マンション価格が高騰しているため、資産価値を考えた場合、戸建て住宅よりマンションのほうが有利と思いがちだが、実はそうでもない。長い目でみれば、戸建て住宅のほうが資産価値を維持しやすいのだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
マンションの価値は築30年以上で7割近く下落する
マンションにしろ戸建て住宅にしろ、新築からの経過年数に応じて資産価値は低下していく。
図表1は東日本不動産流通機構のデータから、首都圏中古マンションの築年数帯別の成約価格と築年数による価格の低下率を示している。
図表1 首都圏中古マンションの築年帯別の成約価格と価格低下率

「~築5年」の成約価格の平均は8292万円。2024年度の首都圏新築マンションの平均価格は8135万円(不動産経済研究所データ)となっており、築浅の中古マンションも新築マンションと変わらぬ価格になっている。
新築マンションの供給が減少するなか、築浅の中古マンションの希少性が高まり、高値で取り引きされることになっているのであろう。
しかし、新築からの経過年数が長くなると、成約価格は低下していく。「~築10年」では7000万円台に下がり、「~築15年」「~築20年」では6000万円台に、「~築25年」では5000万円台に、「~築30年」では4000万円台に、そして、築30年以上になると2000万円台と築浅マンションの3分の1ほどまで下がってしまう。
戸建て住宅なら築古でも5割程度の価格を維持
戸建て住宅も築年数が古くなるにつれて成約価格が低下していくのはマンションと変わらない。
図表2にあるように、「~築5年」は5164万円、「~築10年」は4871万円、「~築15年」は4811万円とさほど大きな落ち込みはなく、「~築25年」までは4000万円台を維持している。「~築30年」になると3000万円台まで下がり、築30年以上なら2000万円台になる。
図表2 首都圏戸建て住宅の築年帯別の成約価格と価格低下率

図表1と図表2の折れ線グラフは、築5年までの築浅物件の成約価格を基準に、築年数帯別に成約価格の下落率を示している。
マンションは、「~築10年」が4.7%の下落で、戸建て住宅は5.7%だから、この段階では戸建て住宅のほうが下落率が大きい。
しかし、築15年以降はマンションの下落率が高くなる。「~築15年」では、マンションが18.0%に対して、戸建て住宅は6.8%。「~築20年」はマンションが23.1%の下落に対して、戸建て住宅は14.9%にとどまっている。
さらに「~築25年」はマンションが29.3%の下落で、戸建て住宅は14.7%、築30年以降はマンションが68.9%と7割近く下落するのに対して、戸建て住宅は49.4%と5割近くを維持している。
マンションはもともとの価格水準が高いこともあり、築年数の経過による価格の低下率が高くなっているのである。
戸建て住宅のほうが築5年以内の築浅に対する価格の下落率が小さくなっていることから、資産価値を維持しやすい、といっていいだろう。
戸建て住宅は土地代で歩留まりが担保される
この差が生じるのは、戸建て住宅には土地がついていて、建物の価値が下がっても、土地代で歩留まりが担保されるからである。
マンションの場合は、あくまでも区分所有の土地であり、個人で自由にできるものではない。一方、戸建て住宅は建築基準法などを遵守すれば改築や増築も自由に行え、建て替えも可能になる。
最近はリフォームやリノベーションの技術が進歩してきているので、内装や外装をリフォームすることで、新築かと見まがうほどにできる。壁や床、天井などをはがしてスケルトン状態にして、全面的にリノベーションすることもできるため、最新の新築住宅並みにすることが可能。そうした要素も、戸建て住宅の価格の維持に貢献しているのではないだろうか。
戸建て住宅は建物の価値も評価されるようになりつつある
かつては戸建て住宅の建物については、新築から20年経てば建物の価値はゼロといわれたものだが、最近では建物の性能が向上していることもあり、一定の経過年数後も、建物の価値が評価されるケースが増えている。

大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)など大手ハウスメーカー10社が進めている中古住宅の物件とその流通システム「スムストック」では、「住宅履歴情報の保有」「新耐震基準をクリア」「50年以上のメンテナンスプログラム」の3つの条件を満たす中古住宅を売却する場合、スムストック査定方式で査定し、建物の価値を正しく評価する仕組みを推進している。
その結果、一般の中古住宅が20年後には建物価値がほとんどなくなってしまうのに対して、スムストックの対象物件は20年経過後も1000万円以上の査定価格になっている。
30年、40年経過後も500万円程度の査定価格が出るようになっている。もちろん、これは土地代を含まない建物だけの評価であり、土地代込みになればもっと高くなるのはいうまでもない。
資産価値を維持できれば買い替えもスムーズ
資産価値を一定レベルに維持できれば、さまざまな面で生活設計が容易になる。たとえば、人生100年時代に老後を安心して過ごすためには2000万円のお金が必要といわれるが、戸建て住宅を買っておけば築30年以上が経過しても最悪の場合でも土地を売却することで一定のお金を調達できる。「スムストック」の対象物件なら、もっと高値で売却できるだろう。
築年数が長くなっても資産価値の低下率が小さいので、一定の自己資金を出して購入すれば、売却可能価格がローン残高を上回る状態が続き、売却や買い替えをスムーズに進めやすい。
一方、マンションは戸建て住宅に比べて元値が高いので、多額のローンを組んで購入する人が多い。にもかかわらず、築年数ごとに評価額が低下すれば、ローン残高が評価額を上回る、いわゆる担保割れ状態になって、売却や買い替えがうまくいかないケースが出てくる可能性が高い。
郊外のマンションには価格低下のリスクも
たとえば、8000万円の借り入れで9000万円のマンションを買った場合、10年経過後のローン残高は6000万円程度になっている。売却可能価格が大幅に下がって6000万円を割り込んでしまった場合、差額分を自己資金で補填しないと売却できず、身動きできなくなってしまうのだ。
現在のようにマンション価格が高騰していると、やがてピークアウトして、価格低下が本格化しかねない。そうなると、資産価値のうち土地代が占める割合が低いマンションは、かつてのバブル崩壊時のような悲惨な事態に陥りかねないので注意が必要だ。
もちろん、マンションには例外もある。都心部の超高額マンションは希少性が高く世界中から資金が流入しているため、簡単には値下がりしないだろう。
しかし、郊外の比較的リーズナブルな価格帯の物件は、経済情勢によっては大幅な下落もあり得るので、十分に注意しておきたい。
そんな場合でも、戸建て住宅なら価格の下落に歯止めがききやすい。このような状況では、資産価値を重視して、戸建て住宅を買っておくのがいいのかもしれない。
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