリングを変えることは難しいですが、キッチンやユニットバスなどの住宅設備のリフォームは比較的簡単です。現在、予算が十分でないなら、20年後、30年後にリフォームで、こだわりのキッチンや浴室にすると考えてもいいと思います。

 家づくりでは、常に30~50年先を見据え、優先順位を決めるようにしましょう。

3000万円の家は、制振装置の採用可能、外観、外構にもこだわり

 30坪で予算3000万円の注文住宅の場合、付帯費用や経費を差し引くと建築本体工事費は2400~2500万円程度となり、坪単価は80万円台です予算には余裕があるので、住宅性能を高くする、キッチンにこだわる、メンテナンス費用が少ない外壁を選ぶ、小屋裏収納をつけるといった複数のこだわりを実現することができます。また、外観や外構デザインにも凝ることができますね。

延べ床面積30坪3000万円の注文住宅の仕様例
延べ床面積30坪3000万円の注文住宅の仕様例

▪性能 

 まず、3000万円モデルでは、耐震と断熱・気密性を基準より高い性能に設定しています。耐震等級は、構造計算を行った上で最高等級の3を取得、さらに地震の揺れを少なくする制振装置も採用しています。

 断熱は、HEAT20のG2という国の基準を上回り、民間の断熱基準をクリアした、全館空調や熱交換の第一種換気を採用しています。第一種換気とは、給気も排気も機械換気で行うことを言います。

 全館空調は、居室だけでなく、トイレや廊下など家全体をエアコンで空調、24時間換気するシステムで、三井ホームが有名ですね。換気は熱交換の第一種換気です。

 熱交換とは、外気を室温に近い温度(または湿度)にしてから給気する換気方法です。排気時に空気の熱を回収する仕組みで、外気が0度の真冬で、室温20度の場合、外気を16度~18度にしてから給気します。冷たい外気が室内に入ることがなく、空気を清浄に保つことができます。

 このような高性能の高気密高断熱住宅は、ヒートショックをなくし、アトピーなどのアレルギーの症状緩和にも役立つことがわかっています。また家のどこにいても快適なので、入居者はより活動的になるようです。断熱性や換気、空調にこだわることで、家族の健康に良い家にすることができます。

▪デザイン

 

3000万円の住宅の外観
3000万円の住宅は、外観だけでなく、外構もこだわることができる

 外観は、片流れ屋根に陸屋根を組み合わせたモダンなデザインです。アクセントに木製サイディングを採用するなど、素材選びにもこだわっています。また外構には、ウッドフェンスやガレージゲート、玄関前のアイストップとしての塀など、デザインにこだわることができます

 また、30年間塗り替えが不要な外壁や屋根、防水を採用することでメンテナンス費用を最小限にすることもできます。ただ、全くランニングコストがかからない、メンテナンスが不要な家はないので、メンテナンススケジュールを住宅会社に提案してもらうといいでしょう。特に大手ハウスメーカーはメンテナンス費用が高額になりがちなので、あらかじめ確認すると安心です。

▪注意点

1)顧客満足度は高いが、担当者選びは重要

 一般に、家づくりの予算に比例して、顧客満足度は高くなる傾向にあります。これは予算があるほうが要望を実現しやすいということもありますが、人件費を確保できるので、住宅会社が施主対応に時間をかけられるということも大きく影響しています。工務店よりハウスメーカーの方が、満足度が高いのはそのためです。

 とはいえ営業担当者のレベルはさまざまですし、施主との相性もあります。どの住宅会社で家を建てるにしても、信頼できる担当者以外とは家づくりをしない方が良いですね。

2)コストダウンが必要になることもある

 坪80万なら何でもできそうですが、予算があるだけ要望は増えますので、どこかでお金を使いすぎるとどこかでコストダウンを考える必要も出てきます。

 以前、私が在籍していた会社では1億円以上の住宅ばかり設計していましたが、毎回コストダウンで大変でした。しかもデザイン優先の会社なので、ペアガラスをシングルガラスに変えるといった、今考えると、信じられないようなこともしていました。

 コストダウンは、自分たちの暮らしに何が重要で、何が重要でないかを選択することです。家族の暮らしを見つめなおす良い機会だと思って、向き合うようにしましょう。

3)自分たちの暮らしにあった予算を

 30坪で2000万円、3000万円のモデルケースを紹介しましたが、実際は、その中間2500万円くらいが30坪の注文住宅の平均的な予算になります。2000万円を標準モデルと考え、予算と自分たちが実現したい暮らしによって、オプションを追加していくようにイメージされるとわかりやすいですね。

 予算をかければ、こだわりを反映できますが、それに比例して家族の暮らしが豊かになるわけではありません。3000万円支払える場合でも、予算は2000万円に抑えて、1000万円は趣味や海外旅行、教育費などに使うことも出来ます。何を採用するか迷ったときは、それによって家族が幸せになれるのか?という基準で考えてみると良いのではないでしょうか。 

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