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不動産仲介の営業の仕事は売却物件探しが7割!
電気メーターによる空き部屋探しが日課で、
非効率な仕事のツケは売り主、買い主に押し付け

【第9回】2018年8月23日公開(2020年6月10日更新)
風戸裕樹

風戸裕樹(かざと・ひろき)氏:ソニー不動産の前身となる「売却のミカタ」を立ち上げ、「不動産売却で売り主だけの味方になる」という新しいコンセプトを打ち出しました。現在は不動産情報サービス「PropertyAccess.co」を設立し、アジアの不動産を国境をまたいで他国の人に紹介するビジネスを展開しています。

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不動産仲介会社の営業マンが普段どのような業務に勤しんでいるか、皆さんはご存じでしょうか? 彼らは日夜、不動産の“売り主探し”“売却物件探し”のため目を血走らせながら“空き部屋”を探し徘徊しています―。さながら獲物を狙うハイエナと化した彼らは、業務の7割以上をこの“売り主探し”“売却物件探し”に費やすため、新人の頃から徹底的にノウハウを叩き込まれます。そして、非効率で高コストな仕事のツケは、高い手数料となって、売り主と買い主が支払うことになるのです。

苛酷を極める“売却物件探し”
新人営業マンの惨状とは?

 不動産仲介会社の営業方法は、21世紀とは思えないほど前時代的です。

 新人営業マンに課せられた業務は、何といっても“売却物件探し”です。基本業務は「あなたの家・土地・マンションを買いたい人がいます」というチラシのポスティングです。あなたの家のポストに毎日のように入っているチラシで、「求むチラシ」「求む広告」と呼ばれています。しかし、実はこれだけではありません。

 彼らは何時間も歩き廻って郵便ポストにチラシが溜まっている部屋、電気メーターがほとんど動いていない部屋、カーテンがかかっていない部屋などを探し続けます。こうした兆候がれば、空き部屋の可能性が非常に高いためです。

 こうしてなんとか空き部屋候補を見付けても、今度は所有者と連絡を取るためにわざわざ法務局まで足を運んで登記簿を調べ、そこに書かれている住所と名前をもとに、電話帳を片っ端から読みあさって電話番号を調達しなければなりません(登記簿はネットで調べられるようにもなりました)。

 最近では電話帳に登録していない人も多いので、電話番号がわからなければ手紙まで送るという執念深さです。

 オートロックで中に入れないマンションであれば、マンションの管理人と親しくなって情報を流してもらえる関係を築くのも営業マンの重要な仕事です。空き部屋が出るたびに情報を流してもらい、謝礼を支払う。もちろん、盆暮れの付け届けを忘れてはいけません。こういった根回しは日常茶飯事だといいます。

 地元に密着している不動産仲介会社であれば、地域内のマンションの所有者リストをデータベース化し、定期的に「あなたのマンションを買いたい人がいます」というダイレクトメッセージを送ります。そうした“売却物件探し”の作業に、新人営業マンは膨大な時間をかけ、業務の7割は“売り主探し”に費やされていると言われています。

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日本では、シンガポールの
6倍もの仲介手数料を負担する

 そもそも、不動産仲介会社がそこまでして“売却物件探し”にこだわる理由は何でしょうか。

 それは、売り主・買い主の双方から手数料をもらえる、いわゆる“両手取引”にすることで、手数料をがっぽり稼ぐためです。

 不動産取引の仲介手数料は、売買価格が400万円超の場合で上限が3%+6万円(+消費税)です。宅地建物取引業法では、不動産の売買仲介手数料の上限値(3%+6万円)を定めているだけですが、ほとんどの不動産仲介会社は上限値の手数料を請求しています。さらに手数料は、売り主からだけ取るわけではありません。売り主と買い主の双方から取る“両手取引”で、合計すると6%+12万円です。

 5000万円のマンションの取引なら、手数料は5000万円×6%+12万円=312万円にもなります。そのため、不動産仲介会社の営業マンは、売り主と専任媒介契約を結ぶことに成功すれば、なるべく“両手取引”に持ちこもうとします。時には違法な“囲い込み”すら行います。結果として、効率の悪い“売り主探し”に膨大な時間を費やすため、買い主の相談に応じたり、物件を案内したりする時間なくなってしまい、1か月あたりの成約件数を増やせません。簡単にいうと、ものすごい高コスト体質になっているのです。

 連載で紹介したように、シンガポールでは売買価格の1%が上限で、負担するのは売り主だけ。つまり、日本ではシンガポールの6倍もの仲介手数料を負担しなければなりません。

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営業効率の悪さは手数料で賄う
成長しない不動産業界の実態

 多くの不動産会社は、街を歩き回って空き部屋を探すという非効率的で高コストな営業手法を続けています。そのため、上限値の手数料収入を得なければ、不動産仲介会社の経営は厳しくなります。

 また、どの産業の中小零細企業でも、今ではコンピューターやインターネットなどのIT(情報技術)を導入して業務効率を改善し生産性向上に取り組んでいます。

 不動産仲介でもインターネットの物件検索サイトが普及して、業務効率が大幅に向上したと思うかもしれませんが、実際の営業活動は昔ながらの電話・ファックスと足で稼ぐ古臭いスタイルのままなのです。

 それでも“両手取引”にさえ持ち込めれば、一気に6%超の仲介手数料が入る。そのため、多くの不動産仲介会社はこうした営業手法を変えようとしないのです。

買い主特化の売買仲介会社も登場
不動産流通市場の改革が求められている

 とはいえ最近では、インターネットを活用して仲介手数料を割り引くベンチャー企業も登場しています。

 最近増えているのは、“買い主”に特化して売買仲介を行うベンチャー企業です。こうした会社は、手間のかかる空き部屋探しに労力を使うことを止め、買い主のサポートに注力。IT活用で生産性を向上することで、1か月当たりの成約件数を大幅に伸ばしています。それによって仲介手数料を上限値から割り引いて、買い主にもメリットを提供しようというビジネスモデルです。

 このビジネスモデルを成功させるためには、売り物件情報をできるだけコストをかけずに入手することが不可欠です。業者間情報ネットワークのレインズに情報登録された専任媒介物件を自由に広告したりして、買い主に紹介できればよいのですが、このコラムで何回も紹介してきたように、売り主から物件を預かっている不動産仲介会社がいろいろと理由を付けてほかの仲介会社に広告を認めず、紹介もしないといった行為が後を絶ちません。

 不動産業界でも、2017年頃から不動産とITを融合した「不動産テック」がようやく注目されるようになりましたが、大半の会社は不動産仲介会社の営業は旧態依然のまま。業務効率を改善して生産性を上げようという意識が見られないのです。

 株式市場では、ネット取引の本格普及を機に1999年に売買委託手数料の完全自由化に踏み切りました。インターネット専業の証券会社も登場したこともあって、手数料は自由化前の固定化時代に比べて約10分の1に低下。個人投資家のほとんどが株式のネット取引を利用するようになりました。

 不動産取引も、昔ながらの「両手取引」ありきの営業スタイルのままでは、不動産テックを活用して生産性向上を実現できるでしょうか。欧米に比べて大幅に少ない既存住宅の流通量を増やしていくためにも、不動産流通市場の改革は求められているのです。

(編集協力=ジャーナリスト・千葉利宏)

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