四国にて、ある売主が住んでいるマンションを売却しようと「不動産一括査定サイト」を利用したところ、地元の不動産仲介会社に交ざって「関東の不動産仲介会社」からも連絡が。地元の買主候補への売却は、「地元の不動産仲介会社」の方がアドバンテージがあるため競合したら一般的には勝てないのに、なぜ関東の不動産仲介会社はわざわざ四国のマンションを取り扱おうとしたのでしょうか? その裏には、単なるやみくもな営業活動ではない「ある狙い」がありました。
「四国の物件に住みたい地元の買主」を見つける際、
売主の頼りになるのは「地元の不動産仲介会社」

先日、四国某県の県庁所在地で不動産仲介業を営んでいる知人と電話をしていると、次のような話を聞かせてくれました。
「先週、不動産一括査定サイトからお問い合わせくださったお客様と無事、媒介契約(不動産仲介会社に販売を依頼する契約)を締結したのですが、そのお客様が面白いことを聞かせてくれました。お客様の所有物件はウチと同じ市にある50㎡弱程度の少しコンパクトな区分所有(分譲マンション)だったのですが、ウチのような地域密着型の不動産会社に交じって、関東の不動産仲介会社からも連絡があったらしいのです。とにかく『即金で買い取ります!』の一辺倒だったらしいので、売主様は断ったそうですが……。区分所有に関しては、地元以外の業者も一括査定に参入していることは知っていたけど、都会の業者さんも大変ですね~。」
不動産の売却を依頼する先としては、地元の地域密着型不動産仲介会社を選ぶことが一般的です。地元の不動産会社であれば、購入希望のお客様のストックも多いでしょうし、地域の生活情報や、不動産相場情報に精通しているため、何かと頼りになります。
また、不動産仲介会社側も「地元に強い」ことをアピールして販売依頼を獲得できるよう努力するものです。
では、先ほどご紹介したお話に出てくる関東の不動産仲介会社さんは、なぜ四国のマンションを取り扱おうとしたのでしょうか?
関東の不動産仲介会社さんの真意を考える前に、不動産仲介会社は不動産一括査定サイトをどのように使うのかについて簡単にご説明いたします。
不動産仲介会社が一括査定サイトに加盟するとき、「どのエリア」の「どんな物件」の反響がほしいのかを選択します。
「神奈川県茅ケ崎市の土地を売りたい人から問い合わせが欲しい」
「名古屋市千種区の一戸建て売却相談を獲得したい!」
「兵庫県明石市でマンションを売りたい方のお問い合わせを希望します」
こんな感じです。そして、一括査定サイトによっては広さを選択できるところもあります。
つまり、上記の関東の不動産会社は「四国で分譲マンションを売却したい方の問い合わせがほしい」と希望し、わざわざ四国を選択したことになります。
関東の不動産仲介会社から連絡が来た
売却希望物件には「特徴」があった
なぜ、関東の不動産会社は、遠く離れた四国のマンション売却相談を選択したのか?
その謎を解くカギは次の3点です。
・物件種別がマンションであること
・50㎡弱程度の少しコンパクトな物件であること
・即金買い取りを提案してきたこと
一戸建てでも土地でもなく「マンション」を選択し、ファミリー層に対しての売れ筋である70㎡以上ではなく「少しコンパクトな物件」を狙い、いきなり「買取」の提案から入る……これらのことから、この関東の不動産仲介会社は「投資用中古分譲マンション」を取り扱っているということが推測できます。
実需居住用(実際に住むための)物件であれば、買主もある程度エリアを絞って探します。その場合は、地域密着型の営業を行っている不動産仲介会社がその強みを発揮します。
では、投資用の不動産の場合はいかがでしょうか。
投資用の不動産を探す買主の中にも「自分の目の届く範囲で物件を買いたい」と考え、ある程度エリアを絞られる方はいらっしゃいます。
しかし、小規模な分譲マンションを投資目的で購入される方の多くは、エリアには特にこだわりがなく「もうかるのであれば場所は不問だ」とおっしゃる方は珍しくありません。
今、不動産の価格は非常に高騰しています。
東京・横浜を中心とした関東圏は言うに及ばず、名古屋・大阪・福岡といった大都市部は軒並み価格が上がっており、投資物件としての旨味は少ないといえるでしょう。
そこで価格の上昇が比較的緩やかで且つ、人口もそこそこで賃貸需要が見込める地方都市は、小規模投資用マンションを扱っている不動産仲介会社のターゲットになっているのです。
今回ご紹介した四国の知人も「県庁所在地」で不動産業を営んでおり、「価格の上昇が比較的緩やかでかつ、人口もそこそこで賃貸需要が見込める地方都市」という要件に当てはまっています。
このような理由により、四国の分譲マンションを売却するために一括査定サイトを使用したら、関東の不動産仲介会社から連絡が来たのだと考えます。
売主は、不動産仲介会社の所在地を問わず
「高く買ってくれる業者」を選べばいい
しかし、「かぼちゃの馬車」事件以降、銀行は不動産投資に対しての融資を絞りに絞っており、不動産投資全般が冷え込んできています。また、東京オリンピックを来年に控え、不動産の動きそのものがやや勢いを失いつつあるとみるプロも増えてきました。
そのような不動産マーケットにあって、「四国の分譲マンションを買い取ろうとする関東の不動産仲介会社」がいつまでも存在するかは分かりませんが、一般の売主からすれば、東京の不動産仲介会社だろうが、神戸の不動産仲介会社だろうが、高松の不動産仲介会社だろうが、高く買い取ってくれる不動産仲介会社を選べばいいだけの話ですね。
あなたの所有不動産が少しでも高い価格で売れるよう、しっかりと不動産仲介会社の話を聞いてみて下さい。
【関連記事はこちら】>>不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう
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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!
不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。
そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度入力すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。
「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。
なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。
以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。
【注目の記事はこちら】 【業者選び】売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」 【査定】相場を知るのに便利な、一括査定サイト&業者"主要25社"を比較 【査定】不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介 【業界動向】大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算! 【ノウハウ】知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」 |
■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら! |
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地 | |
掲載する不動産会社数 | 約2000店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2009年 | |
運営会社 | 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。 | ||
◆HOME4U(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 1500社 | ![]() |
サービス開始 | 2001年 | |
運営会社 | NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。 | ||
◆イエウール(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1600社以上 | ![]() |
サービス開始 | 2014年 | |
運営会社 | Speee | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。 | ||
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 | |
掲載する不動産会社数 | 2399社 | ![]() |
サービス開始 | 2008年 | |
運営会社 | LIFULL(東証一部) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。 | ||
◆イエイ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1700社 | ![]() |
サービス開始 | 2007年 | |
運営会社 | セカイエ | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。 | ||
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション | |
掲載する不動産会社数 | 900社超、2500店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2011年 | |
運営会社 | マンションリサーチ | |
紹介会社数 | 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社) | |
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定は3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取り扱い物件がマンションしかない点。 | ||
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 9社 | ![]() |
サービス開始 | 2015年 | |
運営会社 | ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大9社 | |
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。 | ||