新設住宅の着工戸数が減少し続けるなかで、実は平屋住宅(1階建住宅)が増え続けている。専用住宅に占める平屋の割合をみると、10年間で2倍以上に増えているのだ。なぜ、いま平屋住宅なのか。メリットがある反面、デメリットも少なくないので、平屋住宅を選ぶに当たっては十分な注意が必要だ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
持ち家の着工戸数34カ月連続して減少している

人口の減少が始まり、いずれは世帯数も減っていくのが確実であるため、新たな住宅の建設も減少している。国土交通省の「建築着工統計調査」によると、賃貸住宅は増えているのに対して、持ち家の着工は減り続けている。2024年9月時点では、持ち家は前年同月比で34カ月連続して減少しており、3年近く減少が止まらなくなっている。
その一方で、戸建ての平屋住宅が増加している。図表1にあるように、10年前の2013年度の平屋住宅の着工数は3万7,248戸だったのが、23年度には5万8,154戸になっており、10年間で56.1%も増えている。
その間、専用住宅(※)の着工数は50万4,730戸から37万7,949戸に減っており、10年間で25.1%も減少したことになる。専用住宅が減るなかで、平屋住宅だけは増え続けているので、専用住宅に占める平屋住宅の割合は7.4%から15.4%に、10年間で2倍以上に増加している。
※居住を目的として建てられ、店舗や事務所、作業場などの業務に使用する部分が一切ない住宅のこと
図表1 専用住宅と平屋住宅(1階建住居)の戸数と平屋住宅(1階立住居)の割合

平屋が増えている理由とは
平屋住宅が増えている最大の要因が、世帯人員の減少にあるのは間違いない。二世代、三世代の家族が多数で住むのが当たり前の時代であれば、かぎられた敷地のなかで、一定の延床面積を確保するためには、2階建て、3階建てなど建物を上に伸ばさざるを得ない。とくに、大都市部では2階建て以上が当たり前といって良い状況である。
しかし、家族数が減れば広い住まいは必要なくなってくる。1階建て、つまり平屋で十分ということになる。
しかも、今後はますます世帯人員の減少傾向が強まってくる。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、図表2のように、2020年には平均世帯人員が2.21人だったのが、2032年には2.00人に減り、2033年には1.99人と2人以下になる見込みである。さらに、2050年には1世帯当たり1.92人まで減少するとされている。
図表2 日本の世帯数の将来推計

世帯人員が減ってくれば、当然ながら広い住まいは必要なくなる。むしろ広い住まいを持て余すことになる。子どもたちが独立したあとの高齢者世帯においては、階段の上り降りが大変で2階はほとんど使われなくなる。
新たに建て直す、あるいは買い替えるに当たってはフルフラットのマンションが候補に挙がると同時に、住み慣れた戸建て住宅としては、平屋住宅が選択肢に入ってくることになる。
子育て中の若い人たちにも人気!平屋住宅のメリット
では、平屋住宅のメリットとデメリットを検証してみよう。まず、メリットとしては、次のような点が挙げられる。
平屋住宅はワンフロアであるために、生活動線がシンプルで、コンパクトにまとまりやすくなる。階段がなく、バリアフリーも可能で、高齢者だけではなく、小さな子どもやペットがいる家庭でも安全性が高まる。
部屋と部屋との距離が短くなり、コミュニケーションもとりやすく、家族関係が充実することになる。また、開放的な印象で近隣の人たちへ親しみやすさを与え、縁側などを設ければ、相互交流が進むことにもなるだろう。
防災という点では、高さがないゆえに揺れに強く、台風や突風などの災害にも遭いづらいこともある。台風被害の多い九州地方や沖縄に平屋が見られるのは、そのあらわれともいえる。
また、屋根の形状に合わせて、屋根裏部屋を設けることで、ロフトやスキップフロアにして間取りに変化をつけることができる。平屋住宅といえば、シニア世代というイメージが強いかもしれないが、こうしたメリットが世代を超えて広く認識されるようになってきている。最近では子育て世帯にも人気が高まり、若い人たちの間でも平屋住宅の人気が高まっているといわれている。
平屋にはデメリットもあるので注意が必要
もちろん、メリットだけではなく、デメリットにも注意しておく必要がある。
市街地で周辺に2階建て、3階建ての住宅が多いエリアだと、平屋住宅は日当たりや風通しが悪くなってしまう。眺望が開けず閉塞感を感じることもある。
防災面では、先にみたように揺れや風に強い反面、水害のリスクが高くなる。集中豪雨時に浸水が発生した場合、2階、3階への家屋内での垂直避難ができないので、警報が出たときには早く近くの避難所などを利用する必要がある。
また、外部から覗かれるなどプライバシー面での不安もある。防犯面での問題も出てくる。そのため、近隣との付き合いに支障ない範囲で垣根を立てたり、ガラスやドアなどに、防犯システムなどを導入することも一考である。
さらに平屋の建設には広い敷地が必要であり、土地代・建設費の支出が重なってくる。取得後も土地が広い分、固定資産税の負担が増えることも覚悟しておかなければならない。
予算は思ったほどには安くならない
1階なので延床面積が小さくなる分、総予算は2階建て、3階建てより少なくてすむと思い込みがちだ。ところが、基礎や屋根、各種の住宅設備などは2階建て、3階建て同様に不可欠なので、思ったほどには安くはならない。1坪当たりの建築費は平屋住宅のほうが高くなってしまうのが実情である。
仕様・設備などのグレードにもよるが、2階建てで4,000万円する注文住宅と同じ延床面積の平屋住宅を建てる場合、2,500万円から3,000万円程度はかかると考えておく必要がある。思ったよりコストダウンできない点には注意が必要だ。
現在、2階建て、3階建ての戸建て住宅に住んでいるのであれば、建て替えではなく、“減築”という発想もある。あくまでも、構造躯体の劣化が軽微で、あと何十年以上住める状態にあることが前提。2階部分、3階部分を撤去し、新しい屋根を建設し、平屋住宅にするのである。

リフォームを施工する工務店などによって予算は異なってくるが、状態のいい建物であれば1000万円、2000万円で可能になるだろう。比較的低予算ですむ上、住み慣れたいまの住まいに住み続けられる安心感がある。また、建て替え中の仮住まい期間も短くてすむ。
住宅展示場や建売住宅にも平屋が増えている
平屋住宅への人気が高まる流れを受けて、ハウスメーカーやビルダーの間でも平屋住宅に力を入れる動きが高まっている。冒頭にふれたように、持ち家住宅の着工数の減少が続くなか、売上を維持していくため、付加価値を高めて1棟単価を引き上げると同時に、そこに販売戦略としての商品ラインアップの拡充が必要になる。そのひとつとしてニーズが強まっている平屋住宅が注目されているわけだ。
たとえば、分譲住宅としての建売住宅は2階建て、3階建てがふつうだが、最近では、そのなかに平屋住宅を含めるケースが増えつつある。20区画、30区画のうちの1区画、2区画にかぎられるケースが多いが、住宅展示場に建てられるモデルハウスにも同様な動きが見られ、一昔前までは考えられなかった現象といえる。
平屋住宅を建てたい、購入したいと思っていても、これまでは現物を自分の目で確かめることは難しかった。関心のある方は近くの住宅展示場や建売住宅などのホームページをチェックして、平屋住宅を探してみることをおすすめする。
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